明日の日記
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『秋雨』と書いて『あきさめ』
前書き
お久しゅうございます。
多忙でしたほんとうです。
「 今日もいい天気ですね 」
「 そうですね 」
「 絶好の引きこもり日和ですね 」
「 豪雨ですもんね 」
窓には大粒の雨が打ちつけ、電線が風を切る音がごうごうと聞こえてくる
「 アニメでも見ます? 」
「 私は演劇の方が... 」
「 じゃあ間を取ってドラマにしますか 」
「 そうですね。オーケストラでも見ましょうか 」
..........。
「 あの 」
「 え、何ですか? 」
「 いえ、なんでも 」
「 そうですか 」
おそらく、多分、いや間違いなく...話が通じていない。
女神様は高貴でゴージャスな生活をしていたのだろう。アニメやドラマといった俗世のものに対する知見はお持ちでは無いようだ。
「 少しだけ外出しましょうか 」
「 あなたがこんな雨の日に外出なんて珍しいですね 」
「 まあ、すぐそこですから 」
「 歩いて行くのですか? 」
「 200メートルくらいしかありませんが、雨が強いので車で行きましょう 」
「 車に乗るのは2回目です。わくわくします♪ 」
「 へぇ、そうなんですか?意外と少ないですねーって当然か、天界暮らしですもんね 」
「 ええ、転移もできますので車に乗るのは完全に気分の問題なんです 」
「 すごい、さすがですね 」
「 ええ、でも今日は車で行くのでしょう? 」
正直、お店の入り口まで瞬間移動できるのなら有難いが、目立ちたくないというのともうひとつの理由で車での移動となった
「 近い距離を車で移動するって何か贅沢な気がしますね 」
「 環境には悪いですがね 」
「 それなら、この車から出る排気を綺麗にする装置でも買ってきましょうか? 」
「 いや、そこまでしなくてもいいですよ。 」
「 そうですか? 」
「 ええ 」
触媒でも買ってくるつもりなのだろうか?
いつも環境のことを考えた生活を心がけているのだ。たまにはいいだろう
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-店内にて-
「 なんでそんなにソワソワしてるんですか? 」
女神様が面白そうにこっちを見て言う。
「 他人の目があるところって、自分の行動が常に監視されてるわけじゃないですか 」
「 あなたはそこまで人気者なのですか? 」
「 いや、違いますけど...ともかく、どこかで気を張ってるのでいつもより疲れるんです 」
「 じゃあ家に居ればよかったじゃないですか 」
「 訓練ですよ 」
「 ここカフェですよ? 」
「 カフェは僕みたいなボッチにとっては敷居が高いんですよ... 」
「 へー 」
緊張気味な(というか緊張しまくってる)僕に比べ、女神様はまるで常連のような佇まいだ。長くて白い足を組み、優雅にティーカップを傾けている
「 さすが、自然体ですね 」
「 これくらいは慣れているもの 」
「 大人ですね 」
「 カフェでお茶なんて、高校生でもやってますよ? 」
そう言って、優雅に微笑む女神様。大人の余裕を感じる
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「 そろそろ帰りましょうか 」
「 そうですね。雨も小降りになってきましたし 」
そう言って、何気なく注文表(カフェとかでお会計のときにレジに持っていくやつ)に手を伸ばしたが...
「 今日は私が払いますね 」
女神様のほうが若干早く、注文表を手に取った
「 そうですか。それじゃあお言葉に甘えさせてもらいますね 」
「 そういう正直なところは評価してあげます 」
「 急に上から目線だっ!? 」
「 ふふ、たまにはこういうのもいいでしょう? 」
「 ...ですね。 」
そしてレジに並び、女神様が2人分のお会計を済ませる。
ごちそうさまです。そして店員さんと女神様のやりとりを見守る。
「 今回のご来店で『ハロウィーンキャンペーン』参加に必要なポイントがたまりましたので、チケットをお渡ししますね。いつもありがとうございます 」
「 ありがとう。今日も美味しかったです 」
「 またのご来店をお待ちしてまーす 」
カランカラン...
「 ...常連だったんですか? 」
「 週4くらいですかね? 」
「 なるほど 」
「 どうかしました? 」
「 いえいえ、何も 」
カフェの出口から車までの距離は20メートルほどある。隣を見るとお互いに目が合った
不意なアイコンタクトでお互いの考えが同じであると確認した後
僕と女神様は小雨に濡れながら、その20メートルを小走りで駆け抜けるのだった
後書き
作者「 あれ、入店のときはどうしたの?豪雨だったのに傘持ってなったの? 」
女神様「 そこはほら、ファンタジー的なあれこれでなんとか 」
作者「 なるほどわからんがそれでいいや 」←
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