歌集「春雪花」
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偲びたる
鏡草咲く
枯れ野原
忘れ去られし
わが身侘しき
ふと見れば…まるで夏を偲ぶように小さな朝顔が咲いている…。
そこは生い茂った草が枯れ、一面が枯れ野原になっていると言うのに…その青い朝顔は誰の目にも留まることもなく、忘れられたように静かに咲いていた…。
私も枯れ野原に咲いたこの朝顔のように…彼に忘れ去られているのかと思うと、無性に淋しくなり…心の置き場のない私に虚しくなってしまうのだ…。
空寒く
蝉の声音も
懐かしき
虫も黄昏る
秋の夕暮れ
空が寒々しく感じ、あれだけ暑かった夏が恋しく感じる時節となった…。
煩くて眉を顰ませた蝉時雨…もう懐かしく感じてしまうほどだ。
秋の陽は釣瓶落としと言うが…そんな夕暮れは秋の虫でさえも黄昏てしまうほど儚い…。
一人で見る秋の夕暮れは、ただただ…淋しさだけが迫り来る…。
彼の声が聞きたい…彼の笑顔が見たい…。
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