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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十八話 音楽の神様その六

 実際に準備体操から午後の練習をはじめた、それから午後も汗を流した。
 アパートに帰ると早百合先輩はまだだった、僕は畑中さんに先輩のことを尋ねた。
「あの、先輩は」
「はい、先程連絡がありまして」
「まだ図書館ですか」
「いえ、八条学園の図書館は五時までですね」
「はい」
「五時までおられたので」
「それから帰って、ですか」
 僕は畑中さんからその話を聞いて言った。
「それで、だから」
「はい、そこから本屋に寄られるとのことなので」
「ああ、それもあって」
「まだです」
「そうなんですね」
「そうです、一杉様の他にもまだ帰られていない方がおられます」
 早百合先輩以外にもというのだ。
「何人かの方が」
「今日は遅い人もいるんですね」
「そうなります」
「わかりました、じゃあ僕は晩御飯まで自分の部屋にいます」
「お風呂に入られますか?」
「あっ、いいですね」
 畑中さんの今の言葉に考えを変えて答えた。
「今のうちに入って」
「すっきりとされては」
「実はシャワー浴びてないんです」
 部活の後でだ。
「八条荘でと思いまして」
「では好都合ですね」
「そうですね、じゃあ今からお風呂に入らせてもらいます」
「どうぞ」
「やっぱりお風呂は入るべきですね」
「入られる時には」
 そうした時はとだ、畑中さんは僕に答えてくれた。
「そうされるべきです」
「そうですよね、やっぱり」
「身体が清潔になり新陳代謝もよくなります」
「身体もあたたまって」
 今は夏だけれどクーラーや扇風機で冷やしてばかりだとかえって身体によくない、それで時にはお風呂で身体を温めるのもいい。
「それで、ですね」
「お風呂はいいのです」
「そうですよね、じゃあ」
「ごゆっくりと」
「入って来ます、それとなんですけれど」
 僕はお風呂に入ることを決めてから畑中さんに尋ねた。
「早百合先輩受験のことを気にしておられますけれど」
「毎日ご学業に励まれていますね」
「あの人成績の方は大丈夫ですよね」
「確実にです」
 畑中さんは僕の今の問いにまずはこう答えてくれた。
「合格されます」
「成績的にも」
「そもそも大学の学部の方からスカウトがあります」
「それじゃあですよね」
「合格は間違いなしです」
「僕もそう思いますけれど」
「ですがご本人はです」
 ほかならぬ早百合先輩自身はというと。
「そうお考えではなく」
「不安だからですか」
「不安は主観的なものです」
「自分自身の中にあるものですか」
「ですから外からお話することは出来ますが」
「それを解決するのはですか」
「自分自身なので」
 こう僕に話してくれた。
「一杉様がご自身の不安を解消されない限りはです」
「ああしてですか」
「心配をされ続けます」
「そうしたものなんですね」
「私から見ましても一杉様は不安に感じ過ぎです」
「やっぱりそうですよね」
「確かにご学業に励まれることはいいことです」
 このこと自体はというのだ。 
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