リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another77 成長
前書き
ピノッキモン戦の前に
丈達がメタルシードラモンを撃破したのと同時にヤマト達はピノッキモンが支配する森のエリアに到着していた。
ヤマト「此処がピノッキモンのいるエリアか」
一輝「ああ、そうらしい」
ヤマトの言葉に一輝が頷きながら言う。
弟のタケルを庇いながら戦うことを考えると、一輝の存在は助かる。
ルカ「ヤマトさん。どうしますか?これから?」
ヤマト「そうだな。ここはピノッキモンのテリトリーだし。あまり派手な動きはしない方がいい」
ティアナ「そうですね。相手の出方が分からないのに無闇に動くのは得策ではないと思います」
ヤマト「ああ…それにしても君、確かルカの1歳下だから6歳だよな?」
ティアナ「?そうですけど…何か?」
ヤマト「ああ、いや…何か大人っぽいというか。見た目と中身が…噛み合わない…というか…」
ミミ「うん。ルカ君達、年上な感じがする」
ギクッ!!
ヤマトとミミの発言に一瞬だけ一輝達は表情を引きつらせる。
アリサ「…それって老けて見えるってことかしら?」
ヤマト「え!!?あ、いや、そういう意味じゃなくて…気分悪くしたなら謝るよ……」
ルカ「別に気にすることはありませんよ。悪気があった訳でもありませんしね」
内心ヒヤヒヤしながらもルカは微笑みながら言う。
一輝「取り敢えず、このまま此処にいるのはまずい。ひとまず移動しようぜ」
ヤマト「ああ、そうだな。タケル、俺から離れるなよ?」
ルカ「そうですね。タケルさんはヤマトさんと一緒に行動した方が良さそうです。僕達も出来る限りのフォローはするつもりですけど……」
ヤマト「ありがとうなルカ。でもタケルは俺の弟だ。出来るだけ俺が守ってやりたいんだ」
一輝「なる程、良い兄貴してんじゃねえか。俺には弟分の大輔がいるからその気持ち、分からなくはねえな」
ヤマト「お前らもお前らで本当の兄弟のように仲がいいじゃないか」
一輝「まあ、小さい頃からの付き合いだからな。自然とそうなる」
アリサ「みんな、警戒を怠らないで」
ティアナ「分かっています。ミミさん、私の傍から離れないで下さい」
ミミ「あ、うん」
タケルはヤマトに任せて、一輝達は周りの警戒をしながら先に進む。
タケル「……………」
タケルは他のメンバーの言葉に不満を抱いていた。
ヤマトも一輝も同い年のアリサや年下のルカもティアナも自分を守る対象として見ていることにも。
タケル「(僕も……戦えるのに……僕はお兄ちゃん達からすればそんなに頼りないの?)」
ヤマトに比べれば小さい拳をギュッと握り締めるタケル。
ピノッキモン『あーっはっはっは!!!!』
一輝「この声…」
ヤマト「ピノッキモンだ!!」
ルカ「どうやら僕達が此処にいるのはバレているようですね。」
ピノッキモン『そうだよ。此処が君達の墓場になるのさ!!…ところで…』
全員【?】
ピノッキモン『モニターに映ってないけどあの金ピカはいないよね?もしかしてモニターのない場所にいるとかはないよね……!!?』
声が滅茶苦茶震えているピノッキモンに思わずヤマトとミミは遠い目をする。
どうやらピノッキモンの心に深~い傷を負わせたようだ。
大輔とブイモン…というかマグナモンが完全なトラウマになっている。
アリサ「大輔とブイモンならムゲンドラモンのいる街のエリアに行ったわよ」
ピノッキモン『………………はーっはっはっはっはっは!!!!覚悟するんだね選ばれし子供達!!僕が君達をボコボコしてあげるよっ!!!!』
大輔とブイモンがいないことが分かり、急に強気になったピノッキモンにヤマトとミミは慈愛に満ちた目になる。
フレイモン[大輔とブイモンがいないことが分かったらいきなり強気になったぞ]
ガブモン[多分、あれトラウマになっちゃったんだよ…]
パルモン[あれは痛いわ…]
ひそひそ話すガブモンとフレイモン、パルモン。
ヤマト「とにかく、ピノッキモンが何かをする前に此処を離れよう。タケル、離れるなよ…タケル?」
タケルの手を引いて、先に進もうとするが、タケルは動こうとしない。
首を傾げるヤマト。
ミミ「どうしたのタケル君?」
急に歩みを止めたタケルにミミがタケルの傍に歩み寄り、しゃがんで目線を合わせる。
一輝「どうした?具合でも悪いのか?」
一輝も心配そうに見遣るが、タケルは少しの間を置いてヤマトを見上げる。
タケル「お兄ちゃん…どうしてお兄ちゃんも皆も僕だけ特別扱いするの?」
ヤマト「え?」
ルカ「はい?」
タケルの言葉に全員が目を見開く。
特別扱いと言われても、身に覚えがないのだ。
タケル「僕だって、大輔君や賢君みたいに強くないけど一緒に戦って来たんだよ。特訓だってした。それでも僕はまだ頼りないの?」
ヤマト「いや、そういう訳じゃ…」
タケル「だったら特別扱いしないで!!僕だって自分のことくらい自分で出来るんだから!!」
ヤマト「タケル…」
一輝「石田」
ポンとヤマトの肩に手を置く一輝。
そしてタケルを見遣る。
一輝「悪かったな高石。そうだな…特別扱いしてるつもりはなかったんだ。許してくれ…お前も男だからな。守られるだけなんて嫌に決まってる」
タケルの頭を軽く叩きながらヤマトに振り返る。
一輝「少し疲れたな。休憩しないかリーダー?」
ヤマト「あ、ああ…そうだな」
少しの休憩を取ることにした子供達。
一輝「石田、弟が兄離れした心境はどうだ?」
ヤマト「あ、ああ…いつかはそうなるんじゃないかって思ってたけど、いざそうなると少しショックだな……」
大輔の影響を受けて、いつかは自立するだろうとは思っていたが、此処まで早いとは思わなかったというのが本音だ。
一輝「まあ、弟や弟分とかを持つ奴特有の悩みだよな」
ヤマト「お前も?」
一輝「そりゃあそうだ。昔の大輔は本当に危なっかしくてな。いつまでも俺が助けてやらなきゃって思ってた。でも気付いたらいつの間にか一人前になってたんだよな…」
ヤマト「…タケルは…俺が知らないうちに成長してたんだな……」
一輝「あれくらいのガキの成長は本当に早いぜ。あいつ、1人で自立したい。皆に1人の男として認めてもらいたいんだろうよ。特にお前にな」
ヤマト「俺に……」
一輝「そうだ。誰よりもあいつの傍にいて守ってきたお前に認めて欲しいんだよ。」
ヤマト「………」
一輝「寧ろ、高石の場合は少し遅過ぎるくらいだからな。今くらいが丁度良い」
ヤマト「……タケルは成長している。俺も成長しているんだろうか?」
一輝「自分の成長は分かりにくいからな。お前も成長してるよ。この俺が言うんだ。間違いねえよ」
ヤマト「何だよそれ」
一輝の根拠のない言葉に苦笑するヤマト。
しかし、その力強い言葉に救われたのも事実。
ヤマトは立ち上がると、全員に声をかける。
ヤマト「みんな、そろそろ行くぞ」
ルカ「はい」
ヤマト「タケル」
タケル「何?」
ヤマト「一緒に頑張ろうな」
タケル「うん!!」
ピノッキモンを倒し、森のエリアを解放するために行動を開始するヤマト達であった。
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