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ロンリーファイター

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第七章

「結構しつこいです」
「まだ来ています」
「そうか、もうこれが全速力だからな」
「攻撃もしてきていますから」
「注意して下さい」
「攻撃射程ぎりぎりってところか」
 敵が攻撃をしてきていると聞いてだ、ブロッサムはすぐにこのことを察した。
「そんなところか」
「はい、結構まずいですよ」
「当たってるのもありますよ」
「まだ後ろの方だけですけれど」
「まずいことはまずいです」
「そうだな、こうなったらやってやるか」
 意を決した顔になってだ、ブロッサムはエリックとクローリーに言った。
「やるぞ」
「やる?」
「やるっていいますと」
「この高さじゃ駄目だ」
 言うのは高度の話だった、飛んでいる。
「上にあがるぞ」
「上にあがって、ですか」
「より速度を上げて」
「それで、ですね」
「敵機も高射砲の攻撃も振り切るんですね」
「そうする、後ろからの攻撃と下からの至近弾でダメージを受けてるがな」
 機体自体がだ。
「それでもな」
「ここは、ですね」
「一気に上昇して」
「それで今より速度を上げて」
「敵を振り切りますね」
「機体がバラバラになるも知れないが」
 それでもというのだ。
「いいな」
「この状況ならですね」
「本当に賭けるしかないですね」
「一気に急上昇」
「そこから全速力で振り切りますか」
「そうするからな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 ブロッサムは実際にだ、一気にだった。
 機体を上昇させた、これには。  
 そのままの高度で逃げるだけと思っていた敵機も下の高射砲部隊もだ。読みが外れて驚いてだった。そしてだった。
 その彼等の隙も衝いてだ、一気に。
 ブロッサムは速度を上げた、Pー61が最も速くなる高度でまさに全速力でだ。
 敵機も下からの攻撃も振り切った。そうして遂にだった。
 彼は二人を連れて基地まで帰投した、そうして三人で基地に降り立ってから出迎えた整備兵達に言った。
「死ぬかと思ったぜ」
「顔に出てますよ」
 その危うさがとだ、整備兵も答える。
「狼の群れに追いかけられてたって」
「三匹だけだったけれどな」
 その狼はと言うのだった。
「下からも来たぜ」
「そうですか」
「ああ、けれどな」
「皆さん無事ですね」
「俺達自身はな」
 三人共、というのだ。
「この通り五体満足だぜ」
「それは何よりですね」
「ああ、ただな」
「機体はですか」
「確かめてないけれどな」
 それでもというのだ。
「相当にな」
「やられてますね」
「無茶して飛んだしな」 
 そのこともあってというのだ。 
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