何故ばれる
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3部分:第三章
第三章
「うわ、何でこんなものがおるのじゃ」
「怖いのう」
「こっちに来るでないぞ」
それは一匹の犬でした。犬は親父の横で丸くなって寝ていますが彼等にとってはそれでも非常におっかない存在であるのです。
その犬を見て青くなりましたがそれでもお菓子は食べたいので。三匹は親父の前に来ていうのでした。
「おう、親父」
「菓子をくれないか?」
「どれがいいんだ?」
親父はその頑固そうな顔で三匹に尋ねてきました。
「どの菓子がいいんだ?」
「どれかと言われてものう」
「どれがいいかのう」
「この黒いのはどうじゃ?」
川獺は小豆を潰して丸く作ったものを指差して他の二匹に言いました。
「これなんか美味そうじゃぞ」
「そうじゃのう。これはよさそうじゃな」
「わしはこれがいいと思うのじゃが」
狸は川獺の言葉に頷き狐は別のものを指差しました。彼が指差したのは黄色い粉で化粧されたやはりとても丸いものでした。
「この黄色いのがのう」
「じゃあわしはこれかのう」
狸は白くて丸い少し焼いたものを指差すのでした。
「これがおさそうじゃな」
「おはぎと黄粉餅と饅頭か」
親父はここで三匹に対して言いました。
「それなんだな」
「何っ、これはおはぎというのか」
「黄粉餅というのか」
「饅頭か」
三匹は親父の言葉を聞いて驚いたようにそれぞれ言いました。
「ふむ。これがその砂糖とやらを使っておるのじゃな」
「この黄粉餅とやらが」
「饅頭がか」
「そうだが。それで買うのか?」
親父はまた三匹に尋ねてきたのでした。
「どうするんだ?それで」
「うむ、買うぞ」
「勿論じゃ」
「そのつもりじゃ」
三匹は一度に親父に答えました。
「だからじゃ。銭もあるし」
「うむ、あるぞ」
「買うぞ」
こう言って今その銭を出したのですがここで犬が目を覚まして起き上がりました。三匹は犬が起きたのを見て驚いてしまいました。
「うわっ、起きたぞ」
「こっちに来るなよ」
「後生じゃぞ、おい」
この時三匹は確かに驚きました。それでついつい化けるのがおろそかになって一瞬ですが尻尾を出してしまいました。そしてそれは親父に見られてしまったのでした。
「むっ!?」
親父はそれを見て目を顰めさせましたがそれでも何も言いませんでした。ただそのうえで三匹をあらためて見たのでありました。
三匹はその銭を親父に差し出します。そのうえで彼に問いました。
「これでよいのじゃな」
「さて、それでは是非その菓子をな」
「もらうぞ」
「待て」
ところがでした。親父はそのお菓子をすぐに渡そうとはしません。それどころか自分のすぐ後ろからあるものを出してきたのです。それは。
揚げと魚でした。しかもお蕎麦もあります。どれも食べ残しですが確かにその三つです。三つの食べ物を見た三匹は今度は術までもがおろそかになってしまいました。
「揚げ!?」
「魚!?」
「蕎麦か」
今度は尻尾は出しませんでしたが耳を出してしまいました。しかも銭が木の葉に戻ってしまいました。その木の葉を手元に持った親父は遂に言うのでした。
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