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つまらない男

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第三章

「与党が強行採決をしようとしたので」
「だからですか」
「我々もです」
「審議を拒否して」
「そうです、そしてです」
「あの様にされたのですか」
「国民の声を無視してあの様な法案を出したのです」
 それで、というのだ。
「我々は国民の声に応えたのです」
「ですが世論では」
「一部です」
 彼等の姿勢を批判するその声はというのだ。
「世論で七十パーセントは与党の対応を批判していますね」
「当社の調査では三割程度ですが」
 与党への批判はというのだ。
「それは毎朝新聞の調査ですね」
「そうです」
 異様なまでに野党寄りとされている新聞だ、捏造記事を常に出して購買者を騙そうとしていると悪評も立っている。
「毎朝新聞の調査です」
「そうですか」
「テレビでもです」
「毎朝放送ですね」
「そうです」
 その毎朝新聞の系列のテレビ局だ、やはり偏向報道や捏造報道の常習犯としてネットでいつも言われている。
「そちらの調査でもです」
「そうですが、ですがネットでは」
「ネット?」
 ネットと聞いてだ、枝野は余計に不機嫌に返した。
「ネットでの調査ではですか」
「コニコニ動画のアンケートでは与党への支持が八割位です」
「あの様な調査は調査ではありません」
「一人一回のアンケートですが」
「操作が幾らでも出来ます」
「そう言われる根拠は」
「ネットでは一人で同じ調査を何度も受けられます」
 だからだというのだ、枝野は。
「ですから」
「いえ、IPで自動的に一回だけになりますが」
「それはそうですが」
「むしろ新聞やテレビですと」
 ジャーナリストとしてだ、山本は言った。
「一人で何度も。しかも調査の対象の人を選んで」
「では毎朝が意図的な世論操作をしているというのですか」
「これはオフレコですが」 
 こう断ってからだ、山本は枝野に答えた。
「毎朝は何度もです」
「そうした操作をしていると」
「そうした指摘がありますが」
「それは違います」
 あくまで言う枝野だった。
「ネットでの印象操作です」
「そうでしょうか」
「そうです、違います」
 根拠なく言う枝野だった、そうした取材をしてだった。
 終わった時にだ、枝野は山本を恫喝する様に言って来た。
「記事の掲載前に報道の内容はです」
「チェックをですか」
「こちらでさせてもらいます」
 こう山本に言うのだった。
「宜しいですね」
「それはどうしてでしょうか」
「私の真意を捻じ曲げて世間に伝えられては困るからです」
 だからだというのだ。
「いいですね」
「では」
「はい、その様に」
 まさにだ、その態度は恫喝だった。その取材の後でだ。山本は池田に言った。 
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