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歌集「春雪花」

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 雨雲の

  山の頂

   抱きしを

 愛しく見ゆる

    我が身虚しき



 秋雨の降る山頂に雨雲が掛かっている。
 それを眺めていると、ふと…雨雲が山を抱いている様に思え、それが愛おしく…また、羨ましく思えた…。

 私は愛しい彼を抱くことも叶わない…。
 こんな会うことさえない今を、寂しく過ごすだけなのだ…。

 そう思い…自分が本当に虚しくなってしまった…。



 色褪せし

  秋の桜の

   散りぬるを

 侘しく眺む

     夕の時雨に



 冬も近付く秋の暮れ…。あれだけ盛んに咲き誇っていた秋桜も色褪せ、日を追う毎に散ってゆく…。

 いつも通る道…彼の実家の庭先に咲いていた見事な秋桜も、もう枯れ始め…この淡い夕焼けと共に落ちてきた雨に、その花弁を散らした…。

 そんな光景を、私は…一人侘しく眺めるのだ…。


 これからも…きっと…。



 
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