FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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リアルナイトメア
妖精の尻尾にて・・・シリルside
「一体どうなってやがる?」
ようやくギルドに戻ってきた俺たちは現在、ギルドの前でエルフマンさんからあることを聞いて驚いている。
「ミッシェルが新生六魔将軍の6人目というのは、本当なんだな?」
「ああ。騙していやがったのさ、俺たちを・・・」
なんでも、新生六魔将軍の中にいたあの赤い熊はクロドアと言う名のブレインが持っていた杖だったらしく、自称7人目の六魔将軍だったらしい。
それで、「一人足りないぞ?」ということになったのだが、その足りない一人がミッシェルさんの本当の姿、イミテイシアという魔導士らしい。
「そんなぁ・・・」
「ナツもルーシィも奴等に捕まっちまった。くそぉ!!俺一人逃げ出すのが精一杯だった」
エルフマンさんは悔しさに顔を歪ませる。
「自分を責めちゃダメよ」
そんなエルフマンさんをミラさんが励まそうとする。
「あんた一人のせいじゃない」
「カナ、何が言いたい?」
カナさんの言葉にエルザさんが疑問を持つ。
「カルディア大聖堂に、ブレイン二世が現れたことを、私のカードは見抜けなかった」
カナさんは占いに使ったカードを見せながらそう言う。
「チーム分けも、的確な組み合わせとは言えなかった。みんな、足並み揃わなかったんじゃない?」
「言われてみりゃあ・・・」
「噛み合ってなかったな」
「なんか異色過ぎましたもんね、今回のチーム」
カナさんの言葉にグレイさん、エルフマンさん、俺はそう答える。
「お前の占いが、利用されたとでも?」
「おそらくね。それだと、今回のチーム分けにエルザが入らなかったってのも合点がいくし」
カナさんの言う通り、エルザさんをギルドに足止めしておけば、かなり俺たちの戦力を削ることができる。だからカナさんを夢で操ってこんなチームにさせたのか。
「ったく、絞まらねぇ話だな」
「皆さん!!今は反省会をやってる場合じゃありません!!」
俺たちが今回のことを話していると、ウェンディが大声を出す。
「それより、ナツさんとルーシィさんを助けて、この事態をなんとかするべきです!!」
「そうだよ!!ウェンディの言う通り!!」
ウェンディとハッピーがそう言う。
「それが一番正しいことだとは思うんだけど・・・」
「どうやって~?」
俺とセシリーがそう呟く。ウェンディの言う通り、二人を助けて無限時計を六魔将軍から取り返すのが今一番やるべきことだとはわかってる。だけど、どうやればそれができるのかが俺にはわからない。作戦もなしに突っ込めば、同じことの繰り返しだし・・・
「お嬢さん、失礼ですが・・・」
「「「「「?」」」」」
俺たちが頭を悩ましていると、突然聞き覚えのない声が聞こえる。俺たちがそちらを向くと、そこには四人のおじいさんがいた。
「誰?」
「わかんない」
俺とウェンディが見覚えのないおじいさんたちを見てそう言うと、ハッピーが突然叫ぶ。
「あーーーー!!『実は実は』の人たちだ!!」
どうやらハッピーの知り合いのようだ。てか実は実はの人たちってなんだよ。
「どちら様ですかな?」
ハッピーの説明では意味がわからなかったマカロフさんが問う。
「実は私たちは考古学協会の者です。実はルーシィ・ハートフィリア様にお会いしたいのですが実は」
なるほど、実は実はの人って実はが多い人ってことだったのか。
「ここではなんですので」
「中にどうぞ」
俺とウェンディがそう言い、考古学協会の方たちをギルドの中へと招き入れる。
「ルーシィに何のようだ?」
ギルドに入ると、マカオさんが腕を組んで考古学協会の人にそう言う。
「あなた様は?」
「俺はここのマスター、マカオってもんだ。用件は俺が聞こう」
「実は実は」
「とても大事なお話なのです。ルーシィ様に直接お話を」
「さよう!!あの空に関係することなのです」
マカオさんが用件を聞こうとしたが、考古学協会の人たちは直接話したいと言い、内容を教えてくれない。
「ルーシィはナツと一緒に、新生六魔将軍に捕まったんだ」
「どちらかと言うと、ナツくんの方がオマケみたいな話だったけどね」
ハッピーとセシリーが考古学協会の人に説明する。
「なんと!?」
それを聞いた考古学協会の人たちは驚く。
「話してもらえないか?我々も、少しでも情報が欲しいのだ」
エルザさんは四人に対してそう言う。あの空についてのことってことはつまり無限時計についてってことのはず。もしこの人たちが何かを知っているのなら・・・
「事態が動き続けている今、隠す理由もないようですな、実は」
そう言うと、考古学協会の人は全員に顔が見えるように立ち直る。
「皆さんはウィル・ネビルの名はこ存じですね?
実は私はジャンリュック・ネビル。ウィルの曾孫です」
「「うぇぇぇぇ!?」」
ジャンリュックさんの話を聞いてハッピーとセシリーが驚きの声を出す。
「また唐突な話だな」
エルザさんもジャンリュックさんの言葉に驚き気味にそう言う。
「実は実は、ルーシィ様のお父上、ジュード・ハートフィリア様とも懇意にしておりました」
「ルーシィの親父さん・・・」
「ここに来て、ようやく話が繋がって来ましたね」
グレイさんと俺はそう言う。ジャンリュックさんは帽子を取り、胸の前に置きながら話を続ける。
「実は実は、私も無限時計の封印を生涯かけて見守ることを使命としております」
「お前さん、星霊魔導士か?」
ジャンリュックさんにマカロフさんがそう聞く。何でも今回の教会破壊事件の目的は、ウィル・ネビルの弟子が生涯かけて守っているものを解き放つためのアンチリンクだったらしい。そのアンチリンクの対象は全て星霊魔導士だったからマカロフさんはそう聞いたのだろう。
「いいえ、ただネビルの名を継ぐものとして無限時計の謂れを知り、世に混沌広がる恐れあらば警告し、未然に防ぐことを実は目的としております」
ジャンリュックさんは視線を上げ、何かを思い出している。
「実はあれは数ヶ月前のことです。
とある遺跡の発掘現場にて、無限時計の針が発見されました」
ルーシィさんにルーシィさんパパから遺品としてやってきた部品か。
「それは魔力を封じ込めて、封印するための遺跡でした。考古学協会にも実は調査の連絡が来ましたが、我々がついた時には一足遅く、どうしたことか、流れ流れてジュード様の手に実は渡っていたのです。
実は針が持っている魔力は非常に高く、察知されやすい。悪しき者の手に渡れば混沌を呼び寄せることになりかねません。私は焦りましたが、実はようやくジュード様を探し当て、接触したのです。
放射される魔力を封じるため、私は魔法の布を巻き付けました。そして、ジュード様が再び安全な場所を探して封印する。そんな約束を交わしたのです、実は」
「ルーシィの父が託そうとしていたのは、そのことだったのじゃな」
ジャンリュックさんの話を聞いてマカロフさんが納得したように言う。
「無限時計とは、どれ程危険な物なのだ?」
エルザさんがそう質問すると、ジャンリュックさんは額に汗を浮かべながら答える。
「大魔法、覚めない悪夢『リアルナイトメア』を発動させるのです」
「リアルナイトメア?」
「何ですか?それは」
ジャンリュックさんの言った単語に疑問を持ったマカロフさんと俺は質問をぶつける。
「実は実は、人間の持つ時間の感覚を統べるものであり、ひいては時を支配するということ」
「いささか難しいですが、実際に時間を操る訳ではなく」
「あくまでも感覚の問題な訳ですが・・・」
ジャンリュックさんと考古学協会の人がそう説明してくれる。
「わかるか?」
「俺に聞くなよ・・・」
グレイさんとエルフマンさんもよくわかってないみたいだ。俺もわかってないけど。
「時間の支配とは、混沌の訪れを意味するのです」
「それが世界の終わりになるってのか?イマイチピンと来ねぇが・・・」
考古学協会の人の説明にグレイさんがそう言う。
「考えてもご覧なさい。今は実はいつなのか、自分は今何をしているのか、目の前にいるのは実は誰なのか、何1つ自分の意志で理解できなくなるのです。人の記憶や意識と言ったものは、実はこれまで経験してきたものの積み重ね。その時の繋がりを操られてしまえば実は・・・」
「自分が自分でなくなる・・・」
ジャンリュックさんの説明を理解したエルザさんがそう呟く。
「そいつは、大事だな」
「混乱どころじゃねぇってことか」
エルフマンさんとグレイさんもことの重大さを理解したらしく、重苦しい雰囲気に包まれる。
「無限時計はゼントピア大聖殿の上空にある。聞くところによると、教義の原点とか」
「かつてかの時計より生き残った者が、実はゼントピアを創設し、その恐怖を封印し、戒めてきたと実は言われています。
長らくゼントピアの歴史から実は存在を隠していたのですが、100年ごとに蓄積した魔力を解放し、よからぬ輩に狙われることもしばしば。これは私からのお願い・・・妖精の尻尾へと仕事の依頼です。どうかあれを、無限時計を止めていただきたい」
「言われるまでもねぇ」
「だな」
ジャンリュックさんの依頼にエルフマンさんとグレイさんが即答する。
「うん。ナツもルーシィも助けなきゃ」
ハッピーとシャルルも互いを見つめてうなずく。
「頑張ろう!!シリル!!」
「うん!!絶対に無限時計を止めてみせる!!」
俺とウェンディもやる気十分!!それに、コブラとの決着もつけないとだしな。
「わかった、その仕事引き受ける。この一件、妖精の尻尾が片をつける!!」
マカオさんはジャンリュックさんの依頼を受け入れ、気合いの入った声でそう言った。
「ありがとうございます。それともう1つ。星霊魔導士が無限時計の封印のために実は生体リンクとして機能していたことはご存知ですね?」
「らしいな。新生六魔将軍がそのリンクを切って回ってたんだろ?」
コブラが俺たちと交戦したあとに取り出したナイフのようなものは、このリンクを切るためのものだったらしい。それがわかっていれば、何としてもコブラを止めたっていうのに・・・
「実はリンクを切断されると、星霊魔導士は100年の眠りの呪いをかけられ、サナギのようになってしまうのです」
「サナギ?」
「んだそりゃあ・・・」
ジャンリュックさんの言葉にグレイさんとエルフマンさんがそう言う。実は俺も、あの姿には疑問を持っていた。
「あれは何なんですか?生きているでもない、死んでいるでもない、ただ、何も感じられずに倒れているように見えたんですけど・・・」
俺は目を使って見てみたことを質問してみた。
「生体リンクには実は強大な魔力を要します。アンチリンクにより生体リンクが切断されると、その反動で肉体と精神の時の進みが遅くなり、実は実は、100年もの眠りになってしまうのです」
その話を聞いた俺たちは固まってしまう。
「それじゃあまるで道具扱いじゃないですか!!」
「そうです。彼らは無限時計を自在に動かすための生け贄になってしまったのです」
「許せねぇな」
「ああ、そんなの、漢として許す訳にはいかん!!」
グレイさんとエルフマンさんが怒りを露にする。
「ジャンリュックさん!!必ずこの依頼!!完遂してみせますから!!」
俺がジャンリュックさんにそう言う。すると、
「少々、お外に出ていただいてもよろしいでしょうか?」
「「「「「?」」」」」
俺たちは何をしようとしているのかわからなかったが、とりあえず言われた通りに外に出てみた。
「仕事として受けてくれたこと、実は感謝致します。ならば妖精女王にこれを」
「私に?」
俺たちが外に出てみると、そこには大きな棺桶のようなものがあった。何あれ?
「実は実は、これは針と共に古代の遺跡より発見されしもの。邪悪なものを寄せ付けないと言われております、実は」
魔法でできていたのか、しまっていた蓋が消えると、中には巨大なハンマーのようなものが入っていた。
「今、これを使いこなせるのはあなた様をおいて、実は他にいないと確信しております」
エルザさんがそのハンマーを取り出すと、あまりの大きさに驚いてしまう。だって、エルザさんの2倍くらいあるんだもん。
「よかろう。使ってみよう」
「そうこなくっちゃな!!」
エルザさんの様子を見てグレイさんが頬緩ませる。この大きさじゃ、エルザさん以外振り回せる人はいないだろうし、ここはエルザさんに頑張ってもらわないと!!
「無論、我々も最大限の協力は惜しみません。リアルナイトメア攻略の研究を実は続けます」
「心強い。頼みますぞ」
ジャンリュックさんにマカロフさんがそう頼む。
「で?どうやって敵陣に乗り込むよ」
エルフマンさんがゼントピアの上にある無限時計を見上げてそう言う。
「大丈夫。援軍が来るよ」
エルフマンさんにカナさんがカードを見せ、微笑みながらそう言う。援軍?
「援軍って、誰のことだろうね?」
「もしかして、エクスタリアのみんなとか?」
俺とウェンディはだれなのかわからない援軍がどんな人たちなのか推測する。エクシードたちはありだと思うな。空飛べるし。
しばらくして・・・
俺たちがその援軍を待っていると、上空に見覚えのある飛行船が見えてくる。
「あれは・・・」
「クリスティーナ改!!」
「なるほど、青い天馬か」
俺とウェンディはその飛行船を見てそう言う。あれは青い天馬の所有している魔導爆撃挺。つまり援軍ってのは、
「メェーーーーーン!!」
クリスティーナ改から一人の男が勢いよく落ちてきて、
ゴツンッ
地面に頭から着地する。
「メメメメメメ・・・」
もちろん落ちてきたのは一夜さん。一夜さんは顔が完全に地面にめり込んでいる。
「援軍って、これかよ・・・」
「無限時計は空にあるのよ。だったらこっちも飛んでいかなくちゃ」
一夜さんを嫌そうに指さすグレイさんにカナさんがそう言う。すると、グレイさんは頭をかき始める。
「どうも苦手なんだけどなぁ・・・」
グレイさんがそう言うと、
「ごちゃごちゃ言っとらんでさっさと乗らんか!!」
怒ったマカロフさんが左手を巨大化させてグレイさんを殴り飛ばす。
「「よいしょー!!」」
「メェーン!!」
仕方ないので俺とウェンディで協力して一夜さんを引っ込抜く。
俺たちが一夜さんを地面から助けている間に、グレイさんも帰ってきたので、今回カナさんの占いで選抜された俺、ウェンディ、エルザさん、グレイさん、エルフマンさん、ミラさん、ウォーレンさん、ガジルさん
ハッピー、シャルル、セシリー、リリーが地上に降りてきたクリスティーナ改へと乗り込み、無限時計へと出発した。
「諸君!!それでははりきって進撃を開始しよう!!いざ共に行かん!!メェーン!!」
一夜さんがいつも通りポーズを決めながらそう言うが、あいにく俺はそれどころではない。
「うぇ・・・」
「だ・・・大丈夫?シリル」
ウェンディが乗り物酔いを起こしている俺の背中を擦る。そんなことよりトロイアかけてぇ・・・
ドドンッ
「「「「「「「「「「「おわっ!!」」」」」」」」」」」
「うぷっ」
俺たちが無限時計へと向かっていると、何かが爆発したような音が聞こえ、それと同時にクリスティーナ改が少し沈み始めていた。
「オイ!!しっかり操縦しろ!!」
「は・・・吐く・・・」
「あわわわ・・・と・・・トロイア!!」
一夜さんに怒鳴るエルフマンさんとさっきの揺れで益々気持ち悪くなった俺にウェンディがトロイアをかけてくれてようやく気持ち悪いのが治まる。マジで吐くかと思ったぁ。
「一夜どうかしたのか?」
「船尾に損傷発生!!」
エルザさんが問うと一夜さんがそう答える。
「見てくる!!みんなはここにいて!!」
「め・・・メェーン」
「姉ちゃん!!俺も」
損傷した場所を確認するため、ミラさんとエルフマンさんが部屋から出ていく。
「何が起きやがったんだ!?」
「もしかして、誰かが攻撃してきたとか?」
グレイさんと俺がそう言う。すると、窓の外を見ていたウェンディがあるものを見る。
「皆さん今の!!」
「レーサー!!」
「ミラ・・・」
窓の外にいたのは、新生六魔将軍のレーサー、そしてそれをつかんだまま共に落ちていくミラさんの姿だった。
「一夜!!ミラを追え!!」
「メェーン!!無茶を言うな!!」
グレイさんは一夜さんに指示を出すが、さっきの損傷のせいでクリスティーナ改はコントロールがうまくできないようだ。
「ミラさんたち地面に落ちてしまいますよ!!」
俺は目を使って落ちていくミラさんとレーサーを見ている。ミラさんの背中に翼があるから、大丈夫だとは思うんだけど・・・
「あいつは姉ちゃんに任せろ」
ざわめく俺たち、そこにさっきミラさんと一緒に部屋を出たエルフマンさんが帰ってきた。
「何?」
「でも・・・」
「いいから急げ!!頼む・・・」
反論しようとしたグレイさんとウェンディの言葉を遮るエルフマンさん。その顔は、本当は助けにいきたいが、いけない悔しさを感じさせるものだった。
「よし!!まずは修理だ!!みんな手伝ってくれ!!」
「おおよ!!」
「はい!!」
エルフマンさんの気持ちを察した一夜さんはすぐにやるべきことを判断し、俺たちに指示する。俺たちは急いでクリスティーナ改の修復へと向かった。
第三者side
「ガキども・・・生きて帰ってこい」
マカロフは無限時計へと向かうクリスティーナ改を見上げ、そう呟いた。すると、ギルドの中からジェットが外にいるマカロフたちの元にやってくる。
「おい、キナナがいねぇぞ」
「なんだって!?」
ジェットの言葉に驚くカナ。
「どうしたんじゃ?」
「それが・・・先日から例の発作が酷くなってよぉ・・・」
「なんじゃと・・・?」
マカロフたちギルドに残ったメンバーたちは、突然いなくなったキナナを心配していた。
(聞こえる・・・聞こえる。私を呼んでる)
ギルドからいなくなったキナナは、自分を求めている声が聞こえ、その声の場所へと一人、早足で歩いていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルとコブラ戦うなら、最後はキナナとコブラの再会シーンも入れたいなぁ、と思い、最後の部分を入れさせてもらいました。
次回もよろしくお願いします。
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