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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another93 転校

 
前書き
そろそろ聖竜学園。 

 
大輔達は色々話し合いをした結果、聖竜学園を復活、世界を1つにすることに決めた。
アポカリモンは救えたし、殆ど同じ状況になっている。
これでもう自分達の役目は終わったも同然。
後は自分達の第2の人生を楽しむとしよう。








































そして、大輔は最近新設された学校、聖竜学園に転校することになったのだ。

太一「行っちまうんだな大輔」

大輔「ええ、でも夏休みとかには必ず帰ってきます。それに海鳴市とお台場の間ですからそんなに大して遠くありませんしね…それから賢とかも聖竜学園に転校するらしいですから、もしかしたら以前より会いやすくなるかもしれませんね」

ヤマト「そうだな、会おうと思えばいつでも会えるしな」

今年で太一、ヤマト、空も中学1年生だ。
これからは部活や勉強で以前のような自由はないだろうが、会いたいと思えば会えるだろう。

タケル「せっかく、お台場に引っ越すことが決まったのに、少し残念だな…たまにはメールしてね」

ヒカリ「向こうでも頑張ってね大輔君」

大輔「ああ、じゃあな。行ってくる」

こうしてこの時代で生まれた聖竜学園に転校した大輔達であった。








































そして遂に始まった聖竜学園での生活。

ブイモン[ああ~、腹減った。クイントさん飯~。ゲエエ!!?]

チビモン[今日のご飯はまさかの酢豚…!!ピーマンが入ってるよおお…!!]

苦いピーマンが大っ嫌いなブイモンとチビモンが絶望の表情を浮かべる。

ブイモン[さて、俺は見回りにでも行くかな]

チビモン[わ、私も…]

賢「まあ、待つんだ。君達がピーマンが嫌いだって事はしっているからピーマンは除けておいた」

ブイモン[賢~]

チビモン[ありがとう、この恩は一生忘れないよ~]

ピーマンを除けてくれた賢の優しさに歓喜するブイモンとチビモン。

賢「お客様のニーズにお応えするのが、一乗寺家のモットーだからね」

一輝「…いつ客になったんだ?」

遼「ツッコむだけ無駄だと思うぞ~」

最近ギャグキャラが板についてきた弟分に遼は遠い目をする。
そう言えば、賢の兄である治はどうしているだろうか?
何でもデジヴァイスを巡って賢と喧嘩をしてしまったらしいが…。

遼「なあ、賢?」

賢「何ですか?」

遼「治と喧嘩したらしいな?」

賢「喧嘩と言うか、兄さんが一方的に突っかかって来たんですよ。多分兄さんもディアボロモンの事件か何かでデジヴァイスの存在を知ったんでしょうけど。他人のデジヴァイスを扱える訳ないのに…」

遼「ああ、あいつ。昔のお前のように両親の期待に応えようとして無理してきたからな。お前だって分かるだろ?」

賢「そりゃあ…でもいきなり没収するだの何だの言われたらいくら何でも理不尽だと思います」

遼「まあな。後で俺からも言っといてやるよ」








































そして授業全てを終えて、遼は治の携帯に電話をかける。
塾に向かう治は何かあった時のためにと、携帯電話を持たせられていた。

治『もしもし…』

遼「よう、治。久しぶりだな~☆」

治『遼、お前か…』

久しぶりに聞いた親友の声はとても疲れ切っていた。

遼「聞いたぜ?お前、賢と喧嘩したんだって?」

治『あいつから聞いたのか?』

遼「ああ、そうだよ。デジヴァイスを没収するとか言い出したんだって?いくら兄貴でも弟の物にまで手を出すのは感心しないぜ?」

治『お前も…なのか?』

遼「は?」

治『お前まで賢の味方をするのか!!?』

いきなり叫んだ治に遼は目を見開いた。

遼「お、おい治?どうしたんだいきなり?」

治『何で僕は選ばれなかったんだ!!?僕の方が、賢より…いや、他の奴らよりずっとずっと優れていて、努力していたのに!!!!何で僕は選ばれなかったんだよ!!!!』

遼「治……」

遼は今まで治が必死に押さえ込んでいた負の念を垣間見た気がした。

治『もう……いい。お前も賢の味方をしたいならすればいいさ。もうどうでもいい』

自棄になったような言い方に電話がぷつりと切れた。








































そして現実世界をさ迷う、白い靄のような物が治を見つけた。

『奴の負の念……使えるな…』

白い靄は治に少しずつ少しずつ近寄るのであった。















































一方、聖竜学園では、大輔がこれからのことで行動を開始していた。

大輔「えっと、聖竜学園を創設したのはいいんだけど。忙しいのはこれからだな。現時点で日本で選ばれし子供としても大丈夫な子供は…と…」

アリサ「お疲れ様大輔。これ、差し入れよ」

少しでも選ばれし子供を増やそうと、データベースを調べている大輔にフルーツサンドとコーヒーを差し入れに持ってきたアリサ。

アリサ「あんたも大変ね、根を詰めすぎると倒れちゃうわよ?」

大輔「何、選ばれし子供を少しでも増やして世界中にデジモンを認知してもらうための作業だ。これくらい大丈夫さ」

アリサ手作りのフルーツサンドを頬張りながらコーヒーを飲む。

大輔「やっぱりアリサの作ったフルーツサンドは最高だな。甘さを控えた生クリームにフルーツの酸味が良く合うよ」

アリサ「煽てても何も出ないわよ?コーヒーお代わり要る?」

大輔「じゃあ、頼む」

カップを差し出し、アリサはコーヒーを淹れに向かう。
少しして、アリサがコーヒーのお代わりを持ってきてくれた。
今度はブラックではなく砂糖とミルクを入れた物だ。

アリサ「はい」

大輔「サンキュー、ところでアリサ。どうしたんだ?何か変だぞお前?」

アリサ「う~ん、私というか遼さんよ遼さん。」

大輔「遼さん?」

アリサ「何かね、遼さん、賢のお兄さんと喧嘩したのかしら?電話の後、凄く複雑そうな顔をしていたのよ」

大輔「遼さんが?でも大丈夫だろ?喧嘩するほど仲がいいって言うし。遼さんと賢の兄貴は太一さんとヤマトさんみたいな関係なんだろ?」

友達には喧嘩や本音のぶつかり合いをして仲を深めていくタイプもいる。
太一とヤマトがそうだったように、遼と治もそうだろう。

アリサ「そうかしら…まあ、私が気にしても仕方ないかしら。大輔、私は部屋に戻るわ。しばらくしたらまた来るから」

大輔「ああ、差し入れありがとうな」

フルーツサンドの残りと甘いコーヒーを口にしながら作業を続ける大輔。








































一方、食堂では。

一輝「ほら、作ってやったぞ」

一輝が新鮮なフルーツをふんだんに使ったフルーツケーキを賢に差し出す。

賢「ありがとうございます一輝さん。いきなりこんなことを頼んで」

一輝「いや、気にすんな。俺からすれば仲間であり、仲間の子供の誕生祝いだ。気にするんじゃねえよ」

はやて「一輝さん、ほんまにありがとう。ほら、リイン。一輝さんにちゃんとお礼を言うんやで?」

リイン「はいです!!一輝さん、ありがとうございますです!!」

一輝「ああ」

前世では養護施設で年長だったためか、沢山の子供の世話をしていた一輝は子供の世話が嫌いではなかった。
リインのような明るく真っ直ぐで無邪気な子供は一輝からしてもかなり好印象だ。
大きなテーブルには一輝が作った沢山の甘い洋菓子がずらりと並んでいる。

スバル「一輝さん!!チョコレートパフェ作って!!チョコレートパフェ!!」

ルカ「すみませんが、僕は抹茶アイスを所望します」

ギンガ「私はフルーツタルト!!」

選ばれし子供達屈指の大食らい達が一輝が作った洋菓子を美味しそうに頬張りながら注文していく。

一輝「お前らは加減って物を知らないのか…」

苦笑しながらも注文通りに作ってやる一輝であった。

賢「美味しいかい?リイン?」

リイン「はいです!!リインは一輝さんの作ったケーキ、大好きです!!」

口元に生クリームを付けながらも美味しそうにフルーツケーキを頬張る姿に一輝も嬉しそうだし、賢とはやても微笑ましそうに見つめていた。

はやて「ところで賢兄。賢兄、お兄さんと喧嘩したんやて?」

賢「言っとくけど僕は何もしていないよ。勝手に兄さんが僕のデジヴァイスを没収するとか訳の分からないことを言い出したから…」

前世を含めても初めての殴り合いの喧嘩だったが、結果は賢の勝利だ。
いくら体格などは治が有利でも経験などは圧倒的に賢が上である。
デジヴァイスを取り返され、二度と触るなと警告して、聖竜学園に来たのだ。

はやて「それでも賢兄にとってたった1人しかいないお兄さんやろ?後でちゃんと謝るんやで?」

賢「…………仕方ないな」

渋々と了承した賢に苦笑するはやて。
しかし謝る機会はしばらく失うことになるとは知る由もなかった。 
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