5.神無異の飼い方
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3.休みの日は自宅待機、それが一番
結「外は暑いんだろうなぁ。」
白「そうだね、外の気温はどうやら三十度を超えているみたいだよ。
まあ、外に出なきゃいけない運命なんだけどね。」
結「運命創造だっけ?それって占いでやったら当たるよな。」
白「うん、そうだね。」
結「やらねぇの?」
白「うん、占いっていうのは当たりも外れもある、全部が全部当たったらつまらないじゃん。
人生は何があるかが分からないから一生懸命になれるようなものだし、僕はユーキを守りたいから力を使うだけ。
それにほら、僕は運命も変えられるけど、••••運命っていうか未来か。
未来を変えられるけど、老い先短い人の『死期』を伸ばしたら死神が大変なんだ、死神にも管理官がいるからね。」
結「あーなるほど。」
白「死神なんて言われてるけど、死神は神様じゃないんだよ。
最近部下の死神の一人にあったんだ、紅(こう)って言って死神の長をやっているよ、今回は出番ないけど。」
結「だろうな、しかし••••死神が神じゃないなんて初めて知ったな••••••。」
白「そんなものじゃないかな、そろそろ出ないと捕まるよ。」
結「仕方ない、行くか。」
と、グダグダした会話から始まる。
結「おかしい、人が全くいねぇ。」
白「••••嫌な感じがする、気をつけて。」
白夜は眉を潜めて忠告する、人がいないかもう少し見て回ろうと結城は足を進めようとした。
しかし、足首を掴まれてそれはかなわなかった。
結「ぎゃああああああああ‼︎手がッ手がああああああ‼︎引き込まれるうううううううう‼︎」
白「腕が千切れてもいいなら引っ張るけど。」
結「一緒に来てくださいお願いします。」ガクブル
こうして、登場三話目にして地球という星からログアウトした二人だった。
バキッ グシャッ ブシュウウッ••••
結「聞きたくない音が耳に••••うおっ!ここどこだ⁉︎いやっていうかなんで俺血だらけ⁉︎」
不快な音に目を覚ました結城は自分の姿と周りを見て驚いていた。
白「危うくユーキの魂が消されるところだったよ、間一髪で取り戻せてよかった。」
結「何気に俺ヤバかったんじゃん!って••••何それ?」
白「ユーキの魂を消そうとした張本人、が入ってる魔法の壷。
ユーキ、とりあえず落ち着いて聞いてほしい。
まずその血だらけの状態から、死んだということは分かるね?」
結「ああ、やっぱり死んでたのか。」
白「で、魂を消すという行為は本来許されてないんだ、許可をもらわないと神は消せない。」
結「例外もいるのか?」
白「うん、たった一人、何でも許されている存在がいるよ。
種族の名は神無異(かむい)、存在そのものがルール。
概念創造、思ったことが本当になる、そんな能力を持っていながらその能力は使わなかった。
さすがにその能力を使ったらかわいそうだからね。」
結「へー詳しいんだな。」
白「うん、だって自分のことだもん。」
結「••••••••へ?」
白「その神無異っていうのは僕だよ。」
結(うぉーいマジかよーここでまさかのカミングアウトだーえ?何?敬わないといけない感じ?俺マジでそういうのダメなんだって。)
白「いや、僕は敬われるのはそんなに好きじゃないから普通に接してほしいな。」
結「おぉ、読心術か?」
結城は目を輝かせる。
白「まあね、ちなみにオンオフ切り替え可能。
で、これからどうする?地球には戻れないけど。」
結「ん〜••••たしかこういう場合は別ルートが用意されてるんだろ?」
白「ご名答、異世界に行くという道とあの世に逝くという道があるよ。
ユーキを殺した犯人を殴りたいなら、異世界に行ったほうがいいと思う。
けど、いつ死んでもおかしくないほど地球にいた人間には危険な場所、それでも異世界に行きたいなら送るよ。」
結「••••••••、行かせてくれ、恐らく俺を殺した犯人はあのリア充だろ?
あいつが犯人じゃなくても百発殴らなきゃ気が済まねぇ。」
白「それでこそユーキだ、いいよ、僕が死なないように力をあげよう。
ユーキ、君は人間をやめる覚悟はあるか?」
結「はっ、愚問だな、あいつを殴れるなら人間なんて捨ててもいいぜ!」
白「そう、それじゃあー」
白夜は手を一回叩き、微笑んだ。
白「これで君も人外の仲間入りだ、外者同士よろしくね。」
結「はやっ!これでいいのか⁉︎」
白「うん?何か心配?一応大丈夫なんだけど。」
結「心配すぎて何も言えません••••。」
白「ま〜力の使い方は本人次第だからね、僕はユーキが間違った力の使い方をしないと確信したからあげた。
もし間違った力の使い方をしたら、そのときは僕が責任を持って連れ戻すよ、そうなる運命じゃないけど。」
結(よかった••••、こいつ相手にして勝てる気はしないからな••••。)
ホッと安堵した結城。
白「さ、異世界に行こうよ、ただしここからは運試し、どこに転移するかはわからない。
石の中かもしれないし海底の中かもしれない、あるいは一緒に勇者召喚に巻き込まれた形になるか、覚悟はいいね?」
結「おう!」
刹那、結城の視界は暗転した。
ザワザワと人の声がして目を覚ました結城、その瞬間現状と星の知識が流れ込んできて頭痛が走る。
結「いつつつつ••••白夜••••?」
白「ここにいるよ。」
白夜は結城の膝の上に座っていた。
結「お前軽いなぁ。」
白「人じゃないからね、本来は栄養摂取の必要も皆無だよ。」
風「う••••う〜ん••••••ここは••••••?」
結「あぁ、不幸だ。(←不幸者)」
白「フラグ回収ごめん。(←誰もが認める不幸者)」
風「あっ、結城‼︎」
結「抑えろ••••殴るのは後だ••••••。」
白「偉いユーキ。」
白夜はポンポンと撫でる。
「ひ、姫様••••これは••••••⁉︎」
「落ち着きなさい!勇者様、よくおいでくださいました。」
姫と呼ばれた美少女は、跪いて風魔の手を握った。
結「うん知ってた、こうなることは知ってたよ、だから殺そうリア充を‼︎」
白「大丈夫だってあんなのただの面食いだから!ユーキにはもっともっと素敵な人がいるから‼︎だから落ち着いてユーキ‼︎」
白夜は結城の腰にしがみついて止める。
白「だいたい予想済みならここでやらなくてもいいじゃん?後に取っておくほうが絶対良いって!」
結「くぅぅぅ••••‼︎」
それでも構わず話を続ける姫、もといサリーシャ・ドルトンヌ。
サ「私は王族、ドルトンヌの第一王女、サリーシャ・ドルトンヌです。
も、もしよろしければ名前を教えていただけますか?」
風「えっと、風見 風魔••••あっ、フウマ・カザミです。」
サ「フーマ様ですね!」
白「恋する乙女って••••ああ言うのは嫌いだなぁ。」
結「激同。」
トボトボと城を出ようと歩き出す。
風「あれ、結城、どこに行くの?」
しかし、風魔が語りかけたことにより、結城と白夜に意識が向いた。
結「別にどこでも良いだろ?お前には関係ないんだし。」
風「え、一緒に来ないの?」
結「はぁ?むしろなんで一緒に行かなきゃならないんだよ。」
サ「フーマ様に何て口の利き方!そもそも、一緒に来ないと根無し草ですわよ!」
結「え?そうなの?」
白「そうでもないよ、僕はここのお金も持ってるから大丈夫。」
白夜は言うが、サリーシャを見る眼は恐ろしく光のない眼だ。
結「あーなんか問題なくなったわ、そんじゃ、俺ら行くんで。」
サ「部屋も金も用意してさしあげますわよ?もちろん護衛だって。」
風「サリーシャがそう言ってくれてるし行こうよ。」
「「いらない。」」
サ「なっ••••⁉︎」
そんな馬鹿な、とでも言うようにあんぐりと口を開ける。
結「護衛より遥かに信頼できるやつがいるし、部屋も金もある(って白夜が言ってた)からいらねぇよ。」
白「嘘のレベルとしては最低だね、つまらない嘘だ。」
白夜はいつの間にか持っていた団子を頬張っていた。
結「カッコよさ半減、団子を頬張ってなければもっとカッコよかった。」
白「定期的に糖分取らないと禁断症状が••••。」
結「嘘だろ!絶対嘘だろ!」
白「あ、バレた?」
結「俺でもわかるよ⁉︎」
白「そうなんだ、どうでも良いけどもう行かない?ここ暑苦しいよ。」
結「おう、そうだな、行くか。」
サ「ちょっと!待ちなさい!」
結「あ〜?」
結城は面倒臭そうに振り向く。
サ「ここから出たいのなら、王家直属の騎士を倒してから行きなさい!」
結「普通逆じゃね?ここにいたくば、じゃね?」
白「ユーキ、あいつら面倒臭いよ、殺しても良い?」
結「だーめ、痛めつけるだけにしろ。」
白「うゅ••••分かったよ。」
結城はショボくれた白夜の頭を撫でる、白夜も渋々承諾した。
結「つーかさ、何で俺らがここにいなくちゃいけないワケ?
魔王退治だかなんだか知らねぇが、そいつぁそこにいるユウシャサマに任せりゃ良いだろ。
それとも何、俺らがいないとそいつの気を引けないってか?」
サ「そっ、そんなわけないでしょう!妄想もほどほどにしなさい!」
白「つまんない嘘吐くんだね、お前。」
サ「なっ••••!」
白「程度の低い嘘ばっかり、嘘を吐くなら幸せにできる嘘を吐きなよ、お前の吐くつまんない嘘は嫌いだ。」
サ「ッ••••‼︎」
「王女様になんて口を‼︎」
白「ー勝負は」
周りは静まり返る、明らかに一変した白夜の異様な雰囲気を感じ取ったのだろう。
白「約束通り、闘技場でやろう。」
冷笑する白夜に、その場にいた結城以外皆戦慄した。
後書き
次回は戦闘シーン(短)とギルドに入るまでですね。
頑張って書いていきたいと思います。
質問とか受け付けています。
わからない単語があったら今までの作品の中に説明が書いています。
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