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ソードアート・オンライン~連刃と白き獣使い~

作者:村雲恭夜
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第四話 空の剣

「おおおおっ!」
手持ちの曲刀と片手剣で俺はセンチネルを退けていく。センチネルの弱点を明確に知る俺に関してはソードスキル無しでも優位に立てる。その為、ソードスキルを封印した双剣(と言って良いのか不明な武器だが)スタイルで戦っていた。
「クレイ!」
「やあっ!」
センチネルの長斧(ハルバード)を避け、横に蹴り飛ばすと、クレイがすかさずスイッチし、«リニアー»を弱点の喉元に叩き込む。
叩き込まれたセンチネルは動きを止めると、更に重ねてクロスガードの要領で首を切断する。
しかし、休憩する暇なく続けてセンチネルが現れる。
「キリ無いな……っ!」
今のところ、ボスのHPは三本目に突入しており、順調と言えば順調だ。しかし、妙に引っ掛かる順調さとも言える。何か恐ろしいことでも起きるのではと警戒せざるを得ない。
「スイッチ!」
刹那、クレイから指示が飛び、すぐにその思考を遮って首をはねる。
すると、すかさずクレイが近付いて言う。
「何考えてたの!?戦いの最中なのに……!」
「別に何でもねぇよ……」
再び襲い来るセンチネルの首を切断し、クレイを守る。まるで、自身のその思考を切り裂く様に。
途端、おおっしゃ!と言う歓声が響いた。みると、ゲージがラスト一本になっていた。
「ウグルゥオオオオオーーーーー!」
イルファング王が雄叫びを放ち、壁の穴から最後のセンチネル三匹が飛び出す。
「チィーーーーーっ!」
センチネルの飛び出た方向に向かおうと足を向けた、そのとき。
(何だーーーーー!?)
突然、冷気が体を通りすぎ、メイン戦場に向かって足を向けていた。
イルファング王が右手の骨斧と左手の革盾を投げ捨てて、右手で腰の後ろに下げている獲物を持つ。βテストでは確か湾刀(タルワール)を引き抜いた。今回もそれを引き抜くーーーーー筈だった。
「あれはーーーーー!」
その言葉と共に、俺は走りを爆走に変えた。あの天才(かやばせんせい)が何も変更していない筈が無かった。本当は変わっていて欲しくは無かったがーーーーー、現実は甘くは無かった。
イルファング王が引き抜いたのは、本来十層でしか見れない筈の武器にして、曲刀スキル完全習得時にスキル欄に現れるエクストラスキル時に装備可能な武器、«刀»。そのカテゴリーの一つ、«野太刀»。
「全員後ろにーーーーー!」
と、言い掛けるが、何も変わらないと踏んだ俺は、曲刀と片手剣でクロスガードを形成して発動しようとしていたスキルの軌道上に割り込んだ。
刀専用ソードスキル、重範囲攻撃«旋車»。
初速の«旋車»はクロスガードで受け止めやすいと言う持論で地面に足をしっかりと接地して受け止める。
衝撃。火花が散り、俺はそのまま軌道に引きずられる様に押されるが、
「おおおおっ!」
俺は左手で持つ衝撃で壊れた片手剣を完全に壊して自由(フリー)にすると、そのまま曲刀のスキル初動を構える。まさに、受け止めている状態から、鍔を湾刀の刃に添えて。
曲刀専用ソードスキル、カウンター武器破壊(アームズブラスト)技«雷空閃(ライクウセン)»。
鍔で跳ね上げた湾刀をそのまま刃で砕く。その瞬間、耐久値の切れた曲刀はポリゴンと化し、体に降り掛かる。
「サンキューな……」
使命を終えた曲刀に礼を言うと、硬直時間が終わって瞬時にストレージから予備の曲刀と片手剣を取り出す。対するイルファング王も、本来なら消える筈の骨斧を拾い、相対する。
「グルォオオオオオーーーーー!」
「おおおおおおおおーーーーー!」
イルファング王の骨斧が、俺のクロスガードとぶつかり合い、火花を散らす。
「クレイ!」
「ハーイ!!」
トンっ、と骨斧に乗り、伝っていくと、弱点の喉元に«リニアー»を叩き込む。瞬間、骨斧に込められていた力が抜け、俺は押し返して脱出する。
「クレイ!」
すぐに下がるイルファング王を追い掛け走ると、滞空時間を終えたクレイが手を伸ばす。
「クウト!」
そして、全力で跳躍すると、手のひら同時を合わせる。
「「スイッチ!!」」
曲刀をストレージに仕舞い、片手剣をスキル初動の型に構える。
「終わりだ……っ!」
そして、見えない手が俺を加速させる。
片手剣五連撃ソードスキル«デビル・キラー»。
黒い剣閃が、イルファング王を切り裂いた。
そして、イルファング王は最後に高く吼えーーーーーその体を消滅させた。
訪れた静寂を、破ろうとする者は居なかった。そう、誰一人として。
俺は静かにストレージに剣を仕舞うと、クレイが笑顔で近付いてくる。
「お疲れ様、クウト!」
「ああ……」
素っ気なく言い、クレイの頭を撫でようとした途端。
「ーーーーー何でだよ!」
泣き叫ぶ声が静寂を破る。
「ーーーーー何でディアベルさんを見殺しにしようとしたんだ!」
「……助けただろ?」
「ふざっけんな!現にボスのソードスキルの事知ってただろ!?なぁ!?」
男が叫ぶ。途端、辺りが騒がしくなる。
「……知ってたから何だ。第一層で実装されてるとは思わなかったから口にしなかっただけだ。自己責任だろ、んなもん。第一、人は助けたんだからそれくらいは勘弁してもらいたいものだ」
「んだとぉ!?」
男が詰め寄ろうとしたのをディアベルが止めようとする。しかし、その前に俺は自分の正体を明かす。
「俺はサブゲームマスターの天城だ。この際だから言っておく、俺はこの城の構造・攻略法・ボスデータすべてを頭に入れている。テメェらみたいなゲーマーとは格が違ぇんだよ」
シン……と再び静寂に包まれた。俺は意図的な笑みを浮かべて、その先を口にする。
「テメェらごときが、アインクラッドを語んな。これは本物のデスゲームだ。この先死にたくねぇなら一層に引き込もってな。まぁ、その間俺はレベルや武装をゲットし放題だがな!安心しな、クリアだけはしてやるからよ」
「なんだよ……それ……反則じゃねぇか……!」
そうだ!反則だ!!と声が幾つも響く。これで恐らく、β出身者達は攻撃されずに済む。その為ならば、汚名を着てでも俺は差別を無くそう。
俺は再び挑発的な態度で言う。
「そうとも、俺は«反則者(イレギュラー)»だ。テメェらごときと一緒にするな」
ウインドゥを開き、«コート・オブ・ミッドナイト»の名が変わった«コート・オブ・ライトニング»を着、武器破壊ボーナスの«グローリーフォース»なる片手剣と«レクイエム・ディザスター»なる曲刀を装備し、コートを翻す。
「«ウルバス»の転移門は有効化(アクティベート)しといてやるよ。俺の後を付いてくるなら覚悟することだな」
俺は階段に向かう途中でパーティーを解散し、困惑するクレイの横を通りすぎ様に言う。
「サンキューな、クレイ。今度会うときはーーーーー強くなってろよ」
そして、俺は後ろを向かず、階段の扉を押し開け、一歩を踏み出した。 
 

 
後書き
ようやく本編突入となる連刃!モチベが戻りつつあります村雲です。その内、フェイトも更新しますのでどうかお許しを!!神様仏様読者様ッ!!
クレイ「それより私の設定はー?」
………(目を反らす作者
クウト「……お前、出来てないとか言わないよな……?」
いえいえ、そんなことは!!(必死)ただ、書く機会が有りませんでして……部活(文芸部)の文化祭用冊子の製作に集中しておりましてね……!?
クウト「……おい、クレイが泣きそうだから書いてやってくれないか……?」
クレイ「……(ヒグッ、エグッ」
そこまでなの!?あれ、そんなキャラだっけ初期ミザさん!?
クレイ「………(ヒグッ」
クウト「見てる此方がいたたまれないから速めにな」
う、うん……善処するさ。と言うことで次回は一刊からスタートです。お楽しみに!クレイの設定は……1の方に追記するかもね、何処かで。ではー。 
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