| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十一話 勝負が続いてその十三

「やっぱりね、身体ほぐしていないとね」
「怪我するし」
「動きも悪くなるから」
「それでね」
「そうよね、そのストレッチが出来ているから」
 それでというのだ。
「あの娘も強いのよ」
「身体の柔らかさ」
「それがあの娘の強さよ」
「じゃあこの勝負は」
「ええ、日菜子先輩も辛いわ」
 非常にだ、そう話してだった。僕と一緒に試合を観ていた。その間に。
 試合は順調に進んでいった、日菜子さんは押されたままだったけれど何とかだった。延長戦まで堪えた。そして。
 試合は延長戦に入った、だがここで。
 その時にだ、急にだった。
 試合の相手の娘の動きがだ、微かにではあっても。 
 遅くなった、それを観て池田さんがまた言った。
「あっ、そういうことね」
「スタミナ切れ?」
「みたいよ、あの娘確かに強いけれど」
「スタミナはなんだ」
「まだ弱かったみたいよ」
 それはというのだ。
「体力不足っていうか」
「日菜子さん程じゃなかったんだ」
「多分普通にはあるけれど」
 それでもというのだ。
「流石に準決勝よ」
「さっきの話だね」
「そう、勝負が続くと」
「流石に体力がね」
「気力もね」
「その二つが消耗するから」
「だからなのよ」
 池田さんも言う。
「準決勝は疲れてくるわ」
「あの娘も疲れてきているんだ」
「そう、そしてその疲れがね」
「試合に影響するね」
「そうよ」
 池田さんがこう言ったところでだった、日菜子さんは一本決めた。相手の一年生の娘はこの一撃にとても悔しそうな顔をするけれど。
 それからその娘はさらに疲れてだった、もう一本は取らせなかったけれどその攻撃にも疲れが出ていて。
 一本も取れなくてだった、そして。
 日菜子さんはまたしてもその一本を守りきって勝ち残った、こうして遂に決勝戦まで進むこととなった。その最後の試合に。


第四十一話   完


                           2015・4・26 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧