ハイスクールD×D大和の不死鳥
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84悪神ロキ現る
◇いのり
オーディンさまが来日して数日が経ったある日の夜。
スレイブニルという八本足の巨大な軍馬の馬車に私、真名、祭、アーシア、ウェンディ、城鐘、朱乃さん、アザゼル、オーディン、ロスヴァイセが乗っていた。
いまはその馬車で空を飛んで、夜空を移動している。
軍馬が大きいせいか、馬車も大きく、外には護衛として、いつでもテロリストなどを迎え撃てるようにするために木場、ゼノヴィア、イリナ、ヴァーリ、そしてバラキエルが空を飛んでついてきていた。
「日本のヤマトナデシコはいいのぉ。ゲイシャガール最高じゃ!ほっほっほっ!」
しかし、護衛対象がこれだとやる気がでない。これでもきちんと日本の神々と外交しているんだから信じられない……。どうして、普段からもう少し会談の時のような真面目さを見せられないかな、この駄神は。
「オーディン様、もうすぐ次の神々との会談なのですから、旅行気分はそろそろお収め下さい。このままでは、帰国した時に他の方々から怒られますよ」
「全く、お前は遊び心の分からない女じゃな、ロスヴァイセ。もう少しリラックスしたらどうじゃ?そんなんじゃから彼氏の1人も出来んのじゃよ」
「か、彼氏がいないのは関係ないでしょぉ!す、好きで独り身をやっているわけじゃないんですからぁ!」
この駄神……殴ろう……絶対すべてが終わったら殴る
ガックンッ! ヒヒィィィィィィィィィィンッ!!
突然、馬車が停まり、私達を急停止の衝撃を襲う。不意の衝撃に私達は姿勢を崩したが、すぐに体勢を整え、警戒態勢を取る。
「何事ですか!?まさかテロ!?」
「分からん!だが、こういう時大抵ろくでも無い事が起こるもんだ!」
「アザゼルそれフラグ!」
突如として馬車が急停止、その事態に驚きの声を上げるロスヴァイセさんと、フラグのにおい満開なアザゼルの言葉に祭が突っ込みをいれつつ、窓から外の様子を見ると、外護衛メンバーが戦闘態勢に入っていた。
そしてその先には、水色の長髪で目付きの悪いイケメン、オーディンが有事の際に着ている様なローブを着用した1人の男がいた。
その姿をロスヴァイセさんが見ると心底驚いた様な顔をし、アザゼルさんると舌打ちしたのを見ると、相手はアースガルズの関係者、それも神格の存在かもしれない。
「初めまして、諸君!我こそは北欧の悪神、ロキだ!」
うん…どうでもいい…
「これはこれはロキ殿、こんな所で奇遇ですな。何か御用ですかな?この馬車には北欧の主神オーディン殿が乗られている。それを周知の上での行動だろうか?」
突如として現れたロキに驚愕する周囲だったが、そんな中でもアザゼルは前に出て、落ち着いた対応をしていた。
普段なら絶対使わない様な敬語で応対する辺り、冷静に振舞おうとする意識が伺える。
が、それを聞いたロキは、
「いやなに、我らが主神殿が、我らが神話体系を抜けて出て、我ら以外の神話体系に接触して行くのが耐えがたい苦痛でね。我慢できずに邪魔をしに来たのだ」
悪意を全く隠す事無く、宣言した。
本来、貴殿ら堕天使や悪魔、天使達と会いたくは無かったのだが、致し方あるまい。オーディン共々我が粛清を受けるがいい」
「お前が他の神話体系に接触するのは良いってのか?矛盾しているな」
「他の神話体系を滅ぼすなら良いのだ。和平をするのが納得出来ないのだよ。我々の領域に土足で踏み込み、其処で聖書を広げたのはそちらの神話なのだから」
「それを俺に言われても困るんだが。その辺はミカエルか、聖書の神にでも言ってくれ」
「どちらにせよ主神オーディン自らが極東の神々と和議をするのが問題だ。これでは我らが迎えるべき神々の黄昏が成就出来ないでは無いか。ユグドラシルの情報と交換条件で得たい物とは何なのだ」
アザゼルの押し問答が始まるが、ロキの奴、ろくな事考えない、ろくな事考えていたら悪神と呼ばれていない…
そんな押し問答で得られる物は無いと思ったのか、
「1つ聞く!お前のこの行動は禍の団と繋がっているのか?って、それを律儀に答える悪神様でもないか」
指を突きつけつつアザゼルは問いかけた。
まともな返答は期待していない、といった感じの口振りをしたアザゼルだが、それに対してロキの答えは、
「愚者たるテロリストと我が想いを一緒にされるとは不愉快極まりない事だ。己の意志で此処に参上している」
アイツ等とは関係ない………
「禍の団じゃねぇ、と来たか。だがこれはこれで、厄介な問題だ。成る程な爺さん、これが北欧が抱える問題点って奴か」
「ふむ、どうにも頭の固い者がまだいるのが現状じゃ。こういう風に自ら出向くアホまで登場するのでな」
ロキの返答を受けてアザゼルがオーディンに問いかけると、丁度ロスヴァイセを引き連れて馬車から出て来たオーディンが、そう返していた。
「ロキ様、これは越権行為です!主神に牙を剥くなど許される事ではありません!然るべき公正な場で異を唱えるべきです!」
オーディンに連れられて外へ出たロスヴァイセが、さっきまで着用していたスーツ姿から、ヴァルキリーならではと言うべき鎧姿に変わりつつ、物申していた。
ロキもそんな腹積もりなのか、ロスヴァイセの言葉に聞く耳を持たず、
「一介のヴァルキリー如きが我が邪魔をしないでくれたまえ、我はオーディンに聞いているのだ。オーディンよ、まだこの様な北欧神話を超えた行いを続けるお積りか?」
オーディンに迫った。
「そうじゃよ、少なくともお主よりサーゼクスやアザゼル、それに聖神とコミュニケーションをとる方が万倍も楽しいわい。日本の神道を知りたかったし、あちらもこちらのユグドラシルに興味を持っていた様でな。和議を果たしたら互いに大使を招いて、異文化交流をしようと思っただけじゃよ」
オーディンは、そんなロキの鬼気迫るといった様子にも動じる事無く、平然と答えた。
ここでヤマト其処でが出て来るの?まあオーディンに其処まで思われているのは悪い気はしないが。
「認識した。たかが一介の悪魔上がりの神擬に恐れをなすとは、あのオーディンも落ちぶれた物だ。なんと愚かな事か。
此処で黄昏を行おうではないか」
そんなオーディンの返答に、侮蔑の感情を隠そうともしない苦笑いを浮かべながら、敵意全開で宣戦布告の様な宣言をして来るロキ。
「それは宣戦布告と受け取って良いんだな」
「如何にも」
アザゼルの最後通告にも動じる事無く不敵な笑みを浮かべて返すロキ。
その瞬間が、スタートだった。
続く
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