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詩集「棘」

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夏宵の闇~君だけを想う~



蒼白い月明かり
揺れる夏草の影
心 落ち着かずに
見上げた空…

ほんの一瞬でいい
君の笑顔が見たくて
振り向けば闇が迫る

風が梢をざわめかせ
不安が全てを覆ってく…

祈る刹那の声は
夜に呑まれて消えてゆく
夏宵の闇 息衝いて
淡き月さえ 翳らせた…


足元さえ見えずに
自分さえ見失って
生暖かい風が空を舞う…

雲の切れ間を擦り抜けて
幽かな星影 地へ射し込む…

願う焦がれし心
時の向こうへ消えてゆく
夏宵の闇 耐え難く
風と共に流されて…

弱さを窘める人々
この想いを嘲笑う
煙りのような短い人生(トキ)に
愛した人と居れないなんて
なぜ…生まれてきたの…?

蒼白い月明かり
揺れる夏草の影
心 落ち着かずに
空見上げ…

君だけを…想う…



 
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