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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ラクサスvs.アレクセイ

 
前書き
先週の金曜日発売だったFAIRY TAILの小説第三作読んでみました・・・だけど・・・
ウェンディ出ないのかよ!?ビックリした上にガッカリだわ!!
「ウェンディ出ないな、まだかな?まだかな?」とか思ってるうちに読み終わっちゃったわ!!
それに大江戸FAIRY TAILっていうからタイムスリップするのかと思ったけど最初から江戸に住んでる設定だったんですね。
いつかOVAとかになるのかな?その時は補正してウェンディ出してほしいなぁ(笑) 

 
『続いてはバトルパート第二試合!!』

ソフィアさんvs.セムスさんの試合が終了し2人が引き上げるとチャパティさんが次の試合のコールを行います。

剣咬の虎(セイバートゥース)、ローグ・チェーニ!!』

1人目の選手がコールされると観客から大きな歓声が響き、闘技場に黒い髪で全身に黒を基調とした服を纏っている男の人が現れる。

『vs.青い天馬(ブルーペガサス)、ウサギ!!』

ローグさんの対戦相手は入場の時からずっと存在が気になっていた青いウサギさんのようです。ウサギさんも闘技場に現れると観客の皆さんは温かい声援を送ります。

剣咬の虎(セイバートゥース)が誇る三大竜の1人、ローグといまだ謎のベールに包まれたウサギの対戦となりました!!』

ローグさんはナツさんのお話しだと私やシリルと同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だそうです。一方のウサギさんはどんな魔法を使うのか全く予想ができません。

『それでは、試合開始!!』

試合を始める銅鑼が会場に響き渡ります。

「さて、ついに君を解放する時が来たよ」

試合開始と同時に、待機場所にいる青い天馬(ブルーペガサス)のエースである一夜さんがそう言います。それに対し闘技場にいるウサギさんはコクンッとうなずきます。

「ウサギが!!」
「いよいよ正体がわかるぞ!!」

リリーとハッピーがそう言います。ちなみにシャルルとセシリーは医務室で眠っているシリルのそばにいるのでここにはいません。
ドムス・フラウにいる観客の皆さんもついに明かされるウサギさんの正体に釘付けです。

カポッ

ウサギさんは自分の顔を隠しているウサギの被り物に手を伸ばし、少しずつ、ゆっくりと被り物を外していきます。

「なんかドキドキしますね」
「俺たちですら正体を知らねぇウサギ・・・」

青い天馬(ブルーペガサス)のタクトさんとレンさんも目を凝らしウサギさんをじっと見つめます。

「一体・・・」
「ん~♪」

チュッチュッ

「・・・って何してんだてめぇら!!」

レンさんが自分たちの後ろで抱き合いキスをしているヒビキさんと大魔闘演舞1日目のゲストにして青い天馬(ブルーペガサス)の魔導士であるジェニーに思わず突っ込みを入れます。2人ともこんなところであんなことするなんて大胆です/////

「2人とも仲間の応援に集中してください!!」
「というかなぜリザーブのジェニーさんがここに?」

イヴさんがウサギさんの試合に集中するようにヒビキさんとジェニーさんに言い、タクトさんはさっきまでいなかったはずのジェニーさんがここにいることに疑問を持っていました。

「見せてやるがいい。そのイケメンフェイスを!!」

一夜さんは隣でそんなやり取りをしていることなどお構いなしにウサギさんにそう言います。
ウサギさんはそれを聞き、ついにウサギの被り物を外しました。
その顔は私たちのような肌色ではなく、黄色っぽい色をしており、髪もオレンジに近い髪色でその顔は一夜さんにそっくりでした。

「「「「「「「「「「えっーーーー!!!?」」」」」」」」」」
『『『うわ~っ!!』』』

ポカーン

一夜さんにそっくり・・・というより一夜さんがまるでライオンになったかのような顔のウサギさんを見て会場中が驚きに包まれます。

「・・・」

対戦相手のローグさんはウサギさんの中の人の予想外の姿に固まってしまっています。
ライオンのような一夜さんはウサギの着ぐるみを捨て去り、小さな体を皆さんに見せつけます。その姿を見た私たちは以前見たことのあるその姿にさらに驚きます。

「あいつは・・・」
「エクスタリアの・・・」
「ニチヤさん!?でしたっけ?」

ナツさんとグレイさん、そして私がそう言います。あのライオンのような一夜さんは私たちがエドラスに行った時、エクシードたちの国『エクスタリア』の近衛師団の団長を務めていたニチヤさんだったのです。

「危険な香り(パルファム)だぜ」

ニチヤさんはまるで一夜さんのようにポーズを決め、キラキラしながらそう言います。

「「「「「ぶほっ!!」」」」」

ウサギの正体に思わず青い天馬(ブルーペガサス)のタクトさんたちも固まってしまいます。

「一夜が・・・2人とか・・・」

エルザさんは一夜さんとニチヤさんを見て気を失いそうになり、後ろにいたルーシィさんがそれを支えます。

「ちょっ!!エルザ!?」
「しっかりしてください!!」

ルーシィさんと私で声をかけますがエルザさんは真っ青のまま意識を失ってしまいます。

「なんであいつが青い天馬(ブルーペガサス)に?」
「他のエクシードたちはどうしたんだよ」

ナツさんとグレイさんはニチヤさんがこっちの世界に来た他のエクシードたちとは別行動を取っていることに疑問を持ちます。

「私と私の出会い、それはまさに運命だった・・・」
「ウム・・・あれはある晴れた昼下がり」

待機場所にいる一夜さんと闘技場にいるニチヤさんが出会いについて語ろうとした時、ニチヤさんの対戦相手であるローグさんが・・・

「影竜の・・・咆哮!!」
「メェーン!!」

ニチヤさんに向かってブレスを放ちます。

「何をするか!?」

一夜さんはローグさんの不意打ちに涙を滲ませながらそう叫びます。でも試合開始の銅鑼はなってましたし、一応攻撃はしてもいいんですよ。

「メェーン!!」

ローグさんのブレスを受け吹き飛ばされるニチヤさん。

「一夜さん!!あいつ戦えるのかよ!?」
「全然そんな風には見えないですけど」

レンさんとタクトさんが隣にいる一夜さんへと質問します。

「当たり前だ!!私と同じ顔をしている!!つまり・・・」

地面に叩きつけられるニチヤさん。しかしその目はすぐに開かれ、表情はキリッとしています。

「私と同じ戦闘力!!」

一夜さんは仰向けになっている一夜さんをじっと見つめ、ニチヤさんは・・・

「ぐはっ・・・」

そのまま倒れてしまいました。

「くたばってるじゃねーかよ!!」
「ウソーン!!!」

レンさんと一夜さんがそう叫びます。

『え・・・と・・・勝者、剣咬の虎(セイバートゥース)、ローグ・チェーニ!!』

チャパティさんが勝者であるローグさんの名前をコールしますが、あまりのあっけなさに会場は静まり返っています。

「ふんっ」

ローグさんは倒れているニチヤさんに背を向けて闘技場を後にします。その際一瞬ガジルさんの方を見ましたが、特に何ごともなく歩き去ってしまいました。

「ニチヤ!!」

一夜さんは待機場所から飛び降りると動けなくなっているニチヤさんのもとまで走り、抱き抱えます。

「メェーンぼくない・・・」
「案ずるな。君には私たちがついている」

うっすらと目を開けるニチヤさん。その瞳には待機場所からその様子を見守っている青い天馬(ブルーペガサス)の皆さんが映っています。

「君の想いを私たちは決して無駄になどしない。明日、君に勝利という名の香り(パルファム)を捧げよう」
「一夜・・・」

一夜さんはそう言うとニチヤさんを抱いたまま闘技場を後にします。
というか一夜さんはニチヤさんの戦闘力とか全く気にしていなかったのでしょうか?すごく気になるところですね。

























「それでは第三試合を始めますカボ」

ひとまず第二試合が終了したのでマトー君がそう宣言します。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチーム!!ラクサス・ドレアー!!』

まず登場したのはラクサスさんです。

『vs.大鴉の尻尾(レイヴンテイル)アレクセイ!!』

ラクサスさんのお相手は大鴉の尻尾(レイヴンテイル)で金色の仮面を被った大柄な人が現れます。

「ラクサスだ!!」
「相手はイワンのギルド・・・」

ナツさんはラクサスさんの登場に胸を踊らせ、エルザさんは少しトーンが低い声でそう言います。

「ラクサス!!がんばってね!!」
「何の心配もいらねぇだろ」
「あのラクサスだよ!」

ミラさん、ガジルさん、カナさんがそう言います。3人ともラクサスさんの勝利を信じて疑ってない様子です。

「でも・・・ジュビア、なんか嫌な予感がします」

そんな中ジュビアさんだけはチームで1人だけ心配そうにラクサスさんを見つめています。
ラクサスさんとアレクセイさんは互いににらみ合い、試合開始のゴングを待ちます。

『1日目以来の親子ギルド対決となりましたね、ヤジマさん』
『ウム・・・』

1日目はルーシィさんとシリルが外部からの力も加わってしまいましたが、今日はそんなことはできないようにマスターたちが手を回してくれています。

「ウォーレン」
「了解!!」

マスターの指示でウォーレンさんが念話を飛ばします。

『こちらHQ!!ビスカ、聞こえるか!?』
『何がHQだよウォーレン』

ウォーレンさんの変な名乗りにビスカさんが突っ込みを入れます。ちなみにHQとは軍の司令塔などの意味があります。

『マスターイワンに動きなし。どうぞ』

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のマスターであり、マスターの息子であり、今バトルをしようとしているラクサスさんのお父さんであるイワンさんに銃を構えたビスカさんがウォーレンさんにそう報告します。

『了解!!チーム雷神衆+リサーナ!!そっちは?』

今度は大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の選手たちの様子を見張っているリサーナさんたちにウォーレンさんが状況確認の念話を送ります。

『こちら雷神衆+リサーナ、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)に今のところ目立った動きなし』

リサーナさんは双眼鏡を覗きながらそう言います。

『1日目のようにはさせないわよ、カラスちゃん』
『ラクサスの武勇にキズをつけてみろ、我ら雷神衆、貴様らの命は保証しない』

リサーナさんとフリードさんは気合い十分な様子です。

『「エバがエルフマンのところに戻りた~い」と言ってますが許可をください、どうぞ』
『言ってねーだろ!!』

ビックスローさんのジョークにエバーグリーンさんが怒ります。天狼島の時から思ってましたけど、エルフマンさんとエバーグリーンさんは仲がよろしいんですかね?

「イワン・・・もう二度と卑怯なマネはさせんぞ」

マスターがそう言うと隣にいる初代がクスクスと笑います。

「どうかされましたかな?初代」
「いいえ、何でもありません」

初代はそう言った後、空を仰ぎながら言葉を続けます。

「仲間を守るためならいかなることでもやる、そしてその状況を少しだけ楽しんでしまっている」
「うぐっ!!」

初代に図星を突かれたマスターは顔を歪めます。

「フフフッ♪素敵です!!私の目指した究極の形が、今ここにあるのです」

初代は本当に嬉しそうにそう言います。

「この形を忘れないでくださいね?三代目。えっと・・・六代目でしたっけ?」
「ぐもー!!ありがたきお言葉!!そして、七代目です」
「六代目であってるよ!!」
「しっかりしろ!!」

マスターは自分が何代目なのか覚えてないみたいですね。この短い間にマスターが何度も変わったから頭の中がごちゃごちゃなんでしょうね。

『両者前へ!!』

ラクサスさんとアレクセイさんは互いを見据えた状態から闘技場の中心部へと歩き出します。
2人が闘技場の中心に立つと、3日目の第三試合が始まります。

『試合開始!!』

ゴォーン

会場は1日目以来の親子ギルド対決とあってか試合開始のゴングが鳴ると同時に一気に沸き上がります。

「親父んとこのギルドか。つーかお前何者・・・」

ラクサスさんがアレクセイさんに質問しようとした時、アレクセイさんは突然走り出してラクサスさんにエルボーをお見舞いします。

「ぐおっ!!」
「なっ!!」

先制攻撃をラクサスさんが受けたことにナツさんが驚愕します。
それは私たちも同じで皆さん言葉を発することができません。

「くっ!!」

ラクサスさんはエルボーを受けたことで後方へと飛ばされ、その際にいつも羽織っている黒い上着が脱げてしまいます。
しかしそこはさすがのラクサスさん、うまく着地をしアレクセイさんの方を向きます。

「こいつ・・・!!」

そのラクサスさんにアレクセイさんは素早く接近すると今度は顔に向かってキックを放ちます。

「うおぁ!!」

またしても飛ばされるラクサスさん。アレクセイさんは両手から黒い波動を放ちラクサスさんを襲います。

「うわぁぁぁぁ!!」
「そんな・・・」
「冗談だろ!?」
「やられてんの?」

ミラさんとガジルさん、カナさんはアレクセイさんの前に手も足も出ないラクサスさんを見て驚きを隠せません。
その間にもアレクセイさんはラクサスさんに次々と攻撃を仕掛けていきます。

「まさかラクサスが!?」
「どうなってるんですか!?」
「あの仮面・・・何者なんだ!?」

私たちAチームも悪魔の心臓(グリモアハート)のマスターハデスとさえも互角に戦っていたラクサスさんがやられている姿に驚きを隠せません。

「ウソだろ・・・ラクサス・・・」
























シリルside

『ぐおおっ!!』

医務室に設置された魔水晶(ラクリマ)ビジョンから聞こえてくるラクサスさんの悲痛の叫び。それには俺もシャルルもセシリーも・・・そしてポーリュシカさんでさえも信じられないでいる。

『これは・・・アレクセイ怒涛の攻撃!!ラクサス、手も足も出ない!!』

実況のチャパティさんがそう言い、解説のヤジマさんとゲストのラハールさんは静かにその様子を見守っています。

「なんでこんな・・・」
「ラクサスくんが反撃もできないなんて~」

さっきまで眠っていた俺を心配して駆け付けてくれたシャルルとセシリーがそう言う。

「あのラクサスさんがこんなことに・・・」
「ラクサスもマカロフに似て勝負弱いところがあるのかね」

心配してそう言う俺と辛口コメントのポーリュシカさん。俺はじっと魔水晶(ラクリマ)ビジョンを見つめていると、ある違和感を覚える。

「ん?」
「どうしたの~?シリル」
「いや・・・」

俺がよくわからない違和感を覚え、目を使って魔水晶(ラクリマ)ビジョンを見る。そしてその違和感の正体に気づいた。

「これって・・・」

俺はより正確に情報を得たいと思い、医務室のベッドから立ち上がる。

「ちょっとシリル!?」
「どうしたの~? 」
「急に動くんじゃないよ!!傷口が開くじゃないか!!」

突然立ち上がった俺にシャルルたちは驚きそう言う。だが俺はそんなことなど気にして入られない。

「ポーリュシカさん、俺、闘技場に戻ります!!」
「何言ってんだい!!まだ完全には体力も戻ってないのに・・・」
「もう大丈夫です!!お世話になりました!!」

ポーリュシカさんは俺を止めようするが俺はおじきをして足早に医務室を飛び出す。
今戦っているラクサスさんとアレクセイ・・・俺の目が正しければ・・・




















第三者side

「幻?」

シリルがウェンディたちの待機場所に向かっている最中、剣咬の虎(セイバートゥース)の三大竜の1人、スティングがそう言う。

「あぁ。なんでこんなことをしているかはよくわからねぇが、今戦っているラクサスとアレクセイは本物じゃねぇ」

そう言ったのはスティングと同じ三大竜の1人、グラシアン。実は先程シリルが推測したのはこの幻のことだったのだ。

「なんでそんなことがわかんだよ」

グラシアンが幻を見破ったことにオルガが問いかける。

「おいおい・・・俺は“(まぼろし)”の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だぜ?こと幻については耐性もあるし見破ることもできる」
「ほう・・・」

グラシアンの説明にオルガが納得したような態度を取る。

「ならなぜアレクセイとやらはあの幻を作り出しているんだ?」
「それに幻の中で何をやっているのかも気になるのぅ」

ローグとミネルバが続けざまに質問を投げ掛ける。

「さぁ?理由はもちろんわからねぇ・・・おまけにあの幻、かなり高レベルの魔法みたいで2人が何やってるかはよくわからねぇなぁ・・・」

グラシアンは2人の質問に首を振りながら答える。

「まぁ良いではないか。今は我々に勝負を挑んできた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の戦いをしかと記憶しておこう」
「つっても幻なんだけどな」

ルーファスとスティングがそう言い、剣咬の虎(セイバートゥース)の面々は闘技場へと視線を落とした。果たして大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の目的は何なのか、それを彼らが知ることはなかった。






















「ぐはっ・・・」

アレクセイの怒涛の攻撃により倒れるラクサス。その姿をすぐそばで見下ろしている者がいる。

「・・・」

その者は現在バトルパートを戦っているラクサス。シリルとグラシアンの推測通り、今戦っているラクサスは幻であり、その姿を腕を組んで見ているラクサスこそが本物のラクサスなのであった。

「こいつは何のマネだ?」

本物のラクサスが自分と向かい合っている金色の鎧と仮面に身を包んだ男、アレクセイに問いかける。

「幻影魔法の一種だよ。辺りにいる者たちには今こうして話している我々の実体は見えていない。声も聞こえてない」

アレクセイがそう説明している最中も幻の2人は戦いを続けており、アレクセイがラクサスに攻撃している様子がうかがえる。

「見えているのは戦っている幻の方」

幻のアレクセイは次々にパンチを繰り出しラクサスを攻め立てる。
会場の観客たちは競技パートで大勝利を収めた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士が防戦一方とあってざわめいている。

「よくできているだろう?誰1人として気づいていない。お客はあのラクサスが手も足も出ない映像を見ている」

アレクセイのいう通り、グラシアンとシリル以外の者たちにはこれが幻覚だとは全く気づかれていない。おまけに幻覚に対して耐性のあるグラシアンでさえもアレクセイとラクサスの話している姿が見えないとなると、相当な魔力の高さがうかがえる。

「なぜラクサスがこうも一方的に?」
『ビスカ!!』
『イワンは動いてないよ』

マカロフはそう言い、何かイワンが仕掛けているのかと思ったウォーレンは待機しているビスカに連絡を取るがそれといった動きは取っていないようだ。

『雷神衆+リサーナ!!』
『こっちもたぶん・・・何もしてない』

リサーナは双眼鏡を覗きながらウォーレンに現状を報告する。

「ありえん!!ラクサス!!そろそろ本気を出してくれ!!」
「ちくしょお・・・」

叫ぶフリードとビックスロー。しかしそれでも幻のラクサスは反撃に出ることごできない。

「ラクサス!!どうしちゃったのよ!!」

エバーグリーンもフリードたちと共にラクサスを鼓舞する。しかしアレクセイの作り出した幻とあってはその声援も意味がない。

「お前はギルドでも慕われているようだな。仲間が今これを見てどんな気持ちになっているかな?」

アレクセイがそう言う。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々には実体の2人が見えていないため、傷ついているラクサスの幻を不安そうに見つめていることしかできない。

「おいおい・・・全然意味わかんねぇぞ?」
「ん?」
「お前が幻とやらで勝って何になるってんだ?」

ラクサスのいう通り、幻でアレクセイがラクサスを圧倒していようが関係ないのである。今ここでラクサスがアレクセイを降してしまえばそこで万事解決なのだから。

「その通り。我々の目的は勝利ではない。この幻影は周囲への目眩まし」
「あ?」

ラクサスはアレクセイが何を言っているのかわからずに鋭い眼光で睨み付ける。

「幻影は幻影、結果はいかようにも変更できる」
「結果・・・だと?」
「ラクサス!!」

2人が話していると待機場所からナツの声が聞こえ、そちらを横目で見る。

「「「「ラクサス(さん)!!」」」」
「ラクサスいけぇ!!」
「頑張って!!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)Aチームのメンバーが声援を送る。その目に見えているのはアレクセイに首を捕まれもがくラクサス。

「くっ・・・ふんっ!!」

ラクサスは自らの首を掴むアレクセイの腕を掴み、闘技場の壁に向かって投げ、アレクセイは壁に激突する。

『おおっと!!ラクサス、ここで反撃開始か!?』

体に雷を纏うラクサス。壁に打ち付けられたアレクセイはすぐに立ち上がるが、大きく凹む壁を見るとその威力のすごさとアレクセイが受けたであろうダメージが容易に想像することができる。

「うおっ!!」

ラクサスはアレクセイに向かって突進すると先程までとはうって変わり、次々に拳を繰り出しアレクセイを攻め立てる。

「そこじゃあ!!いけぇ!!ラクサス!!」

マスターの声援を背にラクサスは雷を帯びた拳を振るう。

「よーし!!いけぇ!!」
「楽勝楽勝」

ようやく本来の力を発揮し始めたラクサスを見てフリードとビックスローは大いに盛り上がる。

「やっぱ大丈夫だな」
「そうですね・・・」

ガジルは安心したようにそう言うが、ジュビアは心のどこかでまだ不安を拭いきれていない様子。

「ふぉぉぉっ!!」

ラクサスは雷竜の咆哮を放ちアレクセイはそれを避けることができずに食らってしまう。
ラクサスのブレスの威力に闘技場に煙が立ち込める。

「よーし!!決まった!!」
「よーし!!」

マスターとウォーレンはラクサスの攻撃が決まったことにガッツポーズする。

「要らぬ心配じゃったようじゃの、ウォーレン」
「はい!!」

ウォーレンは頭に指をつけて万が一のために待機しているビスカたちに念話を送る。

『ご苦労さん、ビスカ』
『えぇ』
『雷神衆+リサーナ』
『結局動きなしね』
『一瞬でもラクサスを心配した俺がバカだった!!』

1日目のようなこともなく無事にラクサスの勝利で終えたかに思えた第三試合。しかし、砂煙が晴れるとラクサスの攻撃を受けたはずのアレクセイが何事もなく立っていたのである。

ドゴォッ

「ぐっ!!」

アレクセイは手から黒い波動を放ちラクサスはそれを受けてしまい、そのまま壁に激突する。

「何!?」
「ラクサス!!」

一度は勝利したと思っていたマカロフは驚き、ハッピーはアレクセイの攻撃をまともに受けたラクサスの名前を叫ぶ。

『おっと!!またここで形勢逆転!!ラクサスの反撃もここまでか!?』

地面に尻餅をついているラクサスにアレクセイは静かに歩み寄る。

「ラクサス!!」
「どうなってんたよこりゃ!!」

ナツとグレイがそう言う。
アレクセイは座っているラクサスの胸ぐらを掴み持ち上げると顔にパンチを叩き込み、ラクサスは地面に倒れ込む。

「今のがその結果・・・とやらか?」

観客たちに見えている幻を見ていた本物のラクサスがそう言う。

「我々との交渉次第ではお前を勝たせてやることもできるということだ」
「話にならねぇなぁ」

ラクサスはそう言うと上着を脱いで地面に落とす。

「幻なんか関係ねぇんだよ、今ここで現実のお前を片付けて終わりだ」

ラクサスは体から雷を放出しながら拳を握る。

「それは無理、フフフッ」
「現実は厳しいでさ」

するとアレクセイの後ろに砂柱が立ち、待機場所にいるはずの大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のメンバーたちが現れる。

「いかにお前と言えども大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の精鋭を同時には倒せんよ」
「ククッ」

アレクセイがそう言い、クロヘビは不気味な笑いをする。

「そしてもう1つ・・・」

アレクセイはそう言うと自らの仮面を外す。

「俺の強さは知ってんだろ?バカ息子」

外された仮面から出てきたのはマカロフの息子にしてラクサスの父、そして本来大魔闘演舞への出場を禁止されているはずのマスター、イワン・ドレアーだった。

「そんなことだろうと思ったぜ、クソ親父」

ラクサスは心底苛立った様子で自身の前に現れた父を睨む。

「マカロフは死んでも口を割らん。だがお前は違う。教えてもらおうか、
ルーメン・イストワールの在処を」
「何の話だ?」

イワンの口から発せられた単語に覚えのないラクサスはそう言う。

「とぼけなくていい」
「あ?」
「マカロフはお前に教えているはずだ」
「ホントに知らねぇんだけどな」
「いや、お前は知っているはず」
「ま、例え知っててもあんたには教えねぇよ」

平行線を辿る2人の会話にラクサスが一度区切りをつける。

「おいおい、この絶望的な状況下で勝ちを譲るって言ってんだぜ?条件が飲めねぇってんならおめぇ、幻で負けるだけじゃすまねぇぞ?」
「・・・一々めんどくせぇことしやがって」

ラクサスは下ろしている手に力を入れ、魔力を高めていく。

「じじぃが見切りをつけたのもよくわかる」

ラクサスはそう言い、右手を体の前に持ってきて構える。

「まとめてかかってこいよ、マスターの敵は俺の敵だからよぉ」

イワン率いる大鴉の尻尾(レイヴンテイル)を見据えるラクサス。それを見たイワンたちは目を赤く光らせる。

「どうやら教えてやる必要があるみてぇだな、対妖精の尻尾(フェアリーテイル)特化型ギルド、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の力を!!」

ラクサスを見据え笑みを浮かべる大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の魔導士たち。今ここに1対6の超ハンデマッチが幕を開ける。







 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
剣咬の虎(セイバートゥース)vs.青い天馬(ブルーペガサス)ですが当初は普通にルーファスvs.イヴが戦う予定でした。
ですが4日目のトリプルバトルで一夜とニチヤの『ダブルイケメンアタック』なんかされたら残された1人の疎外感が半端ないと思いここで急遽予定を変更しニチヤを消化させていただきました。
次はラクサスvs.大鴉の尻尾(レイヴンテイル)です。
次回もよろしくお願いします。 
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