イナズマイレブン~クロスライジング~
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鬼道の過去
前書き
お待たせしました!
「うおーすっげぇすっげぇ!こんな広い部屋に一人かよ!」
俺は騒いでいる円堂を軽く流し、気になったあるものを手に取る。
「ん?すごく古いサッカー雑誌だな…」
すると鬼道は俺に振り向き話す。
「まあな…俺がなんでサッカーをやり始めたか知っているか?」
俺と円堂が首を横に振ると、鬼道は真剣な顔でそして、少し寂しそうな顔で話を始めた。
「俺の両親、飛行機事故で死んだんだ…父さんも母さんも海外勤務が多くてさ…俺と春奈は2人っきりだった。そしてあの事故で本当に2人っきりになっちまった、家族の写真一枚も残っていない…小さかったから父さんや母さんの記憶もほとんどない…残ったのはこれだけ、これだけが父さんと俺を繋ぐ絆なんだ。だからサッカーを始めた…ボールを蹴れば父さんと一緒にいるような気がした」
「お前も同じだったんだなぁ…俺もさ、死んだじいちゃんがすっごい選手で…そのじいちゃんの特訓ノートなんかを読んで、俺もボールを蹴り始めたんだよ」
円堂が呟くと俺も口を開く。
「俺も両親が死んで、俺は心に深い穴が空いていた時期があった。その穴を塞いでくれたのが、サッカー、そして心美なんだ。本当に感謝しているよ」
俺たちの話を聞くと鬼道は呟く。
「…お前たちと同じか…」
「なんだよ、嫌なのか?」
円堂が鬼道に話すと鬼道は
「いや…そうじゃない」
と呟き、俺たちは軽い食事もご馳走になり、鬼道の家を後にした。
そしてその頃。
──────────
「お父様の容態はどう?」
「はい、安定しております。ああ…それから旦那様からのご伝言です」
その頃、夏未は入院中の理事長に変わり学校で仕事に励んでいた。そんな夏美に理事長からなにやら手紙が届けられ、目を通した夏未は驚いた。
「な、何よこれ…」
その文章とは
『───というわけでバスは横転した。しかしイナズマイレブンの選手達は這ってでも試合に出ようとした…だがその事態を見透かしていたように、大会会場には一本の電話がかかってきた…「試合には参加しません」と…それは影山からの電話だった。他にもある、御影専農中学を覚えているだろうか?あの中学のバックにも彼がいたことが確認されている。夏未、影山は中学サッカー協会副会長とはいえ、何を考えているか分からない…表舞台から消えても十分注意して欲しい」
そこに書かれていたのは、理事長が知っている限りの影山の悪事をまとめたものであった…
───────
そしてそうこうしているうちに、雷門中が二回戦に戦う日は間近に迫ってきていた。おなじみの光景になってきた音無が集めた相手校の情報をもとに、俺たちは部室で対策を練っていた。
「みんな、全国大会二回戦の相手は千羽山中だ!」
「千羽山中は山々に囲まれ、大自然に鍛えられた選手達がいます。彼らは無限の壁と呼ばれる鉄壁のディフェンスを誇っていて、未だかつて得点を許していません」
俺は驚き質問する。
「それは全国大会まで1点も許していないと言うことか?」
「ええ、1点たりとも…シュート力には難点がありますが、この鉄壁のディフェンスでここまで勝ち抜いて来たんです」
鉄壁か…俺たちFW陣が頑張らないとな…、俺がそんなことを思っていると、円堂が叫ぶ。
「その無限の壁とかいう鉄壁のディフェンスを破ればいいんだな?だったらこっちはダイヤモンドの攻めをすればいいんだよ!」
俺たち全員が頭に?を浮かばせながら呟く。
「「「は、はぁ…?」」」
それでも勢いが止まらない円堂は、訳の分からない演説を続ける。
「鉄壁のディフェンスが崩れるまで攻める!それがダイヤモンドの攻めだ!そのためには特訓だぁぁぁ!」
「「「お、おぉ~…」」」
俺たちは円堂の勢いに釣られ少し、気の抜けた返事を返した。
───────
「宍戸!パス!」
(1…2…3!)
宍戸はいつものタイミングで風丸にパスを出す。
バシッ
「うわっ!?」
「す、すいません!いつもみたいにパスしたつもり何ですけど」
しかし、風丸は宍戸のパスを置き去りにしてしまう。
──────
「栗松っ!」
俺は栗松にいつもと同じようにパスを出す。
グオォォ!
「どわーーーっ!」
「あ、あれ?もしかして俺のボール、スピード違反だった?」
しかし俺が放ったパスは威力が強すぎて栗松は驚きのあまり涙目になっている。
─────────
「ドラゴンッ───!!」
「トルネードォォ!!」
染岡と豪炎寺の合体シュート、ドラゴントルネードが円堂が守るゴールに向かう。
ギュューン! スゥゥ…
しかしドラゴントルネードは途中で威力を失い、円堂の手に簡単に収まる。
「何よ、みんなたるんでるわね」
お嬢が俺たちの練習を見ながら呟く。
「みんな変だわ…それにドラゴントルネードが決まらないなんて」
木野が心配そうに呟くが、お嬢は
「体がなまってるんだわ」
言葉を一言呟くだけだ。
「そんなことないですよ、みんな動きは格段に速くなっています」
音無がお嬢に意見を述べるが、終いにはお嬢はまた呟く。
「じゃあ気持ちがなまってるんだわ。イナビカリ修練場で特訓かしら」
お嬢が呟いていると、それを横で見ていた響木監督が呟いた。
「修練場のせいだ」
「え…?どういう意味です?」
監督の予想外の言葉に驚いた木野は監督に意味を聞く。
「個人的な技術や体力は格段に上がったが、身体能力が向上してもそれを感覚として捉えていない。相手の身体能力がどれくらい上がったかが感覚的に分からないから、タイミングが合わせられない」
「そんな…能力の向上が裏目に出るなんて…」
監督は雷藤たちの異変の原因に気付いていた。全員がイナビカリ修練場で身体能力が向上し、動きが良くなりすぎた為に、今までの連携が出来なくなっていると言うことに…
───────
「はーい、ちょっと休憩!」
疲れていた俺たちに木野の声が響きわたる。
「スポーツドリンクで水分補給!」
「レモンのハチミツ漬けもあるわ」
音無がドリンクを持ってきて、お嬢がレモンのハチミツ漬けを持ってくる。しかも手作りとのことだ。
俺たちは手作りのレモンのハチミツ漬けを食べながら、ドリンクで喉を潤す。
「夏未さん、いつの間にハチミツ漬けなんて作ったの?」
「ヒマだったのよ」
「やっぱりみんなのことが気になる?」
「…負けてうちの評判を落とされると困るだけよ」
何か話をしていたお嬢たちのところに俺は近付きお嬢に話しかける。
「お嬢、レモンのハチミツ漬け美味かったぜ!またよろしくな!」
「ほ、本当?ん、んん!ヒマだったらまた作ってあげるわ」
お嬢は一瞬嬉しそうな顔をしたあと、少し照れたようにそっぽを向いて話す。
「ああ、楽しみにしてるぜ」
俺はその場を離れ、練習に向かった。
「夏未さん、私たちも次の準備しましょうか」
「そうね、そうしましょう」
木野とお嬢、音無はマネージャーの仕事をテキパキこなすのだった。
後書き
雷藤「豪炎寺!」
豪炎寺「ああ!」
「「イナズマ2号!!」」
グオォォ!スゥゥ…
雷藤「駄目か…」
豪炎寺「あぁ、そうみたいだな…」
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