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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another73 発車

 
前書き
半年間で出来る限りの特訓を終えて……。 

 
半年間の特訓に耐えた太一達は今までの頼りなさそうな雰囲気も消えていて、大輔達からすれば満足な姿だ。

大輔「みんな、特訓お疲れ様です」

一輝「へえ、ちっとはマシになったじゃねえか」

太一「おう、滅茶苦茶苦労したぜ。」

ゲンナイ「選ばれし子供達よ。ご苦労じゃった。よく厳しい特訓を耐えてくれたのう。」

賢「あなたは何もしてませんがね」

取り敢えず賢がギロリとゲンナイを睨んでおく。

ゲンナイ「ええと、お前達は新たな進化にも慣れ、今やかつてのダークマスターズを超えておる。その力でダークマスターズを倒し、デジタルワールドに平和を齎して欲しい。」

光子郎「はい」

今までの苦労が報われることを切に願う光子郎。

大輔「というわけで、そろそろ話さないか?」

ルカ「そうですね。そろそろ話してもいい頃合いです。僕達選ばれし子供が選ばれたことを」

全員【え?】

ルカ「みんなで相談して決めたんです。では、皆さんが選ばれた理由を教えましょう。」

スイッチを押すとホログラムが現れる。

太一「これは光が丘か?」

ホログラムに浮かび上がったのは、光が丘の風景だった。
夜の空には緑色の大きな鳥とオレンジ色の怪獣、グレイモンがいた。

光子郎「あの鳥…4年前の!!…完全体だったんだ」

ルカ「皆さんの世界で4年前、1個のデジタマが誤って次元の裂け目を通り抜けてしまいました」

太一「あ、あれは4年前の俺とヒカリ!!」

まだ幼い太一がヒカリを抱き抱え、崩壊した歩道橋の近くに座り込んでいた。
更に空から光が丘の街を見下ろせば、いくつかの明かりが子供達を照らしていた。
すぐ側のマンションに、明かりに照らされた男の子と女の子の姿。

ルカ「はい、現実世界で言えば4年前の皆さんです。」

ヒカリ「私達に降り注いでいる光は?」

ルカ「デジタルワールドが皆さんのデータをスキャニングしているのです」

ヤマト「何でそんなことを?」

ルカ「デジヴァイスと紋章を作るのに、あなた方のデータが必要不可欠だったからです。ゲンナイさんの仲間は暗黒との戦いに備えて準備をしていたのですが、ゲンナイさん達の計画はダークマスターズに知られ、妨害を受けました。」

ゲンナイ「そこでわしは、デジヴァイスと紋章、デジタマを回収し、メカノリモンに乗り込んで、仲間の犠牲もあり、何とか逃げることが出来たんじゃ」

ルカ「その時に、テイルモンのデジタマが落ちてしまった。テイルモンがいなかったのはそのためです」

テイルモン[だから私は、1人だけみんなと逸れて育ったのか…]

ピヨモン[でも今は一緒よ]

テイルモン[そうだな]

ピヨモンの言葉にいつもの調子を取り戻すテイルモン。

ルカ「それからデジタルワールドからすれば永い永い時が過ぎました。そしてあなた方がデジタルワールドに導かれた日」

スバル「アグモン達はずっと待ってたんだよね。太一さん達を」

アグモン[うん…待っていた。僕達はずっと待ってたんだ。太一を]

ガブモン[ヤマトを…]

ピヨモン[空を…]

ゴマモン[丈を…]

パルモン[ミミを…]

パタモン[タケルを…]

テントモン[光子郎はんを…]

アグモン[幾日も幾日も待ったんだ。そしてある日…]

幼年期だったデジモン達が口に加えたデジヴァイスをぽーんと空に放り投げていると、デジヴァイスは空に吸い込まれるように消えていった。
それに変わって空から7人の子供達が降ってきた。

太一「ところでそろそろ教えてくれ。どうして俺達が選ばれたんだ?」

ルカ「太一さんとヒカリさんは、現実世界に迷い込んだデジタマを、グレイモンに進化させましたね?」

ヒカリ「え?私とお兄ちゃんが?」

太一「勝手に進化したんだよ!!」

ルカ「勝手に進化することは無いのです。つまりあの進化は偶然ではない。あなた方といたからグレイモンに進化出来たのです。」

太一「でも、俺とヒカリは何にもしてないぜ?デジヴァイスも無かったし…。」

ルカ「デジヴァイスをただの進化の道具とお考えなら、それは間違いです。デジヴァイスは、デジモンを皆さんの特質に合わせて、正しく進化するためのもの。紋章も同じです。ところで皆さんは前に話したそれぞれの紋章の意味を覚えてますか?」

太一「ああ、俺のは勇気だ!!」

空「私のは愛情」

ミミ「純真!!」

光子郎「知識です」

丈「誠実」

タケル「僕のは希望の紋章だよ!!」

ヤマト「俺のは友情」

ヒカリ「私は光の紋章」

ルカの問いに迷うことなく答えていく太一達に満足げに笑いながらルカは更に口を開く。

ルカ「それらは4年前のかつての皆さんが持っていた、最も素晴らしい個性です。でも、皆さんがそれを失っていたらどうなりますか?もしかしたらデジモンを悪用するかもしれない。またその素晴らしい個性を、履き違えたとしたら…」

太一「あ、もしかして…あの時、俺はグレイモンを超進化させようとして敵の前に飛び出した。だけどアグモンは、スカルグレイモンになっちまった…あれは、間違った勇気…無謀だったんだな…」

ルカ「そうです。」

丈「てことは、僕らは元々持っていた自分らしさを再発見するために苦労してたってわけだな…」

太一とヒカリの話を聞き、丈がそう纏めた。

光子郎「でも…太一さんやヒカリさんは分かるけど、僕達はデジモンを進化させたわけじゃないし」

ルカ「皆さんのデータを検討した結果、太一さんとヒカリさんのデータと共通する物があったのでしょう。それが何を意味しているかは、僕達にも分かりませんが…」

アリシア「きっと、太一さん達には目に見えない絆があったんだよ。」

フェイト「運命が引き寄せた絆…だと思えばいいんじゃないかな?」

ヤマト「運命か…ところで、大輔達はどうしてこんなことを?」

大輔「事前に聞いていたからですよ。皆さんの特訓も完了し、戦いの最後の準備は整った。後の俺達がすることは」

アインス「ダークマスターズを倒すことだ」

太一「ああ、行くぞみんな!!」

ピッコロモン[子供達、外でロコモン…グランロコモンが待ってるっピ!!]





































外に出ると、ロコモンが究極体に進化したグランロコモンがいた。

グランロコモン[久しぶりだなガキ共]

大輔「グランロコモン…進化したのか」

グランロコモン[ああ、つい最近な。俺が近くまで運んでってやる。乗りな!!]

全員【おう!!】

グランロコモンに全員が乗り込み、発車した。
ダークマスターズとの全面戦争が始まる。 
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