機動戦士ガンダムSEED PHOENIX
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PHASE-03 予兆の砲火
「システムコントロール、全要員に伝達。現時点を以て、LHM-BB01ミネルバの識別コードは有効となった。ミネルバ、緊急発進シークエンス進行中。ゲートコントロール、オンライン。ミネルバ、リフトダウン継続中。電圧Bチームはモニターフェイズを監視せよ」
インパルスとザクがアーモリーワン宙域でセカンドステージの捜索をしている一方、ミネルバは発信準備を開始。ダメージコントロールや武装起動準備などが急ピッチで進められていく。
「機関、始動。ミネルバ、発進する。コンディションレッド」
「ミネルバ、発進。コンディションレッド発令。パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合してください」
艦内に鳴り響く妹の声に、カガリ達を伴っていたルナマリアは足を止め、固まってしまう。
「戦闘に出るのか!?この艦は!」
「アスラン…」
「!?…アスラン?」
「…あっ!?」
うっかり口を滑らせてしまうカガリであった。
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ロックオン。ステラたちを見届けたネオのエグザスは、ずっと奇襲の機会をうかがっていた。ガンバレルを射出し、インパルスを捉える。
「…!」
放たれたビームはインパルスをかすめ、漆黒の空に消えていく。奇襲に一瞬遅れて反応したインパルスは、後続のビームを機動防盾で防御する。
外した、そう思ったエグザスは機体に装備されているビームガンを撃ちながらインパルスに急接近し、目の前を飛び去っていく。
「さあ…その機体もいただこうか!」
「シン!…!?」
モビルアーマーと交戦状態に入ったインパルスを見て、レイは援護に向かおうとする。そこで気配を感じて後ろを振り返ると、全く見たことの無い艦が宇宙を航行していた。
同時刻、ミネルバのブリッジは発進の時を待っていた。真剣な顔で発進に備えるタリア、アーサー、メイリン。彼らとは違い、目を閉じてなにかを思案しているデュランダル。それから14秒後、ミネルバの船体は漆黒の宙へと放たれたのだった。
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360度全方位から放たれるエグザスのオールレンジ攻撃に、インパルスは翻弄されていた。
ガンバレルを撃ち落とそうとビームライフルを向けるたびに後方から撃たれ、機動防盾で防御をしなければならない。着実にインパルスを追い詰めていたエグザスだったが、そこにレイのザクが割り込んできた。
「レイ!」
「何をしている!ぼーっとしてればただの的だ!この敵は、普通とは違う!」
ザクは敵のビームを左肩のシールドで受け止め、ビームライフルでガンバレルを一基撃ち落とした。
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「機密正常、FCSコンタクト。ミネルバ、全ステージ異常なし」
「索敵急いで。インパルス、ザクの位置は?」
「インディゴ53、マーク22ブラボーに、不明艦1。距離、150」
「緒元をデータベースに登録。以降、対象を”ボギーワン”とする!」
「同157、マーク80アルファにインパルスとザク、交戦中の模様!」
「呼び出せる?」
「ダメです!電波障害が激しく、通信不能」
「敵の数は!?」
「一機です!でも、これは…モビルアーマーです!」
「…ボギーワンを討つ!ブリッジ遮蔽!進路、インディゴデルタ、加速20%。信号弾およびアンチビーム爆雷発射用意!」
ミネルバが戦闘態勢に入り、艦の急所であるブリッジが格納されていく。
「…時間だ。”フェニックス”、出るぞ」
そしてその様子をはるか後方から眺める二つの影が、そこにはあった。
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「ランチャー8、ナイトハルト、一番から四番装填!トリスタン、一番二番、イゾルデ起動!照準、ボギーワン!」
「…彼らを回収するのが先じゃないのか?艦長」
「そうですよ。だから母艦を撃つんです。敵を引き離すのが一番早いですから。この場合は」
ガーティ・ルーブリッジ
「戦艦と思しき熱源接近!」
ブリッジの正面モニターにはミネルバが映し出される。
「例の新型艦か…面舵15、加速30%、イーゲルシュテルン起動!…エグザスは!?」
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そのころ、エグザスはザク、インパルスの二機と交戦を続けていた。
ガンバレルのビームを着実に避け、ガンバレルを撃ち落としていくザク。
「欲張り過ぎは、元も子もなくすか…」
そうつぶやくと、ネオは残りのガンバレルを引き連れて母艦へと撤退していく。
同時に、ミネルバから帰還を知らせる信号弾が放たれる。
「ミネルバ!?…帰還信号!?なんで…」
「命令だ」
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「ナイトハルト、撃てーっ!」
ミネルバから大型対艦ミサイルが6発放たれる。
「回避ーっ!」
ガーティ・ルーは回避運動を取りながら、イーゲルシュテルンですべてのミサイルを撃ち落とした。
「エンジンを狙って!足を止めるのよ!」
ミネルバからなおも砲撃が続くが、紙一重でそれらをかわしていく。
そうしているうちに、エグザスが着艦した。
「撤収するぞ!リー!」
着艦してすぐネオがそう叫ぶと、ガーティ・ルーはエンジンを全開にし、ミネルバから離れていった。
「ボギーワン、離脱します!」
「インパルスとザクは!?」
「帰投、収容中です!」
「急がせて!このまま一気にボギーワンを叩きます!進路イエローアルファ!」
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「大佐!」
「すまん、遊び過ぎたな」
「敵艦、なおも接近!ブルーゼロ、距離110!」
「かなり足の速い艦のようです。厄介ですぞ」
「ミサイル接近!」
「取り舵、かわせーっ!」
イーゲルシュテルンが小型ミサイルを撃ち落としていく。
「…両舷の予備燃料タンクを、分離後爆破!アームごとでいい!鼻っ面にくらわせてやれ!同時に、上げ舵35、取り舵10!機関最大!」
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「ボギーワン、船体の一部を分離!」
ネオの指示通りタンクが分離され、ミネルバ正面に迫る。
「撃ち方待て!面舵10、機関最大!」
二つのタンクがミネルバ正面にぶつかると同時に、大爆発を起こす。
「きゃああああああああああああっ!!」
「ううううっ!」
メイリンが悲鳴を上げ、タリアが唸る。
その衝撃は艦全体に伝わり、現在カガリの手当てをしている医務室やMS格納庫も例外ではなかった。
「なに!?」
「うわああっ!!」
「ブリッジ、どうした!?…チィ!」
「くっそおおおおお!!」
シンは衝撃が止まない中、すぐにインパルスのコクピットへ向かった。
「敵艦の位置は!?」
「待ってください、まだ…」
「CIWS起動、アンチビーム爆雷発射!…次は撃ってくるわよ」
「見つけました!レッド88、マーク8チャーリー。距離500!」
ブリッジに連絡がつかないことから、レイがブリッジに入ってくる。
「議長…!」
ギルバートは、険しい顔でレイを見据えていた。
「やってくれるわ…こんな手で逃げようだなんて」
「だいぶ手ごわい部隊のようだな…」
タリアがギルバートへ振り向く。
「ならばなおのこと、ここで逃がすわけにはいきません。そんな連中に、あの機体が渡れば…」
「ああ…」
「今からでは下船いただくこともできませんが、私は、本艦はこのままアレを追うべきだと思います。議長のご判断は?」
「私のことは気にしないでくれたまえ、艦長。私だってこの火種、放置したらどれだけの大火になって戻ってくるか、それを考えるのは怖い。アレの奪還、もしくは破壊は、現時点での最優先責務だ」
「…ありがとうございます。トレースは?」
「まだ追えます!」
「では、本艦はこれよりさらなるボギーワンの追撃戦を開始する。進路イエローアルファ、機関最大!」
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『全搭乗員に通達、本艦はこれより、さらなる追撃戦を開始する。この度は思いもかけぬ初陣となったが、これは非常に重大な任務である。各員、日ごろの訓練の成果を存分に発揮できるよう努めよ』
「ブリッジ遮蔽解除、状況派生まで、コンディションをイエローに移行…議長も少し、艦長室でおやすみください。ミネルバも足自慢ではありますが、敵もかなりの高速艦です。すぐにどうということはないでしょう。レイ、ご案内して」
「ハッ!」
レイに向かって頷き、ギルが立ちあがった瞬間、ルナマリアから通信が入った。
『艦長!』
「どうしたの?」
『戦闘中ということもあり、ご報告が遅れました。本艦発進時に、格納庫にてザクに搭乗した二名の民間人を発見。これを拘束したところ、二名は…オーブ連合首長国代表、カカリ・ユラ・アスハと、その随員と名乗り、傷の手当と、デュランダル議長への面会を希望しました』
「オーブの?」
「彼女が?なぜこの艦に…」
ギルは驚いて呟く。タリアも同様であった。
『僭越ながら、独断で傷の手当てをし、現在は士官室でお休みいただいてますが…』
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ガーティ・ルーでは、強奪した三機のセカンドシリーズの分析、整備が進められると同時に、パイロットの三人が”ゆりかご”で調整を受けていた。アウル、スティング、ステラの三人は前大戦時の生体CPUの流れをくむ強化人間で、その名称を”エクステンデッド”といい、生体CPUほどのひどい薬物中毒症状こそないものの、定期的に記憶の削除や投薬など、様々な調整をしなければならないのである。
「…ポイントBまでの時間は?」
調整の様子を見ていたネオがその場から退出、ブリッジに移動し、リーに尋ねる。
「二時間ほどです。まだ追撃があるとお考えですか?」
「わからんね。わからんからそう考えて予定通りの進路を取る。予測は常に悪い方へしておくもんだろう?特に戦場では」
「…彼らの最適化は?」
「おおむね、問題はないようだ。みんな気持ちよさげに眠っているよ。ただ、アウルがステラにブロックワードを使ってしまったようでね、それがちょっと厄介ということだが…」
「なにかある度にゆりかごに戻さねばならないパイロットなど、ラボは本当に使えると思っているのでしょうかね」
「それでも、前のよりはだいぶマシだろ。こっちの言うことや仕事をちゃんと理解して実行できるだけ…しかたないさ。今はまだ、なにもかも試作段階みたいなもんだからな。艦も、MSも、パイロットも」
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「本当にお詫びの言葉もない。姫までこのような事態に巻き込んでしまうとは…ですがどうか、ご理解いただきたい」
「あの部隊については、まだなにもわかっていないのか?」
いい加減”姫”はよせ、といいたげにカガリはギルを睨みつける。
「…そうですね。艦などにもハッキリとなにかを示すようなものは、なにも。しかし、だからこそ我々は、この事態を一刻も早く収拾しなければならないのです。取り返しのつかないことになる前に」
「ああ、わかってる。それは当然だ。議長、今はなんであれ、世界を刺激するようなことは、あってはならないんだ、絶対に…」
カガリの頭には、前大戦で共に戦ったが、終戦後「失望した」とだけ言い残し自分やラクスのもとを去って行った少年の姿が思い出されていた。彼はいったい何が不満で、何に失望したのだろう?その答えを、彼は最後まで教えてくれなかった。
「ありがとうございます。姫ならばそうおっしゃっていただけると、信じておりました。よろしければ、まだ時間のあるうちに、少し艦内をご覧になってください」
「議長、それは…」
「一時的とはいえ、いわば命をお預けいただくことになるのです。それが盟友としての我が国の相応の誠意だと思いますが…」
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「オーブのアスハ!?」
「そう、私もびっくりした。こんなところで、大戦の英雄に会うとはね」
格納庫ではシンとルナマリアが雑談を交わしていた。
オーブ、その単語を聞くと、シンは家族を失った忌まわしい記憶を呼び起こされてしまう。
「…どうかしたの?」
「え?ああ、いや…あのザク、ミネルバ配備の機体じゃないから、だれが乗ってたのかなって」
「操縦してたのは、護衛の人みたいよ。アレックスっていってたけど…でも、アスランかも!」
アスラン、その単語にシンは大きく目を見開く。アスランと言えば前大戦時の評議会議長パトリックの息子で、連合ザフト双方を相手取り戦った三隻同盟の中でも三傑の一人と言われていた。フリーダム、ジャスティス、フェニックスの3機は連合ザフト双方から恐れられ、多くのモビルスーツや艦が彼らの前に倒されていったのであった。
「代表がそう呼んだのよ、咄嗟に。その人のこと、『アスラン』って。アスラン・ザラ、今はオーブにいるらしいって噂でしょ?」
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「しかし、この艦もとんだことになったものですよ。進水式前日に、いきなり実戦を経験することになるとはね」
「ここから、MSデッキへ上がります」
ギル、レイ、カガリ、アスランの四人がエレベーターに乗り込む。
エレベーターのドアが開き、シンたちが目を向けると、そこから四人が出てくる。
「ザクはもうご存知でしょう。現在のザフト軍主力機です。そしてこのミネルバ最大の特徴とも言える、この発進システムを使うインパルス。工廠でごらんになったそうですが」
「ああ…」
「技術者に言わせると、これはまったく効率のいい、新しいMSシステムなんだそうですよ。私にはあまり、専門的なことはわかりませんがね…しかし、やはり姫にはお気に召しませんか?」
「…議長は嬉しそうだな」
「嬉しい、というわけではありませんが…あの混乱の中から皆で懸命に頑張り、ようやくここまでの力を持つことができたということは、やはり…」
「…疲れた。争いが無くならぬから力が必要だとおっしゃったな、議長は。だが、ではこの度のことはどうお考えになる!?あのたった三機の新型MSのために、貴国が被ったあの被害のことは!?」
「代表…!」
アスランは止めにかかるが、カガリは耳を貸そうとしない。
「…だから、力など持つべきではないのだと?」
「そもそもなぜ必要なのだ!そんなものが、今更!」
その会話を聞いていたシンが拳を握りしめる。それでもおさまらず、怒りで全身が震え始める。
「我々は誓ったはずだ!もう悲劇は繰り返さない、互いに手を取って歩む道を選ぶと!」
「それは…しかし姫…」
「さすがキレイごとは、アスハのお家芸だな!!!」
「シン!!」
シンは振り向き、眼力でカガリを射殺さんばかりに睨みつけると、まわりの静止を振り切りインパルスへと行ってしまった。睨みつけられたカガリは、怒りに染め上った真紅の瞳を受けて、何一つ身動きできなった。
カガリは、なにもわかっていない。ヤキン戦役は、”互いの合意のもとに終わった”のではなく、ほかならぬ三隻同盟が”無理やり終わらせた”のであって、コーディネーターの選民意識や、ナチュラルが感じている劣等感と排除への恐怖など、戦争が起こった原因については何一つ解決していないのだ。さらにユニウス条約も、プラントに対して圧倒的不利な内容であったのだから、近いうちにまた新たな戦争が起こるであろうことは、見る目を持つ人間からすれば火を見るよりも明らかなのである。
『敵艦捕捉、コンディションレッド発令!パイロットは搭乗機へ!』
そこへメイリンから艦全体に向けて放送が入る。
「最終チェック急げ!始まるぞ!」
デッキが途端に慌ただしさを増した。
「申しわけありません!この処分は後程必ず!」
シンを掴み上げようとしたレイだったが、放送を受けて自分のザクへと急いで向かう。
「本当に申し訳ない、姫。彼はオーブからの移住者でして、よもやあんなことを言うとは思いもしなかったのですが…」
「えっ…」
カガリの瞳には、困惑の色が浮かんでいた。
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「やはり来ましたか」
「ああ。ザフトもそう寝ぼけてはいないということだ」
ミネルバがガーティ・ルーを捕捉したころ、ガーティ・ルーでもミネルバの接近を確認、コンディションレッドに移行していた。
「ここで一気に叩くぞ!」
ネオの一言でブリッジ全体に緊張の糸が張り詰める。
「総員、戦闘配備!パイロットはブリーフィングルームへ!」
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「向こうもよもやデブリの中に入ろうとはしないでしょうけど、危険な宙域での戦闘になるわ。操艦、頼むわよ」
「ハッ!」
「シンとルナマリアで先制します。発進準備は終わってるわね?」
「はい!」
「目標まで、6500!」
そこに、ギルとカガリ、アスランの三人が入ってくる。
「議長…」
「いいかな?艦長。私は、オーブの方々にもブリッジへ入っていただきたいと思うのだが」
「えっ、いや、あの、それは…」
「君も知っての通り、代表は先の大戦で艦の指揮を執ったこともあるお方だ。数多くの戦闘を経験してきている。そうした視点から、この艦の戦いを見ていただこうと思ってね」
当のカガリは目を閉じたまま、下を向いて動かない。
「…わかりました。議長がそうお望みなのでしたら」
「ありがとう」
カガリとアスランが席に着く。
「目標まで6000!」
「ブリッジ遮蔽!対艦、対MS戦闘用意!」
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「あの新型艦だって?」
「ああ。来るのはあの合体野郎かな」
「なら、今度こそバラバラか、生け捕りか」
「どっちにしろ、また楽しいことになりそうだな」
「アンカー撃て!同時に機関停止、デコイ発射!タイミングを誤るなよ!」
三人がパイロットスーツに着替えている中、ガーティ・ルーからはデコイが発射されていた。
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『ルナマリア・ホーク、ザクウォーリア、発進スタンバイ。全システムオンライン、発進シークエンスを開始します』
ルナマリアカラーのザクがビーム突撃銃とガナーウィザードを装備し、カタパルトにセットされる。
『インパルス、発進スタンバイ。モジュールはブラストを選択、シルエットハンガー三号を開放します。プラットホームのセットを完了、中央カタパルト、オンライン。機密シャッターを閉鎖します。コアスプレンダー、全システムオンライン。発進シークエンスを開始します。ハッチ解放、発射システムのエンゲージを確認』
コアスプレンダー内で、『Generation Unrestricted Network Drive Assault Module』とOSが立ち上げられる。
「目標、進路そのまま。距離、4700」
「ザク、インパルス、発進!」
「ルナマリア・ホーク、ザク、出るわよ!」
ルナマリアのザクがモノアイを輝かせながら、漆黒の宇宙へと飛び出していく。
「ボギーワン…本当の名前はなんと言うのだろうね?」
「…は?」
唐突に話しかけられてアスランは言葉を返せない。
『続いて、インパルス、どうぞ!』
「シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!」
コアスプレンダーが発進し、各フライヤーとドッキングし、『ブラストインパルス』となって飛び去っていく。
「名はその存在を示すものだ。ではもし、その名が偽りだったとしたら?」
ここでギルは振り返り、アスランに笑いかける。
「それが偽りだとしたら、それは、その存在そのものも偽り、ということになるのかな?アレックス…いや、”アスラン・ザラ”君?」
ブリッジの目が、アスランへと向く。
そのようなことになってるとは露知らず、ザクとインパルスは飛び続ける。
この時点で、ザフトも地球連合も、本当の敵は目の前にいるのではなく、はるか後方から迫っていることを知らなかった。
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力があるからか、争いがあるからか
連綿と続く刻の中、それは未だ出ぬ答え
だが今、向き合う事態が望む物は
次回、機動戦士ガンダムSEED PHOENIX『星屑の戦場』
その力、見せつけろ!ザク!
後書き
いやあ遅くなりましたすいません 次か次々回あたりで主人公同士の第一次会戦がある…かも?
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