八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十一話 勝負が続いてその五
「思いきりのところがあるのよ」
「その二つがですね」
「大事なのよ、極端に言ったら」
「もう実力伯仲だと」
それこそとだ、池田さんも日菜子さんに話した。
「本当に機転と思いきりですね」
「咄嗟にどうするか決めて」
「それを実行するんですよね」
「口で言うのは簡単だけれど」
「閃きが難しいんですよね」
それが機転だというのだ、ここで言う。
「相手を見て気付くことも」
「そうなの、相手を見てどう攻めればいいのか、どんな戦術がいいのかを一瞬で見極める」
「スポーツをしていないと」
「ちょっとわからないかも知れないですね」
「そうかも知れないわ、とにかくね」
何はともあれというのだ。
「まずは思いついて」
「そして、ですね」
「それを実行に移す」
「迷わずね」
「それが大事ですね」
「そうなの、とにかく今回はそれが出来たわ」
だからだというのだ。
「それで勝てたのよ」
「はい、じゃあ次は」
「準々決勝ですね」
「ええ、もう少ししたらね」
休憩に入っていた日菜子さんの目がここで光った、そのうえでの言葉だった。
「また行って来るわ」
「頑張って来て下さい」
僕はその日菜子さんに声をかけた、この言葉を。
「そして全力で」
「ええ、悔いの残らない様にね」
「勝負されてきますね」
「そうしてくるわ、次の相手は東京の娘よ」
「東京ですか」
「そう、何でもお父さんが警察官で空手七段で」
「七段、凄いですね」
その段を聞いてだ、僕は無意識のうちに怯んだ。
「それでその人も」
「お父さんに教えてもらってね」
「空手をされて」
「三段なのよ、全国大会の常連でもあるわ。私も前にね」
その時にというのだ。
「勝負して勝てたけれど」
「それでもですか」
「強かったわ」
そうだったというのだ、その人も。
「紙一重で勝てたのよ、高校一年生の時に」
「そんなに強いんですか」
「そうなの、だからね」
「今回の勝負も気が抜けないですね」
「絶対にね」
そうだとだ、僕達に話してくれた。
「そうした勝負よ」
「じゃあ健闘を祈ります」
「緊張はしていないわ」
日菜子さんはここでは僕達にこうも話してくれた。
「強くはね」
「程々にですか」
「そう、程々にね」
「緊張されていて」
「極端にはなっていないわ」
微笑んでだ、僕達に話してくれた。
「固くなってはいないから」
「じゃ準備体操をされて」
池田さんは緊張し過ぎていないという日菜子さんにだ、笑ってこう言った。
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