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オズのカエルマン

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第十一幕その四

 その鯨はです、何かといいますと。
「モビーディッグ?」
「あの伝説の」
「まさか本当にいたなんて」
「あの鯨まで」
「ああ、そういうことなんだね」
 ここでカエルマンもわかったのでした。
「どうして蛇さんの調子が悪くなったのかわかったよ」
「モビーディッグさんにですか」
「関係があったんだよ」
 神宝にもお話するのでした。
「蛇さんの調子が悪い理由は」
「確かモビーディッグっていうと」
 ジョージは子供の頃お祖父さんに聞いたお話を思い出しました。
「エイハブ船長と死闘を演じた」
「ああ、白鯨だよね」
 神宝もジョージにすぐに応えました。
「あのお話は面白いね」
「そうだね、けれどね」
「あの鯨はとても怖くて」
 そして、です。
「最後の最後でね」
「主人公の乗っている船に体当たりして」
「船を壊してしまうんだよね」
「それだけにね」
 あの鯨はというのです。
「物凄く怖いよ」
「そうだよね」
「あの、そもそもだよ」
 カルロスもその鯨、モビーディッグを見つつ言いました。
「あの鯨マッコウクジラだけれど」
「うん、頭が大きいしね」
「歯もあるしね」
 神宝とジョージは川から顔を出しつつ泳いでいるモビーディッグを見ながらカルロスに答えました。その姿はまさにマッコウクジラです。
「あれはね」
「マッコウクジラだよ」
「確かマッコウクジラって二十メートル位だよね」 
 カルロスは首を傾げさせつつ言いました。
「そうだよね」
「あの鯨二十メートルどころじゃないよ」
 ここでこう言ったのはです、カエルマンでした。
「その十倍はあるね」
「二百メートルですか」
「それはまた相当ですね」
 神宝もジョージもあらためてです、その大きさを認識しました。
「あの巨大さは」
「玄武さんの倍はありますよ」
「普通の鯨じゃないです」
「とてつもない大きさなんですけれど」
「モビーディッグのことはね」 
 ここでこうもお話したカエルマンでした、五人の子供達に。
「僕も知ってはいたよ」
「あの鯨さんもオズの住人ですか」
「そうなんですね」
「あの方も」
「そうなんですか」
「そうだよ、けれどね」
 そのモデーディッグはといいますと。
「凄く大人しいから」
「あっ、そうなんですね」
「オズの国のモビーディッグさんはですか」
「大人しいんですか」
「そうなんですね」
「うん、だからね」 
 それで、というのです。
「安心していいよ」
「そうですか」
「あの鯨さんは大人しいんですね」
「白鯨のモビーディッグさんと違って」
「そうなんですね」
「そうだよ、けれどね」
 それでもとです、カエルマンは五人にこうも言ったのでした。 
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