俺の名はシャルル・フェニックス
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残酷と不死鳥
さて、今回の襲撃で、色々と面倒なことが起こった。
1つ目は一誠の強化。
俺達が堕天使を倒してしまったせいで一誠はまだ自分の神器について知れてない。
戦闘経験も同様に0だ。
これに関しては俺が修行つけてやれば大丈夫――というよりも逆に原作よりも強化できるだろう。
朱乃と白音は俺達が色々と教えてるから原作よりはるかに強い自信があるし。
木場だって、師がいるから教えることは出来なかったが相手はしてるから経験の差で原作よりたぶん強いだろう。
リアスは、まぁ、一騎討ちなんかはしないと思うぞ。たぶん。
プライドが強いから、俺から教えるなんてことはしなかったが、相手はしてた。
チェスとか、将棋とかのだけれども、まぁ、リアスは自分が前に出て戦うタイプの王じゃないからなぁ。
ある程度の魔力技術とある程度の頭さえあれば大丈夫だろ。
というわけで問題の1つ目は解決できるんだが……
二つ目、アーシア……何とか。
ファミリーネームは忘れたが――
リアスの眷属の回復要員にして生命線。
彼女がいなければ、リアス眷属に死者が続出するだろう。
原作なら、コカビエルらへんで一人目が出るんじゃないか。
白音ではなく、近接戦闘員の小猫か木場、経験が足らない一誠の誰かが真っ先にな。
だから、出来ればリアスの眷属に入れたいんだが……
残念なことに堕天使たちは全員俺が倒してしまい、万が一で逃げられない限り再び陽の目をみることはない。
それに、堕天使たちがここに来た理由がアーシア何とかから神器を抜くことじゃないかもしれない。
既に原作から解離してるし、可能性は0じゃない。
だから、どうすべきか。
最終手段としては、束に調べて貰い、そこから理子と盗みだし、リアスに渡して眷属……って無理か。
眷属になる理由がないし、そもそも盗み出すのも人情的に論外だ。
バレるようなヘマは冒さないつもりだが、今の時期に事を荒らげるのは面倒ごとが起きかねない。
便利な回復手段だが、もしかすると諦める他ないだろう。
アーシア何とかにとって争い事がなくなる分リアスの眷属になるよりマシかもしれない。
でもな、回復要員がいないと戦力的に不安だ。
少し傷ついてもすぐにとはいかないまでも戦闘後に回復できるとなれば、取れる戦術の幅は広がる。
事ある度に俺がフェニックスの涙等を分けるってのも無理だ。
確実にリアスが破産する。
いくらなんでも、フェニックスの涙を持続的に無償で渡せる訳がない。
2、3個なら贈答品として問題なく渡せるんだが二桁なら問題となってくる。
黒歌と白音の件でヘマやらかしてるしな。
だから、ある程度の割り引きして買って貰う訳になるんだが……
割り引きしてもフェニックスの涙は高額品だ。
十個も買わないうちにリアスのポケットマネーは空になるだろう。
だから、来てほしいんだよなぁ。
聞いてみれば分かるだろうか?
幸いなことに相手もいるし、時間もある。
今やっておくべきだろう。
やる相手は、レイナーレ、でいいだろう。
本当は一番偉いロリ堕天使が一番情報を持ってる可能性があるはずだが、たぶん吐かないだろう。
だから、一番意思の弱そうなやつから尋問するのがいい。
となると、レイナーレだった。
尋問なんかやったことはないが、まぁ、体験してみるのも悪くはない。
「知りたいことあるから話せよ」
這いつくばってるレイナーレの前にしゃがみこみ、髪を持って顔を俺の方に向かせる。
真っ先に趣味じゃなことがはっきりとわかった。
「……ぅぁ………」
目に涙を浮かべ、恐怖で顔を歪める。
俺が正義だなんて思ってないが、完全に俺が悪者だよなぁ。
「まず、お前らの目的を言え」
「……ぃや……」
「言わなければ、まず背中からじっくりと炙ってく」
「………っ………」
小さく顔が横に揺れた。
「わかった」
遠慮なく背中を炎で舐めるように軽く炙る。
「ぎぃ゙ぃぃぃっ!」
「言え」
小さく顔が横に揺れた。
「そうか」
また背中を炙る。
「ッぐっっ……!」
「言え」
小さく顔が横に揺れた。
でも、背中はこれ以上やっても意味はないだろう。
だから、肩を掴み仰向けにする。
「あがっ……!」
その際に背中が地面に打ち付けさせる。
火傷に衝撃がきて物凄い痛みとなるだろう。
「次は体の前面だ。言え」
顔は、揺れない。
気絶したわけではなく、ただ反応がない。
仕方がない。
「ぐぎぃ゙ぃ゙っ………」
炎が体を焼く。
「言え」
顔は、揺れない。
反応が薄くなってきたな。
焼きすぎたか。
「仕方がない。ここにフェニックスの涙がある。それで傷は治る。だから、もっとやれるぞ」
楽になれると思うな。
振りかけたフェニックスの涙が傷を治す。
「さて、続きだ。何処を焼かれたい?
手、足、腹、背中、顔、頭、口のなか、目、鼻、耳。
腹をかっさばいて内臓からでもいいな。
どうせ治るんだからいいだろ?」
フェニックスの涙さえあれば燃やし尽くさない限りは治る。
だから、俺が持ってきてる分だけであと3回。
倉庫に繋がる束作、携帯型簡易転移陣を使えばあと100は下らない。
「何処からにする?
まぁ、口からいってみるか」
再び髪を引っ張って頭を持ち上げる。
涙と涎と恐怖と痛みでぐちゃぐちゃになった顔に人指し指に炎を灯して近づける。
「あ、あ、あ、あ、あ」
見せつけるようにゆっくり、ゆっくりと。
そして突き刺す。
口ではなく、目に。
「あ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あぁ」
「あっ、手が滑っちまった」
「あ゙あ゙っ、ぃ゙だひぃぃ……ぅぁ、ぁあぁ……」
「痛いなんか分かってるさ。そんなことより、お前らの目的を話せよ。次は口な」
再び手を近づけていく。
「やめてくれ!話すから!話すから……やめてくれ……おねがい……おねがい、します……」
声が聞こえたのは背後から。
そして、そこにいるのは一番強かったロリ堕天使。
「仲間意識が高くてありがとさん。フェニックスの涙の無駄遣いをしなくてすんだわ」
レイナーレから手を放し立ち上がりつつ振り向く這いつくばってるロリ堕天使へと。
しっかりと、いつでも焼けるよう右手に炎を出したまま。
ロリ堕天使は顔を歪め、憎々し気に俺を睨んできた。
「さて、話せよ。早く」
「わかっ……た……
目的は……シスターから神器をぬきだすことだ……」
「どんな神器だ?」
「…………聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)」
「シスターの特徴」
「…………金髪で翠の瞳をした………お前くらいの歳の少女だ」
「名前」
「アーシア・アルジェント」
どうやら、原作通りにアーシアは来るらしい。
問題はどうやってリアス眷属に入れるかだな。
「そうか。聞きたい情報を聞けてよかったわ。
まぁ、でも
――――とりあえず、腕一本な」
俺はレイナーレの右腕だけを綺麗に灰にする。
「ぎぁあああ゙あ゙あ゙あ゙!?」
「なっ!?なんで!?」
なんで驚いてんだよ。
「阿呆が。もう1つくらい目的があるんだろ。言えよ」
「な、ないっ!本当にアーシアから神器を抜くことが目的なんだ!!」
ロリ堕天使は慌てて声をあげる。
馬鹿にしてんのかっての。
「疑問その1、何故この魔王の妹が二人もいる土地でやるのか」
魔王の妹、しかも次期公爵が二人もいるのだ。
それなりの警戒はしててもおかしくはない。
隠れて何かやりたいのなら、他の、例えば下級貴族の土地の方が警戒は薄い。
「それは!知らなかったんだ!」
「疑問その2、なら何故上級堕天使(おまえ)がいるのか。
中級くらいならまだ知らなかったって可能性も捨てきれなかった。
けど、おまえが出てきた時点でそれはない」
無限の龍神や赤龍神帝くらいの力がなければ馬鹿は生き残れない。
身の程知らずは生き残れない。
危険度を測れないやつは生き残れない。
何故なら、出来ないやつから、自分より強いやつに殺されるからだ。
少なくとも、俺の数倍も生きてるような奴が、3つを出来ない筈がない。
少なくとも、今回のような危険な橋を渡るはずがない。
それなのに、たかが回復系の神器を抜き取るだけじゃ割りに合わない。
「だから、他になんか目的があるんだろう?
言えよ」
「…………………う、上から命令された……」
「何を?」
「……この地で行動しろと……」
「誰に命令された?」
「……………コカビエル」
「……ふぅん」
聞きたいことは聞けたので炎を消し、壁にもたれて考える。
陽動だろうか?
コイツらの行動ははっきり言ってバレて当たり前だった。
態々弱いはぐれ悪魔祓いを数十単位で連れてくるなんざ、見つけてくれって言ってるようなものだからな。
だが、陽動だとしても、意図が読めない。
コカビエルなら、原作3巻の聖剣事件のために騒がせて気を引かせてその間に調査するってのが思い浮かぶ。
しかし、態々俺達に情報を与えて何になる?
捨て駒だろうコイツらから情報が漏れることもあるだろう。
実際に今漏れてるのだから。
これで俺達はコカビエルを警戒することになる。
その分計画は進めづらくなる。
害はあっても利はないはず。
計画を完遂するには俺達は邪魔だ。
ぶっちゃけ俺達ならコカビエル級が何人来ようとも撃破できる自信はある。
理子以外対一で普通に勝てるだろう。
それくらいの実力が俺らにはある。
その自信が俺らにはある。
けれども、分からないことは怖い。
舐められてるのか?
それとも何か策があるのか?
俺を、俺達を封じるくらいの手が。
もし、グレゴリが総出したら……
俺は眷属を、守れるのだろうか。
無理、だろう。
負けて、奪われるだろう。
俺は強い。でも、まだ最強じゃない。
だから俺はまだ、奪われる側だ……
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