カミース
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第二章
「外国の人と会ったりすることも減るから」
「今私達が着ているスーツじゃなくて」
「そう、だからね」
「カミースばかり着ることになるから」
「それを何着か用意しておけってね」
「言われたのね」
「そういえばその通りだし」
それで、とだ。ズィーナトはタハミーネに話した。
「カミース仕立てるわ」
「そうね、私もよね」
「結婚したらね」
「服が変わるっていうか」
「そう、この国の女の服着るから」
そしてその服がカミースだというのだ、二人はそのカミースについて話しているのだ。
それでだ、ズィーナトはタハミーネにあらためて言った。
「それでどういう色にするの?」
「カミースの色ね」
「そう、タハミーネはどういった色にするの?」
「そうね」
ズィーナトのその問いにだ、タハミーネは少し考えてから答えた。
「青とかそういうの?」
「寒色系?」
「私そっちの色が好きだから」
「そうね、タハミーネだとね」
「そうした色似合うかしら」
「あんた昔からそうした服よく着るから」
そうした寒色系の服をというのだ。
「いいんじゃない?」
「似合うのね」
「私はそう思うわ。それで私はね」
ズィーナトは今度は自分から言った。
「赤?」
「あんたはあんたで昔から赤系多いわよね」
「暖色系ね」
「オレンジとかね」
「子供の頃は白とかピンクが好きだったけれど」
今はというのだ。
「赤好きよ」
「そうよね」
「それじゃあね」
「ええ、赤にしようかしら。ただ」
「ただ?」
「服選びたいわね」
そのカミースの色をというのだ。
「じっくりとね」
「それ私もよ」
「タハミーネもなのね」
「ええ、結婚するのはもう確実だし」
これはズィーナトもだ、二人共親が言い出したので後は相手が自分の前に出て来るだけだ。それならだ。
「それならね」
「服買うだけね」
「カミースをね」
「じゃあ」
ここでだ、ズィーナトは腕を組んだ。大きな胸がその腕に完全に覆い被さる。しかし今はその胸を置いておいてタハミーネに言った。
「二人でお店行く?」
「カミース仕立てに」
「仕立てるっていうか買う?」
「いいカミースを」
「そうしない?」
「そうね、仕立てるのもいいけれど」
タハミーネは友人の言葉に頷いてから応えた。
「買うのもね」
「いいでしょ」
「ええ、仕立ててそして」
「買ってね」
「結婚してからに備えるのね」
「そうしない?」
ズィーナトはまたタハミーネに言った。
「ここは」
「そうね、じゃあ二人でお店行きましょう」
「それならね」
二人はそれぞれの結婚を前にして服屋に行ってカミースを選ぶことにした。勿論カミースだけを選ぶのではない。
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