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FOLIE OF THE DEAD

作者:kuro-sa
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第1話 日常 何気ない日々

 日々、私たちが過ごしている日常は、実は奇跡の連続なのかもしれない.......。

 これはとある漫画のキャラが言っていた名言だ。
 この言葉を聞いて人々は何を思うか。
 "成る程そうなのか"とこの言葉に感心を持つ人もいれば"ふーんそう"とただの漫画としての台詞として捉える人もいるだろう。
 人によって千差万別で答えなど無い、だが少なくとも"あの日"を迎えた人々は少なくともその言葉の意味を知る事になる。
 自分達が何気なく過ごした日常はいかに大切で脆く崩れやすいのかを.......。




 AM6:20

 季節は秋の深まる10月、空は冬が近いのか日が昇り始めたばかりでまだ少し暗かった。
 昇り始めたばかりの日光が照らす新築したてのアパートから一人の青年が階段を降りてきた。
 青年は横にある駐輪所から自転車を出しペダルを漕いでアパートから出発した。
 自転車のライトをつけながら少し重いペダルを漕ぎ目的地までほんのり暗い道を走行する。
 制服のブレザーやズボン、籠に入っている鞄から青年は学生だと通りすがりの人なら一目で分かるだろう。


 ひたすら自転車を漕いで20分くらい経った所である学校の前まで来た青年は正門から入り学校の敷地内の駐輪所に自転車を停めた。
 籠から鞄を取り出すと肩に掛けて運動場の端にある部室棟に向かい室内の部室へと入っていた。
 数分後、部室から青年はジャージ姿になりそのまま走り出していく。
 外の気温は秋なのに例年より気温が下がっており朝の時間帯だとセーターが欲しくなるくらい冷え込む。
 青年はグランドを走り一定の間隔で口から息を吐き出し広いグランドから正門まで行くとそのまま門を出て学校の周りを走っていった。


 青年の名前は肆崎 巧 彼が今いる学校【私立夜凪ヶ丘学園高校】の生徒で陸上部に所属している。
 巧は何処にでもいる普通の高校生にも見えるが彼にとって取り柄と言える所が二つあった。
 一つは足が普通の人より速い所、もう一つは人並み以上に体が丈夫という所だ。
 この取り柄は他人が言った事で本人は大した取り柄ではないと思っているが足が速いという取り柄で陸上の成績はかなり良く顧問である監督も認める程だ。


 しかし巧は自分の実力に満足していないのか練習を怠らず大会に向けての調整を続けている。
 実際巧の陸上部の朝練は殆どは個人の自由参加でありさらに文化祭という学園行事の準備で殆どの部活動は休みなのだ。
 それでも個人の自由で自主的に練習を続ける生徒もいるが巧は文化祭前日という一番忙しい時期でも練習を続けていた。
 ある程度時間が経つと後ろから巧と同じくジャージ姿で走っていく人が二、三人見えて同じ陸上部にいる部員だとすぐに分かる。
 やがて何周か外周を走った後、巧は再び部室に戻った。


 息を切らしながら部室内の更衣室のベンチに座り自分の鞄の中からタオルを引っ張り出し流れる汗を拭いた。
 巧が水筒に淹れたスポーツドリンクを飲んでいると扉が開いてさっき巧と走っていた部員が入って来た。
「おはよう巧」
「よっ!エース今日も早いな」
「やめろよな........エースって言うの.......」
 巧に挨拶したり囃し立てたりする部員達、巧の実力からエースと言われる事があるが本人はこの呼び名にあまり快く思ってはいなかった。
 他の部員はベンチに座り雑談をしながら着替えたり汗を拭いたりしている横で巧は鞄からスマホを取り出し画面を指で操作しながら今日のニュースを流し見る。
 するとある記事に巧は目に留まった。


 東京都〇〇市にて傷害事件が発生
 昨日未明10時20分頃、東京都〇〇市の路上にて男性一人が暴れていると地元住人から通報があった。
 警察官が現場に急行したさい男性は興奮状態で通行人数名に暴行を加えた模様。
 男性は警官二名に対して殴る等の暴行を加えた後、警官数名に取り押さえそのまま現行犯逮捕となった。
 この事件で五人が重傷を負いすぐさま病院に搬送された。
 通行人の証言によると「突然男が奇声を発しながらその場に通行人に掴みかかり通行人に噛みついて襲っていた」と怯えながら供述した。
 ここ最近では似たような事例が全国に発生しており被害者の中には頬と鼻に激しい損傷を負った者も。
 警察の発表では危険ドラッグである【バスソルト】と同等のドラッグが何らかのルートで海外から日本に輸入されそれが蔓延しそれを吸引した事で今回の事件を引き起こしたとされる。
 事実今回逮捕された男性は逮捕後××病院に搬送された。
 東京県警は事件の収束の為、麻薬捜査班と中心に連携しそ密売している組織やルート等を捜査し一斉検挙に踏み切る方針である。


「随分と物騒だな.......」
 巧はネットニュースの記事にそう呟くただ今回事件が起きたのは七件先の町の事なのか深く考えたりせず制服に着替えると部室を後にしたのだった。


 
 

 
後書き
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