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moon light fantasy

作者:ケンケン4
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ゼツとリナとの別れ。旅の始まり。

 
前書き
バイト怠い。 

 
「…アリス。」
「何ですか?」

俺はあの時の様に狂気に染まってなく、正気のままアリスのベッドの近くの椅子に座る。

「俺は…。」

少しだけフォルツは俯くと再びアリスの顔を見て。

「俺の勝手だ。お前をヴァンパイアの花嫁にしてしまった事も。」
「…。」
「だが。俺はそれでも前に進まなければ行けない。俺は奴を…ソーニャを倒さなければならない。」

フォルツはそう言って手を握り震える。それはまるで怒りに耐える様に。それを見てアリスはポツリと言葉をこぼす。

「何があったんですか?
フォルツ、貴方の過去に…。」
「知ってどうする?」

フォルツはくるりと振り向いてアリスを睨む。その顔はまるで思い出したくない物を思い出していた顔だった。
そしてフォルツは言葉を続ける。

「知った所で過去が変わる訳じゃない。」
「それは…。」
「だが…。」

フォルツは扉の方を向いたままポツリと言葉を溢した。
それは突き放す態度では無く何処か優しい言葉で。

「お前はなんとなくだけど信じてみたい…。それは確かだ。
…やっぱり言おう。」

俺は再びアリスに近くとその手を取って。

「…一緒に旅に出てくれるか?」
「…。」

アリスはそれを聞いてゆっくりとベッドから出るとフォルツを抱きしめて。

「…はい。いいですよ。
一緒に旅に出ましょう。」
「…いいのか?危険な旅になるかもしれないんだぞ?」
「…まあ、旅は道連れですから。」














































「なんかいい感じだね♪」
「そうだな。」

扉の隙間からゼツ、リナ、ニナがこっそりと部屋の様子を見ていた。二人が抱き合った所でこっそりと扉を閉める。
そしてゼツはふ、と笑うとニナに。

「なあ、フォルツはあの頃のフォルツに戻って来てるんじゃないのか…?」
「戻って来てるといいんだけどね。」

ニナははあ、とため息を吐くと頭を痒そうに肉球でかきながら。

「あいつは…あんなに可愛い子がいても昔みたいに笑わない。
…無邪気に笑わなくなった。」
「ニナ…。」
「それにフォルツも昔のあの子の事を忘れられないんだよね…。きっとあの娘を殺したのは自分だって今でも思ってるんだよね…。」

ニナはまた一つ。はあ、とため息を吐く。そうしていると不意にリナに掴まれた。そうして猫の人形の様に抱きしめられる。

「でも前に進もうとしてるじゃん♪ニーナ!」
「ギニャ⁉︎
話せにゃ‼︎人の女なんか興味ないにゃ‼︎可愛い黒猫の女の子がいいにゃ‼︎」

そうリナに抱きしめられているニナがギャアギャアと抵抗しているとゼツも話に入ってきた。

「おい…ニナてめぇ…。リナに魅力が無いって言ってるのか…?」
「ギニャニャ⁉︎
違うニャ!言葉の綾ニャア‼︎」
「そうか…。それでもフォルツじゃねえが地獄の果てまで超特急を出してやるよ。」

そう言って手から炎を出すゼツ。その光景を見たニナは慌ててリナに助けを求める。
するとリナは頬を膨らませて。

「ゼツ!ニナちゃん可哀想でしょ!いじめは良くないよ!」
「そうだそうだ!」
「ニナてめぇ…!」

そう言いながらバカをしながら3人はゼツの家まで移動しバカ騒ぎの夜を過ごして行った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…さて、そろそろ行く。」

その一週間後、フォルツとニナ、アリスはお見送りのゼツとリナと共にラクーアの郊外にいた。ちなみにランはギルドを3日で平常に運営できる様にするとさっさとギルド本拠地のある『ブラックベリー』に帰ったらしい。
…嵐の様な奴だ。
そんな事を思っているとゼツが名残惜しそうに話す。

「…俺たちも行きたいんだがな…。」
「ダメだよ。私たちは当分この街を立て直さなきゃ行けないんだから。」

そう言ってなだめるリナ。ゼツとリナはこの街に残ってアスモディウスの起こした事件の混乱を収めてから俺たちの助けになってくれるそうだ。
するとゼツはポケットからあるものを取り出してアリスに渡す。

「そうだ。アリス。これをやろう。」

それは炎をかたどったコインだった。炎のマークと共に複雑な魔法陣が描かれている。

「…これは…?」
「『コイン・フレイム』これを使えば火の魔法からお前を守ってくれる。
…ぜひ使ってくれ!」
「…!
ありがとうございます!」

アリスがゼツにお辞儀している中、リナはフォルツに。

「…ちゃんと守ってあげるんだよ?」
「俺は『初めてのお○かい』の子供か?いちいち言われる筋合いはない。」
「…ねえ。フォルツ。」

リナは下を向きながらフォルツに問いかける。その声は少しだけ震えていた。

「…ねえ。フォルツはあの頃(・・・・)には戻れないの?」
「…。」

俺はその問いに答えず、くるりと後ろを向く。そしてボソッと言葉を吐き捨てる。

「…。もう俺はあの頃に戻れない。きっとソーニャを倒しても。
…けど。」

俺はそう言って途中から話を聞いていたゼツとリナの二人を見て。

「もしも、無事に全てのかたが付いたら…。
あの頃の様に二人に歌を歌うよ。いや、他の奴らも呼んでさ。」
「フォルツ…。お前…!」

ゼツがびっくりした顔で俺を見る中、俺はコートを翻して。道を見る。この先にあるのは…次に目指すのは奴が…ソーニャが待っている暗黒街‼︎

「いくぞ。ニナ。」
「ちょっと待ってよー!
…ってアリスちゃんも速いよ⁉︎」

俺たちは手を降り続けるリナ、ゼツをチラッと見る。そして俺だけ昔をふと思い出して心のアルバムにしまうと暗黒街への道を歩き始めた。 
 

 
後書き
さてさて次はフォルツ君の視点から離れて…。
とあるもう一つの主人公。3人の話になります!
ヒントは英雄と勇者!
感想待ってますてばよ!評価ボタンもよろしくお願いします!あとぜひぜひお気に入りにしてくれるとまいど!嬉しいです! 
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