オズのカエルマン
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第九幕その二
前から紫のふさふさとした毛に白いものが入っている獣が来ました。その大きさは狼よりは小さいです。その獣を見てです。
ナターシャはすぐに皆に言いました。
「あの獣がね」
「クズリなのね」
「気をつけてね」
こう恵梨香にも答えます。
「本当に狼より怖いから」
「そうなのね、じゃあ」
「さて、それではね」
魔法使いもクズリを認めてでした、そうして。
その手にある霧吹きを構えます、ケーキもです。
クッキーを投げる用意をします、二人が身構えて。
カエルマンは後ろを警戒します、そうして子供達を守っています。三人共クズリだけでなく周りの不測の事態にも備えています。
子供達は三人を信じてここは逃げずにじっと待つことにしました。魔法使いはその五人を守りつつでした。
クズリを見据えてです、こう言いました。
「君はクズリだね」
「そうだよ」
その通りだとです、クズリは答えました。
「僕がこの森のクズリだよ」
「そうだね、狼君達から話は聞いてるよ」
「ああ、あの人達から」
クズリも納得します。
「そうなんだね、ただね」
「ただ?」
「狼君達は僕を怖いって言っていたよね」
「そうだよ」
「それはあくまで喧嘩の時とかだけだから」
「喧嘩?」
「何年か前に狼の子供が僕に悪戯をして怒ったんだ」
子供にはよくあることです、その中には悪い悪戯もあります。そしてクズリはその悪戯を受けたというのです。
「そしてたらその子の親が怒って」
「喧嘩になったんだ」
「その後仲直りはしたけれど」
それでもというのです。
「怖いっていうイメージは残ってるんだね」
「そういうことなんだね」
「普段の僕は静かなつもりだよ」
「クズリは怖いと聞いたけれど」
ナターシャがクズリに尋ねます。
「違うの?」
「だからそれはね」
「喧嘩の時だけで」
「そう、普段はね」
「喧嘩をしなければ」
「静かに暮らしてるよ」
クズリはナターシャにも言うのでした。
「だから今も君達とだよ」
「こうしてお話しているのね」
「そうだよ」
「だといいけれど」
「そもそも君達とは初対面で今知り合ったばかりで」
それにというのです。
「僕の巣に断りなしに入ったばかりじゃないから」
「何もしないのね」
「する理由がないからね」
「じゃあ今の貴方は」
「安心していいよ」
それこそというのです。
「しかもお腹一杯だし。ただ」
「ただ?」
「熊には気をつけてね」
「それ狼さん達からも聞いたよ」
ジョージがクズリに答えました。
「不機嫌だってね」
「うん、だから会ってもね」
それでもというのです。
「近付いたら駄目だよ」
「そうみたいだね」
「ただ、何で熊が機嫌悪いかっていうと」
それはというのです。
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