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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第八章 反転
  第4話 浮かび上がる人影

 
前書き
今回は少し短めです。 

 
士道は走っていた。

先ほど、真那にギリギリの所で助けられたところなのだ。こう思うとまだまだこちらにも味方がついているなと嬉しく思う。

あの一瞬の時に真那はこんなことを言っていた。

真那『琴里さん達を正気に戻しました。今ならインカムをつけても大丈夫です。……ここは危険ですので早く行くべき場所へ行きやがってください』

その時は珍しく焦っていたせいもあってか、すごく簡潔していた。それでも琴里が味方についてくれる。それだけですごい安心感が生まれる。

その助けられた命で士道が向かっているのは美九の家だ。

あそこに行けば何かが分かるかもしれない。



その僅かな希望に賭けて。




ーーーー
ーーー
ーー



静寂というのは時にすごい効果を発揮する。

例えば、考える時間をくれる。

例えば、自分の世界へ閉じこもれる。

例えば、今生きている時間をより長く感じれる。

しかし、それは全ていい方向へともたらすとは限らない。

考えるといってもネガティヴな方向に連鎖していけば鬱になる危険性がある。

自分の世界へ閉じこもってもどこかで現実のことを考えてしまう。

退屈だと言われればそれまでだ。

だが、



この静寂は少し特殊だと、美九は思う。




まるでこれが当たり前のような、そんな気がしてならない。

普段はこんな哲学的なことを考えないのだが、毛嫌いしている男と二人きりで、それも何も会話することなく歩いているということが自然とそんな思考にさせる。


本当に、不思議な気分だ。



ーーーー
ーーー
ーー




上条と真那は空を飛んでいた。

行き先はDEMインダストリー社。

攫われた十香を助けるために。

と、

突如、その行く手を阻まむ存在が現れる。

その姿を見た瞬間、真那が秒以下のスピードで″彼女″を斬りつける。

″彼女″は咄嗟に気づき、持っていた拳銃でガードする。

真那「……どうしてここにいやがるのですか、ナイトメア」

狂三「あらあら、手荒な歓迎ですわね真那さん」

時崎狂三、通称ナイトメアと呼ばれている彼女が目の前にふわりと立ち塞がった。

上条「狂三!?何でここに……」

狂三「目的は貴方達と同じですわよ?」

真那「………十香さんを助けやがると?」

狂三「きひひ、それだけでは無いのでしょう?」

全てを見破っているような奇妙な笑み。いつも通りといえばいつも通りだが、今回は少し事情が違う。

上条「……分かってるのなら通してくれないか?俺たちはここで無駄な時間を過ごしたくないんだ」

狂三「今の貴方達では無理ですわ」

上条「……どういうことだ?」

理解ができない。

魔術を心得て強くなった真那。

凜袮が『意思』と切り離した『力』を扱えるようになった上条。

この二人に勝てる者など……




いや。




上条「エレン・M・メイザース……」




知っている限りでは、一人だけいた。





修学旅行の時にカメラマンに扮装して十香を攫おうとしていた女性。

狂三「えぇ。それに、恐らく中には侵入者を倒すための部隊も配属されていますわ。そう考えると少し無謀な賭けだとは思いませんこと?」

真那「……私達の力を侮っていやがるの
ですか?私も当麻さんも、前までの私達とは比べものにならないぐらい強くなりましたよ?」

真那は狂三が敵意が無いと判断し、剣を鞘に収めて上条の横に並ぶ。

その剣は虚空へと消え去った。恐らく魔術でこの場に呼び寄せたりできるのだろう。

しかし、そんなことを気にすることも忘れるほどの衝撃的な事実が狂三の口から放たれた。

狂三「侵入した『わたくし』達は全員やられてしまいましたわ」

「「なっ……!?」」

あり得なかった。

二人は狂三と戦い、その実力を認めている。例え分身だとしても、その強さは一般人は勿論、その辺の自衛隊だろうがあっさり倒してしまうのだ。

そう、彼女に対抗できる人材自体が世界でも一握り適度。それもASTなどの特殊な人物に限る。

それがたかが増援程度に負けるなど……

狂三「個々の戦闘力は高くはありませんが、対精霊用に訓練され、加えて対精霊用の『剣』まで用意されていますわ」

真那「剣?」

狂三「えぇ。その『剣』は斬撃を前に飛ばせますわ。……そう、まるで十香さんの〈鏖殺剣(サンダルフォン)〉のように……」

と、いうことは十香を攫ってから〈鏖殺剣(サンダルフォン)〉のデータを読み取り、それを模倣した剣を大量生産したということだろうか?

上条「そんな馬鹿なことがあるか!十香が攫われてからまだ一時間も経ってないのにそんなことが出来るはずが……」

狂三「確かに、攫われてからそんなことは不可能ですわ」

その時、嫌な悪寒が真那の全身を襲った。でもそれは、あり得なくない話だからこそとても現実味のある事実だった。

真那「……まさか、″誰か″がスパイとして情報を取得していた……!?」

狂三「その可能性が高いですわね」

それを聞いて上条も顔を驚愕の色に染める。

上条「でも誰が……」

狂三「それは分かりませんわ。ですが、少なくとも十香さんと接触しているはず。それたけでかなり容疑者が絞られますわね」

上条「……それでも多くないか?」

絞られたと言っても数えていたらキリがない。そうなると十香の家の近くに住んでる人やスーパーの店員さんなども全て容疑者となる。数えたら一体何人の……

上条「……いや、違う!」

と、上条は否定する。それは気づいたからだ。

十香の情報を入手したいのなら常に十香の近くにいなければならない。

そうなると、家の近くの人やスーパーの店員などは容疑者から外れる。

それだけではない。

修学旅行の一件があって、十香は一時的に街を離れたのだ。

そう、スパイならその修学旅行に混じっている必要がある。

もし、エレンと上条達が戦っているところを影で見られていたら?その時に情報を得られていたら?

それだけではない。

4月10日に十香自身が現れた時から既に標的にされていたら?

精霊が現れる度に……十香が精霊の力を使う度にスパイが近くから見ていたとしたら?

狂三「どうやら気づいた様子ですわね」

上条「……最悪な状況だけどな」

この時点で、容疑者はかなり絞られた。

ラタトスクの人間。

学校の自分の学年と生徒と修学旅行に付き添った先生。




いや、もっと言えば、




ラタトスクの人間と、上条当麻のクラスとその担任の先生″だけ″が容疑者だ。



つまり、上条当麻は自分のクラスの友達を疑うことになる。

狂三「これ以上彼らの思惑通りに進められると厄介ですわ。早めに手を打った方が良さそうですわね」

上条「……」

真那「……」

この事実に、二人は声を出せなくなる。

狂三「ですので美九さんをこちら側に入れてくださいます?」

上条「……?」

狂三「スパイが誰かは分かりませんが、今は目の前の目的をとうするかが最優先ですことよ?」

真那「……それで、何故彼女を?」

狂三「彼女の声はかなり使えますわ。敵が『剣』を持っていようとも、やる前に屈服させれば無駄な犠牲もいらないでしょう?」

真那「そのついでに時間を吸い取るんじゃないですか?」

狂三「きひひ。それも良いかもしれませんわねぇ」

絶対やる気だったよなこの人。

上条「じゃ、美九の所に行くか。場所は?」

狂三「ご案内いたしますわ。ついてきてくださいな」

と、狂三はDEMインダストリー社とは別の方向へと飛び出した。真那と上条はその少し後ろで狂三を追いかけた。








 
 

 
後書き
……果て、折紙さんと垣根帝督はどこへ行ったのやら 
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