その手で引き金を引け!!
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第二章 歌川遼
第一話 勉強会
菊地原が・・・歌川の横で・・・死んでいる。
かわいい、かわいいよ!!
かなりいい感じ。離れてみてよ~
「あれは、救世主じゃん!!」
「あれが救世主とかないよ、全然」
「あ、如月先輩」
「俺にも救世主にみえる・・・」
太刀川さん・・・?
米屋までいるし。なんだ、あれは?
菊地原、歌川、太刀川、米屋・・・
珍しいメンバーだな~
「な、何?」
「まずい、成績死ぬ」
「まずノート白い時点でおかしいよね、それ。ぼくは書いてるよ、ノート。やる気がないだけ。」
「勉強時間はあまりとれないが、やれなくはないぞ?」
「二人とも神じゃん?」
あはは、私も勉強だめ。
暗記とかできないし、作者の意見とか知らないし・・・
自分の意見書いたらバツされるテストとか意味不明。
「あはは、私も無理」
「太陽王ってなんだ!頭から光が・・・」
「それ、ハゲ?」
太陽王か・・・ハゲかはともかくとして。
眼鏡がずれた。
「ルイって言われるとルイ・フィリップだよね~
ガロアがなくなったときのフランスの元首。
でもルイならルイ・ル・グラン校かな♪
ガロアが学んだ学校でね、王立コレージュ(collège royale)とよばれていたの。
学年の呼び方は今も昔も日本とは反対で・・・」
「待て!ガロアって誰だ」
・・・まさか、知らないの?
この世界には数学者がいないのか!!
かわいそうに・・・
「太刀川さん、数学者のことですよ。如月先輩、脱線してます。」
「うってぃー・・・classe de philosophie(哲学級)っていい響きよね」
うわ、引かれた。引かれたよ、私。
菊地原も引いたな・・・泣くよ、私。
「ごめんなさい、数学史以外わからない。」
「大丈夫ですよ、先輩。」
「あ、でもガロアが生きた時代ならわかるかも。
ガロアが生まれたのは1811年。
亡くなったのは7月革命のあった1830年から二年後。
いけるかも。
ウィーン会議を主導したフランスのタレイラン、オーストリアのメッテルニヒはともに貴族出身の老練な・・・」
~一時間後~
「・・・すー、すー」
「菊地原、ランク戦いこうぜ」
「うるさいよ」
「太刀川さん、寝たか」
「こうして二月革命が起きて、フランスは共和制に移り、ブルボン王朝は消滅。
・・・あれつまらなかった?」
太刀川さん寝てるし、米屋飽きてるし。
つまらなかったのかな?
なら次は楽しいデカルトの話を・・・
「如月先輩、話してて喉が乾きますよね?おごりますよ」
「歌川くん、大丈夫だよ。次は現代社会からヴォルテールとモンテスキューかな?」
「正直、長い」
菊地原・・・マジか。
つまらなかったか。
数学史やそれに絡む話はつい、長くなる。
あまり気にしなさすぎたか。
「わかった・・・ブラックコーヒーね。」
「相変わらず女子力ないな~」
「お、終わった?よし、ランク戦いこうぜ!!」
「すー、すー」
・・・あぁそうかよ。
人が語ってやってその態度か、お前ら。
いい度胸してんな・・・
「人がめでたく話してやって、その態度かよ、てめーら!!
もとはと言えばあんたらが馬鹿だからこうなってんだ、ゴラ!!
俺の視界に二度と入んな・・・見えたらしばくぞ」
「先輩!?待ってください、そんな」
「いいよ、別に。頼んでないし」
「おい、菊地原」
へー、そうなんだ。
いいわよ、二度と来ないなら全然。
愉快だから。
~~~~
歌川は一人動揺。
太刀川さんは一行に起きない。
「ありゃダメだ。戦闘のプロだな。
あの怒りで殺気が出ないとか、すげーな。
その証拠に太刀川さん、起きないし。戦闘慣れしすぎだ。」
「菊地原、あれは言い過ぎだろ。先輩は俺らのために話してくれたんだぞ?」
「・・・・・・」
歌川は如月のあとを追いかけた。
菊地原はその姿を不愉快そうに眺め、舌打ちをした。
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