暁の舞R
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金髪の女性
前書き
お待たせしました!
俺と渚は喧嘩の方に小走りで向かった。
ガヤガヤ…
「ちょっと失礼…!」
俺と渚は喧嘩を見ている人たちをすり抜け、現場に辿り着いた。
「おい姉ちゃん…、当たっといてすみませんもないのか?」
ここからみても頭に血が上っている男が、金髪の綺麗な女性に叫ぶ。
「お前から当たりに来たように見えたが?」
女性は挑発するように男にうすら笑みを浮かべながら話す。
「てめぇ、女だから謝れば許そうと思ったが…もう許さねえ!」
男は金髪の女性に殴りにかかった。
俺はとっさに飛び出ようとしたが、まさに一瞬だった。
女性は男の殴りにかかった手を掴むと、男の力を利用して空中で一回転させた。
ドシンと背中から思いっきり落ちた男は「ぐはっ!」とリアルな声を発し気を失った。
「すげぇ上級の合気道か…」
俺が呟くと女性はこちらを振り向いた。
「へぇ、見る目あるね。良ければ手合わせしてみる?」
女性のまさかの提案に俺は戸惑う。
「いやぁ、体術じゃ絶対にあなたにはかないませんよ」
俺は丁重に断ったと思ったが、
「体術じゃ?だって?では剣では私に勝てるというの?」
「まあ体術よりは自信ありますけども…、でも手合わせは…」
俺は言った瞬間にしまった!と思った。体術よりは自信があると自分で宣戦布告してしまったのだ。
「ふふふ面白い。では17時に闘技場で勝負をしよう。手続きは私が引き受けよう」
俺は心の中で思った。何故喧嘩を見にきただけで手合わせ…、いや闘技場での戦いにまで発展してしまったのだろうと…。
女性は最後に名乗った。
「私はマリア。マリア・カトレット。あなたは?」
「俺は赤虎だ」
「赤虎…、珍しい名前ね。憶えやすくて助かるわ。では17時に闘技場で会いましょう」
マリアという女性は綺麗な金髪を揺らしながら、街の奥に消えていった。
「赤虎…災難だね」
「まったくだぜ…。でもあのマリアって言う女性ただ者じゃない…、体術じゃほぼ俺に勝ち目なんてない…。彼女の獲物も確認出来ていないし…」
「あと時間まで40分くらいかな?剣の手入れでもしといた方がいいんじゃない?」
「ああそうだな…」
─────────
そして時間が過ぎるのはあっという間でついに時計の針が17時を差した。
ワァァァァァァァ!!
「観客多いな~」
俺は呟きながら1人、闘技場の控え室にいた。
渚は応援席にいる。
「よし時間だな…、行くか!」
俺は闘技場に踏み出した。
「来たな赤虎」
「そりゃ来るよ」
俺とマリアは剣を抜き去り、
構えた。
『さあ始まった!闘技場対人バトル!!2人とも構えて、3,2,1,GO!!』
GOの合図と共に俺とマリアは剣を動かした。
マリアの獲物は俺と同じくらいの刀だ。だが重い…。
キィン!
俺はマリアの剣を弾きながら、
チャンスを伺う。
マリアの剣は重い…。
ならば一瞬、どこかで隙が生まれるかもしれない!
俺はマリアから距離を取り
技のモーションに入る。
「暁流1の型疾風!!」
スピード力のある、この技でチャンスを伺う。
「甘いわ!」
マリアは予想をしていたかのように、華麗に避け、俺が劣勢に陥る。
「今よ!豪滅刃!」
マリアの技、豪滅刃は重い刀の威力を最大限に発揮する言わば、ものすごい振り下ろしだ。
しかし、俺はこれを好機に変えてみせる!
「はぁぁ!アレクセイ…技借りるぜ!至上天破斬!!」
至上天破斬は豪滅刃とは逆の下から振り上げる技になる。
俺とマリアの渾身の一撃同士がぶつかり合いものすごい音が響き渡った。
ガキィィーン!!
「「ぐぅ!!」」
俺とマリアはお互いに五メートル程吹き飛び、剣を持ち直し、鍔迫り合いに持ち込んだ。
「やるなぁマリア…!」
「お前こそ赤虎…!」
ギギギギッ
と鈍い音を立てながら、俺たちは話を続ける。
「そろそろお互いに本気だそうぜ?」
「ふっ、もう少し余興を楽しみたかったが、良いだろう!!」
ガキィィーンと音を響かせ俺たちは離れた。
「本気でいくぞ!はあぁぁ!天翔豪滅結!!」
マリアは地面に剣を削りながら、俺に向かい走ってくる。
「俺も今ある最強技で全力で応える!!」
俺は低く構えて、思いっきり飛んだ。
「うおぉぉぉ!!猛虎魔砕斬!!」
俺の煉獄刀が黒い炎を纏い、マリアに向かい迸る。
マリアの最強技、天翔豪滅結は切り上げの技で刀が光を纏いながら、俺の剣に直撃した…。
────────
「マスター、珈琲下さい」
俺はマスターに珈琲を注文する。
「あっ、あたしも!」
渚も珈琲を注文する。
「私も頂こうか」
そしてマリアも注文する。
何故マリアが同行しているかは
時間は遡り15分前。
グワァキャァァァァン!!
ものすごい音が闘技場を覆った。
『ものすごい技のぶつかり合い!さあ勝ったのはどっちだぁぁ!!』
「はぁはぁ…」
俺は何とか立っていた。
一方マリアは立っていた。
俺がまた構えを起こそうとすると。
「私の負けよ。ほら剣が折れちゃった」
と剣を俺に見せてくる。
「俺が勝ったのか?」
「ええ、剣では赤虎には適わない
わ」
その瞬間、拍手が起こった。
ワァァァァァァァ!パチパチ!
『激戦を繰り広げ勝利を掴んだのは赤毛の少年、赤虎だぁ!』
「なんか恥ずかしいな、アナウンスされるの…」
「赤虎…、楽しかったわ、思いっきり戦ったの初めてだったから」
「俺も楽しかったぜ!」
「赤虎はこれから何するの?」
「えっと今日はプレスト城の王族パレードの見学かな」
「へぇ、私の城の王族パレードの見学かぁ…」
「そうそうマリアの城の王族パレードの見学…って、えっ?私の?」
「ええ、私プレスト城の次期女王候補なの」
俺と渚は顔を見合わせ叫んだ。
「「えぇぇぇぇぇぇ!!!」」
──────────
そして今に至る。
「まさかマリアが女王候補だったなんて、敬語使った方がいいかな?」
「気にしなくていいわ、気軽に接して頂戴」
「女王様なんて、女の子の憧れだよね!」
「そうかしら、私から言わせてもらうとただの宿命よ…。私は騎士になりたかったの」
「マリアが騎士にか…。似合うだろうな金髪の女性騎士!格好いいよな!」
「ふふふ赤虎と話していると、モヤモヤが少しは晴れてきたみたい」
「そうか、それなら良かったよ」
「赤虎、渚。良かったら今夜、プレスト城に来ない?おもてなしさせてもらうわ」
「えっ、良いのか?一般人を招いても?」
「次期女王の特権って思ってくれたら結構よ」
「うわぁ、楽しみだね!赤虎!」
「なんか緊張するけどな」
「ふふふそれじゃ私は一回、お城に戻るわね」
「ああ!楽しみにしてるぜ!」
「20時にお城前の噴水で待ってるわ」
そう言ってマリアは喫茶店を後にした。
「ありゃ?彼女珈琲飲まなかったの?」
マスターが呟く。
「いやマスター。全部飲んである…。こんな熱いのに…」
「あのお嬢さんただ者じゃないね」
マスターが呟くと俺と渚は笑いながら、珈琲を堪能した。
そして時刻は20時手前になった。
後書き
赤虎「ふぁぁあ、眠いなぁ」
渚「ふぁぁあ、眠いね」
赤虎「よい子のみんなは早く寝ようね!」
渚「悪い子もね!」
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