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つまらない男

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第六章

「襲い掛かってくるから気をつけろ」
「全然平和的じゃないんですね」
「異論にはな」
「民主主義でもないですね」
「そんな連中がだ」
 まさにというのだ。
「枝野が資金を受けている団体の幹部だ」
「委員長から全員ですね」
「構成しているな」
「そのままですね」
「組合自体が過激派の組織になっている」
「とんでもない組織ですね」
「その活動もだ」 
 組合のそれはというと。
「沖縄に安保反対、慰安婦とだ」
「全部ですか」
「原発も反対だ、護憲もあるな」
「一つ一つの主張は頷けますけれど」
「全部暴力も厭わず異論は認めない」
 民主的でも平和的でもないというのだ。
「全くな」
「独裁国家ともですね」
「つながりがあるな」
「そうですか」
「ああ、これはな」
「まさにですね」
「枝野はだ」
 その彼等から資金を受けている彼はというと。
「アウトだ」
「そうですね」
「過激派とつながっている政治家だ」
「そんな政治家は問題外ですね」
「ヤクザどころじゃない」
 それこそだ。
「過激派のやばさはな」
「ですね、これ報道しますか」
「当たり前だ、事実だからな」
「事実を報道するのが新聞記者だからですね」
「そうだ、報道するぞ」
「わかりました」
 山本も頷いた、そしてだった。
 二人はその調べた事実を新聞で記事として発表した、言うまでもなく問題となり枝野はそのことで何かと問われたが。
「私は知らん!」
「秘書に言え!」
「そうしたことはスタッフに任せている!」
 こう言って逃げ回った、それで彼はうやむやにしたが。
 その彼を見てだ、山本は納得した顔で枝野に言った。
「わかりました」
「ああ、つまらない男だな」
「はい」
 そうだと頷いたのだった。
「とても」
「そういうことだ、幾ら地位があってもな」
 野党の領袖、誰もがそう言う地位にいてもというのだ。
「能力や人間性、そして交友だ」
「そうしたことで、ですね」
「人間は決まる、地位のない人でも立派な人はいるが」
「地位のある人でもですね」
「つまらない奴はつまらない」
「それが世の中ですね」
「そういうことだ」
 こう言ってだった、池田は山本にこう言った。
「飯を食いに行くか」
「ええ、何を食いますか?」
「枝野が好きな銀座の寿司といきたいが」
「そんな金ないですから」
「吉野家に行くか」
「そうしますか、美味しいですしね」
 早い、安い、美味いだ。山本は池田の提案に笑ってこう言ってだった。
 二人で近所の吉野家に行って牛丼を食べた、こちらはつまらないどころか非常に美味かった。


つまらない男


                      2015・9・9 
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