DOG DAYS THEオリジナル
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第1話 勇者 再び帰還
前書き
無事に終われるか、不安で仕方ありません。
異世界のフロニャルドでは、春が到来していた。ビスコッティ,ガレット,パスティアージュの3国では、賑やかに準備が進められていた。今回は3人の勇者の帰還に伴い、【戦】への準備で3国の街では賑わいを見せている。一方、3国の領主は、勇者の帰還と言うだけあって、胸が高鳴っている。
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特にガレットのレオ閣下はその中でも胸が高鳴っている。
レオ閣下『ついにこの日が来たぞ。お前の活躍を楽しみにしているぞ、“シャンディー”。』
『……。』
ヴァンネット城の一室。【戦】の始まりが待ち遠しいレオ閣下は、すぐそばにいた戦士に声をかけた。
シャンディーと呼ばれた者は、ただ黒い笑みを浮かべながら黙っていた。
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一方、2012年の3月中旬。場所は地球にある日本の紀乃川市。ビスコッティの勇者 シンク・イズミとパスティアージュの勇者 レベッカ・アンダーソンは、インタースクールが春休みとなったので、春休みの内の2週間をフロニャルドで過ごすために、荷物を抱えてシンク・イズミ,レベッカ・アンダーソン,タカツキ・ナナミはフロニャルドへの案内役との待ち合わせ場所に向かっていた。
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シンク『よし。』
先に到着したのは、ビスコッティの勇者 シンク・イズミ。
場所はインタースクールの屋上、そこには、シンクの案内役でビスコッティのオンミツ犬のタツマキが控えていた。
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レベッカ『つ〜いた‼︎』
2番目はレベッカ。
場所はシンクと同じ場所、レベッカの案内役はシュゼと言う使役鳥。
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ナナミ『よし‼︎』
最後はナナミ。
場所は夜のロンドン郊内のとある建物の屋上、そこにガレットのオンミツ猫のチェイミーがいた。
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勇者の到着を確認したタツマキ,シュゼ,チェイミーは、背中の短剣を地面に刺してゲートを展開。その直後、シンク,レベッカ,ナナミのそれぞれが紋章陣の中に入るのを確認したタツマキ,シュゼ,チェイミーが紋章陣の中に入ると、ゲートはシンク達を包み込んで消滅。
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光に包まれたシンク達は雲の中を突っ切り、フロニャルドの上空に出た。そこからは、ビスコッティ,ガレット,パスティアージュへと別れて行く。
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一方地上では…、
ビスコッティ領内。
≪タッタッタッ……≫
ミルヒ『はぁっはぁっはぁ……。』
ビスコッティの領主 ミルヒオーレが、シンクが再召喚される場所へと急いでいた。
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ガレットのヴァンネット城の裏。
レオ閣下『……。』
ガレットの領主 レオ閣下は、ナナミが来るのを待ち望んでいた。
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パスティアージュの英雄王が眠っていた場所。
クーベル『まだかのう、まだかのう……。』
パスティアージュの公女 クーベルは、レベッカが到着するのを今か今かとウズウズしていた。
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すると…、
≪キランッ‼︎≫
ミルヒ『はぁ♪』
レオ閣下『ふむ。』
クーベル『おお〜、来たか‼︎』
3人の直上に、一種の光が姿を現した。ミルフィ側はピンク、ガレット側は青、パスティアージュ側は黄色。それは、シンク達の来訪を表す光であった。
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まずはシンク。
シンクが到着すると、目の前にミルヒオーレがいた。
ミルヒ『シンク。』
シンク『姫様。』
≪タタッ≫
2人は駆け寄ると、互いを抱き締めた。
ミルヒ『シンク、お久しぶりです♪≪フリフリッ≫』
シンク『姫様。』
2人は久し振りの再会を喜んだ。特にミルヒ、嬉しさのあまりに尻尾をフリフリ振っている。
シンク『姫様、また来ましたよ。』
ミルヒ『はは。≪ピクピクッ≫』
しかも耳まで動いている。
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次にレベッカ。
レベッカを包んでいた光が花びらのように開くと…、
クーベル『レベッカ‼︎』
そこにはパスティアージュの公女 クーベルが居た。
レベッカ『クー様。』
クーベル『レベッカ、待っておったぞ♪≪フリフリッ≫』
この時のクーベル、久しぶりの再会が嬉しくて自慢の尻尾を振っていた。
ーーーー
最後はナナミ。
レオ閣下『待っておったぞ。≪ピクピクッ≫』
ナナミ『レオ様。』
こちらも今までと同様。しかし、ここからが違った。
ナナミ『?』
『……。』
ナナミがレオ閣下の後に控えて居る1人の人物に気付いた。
ーー
レオ閣下程の背丈の身体を下は茶色のズボン,上はトレンチコートで身を包み、脚には黒い革のブーツ。肩からM21にそっくりな晶術銃を下げ。耳は黒のフェドーラ帽に酷似した帽子に隠れている為見えないが、尻尾は猫独特の長い尻尾、尻尾は黒と茶色の縞模様でヤマネコのような模様だった。
ーー
ナナミ『レオ様、そっちの人は?』
レオ『ん?ああ…その者の事は後で話してやろう。じゃがその前に、勇者シンクの勇者召喚1周年を記念しての【戦】が始まるから、その時にな。』
ナナミ『そうですか。なら、後でじっくり聞かせて頂きます。』
レオ閣下『ああ、そうすると良い。』
ナナミはその者の事が気になったが、レオ閣下の言葉を聞いたナナミは、後で聞く事にした。
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更に所変わりビスコッティ。
リコッタ『勇者様〜〜‼︎』
ユキカゼ『待っていたでござる〜‼︎』
エクレール『ふん、来るのが遅い……。』
フィリアンノ城に着いたシンクは、ビスコッティ国立学院主席研究員 リコッタとオンミツ隊筆頭 ユキカゼ、更に親衛隊長 エクレールの出迎えを受けていた。
シンク『リコ,ユッキー、久しぶり‼︎』
リコッタ『はは♪』
ユキカゼ『再会出来て嬉しいでござる‼︎』
シンク『うわっ‼︎』
≪ドサッ‼︎≫
リコッタとユキカゼがシンクに抱き付いた事で、シンクは床に倒れ込む状態となった。
シンク『はは、リコにユッキー、くすぐったいって。』
ユキカゼ『良いじゃないでござるか、減る物じゃないでござるし♪』
リコッタ『っで、あります♪』
エクレール『2人共、早くしないか、もうすぐ【戦】の時間だぞ‼︎』
シンクといちゃつくリコッタとユキカゼに嫉妬して、エクレールは2人を咎めた。
シンク『はは、相変わらず堅いね。エクレは。』
リコッタ『エクレはさっきまで、勇者様が来るのを今か今かと待ち望んでいたでありましたよ。』
ユキカゼ『でござる。』
エクレール『‼︎ち、違う‼︎私はその…親衛隊長として、姫様が無事戻って来るのをだな……///‼︎』
シンク『解ってるよ、エクレ。心配させてゴメンね。≪なでなでっ≫』
エクレール『///‼︎わ、解れば良いんだ……///。≪フリフリッ≫』
しかし、リコッタに言い返されたエクレールは動揺して言い訳しようとしたが、シンクに頭を撫でられたエクレールは頬を赤くし、更に尻尾を振って恥じらいながらも落ち着いた。
ーーーー
≪ヒュルルルル…バンバンッ‼︎≫
その時、大きな音がしたと思うと空に花火が上がっていた。空は雲一つ無い快晴の空、【戦】に丁度いい天気である。【戦】の始まりを示す花火である。
ミルヒ『さぁ、始まりましたよ。』
エクレール『さあさあ、準備を済ませてサッサと行くぞ。今回の場所はフィリアンノ・レイク・フィールドだ。』
リコッタ『勇者様が始めて召喚された時の戦場であります。』
ユキカゼ『っでござる。』
シンク『そうなんだ。それじゃあ、準備を済ませたらフィリアンノ・レイク・フィールドにGO‼︎』
ミルヒ,リコッタ,ユキカゼ,エクレール『おお〜〜‼︎』
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レオ閣下『おお、始まったな。ではナナミよ、手っ取り早く戦場に行くぞ‼︎』
ナナミ『おお〜〜‼︎』
レオ閣下『お前も準備しろ、“シャンディー”。』
『いつでもどうぞ。』
レオ閣下の言葉に、シャンディーと呼ばれた者が始めて口を開いた。
言い方は男性っぽいが、声は透き通るようなソプラノだった。
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クーベル『ついに始まったぞ‼︎ではレベッカ、ダッシュで戦場に行くぞ‼︎』
レベッカ『はい‼︎』
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3国の勇者,領主等の主役は自信たっぷり。その後準備を終えたシンク達は、真っ直ぐ戦場へと向かって行った。
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今回の戦場は、勇者シンクの召喚から1年を記念して、フィリアンノ・レイク・フィールドで開催される事となった。
『『『『うおおおお〜〜〜‼︎』』』』
≪ポンポン……‼︎≫
『『『わおん‼︎』』』
『『『にゃおん‼︎』』』
その一角平原エリアで、ビスコッティとガレットの両軍が激突。同時に複数の兵士が“けものだま”となった。一方パスティアージュの軍勢は、飛空術騎士団を中心に攻撃を展開していた。
ーーーー
そんな戦場の一角で、【戦】の中継が行われていた。
シャルレー『さあっ、天気は快晴、絶好の【戦】日和‼︎実況を務めるのは私、ガレット国営放送のフランボワーズ・シャルレーと……。』
パーシー『ビスコッティ国営放送のパーシー・ガウディ、そして……。』
カリン『パスティアージュ公営放送のカリン・マクダネルでーす‼︎』
『『『『おおおお〜〜‼︎』』』』
観客席の方は熱気で渦巻いている。
シャルレー『さて、主役の登場はまだですが、【戦】の方は盛り上がりを見せています‼︎』
パーシー『こちらでは、3国から素晴らしいゲストをお呼びして居ります‼︎ビスコッティからは、ロラン騎士団長と……。』
ロラン『はい。』
パーシー『オンミツ隊頭領のダルキアン卿‼︎』
ダルキアン『宜しくでござる。』
『『『『わあ〜〜〜〜‼︎』』』』
ロランとダルキアンは笑顔で挨拶。観客達は歓声を上げている。
シャルレー『ガレットからは、ガレット騎士団長のバナード将軍と……。』
バナード『どうも。』
シャルレー『レオ閣下のお側役 ビオレさん‼︎』
ビオレ『こんにちわ〜♪』
『『『おお〜〜‼︎』』』
こちらもさっきと同様。
カリン『パスティアージュからは、エッシェンバッハ騎士団指揮隊長 キャラウェイと……。』
キャラウェイ『お願いします。』
カリン『英雄王 アデル様‼︎』
アデル『は〜い♪』
『『『『おおおお〜〜〜〜‼︎』』』』
こちらも今までと同様だが、英雄王が出ていると言うだけあって、先程とは比べ物にならないくらいの盛り上がり様である。
因みに、今回は素顔を見せているので、“英雄仮面”ではなく“英雄王”扱いである。
シャルレー,パーシー,カリン『このメンバーでお送りします‼︎』
『『『『わあ〜〜〜〜‼︎』』』』
会場は始めから盛り上がっているが【戦】は始まったばかり、更に盛り上がる事は確定である。
ーーーーー
一方戦場では…、
≪バシュッ、ポンッポンッ……‼︎≫
『『『わおん‼︎』』』
無数の閃光がビスコッティ軍に襲い掛かり、多くのビスコッティ兵が“けものだま”となった。攻撃を加えたのは…、
ノワール,ジョーヌ,ベール『……。』
ガウルの親衛隊 “ジェノワーズ”によるものだった。
ガウル『ふっふっ。さあ、シンク達が来る前に、かた付けるぞ‼︎』
ノワール,ジョーヌ,ベール『おお〜〜〜‼︎』
しかもその後ろには、ガレットの王子 ガウルが居た。
ガウル『うらあぁ〜〜〜‼︎』
≪バシュッ、ポンッポンッ……‼︎≫
『『『わおん‼︎』』』
ガレットの軍はガウルと“ジェノワーズ”を先頭に、ビスコッティ拠点に進撃を開始。
ーーーー
シャルレー『おお〜っと、ガレット軍がビスコッティ拠点目掛けて進軍を開始‼︎流石のビスコッティも主役がいなきゃひとたまりもないか⁉︎』
会場で実況を務めるシャルレーの実況が冴える。
ーーーー
一方戦場では…、
≪バシュッバシュッ……‼︎≫,≪シュババババ……‼︎≫,≪ズバズバッ……‼︎≫,≪バリバリバリッ……‼︎≫
≪ポンッポンポンッ……‼︎≫
『『『わおん‼︎』』』
ガウルと“ジェノワーズ”を先頭に、ガレット軍がビスコッティ軍に猛攻撃を与え、いつの間にか本拠地の目の前までガレット軍が接近していた。本拠地を守るのは、親衛隊のエミリオとアンジュが指揮する親衛隊の一団のみだった。
アンジュ『勇者様はまだか⁉︎』
エミリオ『先程、もうすぐ到着するとの報せが来た。それまで持ち堪えるんだ‼︎』
アンジュ『はい‼︎』
エミリオとアンジュは、ガレットの攻撃で体力を消耗。ビスコッティ側は風前の灯の状態となりながらも、勇者シンク等が来るのを待ちつつ奮戦していた。
ーーーー
その時…、
『お待たせしました‼︎』
『『『『『⁉︎』』』』』
ビスコッティ側の砦から、皆が聞き慣れた声がした。みんながその方向を向くと…、
シンク『……。』
ーーーー
シャルレー『き…き……。』
会場で実況を務めるシャルレー,パーシー,カリンは興奮している。
シンク『姫様からのお呼びに預かり、勇者シンク、只今見参‼︎』
ビスコッティの勇者 シンク・イズミが砦の前に立っていた。
シャルレー,パーシー,カリン『来さた〜〜‼︎』
シャルレー『ビスコッティの勇者 シンクの登場だ‼︎』
『『『『おおおお〜〜〜〜‼︎』』』』
シンクの登場に、会場は更に盛り上がる。
ーーーー
一方の戦場…、
ガウル『はっ‼︎やっと来やがったな⁉︎』
ジョーヌ『シンク、おおきに。』
ノワール『折角の登場の所悪いけど……。』
ベール『この舞台から降りて貰うわね。』
ガウルと“ジェノワーズ”がシンクに攻撃を加えようとしたその時…、
≪キランッ‼︎≫
『『『『‼︎』』』』
≪ヒュルルルル……ドカーン‼︎≫
『『『『うわ〜〜〜〜‼︎』』』』
空が光ったと思うと、無数の閃光がガウルと“ジェノワーズ”に直撃。
ガウル『痛った〜〜〜‼︎』
ガウルは直撃弾が少なかったので、単に防具破壊に留まったものの…、
ノワール『……///‼︎』
ジョーヌ,ベール『うわ〜〜〜///‼︎』
“ジェノワーズ”の3人は直撃弾が多かった為に、防具おろか服まで破壊されてしまい、ノワールを除いた2人が羞恥の叫びを上げた。彼等を攻撃したのは…、
ユキカゼ『残念でござるが……』
リコッタ『舞台を降りるのは、そっちでありますよ‼︎』
砦屋上にいたユキカゼとリコッタの2人であった。
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シャルレー『おっと、オンミツ隊筆頭と学院主席のご登場だ‼︎』
パーシー『更に……。』
エクレール『……。』
丁度その時、親衛隊長 エクレールが到着した。
カリン『ビスコッティ親衛隊長 騎士エクレールもご到着‼︎ビスコッティ、ここから追い上げとなるのか⁉︎』
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その時…、
≪ドドドド……‼︎≫
ガレットの砦から、セルクルに乗った100名規模の騎馬隊がビスコッティ本陣に向って進撃を開始。その騎馬隊、他のガレット軍に比べて違和感があった。特に先頭の青いセルクルに乗る者は、黒のトレンチコートとフェドーラ帽,背中には晶術銃,耳は見えないがヤマネコのような尻尾。それは先程、レオ閣下の後ろにいたシャンディーという者だった。
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シャルレー『おお〜っと、ガレット軍の第2波がビスコッティ本陣目掛けて進撃を開始‼︎だがその第2波の先頭の者は今までの戦で見た事が無い戦士、これは白熱の戦いが観られるかもしれません‼︎』
『『『『おお〜〜〜〜‼︎』』』』
シャルレーの実況に、観戦者は更に盛り上がる。
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シンク『あれは?』
ユキカゼ『ややっ?』
リコッタ『見た事無い人でありますね。』
エクレール『全くだな。』
シンク達もその存在に気付く。
ガウル『ほぉ〜。姉上と来たら、いきなり実戦投入かよ‼︎』
シンク『ガウル、あの人誰⁉︎』
突如ガウルが放った言葉に、シンクは本人を問い詰める。
ガウル『応、教えてやるよ‼︎あいつの名はシャンドゥイオッティー・ブリューゲル・マンシュタイン、愛称はシャンディーだ。ガレット騎士団の斬り込み隊長で、姉上と互角に渡り合える程の強者さ‼︎』
シンク『閣下と⁉︎』
リコッタ『ええっ⁉︎』
ユキカゼ『嘘っ⁉︎』
エクレール『何だって⁉︎』
ガウルの姉上と互角に渡り合えるの一言を聞いたシンク達は驚きを隠せなくなった。
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レオ閣下と互角に渡り合えるシャンドゥイオッティー。
果たして、その実力は……。
後書き
今回はここまでにします。次回、シンクとシャンディーが激突。公開は今の所未定です。
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