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リリなのinボクらの太陽サーガ

作者:海底
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言葉

 
前書き
設定にMGSVっぽい要素を加えてみました。
物語の展開自体に大して影響はないので、大丈夫だと思います。


説明と”彼女”の回。 

 
以前、エレンからプレゼントされた最新式カメラのデータに、一つの写真が映し出されている。俺、マキナ、シャロン、シュテル、レヴィ、ディアーチェ……6人全員の姿が綺麗に残された、世界でたった一つの写真。個人の証明写真を印刷した後、集合写真も人数分印刷して渡すと全員大切そうに受け取ってくれた。そして俺も……絶対に失う訳にはいかない貴重品リストに、この写真を入れた……そんな時、無線機からCALL音が聞こえ出す。

周波数140.85からCALL。

『……ぜぇ……ぜぇ……、ッ……サバタ……聞こえる…………?』

疲弊しきった状態のエレンから何故か、英語ではなくロシア語の声が聞こえた。流れで一応俺もロシア語で対応しておくが、その理由もじきに話してくれるだろう。

「おいどうした、エレン? 相当息切れしているが……まさか負傷でもしたのか?」

『まぁ……確かに、左腕と右脚が……ポッキリ折れてる。正直……泣きたいぐらい、痛いわね……』

「何っ!?」

『安心して……こっちの戦いは、少し前に何とか終わってる……。……せぇ……のッ!(ゴキンッ)―――グッ!!!』

「おいおい、本当に大丈夫か!?」

『かはっ……はぁ……はぁ……今……腕の関節を戻した。でも……脚の方は完全に折れてるから、そっちはちゃんと……治療する必要があるわね』

「そうか……。だがファーヴニルとラタトスクを相手に生き残り、更に自分で応急処置したんだ。エレン……よく頑張ったな」

『ええ、ありがとう……。……すぅ~……はぁ~……すぅ……はぁ……、少し……落ち着いたわ』

しばらく深呼吸で息を整えていたエレンだが、無線機越しでも声の様子だけで怪我の程度がどれほど凄まじいのか察せられる。彼女の容体は気がかりだが、そんな状態でもわざわざ連絡を送ってきた理由を知るべく、次の言葉を待った。

『……戦闘が終わって、ここでは負傷者の治療が行われてる。と言っても、負傷したのは全員ラジエルの人間なんだけどね。後方支援に回ってくれた味方にできるだけ被害を出さないように、前線は常に私達が担っていたから。そんな訳で今はちょっと動けないけど、私も順番待ち。その間にあなたへ早めに連絡を送っておこうと思ったのよ』

「あのなぁ……声が聞けて安心はしたのは間違いないが、連絡は治療が終わってからでも良かったんだぞ?」

『別にいいじゃない。好いた男の声を聞きたいのは、女として当たり前だもの……』

「おい……」

『まぁともかく、あなたに報告しておきたい事があるのよ』

「待て、さっきのは冗談ではないのか?」

『当然よ。私、好意は素直に示すタイプだもの。大丈夫大丈夫、これは旧友としての好意で恋愛感情とは違うから』

「む……そうか」

『あ、でももしかしたらこの好意もいつか恋愛感情に心変わりするかもね』

「おいおい、あまりからかわないでくれ……」

『ふふ、ちょっとした冗談よ。それで本題の方だけど、激戦の末、ラジエルの主砲でファーヴニル体内にある魔力コアを破壊し、ファーヴニルの弱体化に成功。その際ラタトスクがどうやってファーヴニルを操っていたのか、そのトリックが判明したわ』

「トリック?」

『ファーヴニルの身体から生えているレアメタルの角、あれはファーヴニルの脳神経と直接繋がっていた感覚器官だったのよ。一言で言えば触角ね』

「あれが触角……!? おいおい、ファーヴニルは虫だったのか?」

『別に触角を持ってるのは虫に限らないし、ファーヴニルは虫じゃなくて絶対存在だけどね。戯れはともかく、そんな機能を持っていたこの器官から周囲のエネルギーなりを知覚、識別していた訳だけど……人形使いラタトスクにとってはこれこそが最も重要な所だった。そもそもラタトスクは、最初からファーヴニルを完全に操っていたわけではなかったのよ』

「最初から……操っていなかっただと?」

『ラタトスクは最初から……ニダヴェリールで計画を進めていた頃から私達に……そしてファーヴニル自身に幻影を見せていた。以前、ラタトスクは月下美人を介してヴァナルガンドを操ろうとした……しかし今回は月下美人が彼の手元にいない。なのに同じ絶対存在であるはずのファーヴニルは操れているのはどうしてか、これがずっと疑問だったわ。最初は何か強力な装置でも使って、無理やり操っているのかと思ってたけど……今になって思えば全然的外れだった』

「だろうな。ラタトスクは人間の力を見下し、自分の人形使いとしての力に高いプライドを持っている。だからファーヴニルを操るために最も大事な所を、人間が作るような装置に頼る訳が無い。だがそうだとしても……ヴァナルガンドの時、奴は自分の力では絶対存在を操る事はできないと自ら言っていた。ではどうやってファーヴニルを操っていたんだ?」

『そう急かさないで。……ラタトスクはヴァナルガンドの力を意のままにしようとして、最終的に失敗した。それはサバタ達の抵抗もあったからだけど、そもそも支配欲をこじらせてヴァナルガンドの全てを手にしようとしたから、致命的に詰めを誤ったと私は推測したわ。では今回の場合はどうなのか。答えは意外と単純で、あのイモータルがやったのは催眠でも洗脳でもない、単なる思考誘導だったのよ』

「思考誘導?」

『絶対存在は世界を滅ぼす程の強大な力を持っているけど、あくまで存在が持つ本能でしか考えない。つまり……目の前にエサをぶら下げてやれば、簡単に喰い付こうとする獣なの。要するにラタトスクはファーヴニルが欲する魔力、エナジーなどのエネルギーが一ヵ所にあたかも充満しているように触角を介して認識させていただけ。そう、対象が絶対存在でも全てじゃなくてほんの一部だけなら、あのイモータルの力でも支配できる……出来てしまうのよ。そしてファーヴニルの“感覚”を支配したラタトスクは、“エネルギーが充満しているように感じる”ポイントを自分が襲撃したい場所に操作する事でファーヴニルの思考を誘導し、襲撃対象を指定。それで感覚のままファーヴニルはそのポイントを襲い、自らの糧とする……』

「なるほど……ようやくラタトスクがファーヴニルを操れた理由に合点がいった。ついでに絶対存在が“獣”と評される理由も判明したが……、流石にそろそろ訊きたい。何故……エレンはロシア語で話しているんだ? 再会する前も後も、俺達の間では母国語の英語で話していたはずなのに、どうして今だけロシア語なんだ?」

そう尋ねた瞬間、無線機の向こうから唇を噛むような音が聞こえた。しばらく沈黙した後、重苦しい口調で彼女は話し始めた。

『……静寂の獣ファーヴニルは……破壊の獣ヴァナルガンドや、終末の獣ヨルムンガンドとは全く違ったわ……! あのエターナルの脅威は……圧倒的巨体から繰り出される物理的破壊なんかではない! あれは…………“文化”を直接破壊する!』

「文化を……破壊!?」

『主砲発射の直前、危機を感じたラタトスクが突然ファーヴニルに吸収を行わせた。だけど吸収対象は魔力でもエナジーでも、ましてやダークマターでも無かった……。あの化け物が吸収したのは……“言葉”』

「は? 言葉を吸収とは、どういう意味なんだ?」

『そのままの意味よ……。この場にいた者達が交わしていた言語である、英語、ミッド語、ベルカ語、デバイス語が吸収された。おかげで翻訳魔法も役に立たず、大勢の人がいるのにこの場は恐ろしい程の“静寂”に包まれているわ。だって、話す言語が無くなって、コミュニケーションが取れなくなってしまったのだから……。ラタトスクは組織の伝達手段を止める事で主砲の発射を喰い止めようとしたみたいだけど、きわどい所でこちらの方が一手早かったみたいね。だけどその代償は、予想を大きく上回るものだった……』

「ほう……俺もようやく理解できた……。静寂の獣、その真骨頂……それは言葉を消し去り、言葉によって構築された文化を破壊すること。最終的に全ての言語を消失させ、人間が築き上げた文化を人間自身が認識できなくなるようにする。まさに飛び交う言葉が一つも無くなる、“静寂”の世界……。破壊でも終末でもない、また別の滅亡的結末……」

『その通り。翻訳魔法もプログラミング言語によって、対象の言語をミッド語に一度翻訳し、その後使用者が用いる言語に再び翻訳するソフトウェアがあってのシステム。だけど間に入るミッド語がこの場から消失しているから、ソフトウェアがエラーを起こしてしまう。そもそも“こちら側”の魔法もプログラムが崩壊してしまっているから、ダークマターに触れて消滅する以前に発動すら出来なくなった。こうして私があなたへ言葉を送れたのは、諸事情で覚えていたロシア語のおかげだけど……管理世界の人間は母国語であり共通言語でもあるミッド語を奪われて、人形のように動かなくなって何も話せなくなってる。一つの言語しか使えない人間は“物”は認識できても、それらを表現、理解する事が出来なくなっている。“言葉”があるから“物”がわかり、“物”があるから“言葉”がわかる……“言葉”と“物”は両方存在してようやく定義が成立するのよ。例えばあんな……元々優秀な魔導師だった人が言葉を奪われた事で、何も言えなくなった自らのデバイスが認識できず、人形のごとく動かなくなる様子はまさに“退化”と表現すべきもの……。いや……まるで赤子並みに物がわからなくなるから、むしろ“退行”と表すべきかしら……』

「ふむ……肉体的にも精神的にも直接攻撃していないのが、特に恐ろしいな。つまりあれか……俺がいつもの調子で英語をしゃべっても、今のエレンには通じなくなってしまっているのか。実に面倒だ……」

『恥ずかしながらそういうこと。母国語の喪失は、誰であろうとかなり痛いわ……。自分の言葉を失えば彼らのように、一見別人に変わってしまうんだもの。ああ、そうそう、ラジエルの人間は仕事柄、色んな世界の言語を覚えているから一応“退行”はしていない。だから現状で“退行”してしまっている者は、協力してくれた局員や魔導師に集中している……。皮肉ね……管理世界の人間は言葉を失い、管理外世界の人間はまだ無事。正直に言うと、見てて憐れみを覚える程ね』

「様子だけ聞いてるとまるで痴呆を起こしたみたいで、俺もそうなりたくはないな。とにかくエレンのおかげで、ファーヴニルの最も危険な要素を把握する事が出来た。……すまないな、おまえにそんな苦労をかけさせてしまって」

『あなたのためなら、私の命を委ねる事も構わない。むしろ捨て駒上等よ。だから変に気を遣わなくても、十分気持ちは通じているわ』

「そ、そうか……捨て駒上等か……。……ところで話を戻すが、ファーヴニルはラタトスクの思考誘導から一旦解放された。なら……奴らは今どこにいるんだ?」

『順を追うと、まず魔力コアが破壊されたダメージでファーヴニルは悲鳴とも言える雄叫びを上げて暴れ出し、ラタトスクでも手が付けられないまま戦域から転移して去った。だけどラジエルもあの巨体から繰り出される攻撃を何発か受けて、装置がいくつか故障して反応を探知できなかったから、残念ながらファーヴニルの行方はわからなくなってしまったわ』

「ふむ……だがエレン、それはおまえの不備じゃない。おまえがちゃんと生き残ってくれただけで、俺としては十分だ」

『ふふ……あなたからその言葉を頂けただけで、生き残った甲斐はあったわね。ま、私の事はいいとして……サバタ。絶対存在の力を手放したラタトスクは、再びファーヴニルを支配下に置くべく追いかけて行った。でもさっき言った様に反応が探知できなかったから、あのイモータルの行方も不明よ。しばらく手は出してこないと思うけど……気を付けてね』

「なるほど。とりあえず……お疲れさま、エレン。後の事は俺達に任せて、ゆっくり傷を癒しておけ」

『はい……任せます。それにしても……この光景を見てると思い出す事があるわね。かつてとある思想家が言っていた、“人は国に住むのではない、国語に住むのだ。『国語』こそが、我々の『祖国』だ”と。彼らの祖国、真実、過去は奪われてしまった。サバタ……あなただけが彼らに“言葉”を取り戻す事が出来る。こんな状態だから私が今すぐ駆け付ける事は出来そうにないけど……絶対に負けないでね』

「フッ……俺があんなイモータルに二度も屈するとでも思っているのか? おまえの知る俺は、その程度の奴だったか? ……違うだろう? 俺はもう負けん。何者が相手でも……立ち塞がるものが絶対存在であろうと、俺は二度と負けん! エレンが知る俺は、そういう人間だろう?」

『……くすっ。は……あははは……そうね、そうだったわね。さっきのは戯れ言だったわ。じゃああの時のように……生きて帰って来ること。私からあなたに送る言葉があるとすれば、こういう“言葉”だったかしら?』

「ああ……そんな感じだ。なんだ、言語の一つや二つ奪われた所で、エレンは過去をちゃんと覚えているじゃないか。これならまだまだ余裕だな」

『全くもう……こんな状況でも相変わらず、サバタは人を安心させるのが上手いわね……。……ふぅ……徹夜で戦った後に長く話して、流石に疲れた。あなたのおかげで心も落ち着いたし、少し眠るね……』

「そうか。おやすみ、エレン。良い夢を」

通信切断。無理を押してまでエレンが俺達に戦いの結末を教えてくれた事で、次元世界に束の間の平穏が訪れたのがわかった。ラタトスクとファーヴニルの居場所がわからなくなったのは痛手ではあるが、エレン達との戦闘で致命傷を受けた以上、奴らもしばらく大人しくせざるを得まい。それに……俺は確信している。待っていればいずれ向こうから機会を教えてくる、と。なら俺達はそれまでの間に、悔いが残らない様に全ての準備を完璧に仕上げておくべきだ。









「そんな訳で、おまえ達に俺から教えられるだけの言語を伝授しようと思う」

「フム……言語を奪われるとは、正直な所かなり荒唐無稽に聞こえるが……相手が相手だから事実なのだろう。その対策として我々に新たな言語を習得してもらいたいという、教主殿の意図は把握したぞ」

「はい。エレンさんの話から推測すると、他の言語の習熟度が高ければファーヴニルに使用中の言語を吸収されても別の言語で補う事が可能だと考えられます。事実、エレンさんは母国語の英語や次元世界の共通言語であるミッド語を奪われても、あらかじめ習得していたロシア語のおかげで“退行”せずに済みました。即ち我々がファーヴニルとの戦闘に参加する場合、数種類の言語を習得している事が必要条件となるでしょう」

「で、ボク達が今使える言語は簡単にまとめると、日本語、英語、ミッド語、ベルカ語、ついでにデバイス語ぐらいかな。あと、お兄さんは他にドイツ語、ロシア語、中国語が使えて、シャロンは古代語、古代ベルカ語とかだったっけ? 古代語っていっぱいあるから、覚えちゃえば何回吸収されても大丈夫だね!」

「ちょっと待って。私は確かに複数の古代語を使えるけど……それは解読ができるだけで、実際に書いたり発声する所まではわからないよ。それに古代語は文明的に発展途上の言葉だから、意思疎通も難しいし文字を覚えるだけで大変だと思う。要するにコミュニケーションできる言語を増やすこの場では、古代語は不向きってことだよ」

『ん~という事は結局、サバタ様から地球の言葉を学んだ方が良いみたいだね。次元世界の共通言語であるミッド語はなんやかんやで習得してるし、そもそも一度ファーヴニルに吸収された言葉だもの。あんまり頼らない方が良いよね』

「そう考えるとデバイス語も危ういな。厳密に見ればデバイス語は、コンピューターが認識できるようにプログラミング言語に変えた、ミッド語や英語などによって成り立っておる。地球で言うならC言語、JAVA、などといったようにだ。我々が魔導師として魔法を用いるなら、それらへの対策も講じておかねばならん。例えば別の言語で構築しなおすとか、魔法に頼らない戦法を身に付けるとか、対策はどれでもいい。とにかくやれるだけやっておいた方が良かろう」

ディアーチェが補足した事に、魔導師組はハッと目を見開いていた。こちら側の世界の魔法は機械寄りだった点が頭から抜け落ちていたようだ。エレンから翻訳魔法が役に立たないと伝えて来ていたのに、うっかり懸念し忘れていたな。

「そういえば言語吸収はプログラムも崩壊させるらしいが、ヴォルケンリッターよりプログラム寄りのマテリアルは性質上、あいつらより危険なんじゃないか?」

「むぅ……確かに我らを構成するプログラムに攻撃されてしまえば、我らの存在そのものが危ういかもしれん。しかしあまり気にする必要は無いと思うぞ?」

「理由は?」

「夜天の書関係でヴォルケンリッターは古代ベルカ語で構成されているが、柴天の書関係で我らを構成している言語は全く異なるものだ。要するに古代語の一種である訳だが、それ故今の時代で交わされている言語ではない。もしかしたらこの言語もシャロンは知っているかもしれんが、会話に使う訳では無いため気にせずとも良いだろう。まぁ、もしこの言語も吸収されるかもしれないとしても、その時は急ぎ教主殿と同化すれば回避は可能だ。そもそも我らは教主殿の傍を離れるつもりは無い、結局の所全ての状況下において心配は無用である」

「そうなのか……」

「それにもしプログラムが崩壊したとしても、その前に教主殿から注がれた月の力で強引に受肉を果たせば、存在が消滅する事は無い。と言ってもこれは緊急回避に近いから、あくまで最終手段にしておくがな……。それに“彼女”を解放すれば、同様の……いや、すまぬ。今のは妄言であった、忘れてくれ」

「…………」

とりあえず話をまとめると、マテリアルズは吸収に対してそれなりの対策は用意しているとのこと。こうなってくるとヴォルケンリッターの方が心配になって来るが、ここからではどうしようもない。無線機もここからミッドチルダまでは遠すぎて届かないからな。
また、俺は皆へドイツ語、ロシア語、中国語を教えながら、彼女達のサポートをする事に決まった。流石にネコ語やサル語まではわからんが、俺の習得言語の数はもう十分過ぎると、皆がそう言ってくるからな……。それでディアーチェ達は俺から教わる言語をひたすら勉強し、完全にマスターするまで努力する。なんか……以前、はやて達に家庭教師をした時を彷彿とさせる。だが今回はテストの点数ではなく、勝つため、生き残るためにやるのだ。否が応でも真剣にならざるを得まい。

英語でも苦戦していたなのはがもしこの場にいたら、恐らく頭が常時オーバーヒートになっていたに違いない。にゃーにゃー唸り続ける彼女の姿はそれはそれで面白いだろうが、状況を考えるとあまり楽観視できるものではない。彼女のように母国語の日本語以外では、かろうじて身に付けたミッド語ぐらいしか上手く使えず、翻訳魔法頼りの人間がファーヴニルの言語吸収を受けてしまったら、エレンの言う“退行”を簡単に起こしてしまう。そうやって何もわからなくなってしまえば、たとえ意志の強い彼女であろうと人形のように操る事は容易い。ラタトスクの思い描く王国では全ての人間が言語を失い、生きた人形そのものとなる。後はアンデッドにするなり、思い通りに操るなり、奴の好き放題……。そして全ての言語が消失した時、全人類の生殺与奪は奴の思うがままとなってしまう。それは何としても阻止しなければならない。

周波数141.80からCALL。

『サバタ、話は聞かせてもらった。どうやらあちら側は相当マズい事になっているようだな?』

「盗聴か、リキッド……。社長ともあろう者が、趣味が悪いぞ?」

『そう言うな、俺は表舞台にまだ姿を見せるわけにはいかん。最善の注意を図る必要がある。盗聴もその一環だ、受け入れてもらいたい』

「はぁ……今後のマキナ達の身分保障もある……仕方ないか」

『お前の意思が最期まで変わらなければ、彼女達の身分は永久に保障しよう。それより言語の習得なら、俺も力を貸してやる』

「何?」

『母国語や言語の喪失などには、少々嫌な記憶があってな。詳しい事は後で直接教えてやろう。それと理由はもう一つある。どんな形であろうと、支配からの解放は望む所だ。この件は我々にとって本番に向けた前哨戦であり、同時に別の決起の始まりでもある。確実に成功させるためなら、手間も手段も何一つ惜しまん』

「……確かにこの際、外聞を装っている場合ではないか。社長から教わるという経験は滅多に出来ないが、彼女達を生き残らせるため、未来を取り戻すためならプライドにこだわる必要はないな。リキッド、頼む……」

『ふん……肉体は老いたが、教官の真似事なら容易い事だ。今の要件が終わり次第そちらへ向かうが、教える時に泣き言をいわない事を俺が来る前に徹底しておけ』

「社長は鬼教官か? まあいい、ここにいるのはホネのある奴ばかりだ。余計な心配は無用だろう」

『いいだろう、せいぜい覚悟するのだな』

通信切断。そういう訳で教師役が俺以外にもう一人、それも社長である彼が来る事になった。なお、彼に希望すればサバイバルやCQCの訓練も並行して行えるから、そこらの自衛隊や陸軍、兵士育成学校顔負けの指導が受けられるものの……今は語学に専念させておくべきだろう。時間も限られているし、言語を覚えるのはかなり大変だからな。

なんて事を考えていると、何かに気付いたディアーチェがちょいちょいと手招きして、俺に尋ねてきた。

「ところで教主殿、一つ疑問があるのだが……現在の我々が顕現していられる時間は大丈夫なのか?」

「ん? あぁ……そういえば、おまえ達が保有する月の力にも限りがあったな。特にレヴィはつい先日まで表に出ていたから、残りの顕現時間がシュテルとディアーチェより少ない。連絡直後とはいえ、いつラタトスクが動くかわからない以上、あまり月の力を消費するのは得策ではないから普段は精神世界で言語を教えればいいかもしれない。しかしリキッドが来るとなれば、マテリアルが姿を見せていないのはマズいかもな……」

「では交代制にしておくか? 一日ごとに我、シュテル、レヴィが交代で外に出るようにしておけば、上手く顕現時間を補充しながらローテーションを回せると思うのだが……どうであろう?」

「確かにそれも一つの手だ。しかし……エレンは体調を整えるように言ってきたが、もう俺の身体は時間を経るごとに、限界まで刻一刻と近づいている。恐らく近い内に、余波が現れてしまう可能性が高い。そうなれば発作などで、月の力も上手く補充出来なくなるかもしれないし、まともに動けなくなってしまったりするだろう」

「教主殿……そういう心配になる事を言わないでくれ。我の方が心労で倒れそうだ」

「そう重く受け止めるな。ダークマターによる副作用の発作は幾度も経験しているし、こうなるのはとっくの昔に覚悟していた。それにむしろ……この世界から魔力が消失している現在、アレをやるなら丁度良いタイミングかもしれない」

「丁度良い? ……ッ!? まさか!」

「フッ……流石は闇統べる王、理解が早いな。……ディアーチェ、おまえ達が自由を手にする時が来た。“彼女”を……鎮めるぞ」

「ま、待て、早まってはならぬ! 我は教主殿に以前言ったではないか! 12月まで待てば、制御プログラムのワクチンが完成して“彼女”の暴走を鎮めきれると! そうすれば危険も負担も最小限で済むから失敗する可能性をゼロに抑えられると、教主殿も納得していたはずだ! ワクチンが未完成である以上、以前話してもらった作戦はまだ危険すぎる。これまでの間ずっと……我が教主殿の負担を減らそうとして、ようやくここまで漕ぎ付けたのに……まさか先の妄言を真に受けてか……!?」

「違う、今が丁度良い頃合いなだけだ。心配せずとも、俺なら問題ない」

「問題あるに決まっておろうが! 何故だ! 何故教主殿ばかり過酷な目に遭わねばならん!? うぬには我らの王国を共に築き上げてもらわねばならぬ……我らと共に生きてもらわねばならぬ! それが叶わぬ事だとしても、せめて……せめて一緒にいられる時間を可能な限り長くしたい! 共に居られる時間をもっと大切にしたいのだ! その些細な願いすらもこの世界は……運命は認めてくれんのか!!」

心配で必死に説得してくるディアーチェの頭を、安心させるように軽くポンポンとなでる。ヒートアップしていた彼女の頭が冷静になっただろう頃合いで、俺は自分の心情を伝える。

「どうやら……苦労や負担は最終的に俺が背負う運命らしい。そこまで想ってくれるディアーチェの気遣いはありがたいが、俺にも世界にも時間が無い以上、もはや手段を選んでいる場合ではない。大体、これを実行した所ですぐに別れが訪れる訳じゃない。まだ共に居られる時間は残っているさ」

そうやってゆっくり落ち着かせるように言い聞かせ、納得してもらうのを待った。やがて彼女も冷静に状況を分析し、今後の出来事などを想定していくと今の内に“彼女”の暴走を完全に鎮めるのがベストだと理解してくれた。心情的に納得はしていないようだが……家族想いの彼女らしいと言える。そもそも……彼女が思い詰める必要は何一つ無い。その事を改めて伝えておこう。

「ディアーチェ、言っておくが俺は本能に従っているだけだ。おまえ達と“彼女”を助ける。理由なんかいらない、俺がそうすると決めた。余計な理屈や言葉を並べた所で、それは本心を覆い隠す。人間が選べる選択肢は究極的にはやるか、やらないかに絞られる。やるしかなければ、やるだけ……後はタイミングの問題だ。ここで待った所で次の機会がやってくる保証も、今より良い状況になる保証もない。そんなのは誰もわからないし、わかりようも無い。だからこそ、やると決めたのだ」

「教主殿……………………はぁ~……。そうだったな……我が目標とした教主殿は、始めからこういう男だった。これ以上は言っても聞かぬだろうし……こうなったら我は本来のスペックを上回る力を何としても引き出し、教主殿に負担をかけずに“彼女”の暴走を鎮めて見せる! 我は王だ、限界を自ら線引きするなぞ愚行の極み! 王なら王らしく、全てを欲してやるぞ!!」

凛ッ! と言わんばかりに胸を張るディアーチェ。外見のコピー元がはやてだから少々残念な部分はあるが、その威厳は王らしい頼もしさに満ちていた。なるほど……これなら安心して背中を任せられそうだ。

「そうですか……教主殿と王がやると決めたのなら、私からは何もありません。王と同様に私も気がかりが当然ありますが、そういう話は既にお二人の間で済んでいる事でしょう。それなら方向を変えて、ポジティブに考えましょう」

「うんうん、シュテるんの言う通り! ボク達が力を合わせれば、何だってできるもん! でしょ、王様?」

「うぬら……ッ! 全く、どうなっても知らぬからな!」

どうやら話を聞いていた二人の顔を見て、ディアーチェは頭に手を当てる。軽くため息をついた彼女だが、その様子からは悲観ではなく喜色が感じられた。なにせ成功すれば、ようやく柴天一家が全員が揃うのだから。これから危ない橋を渡る身としては後ろ向きな意見より、レヴィみたいに前向きな意見を出してくれる方が励みになる。

「終わったらカレーでも作ってやるか」

「カレー!? やったぁ!」

「教主って、何気にレヴィには甘いですね。どうせなら私も甘えさせてもらいたいです」

「いやいや、十分甘えさせてもらっておると思うぞ……」

……さて、これから俺達は精神世界に向かう訳だが、流石にマキナとシャロン、及びウェアウルフ社の人間が介入する事は出来ない。二人には悪いが、少しだけ離れる時間をもらうぞ……。

「マキナ、シャロン。俺達に用事が出来たから、その間部屋で待っててくれ」

『用事?』

「さっき話した、もう一人を迎えに行くだけだ。多分、あまり時間はかからないだろうから、適当に参考書でも自習していればすぐに終わる」

「……本当に?」

「……ああ」

「そう……わかった。マキナ、部屋に戻ろう? ここにいたらサバタさん達の用事の邪魔になる」

『……そうみたいだね。サバタ様、用事を済ませたら早く帰って来てよ? 私達、待ってるから』

そう言い残して二人は俺達が住んでいる部屋へ戻って行った。だが去り際の様子……これから俺が何かするんじゃないかと感付いている気がする。俺がわざと話さなかった所から事情を察して、首を突っ込まないように空気を読んでくれたらしい。彼女達の密かな配慮を胸に、俺達もやるべき事を果たそう。

「では教主……改めて確認しておきたいのですが、本当にやるんですね?」

「ああ、今更やめるつもりは無い。あと、わかっていると思うが手加減は無用だ。全力で頼む」

「いいよ。ボク達のショーシンショーメイの本気、披露してあげるね!」

「うむ、我らマテリアルズの真の力を目前で見れるのだ、光栄に思え、教主殿!」

「フッ……それは心強いな」

そうして俺は想定される被害を抑えるべく、ウェアウルフ社の地下にある“特別な部屋”へディアーチェ達と共に向かう。念のためとある準備を終えてからマテリアルズの彼女達は、一旦量子化して俺と同化した。同様に俺も、意識と全ての感覚を精神世界へと集中させる……。現実世界の俺とのリンクを自ら手放して……眠るように深い……深い心の世界へと分け入っていった……。

………。

「……着いたか」

やがて精神世界の俺だけが意識を保ちながらたどり着き、周りに佇む彼女達の命の気配を察知する。目を開けて視界を確保すると、シュテル、レヴィ、ディアーチェが傍で待ってくれていた。彼女達は既にバリアジャケットを展開しており、準備万端といった様子だった。

今、俺達がいるのは俺の精神世界の深部。そこは月の桜を巨大にした木が一本咲き誇り、桜の根が透き通った水の中を縦横無尽に這い巡らせている。静かに湧き上がる水で波紋を立てているのに何故か立てる水面。しかし根の隙間を覗くと、真っ暗な深淵が見える場所。……それは幻想的で、世紀末世界の月の楽園と雰囲気がどことなく似通っていた。

「いらっしゃいませ、教主。と言っても元々ここはあなたの世界で、私達はただ間借りしているんですけどね」

「ん~ここがお兄さんの心の深い所かぁ……。何だか綺麗で……不思議な所だね」

「うむ、まるで教主殿の純粋な愛に満ちた本質が、ここでも垣間見えるようだ。だが……一つ妙なモノが存在しておるな」

ディアーチェが視線を向けたのは、桜の根本。そこでは心臓のように鼓動を鳴らす赤い膜に包まれて、胎児のように宙に浮かびながら安らかに眠る一人の少女がいた。生まれたままの姿の彼女に興味津々なマテリアルズだが、そもそもあの子はここに来た目的の“彼女”ではない。
もっと前から…………そう、5年前のあの時……かつてザジとエレンの魔女の力を暴走させた、謎の金属板。あの物体から伸びた淡緑色の光が俺に刺さった時、謎の声と共にあの少女が俺の精神の深層部に宿った。エレン達と別れた後、暗黒城に帰ってから発見したのだが、少女は一度も目覚めた事が無く、何らかの力を与えてくれる訳でもないので、無害なら構わないかと思って放置していたのだ。まぁ、これまで放置していたとはいえ何も変化が無かった訳では無く、何故か俺の身体が成長すると共に彼女の身体も成長していったのだが、そんな事は正直なところどうでもいい。

「あの子はどうせ起きない、放っておいても何の問題も無い。第一、今の目的はあの子ではなく、“彼女”だろう?」

「まぁ、そうではあるが……少々気になってのう……。暗黒物質といい、原種の欠片といい、ナハトヴァールといい、我らといい、“彼女”といい、教主殿は一体どれほどのものを宿らせておるのかと、疑問に思ったのだ」

「ディアーチェが把握しているのが、俺自身も把握している全てだ。運命、宿命、使命、そういった見えないさだめは分かり様がない。そんな曖昧なモノに意識を向けるより、今やるべき事に専念しよう」

そういう訳で彼女達の、あの子に対する興味はどこかへ降ろしてもらった。当初の目的を思い出した事で、俺達はここから少し離れた場所で待っている“彼女”の下へ向かう。近づいていけばいくほど、辺りの空気が重くなって凄まじい威圧感と圧迫感、そして……哀しみの気配が感じられるようになってきた。ディアーチェ達は自ずと緊張してきているようだが、気圧される様子はなさそうだった。

やがて俺達の目の前に……足元を伝ってきていた桜の根が複雑に絡み合い、繭のように包み込まれていた金髪の少女が現れる。白い服を纏う彼女の身体からは以前、ロキとの戦いで俺から発現した赤黒いオーラの翼を生やしており、禍々しい気配を漂わせていた。

ゴゴゴゴゴゴ…………!

「っ……!」

正面にするだけでわかる、圧倒的という言葉すらも生温い力量差にディアーチェは無意識に固唾を飲み、彼女の一挙一動に重苦しい緊張感を抱いてしまう。シュテルもいつもの落ち着いた様子ではなく、気圧されまいと踏ん張っており、レヴィは戦士としての勘から冷たい汗を流していたが、あえて笑顔で強がっていた。

そしてゆっくりと……蠱惑的に口を開けた“彼女”は、ある意味同じ存在であるマテリアルズの前で、初めて言葉を紡ぎ出す……!

「私もドットコムしたい!!」

「すまん、教主殿。我、なんだか頭が痛くなってきたのだが……」

「おい“U-D”、ここは圏外だ。電波が届いていないのだから、ドットコムどころかメールや電話も出来んぞ」

「ツッコむところそっちですか、教主!? そもそも誰もケータイを持っていない事を指摘するべきでは!?」

「いやいやシュテるん!? ボク達って世界を滅亡から守る決戦に挑むぐらいの心持ちで来たはずだよね!? それが何でケータイやドットコムの話になってるの!?」

「そ、そうだったんですか……残念です。じゃあサバタさん、今度ケータイ一緒に選んで下さいね?」

「別に構わないが……ガラケーでいいのか? 女性はガラケーを好むと、どこかで見た記憶がある……」

「サバタさんが選んでくれるものなら、何でも嬉しいです!」

「何でもってのは実は一番厄介なんだが……まあいい、実際に見てから選んでもらうとしよう」

「はい! よろしくお願いします! ……って、あれ? もしかしてそこにいるのは……シュテル、レヴィ、ディアーチェ? 皆までここに来るなんて、一体どうしたんですか?」

『気付くの遅いわ!!』

「はうっ!?」

マテリアルズからの総ツッコミにビクッと驚いて涙目になる“U-D”。昔は絶望や悲観のあまり反応が薄かったのだが、これまでの経歴や精神世界で密かに何度か会話したおかげで、彼女もそれなりに素が出るようになっている。それでわかったのは、素の“U-D”は驚くほど良い子なのだが、長い間闇の書の中に封印されていたせいで対人経験がほとんど無いから、自然と引っ込み思案になってしまった所だ。

「さて……柴天の書に関わる者同士、再会して積もる話もあるだろうが、それはしばらく置いといてくれ。早速本題に入りたい」

「はい、わかりました。それで本題というのは……、……っ!? まさか……本当に行うつもりなんですか!? いくらサバタさんでも危険すぎます! だって――――」

「おっと、何を言われてもやめるつもりは無いぞ。もうマテリアルズとは話がついているし、何より俺自身が覚悟を決めた。心して聞け、砕けえぬ闇……システム『アンブレイカブル・ダーク』! 今から俺が……俺達が永遠結晶エグザミアの暴走を止めてみせる!」

そう宣言した俺は、“U-D”を包む繭に手を添える。深く息を吸って心臓の鼓動を整えた次の瞬間、暗黒チャージを開始。それによってエグザミア暴走の影響を受ける矛先を変え、“U-D”の代わりに俺が全ての負荷を引き受ける!

「サバタさんっ!!」

「ヌグッ!! ……グァァッ!! な、何を……しているディアーチェ!! 早くワクチンを打て!!」

「承知した!! 耐えてくれよ、教主殿!!」

そしてディアーチェが自分のデバイス、“エルシニアクロイツ”を俺の背中に接触させて、これまでの間に彼女が構築してきたワクチンを送って来る。刹那、全身が煉獄の炎に焼かれるかのような凄まじい激痛に襲われる。一瞬でも気を抜けば全身がバラバラに壊れてしまいかねない程の苦しみ……だが俺が耐えねば“U-D”がこの痛みを受ける事になる。彼女はもう十分苦しんだ、それならこの苦しみは俺が全て引き受けてやる!!

 
 

 
後書き
静寂の獣:初期の案では角から発射されるビームを受けると、マキナのように口から言葉を話せなくなるものだったのですが、MGSVの声帯虫云々の話を見てから設定を似せて盛り込んでみました。ある意味スカルフェイスが量産できそうな力です。ちなみにラジエル防衛陣は負傷者や”退行”した者の数こそ凄まじいものの、死者は一人も出していないという快挙を成し遂げています。……それにしても、ミッド株の声帯虫なんか出て来たら、管理世界ごと管理局全滅しそう……。

ネコ語、サル語:BIGBOSSはトレニャーと、ソリッドはピポスネークと話せていた所から。
全てが失敗に終わり、世界の滅亡が目前となった時、彼は現れる。
ピポスネーク「ウキキッ(待たせたな)」
そこから彼によるおバカでマヌケな逆転劇が……始まりません。

サバタの精神世界で桜の根本にいた少女:この子については続編で。
ディアーチェのデバイス:エルシニアクロイツ、柴天の書、暗黒銃そっくりの銃、計3つ。ぶっちゃけ、はやてより先にフル装備。


マテリアルズとほのぼのするには、先にユーリを解放しておく必要があります。偶にはほのぼのした話を書きたい……。 
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