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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another61 愚王の末路

 
前書き
ヴァンデモン撃破 

 
エクスブイモンは全員の前に出て、ヴァンデモンを睨み据えた。
暗黒の力を過剰吸収し、デジモンですらない存在となり果てたヴァンデモンを冷たく見据えた。

ヴァンデモン[貴様か……貴様から受けた屈辱。忘れはしないぞ。貴様だけは私のこの手で殺してやる!!]

エクスブイモン[ふう、どうやら少しくらい痛めつけたくらいじゃお前の腐りきった性根は直らないか。更正は得意じゃないんだけどなあ]

今のヴァンデモンには吐き気がする。
虫唾が走る。
唾棄したい感情が襲う。
元々好印象は抱いてはいなかったが、ここまでの屑だとは。

ヴァンデモン[ほざくな!!成熟期風情が私に楯突いたことを後悔するがいい!!]

ヴァンデモンのブラッディストリームがエクスブイモンに炸裂した。

ヒカリ「エクスブイモン!!」

まともに喰らったエクスブイモンを案じるヒカリだが、エクスブイモンが見せた笑みに安堵した。

エクスブイモン[成る程、いい一撃だ。雑魚のお前をここまで強化するとは暗黒の力は凄いな。]

ヴァンデモン[貴様、何を寝ぼけたことをほざいている?]

エクスブイモン[お前こそ何をほざいてるんだ?お前の力は所詮は紛い物の力。紛い物の力に縋っているお前をどう評価しろって言うんだ?笑わせるな小物の愚王が]

ヴァンデモン[そうか、ならば今すぐ仕留めてくれるわ!!]

侮辱したエクスブイモンを殺すためにヴァンデモンは動く。
そしてエクスブイモンは、ヴァンデモンを内心で嘲笑った。
この程度の挑発に乗ることが自分を小物だと証明していることに気付かないのだろうか?
真の実力者はこのような挑発には決して乗ったりはしない。
自分の力に誇りを持ち、確固たる意志を持つ者は簡単に動じたりしない。
エクスブイモンはヴァンデモンの攻撃を避けると鳩尾と顔面にパンチを叩き込んだ。

ヴァンデモン[ごふっ!!?]

反撃されるとは思わなかったのか、受け身すら取れずに倒れた。

エクスブイモン[何だ。この程度か。がっかりだぜ]

ヴァンデモン[ぐっ、お、己…]

エクスブイモン[蒼雷]

ヴァンデモン[ぐああああああああああっ!!?]

強烈な雷撃がヴァンデモンに炸裂。
雷撃はヴァンデモンの身体を黒こげにするが、すぐさま再生していく。

エクスブイモン[へえ]

ヴァンデモン[ふ、ふふふ…い、いくら貴様が私に攻撃を与えようとも、我が再生能力の前にしては無力だ]

再生能力によりダメージも回復したらしいヴァンデモンはエクスブイモンを嘲笑うが、エクスブイモンも同じように嘲笑った。

エクスブイモン[確かにお前の再生能力は大したもんだ。けどお前さ、別の意味を考えられないか?再生能力があるってことは…]

一瞬でヴァンデモンとの距離を詰めて、ヴァンデモンに拳の連打を叩き込む。

ヴァンデモン[ぐああああああああああ!!?]

エクスブイモン[再生能力のせいで気絶することも出来ずに完全に回復するまではこうやって痛みに悶えなきゃいけなくなるってことだ。お分かりかな愚王?]

エクスブイモンが殴っているうちに身体が再生していくヴァンデモン。
骨が折れても、頭が歪んだ形に変形しても、顎が砕けても、足が千切れても再生能力のせいで気絶することも出来ないし死ぬことも許されない。
生き地獄とは正にこのことだろう。

ヴァンデモン[ぎゃあああああああああ!!!!]

蒼雷で身体を焼かれ、再び乱打を喰らい、断末魔の叫びを上げるヴァンデモン。

エクスブイモン[こいつはいい。いくら殴っても劣化しない上等なサンドバックだ。良かったなヴァンデモン。お前にも価値が出来た…ぞ!!]

全力でぶん殴り、ヴァンデモンは錐揉み回転しながら吹っ飛ぶ。

エクスブイモン[ふう…ようし、身体が温まって来たぞ。それじゃあそろそろ本番と行こうか!!]

肩を回し、指の関節を鳴らしながらヴァンデモンの再生を待つ。

ヴァンデモン[ぐ…おお…調子に乗るな!!その自惚れを後悔するがいい!!ナイトレイド!!]

屈辱に顔を赤く染めながらエクスブイモンに攻撃を繰り出すが、エクスブイモンはそれを回避して拳に雷を纏わせた。

エクスブイモン[全く、自惚れてんのはどっちだか、今度は更に痛いから気をつけろよ]

雷を纏わせた強烈なパンチを喰らわせる。
ヴァンデモンは再び仰向けに倒れた。

エクスブイモン[さあて、その強力な再生能力でこいつが耐えられるかな?]

腹部のX字に、ビッグサイトで見た時よりも強力なエネルギーが収束していく。

エクスブイモン[エクスレイザー!!]

ヴァンデモンにエクスブイモンの必殺の光線が繰り出され、直撃を受けたヴァンデモン。

ヴァンデモン[ぐおああああああああ!!?]

エクスレイザーの直撃を受けて下半身が消し飛んだが、下半身が消滅しても再生が始まる。
流石にエクスブイモンも感嘆した。
後もう少し威力があればヴァンデモンは完全に消滅していただろうが、あれ以上の威力はエクスブイモンには難しい。

エクスブイモン[いやはや、これはもう笑うしかないな。まるでゴキブリ並みの生命力だ。これは参ったよ。ほら、待っててやるから再生しな]

追撃出来るというのにしない。
完全に遊ばれている。
それがヴァンデモンには耐え難い屈辱であった。
再生を終えたヴァンデモンにエクスブイモンは笑みを浮かべた。

エクスブイモン[けどな、お前は再生能力のおかげとはいえ、俺の渾身のエクスレイザーにさえ耐えきった。今更エクスレイザーを連発して倒すのも何だし、敬意を評して…見せてやるよ俺の完全体の姿]

ヴァンデモン[っ!!]

エクスブイモンの言葉にヴァンデモンの表情が驚愕に染まった。

エクスブイモン[覚悟しろ!!こいつでお前を倒してやる!!エクスブイモン超進化!パイルドラモンイクス!!]

擬似ジョグレスによる超進化でパイルドラモンイクスに進化する。
エクスブイモンの時とは比較にならないほどのパワーにヴァンデモンは身体の震えを抑えられなかった。

パイルドラモンイクス[遊びはもう終わりだ]

一瞬でヴァンデモンの背後に回ると、ヴァンデモンの側頭部に回し蹴りを喰らわせ、吹き飛ばすと拳と蹴りの乱打を浴びせる。

パイルドラモンイクス[そらそらそらそらそらそらそらそらそらそらそらそらそらそら!!!!どうしたヴァンデモン!!?反撃してこい!!!!]

ヴァンデモン[ぐはああああああ!!!!]

パイルドラモンイクスの乱打にヴァンデモンは反撃すら出来ずに打ち据えられるだけだ。

パイルドラモンイクス[デスペラードブラスター!!!!]

両腰の生体砲からエネルギー波を放つ。
それも1発ずつではない。
何度も何度も乱射され、ヴァンデモンの身を貫いていく。

ヴァンデモン[ぐはあああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!!!]

パイルドラモンイクス[……今にしてみれば、何でお前如きにああも振り回されちまったのか分からん。もうお前はデジモン以下の存在だ。消えろフルチャージデスペラードブラスター]

最大までエネルギーが収束された生体砲から放たれたエネルギー波がヴァンデモンを飲み込み、仮面だけ残して消し飛んだ。

太一「あ…倒…した…?」

あまりにも戦い方が凄かったから半ば呆然とパイルドラモンイクスとヴァンデモンの戦いを見ていた太一達。

大輔「倒した…か…?そんな訳…ないか…?」

ヴァンデモンのあのゴキブリ並みの生命力を考えればあれくらいで死ぬことは有り得ないと思うのだが、あまりにも一気呵成に行き過ぎたゆえ、やや実感には乏しい。

タケル「やったね大輔君!!」

ヒカリ「凄かったよ!!」

大輔「ああ、にしても、ちょっと呆気なさすぎる気がするけど…タケルとヒカリちゃんもナイス連携だったぜ」

ヒカリ「ありがとう。…あれ?」

パイルドラモンイクス[どうした?]

ヒカリ「霧…晴れてない」

タケル「あ…、本当だ」

大輔「チッ、仕留め損ねたか。ヴァンデモンを探すにしても…」

パイルドラモンイクス[……無理だ。微弱な生命反応も見つからない。しばらく様子を見るしかないな]

大輔「みんな、一度みんなの所に戻りましょう。ヴァンデモンが何かを仕出かすまではまだ時間がありますから」

ヴァンデモンが動きを見せるまで、やれることはやっておこうと大輔の言葉に頷く太一達であった。 
 

 
後書き
何か途中でどっちが悪役だか分からなくなりました 
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