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Absolute Survival!! あぶさばっ!!

作者:罪さん12
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第一話 普通の高校生☆





――――――ピピッ、ピピッ、ピピッ……

 おぼろげな夢は、規則的な電子音で唐突に終わりを告げる。

 ベッドの上で仰向けに眠っていた少年は「んむぅ……」と低く唸ると、右手をサイドテーブルの上に這わせる。そして未だに「ピピッ、ピピッ」と耳障りな音で鳴っているスマートフォンを掴むと、眼前に持ち上げて、鬱陶しそうにアラームの解除ボタンを押した。

「…………朝か……」

 少年は独り言のように呟き、ベッドから身を起こす。

 そしてあちこちへと撥ねた癖のある髪に手櫛を通しながら、ベッドを降りて窓際まで歩いていき、緑色の鮮やかなカーテンを「シャーッ」と勢いよく開けた。

「ん……良い天気だ」

 窓から見える空は快晴で、太陽が目もくらむほどに輝いている。

 少年は軽く伸びをすると、部屋の扉へと足を向けた。





「おはようお兄ちゃん!今日も若干ビビるくらいの怖い顔だね!」

 少年がリビングの扉を開けると、まるで待ち伏せていたかのように少女が目の前に飛び出してきて、大声でそんなことを言ってきた。

 少女の名前は『後藤 夏帆』。彼女はただいま中学三年生で、受験勉強真っただ中の学生だ。
肌は二年間テニスをしていたためか褐色で、その眩しい笑顔からは天真爛漫さがこれでもかというくらいに滲み出ている。容姿は……正直分からない。兄という位置から、いつも見ているためか可愛いのかそうではないのか分からなくなるのだ。まぁ微妙としておこう。

 少年は「ああ……おはよう」とだけ言い、夏帆を押しのけてリビングへと入る。

 背後で「ぶー、お兄ちゃんは冷たいなー」と文句を言う夏帆を無視し、木製のダイニングテーブルに掛けてある椅子を引っ張り、静かに腰を下ろす。

「ん……琉か。おはよう」

 椅子に掛けてそうそう、目の前で新聞を広げていた父親が、チラリと厳つい顔を新聞の片側からのぞかせた。

 もう五十を過ぎているというのに見た目は三十代前半にしか見えない。顔はなんというか痩せ細っており、髪の毛はちらほらと白髪の混じっている黒だ。なかなか無愛想で口数が少なく典型的な頑固親父みたいな容姿と性格をしている。

 少年が父親に挨拶を返そうとしたところで、キッチンから弾んだ声が聞こえてきた。

「あらー、琉ちゃんおはよう!今日も相変わらずの仏頂面ねー♪さっさと朝ごはん済ませなさいな」

 三枚の皿を器用に持ちながら、ステップでもしそうな足取りでキッチンから現れたのは、少年の母親。

 容姿は見た目だけが若い父親とは違い、年相応の見た目をしている。要するにおばちゃんだ。

 髪はふわりと少し癖のあるウェーブがかかっており、明るい茶色に染めている。

 先程の妙なテンションからも分かる通りだが、妹のあの明るい性格は絶対にこの母親から受け継がれている。眠気も覚めやらぬ朝っぱらから、正直鬱陶しいことこの上ないのだが。

「父さん、母さん、おはよう」

 母が目の前にフレンチトーストとスクランブルエッグを乗せた皿とコーヒーのカップを並べていく動作を横目で見ながら、少年は静かに挨拶を返す。

 母の「んもう、琉ちゃんはテンションが低いわね~」と歌うように言う声を無視して、少年はナイフとフォークを手に取った。

 ここで紹介しておくと、この少年の名前は『後藤 琉』。

 ここ後藤家の長男として生まれ、年齢は今年で十八歳。家から四キロ、時間にして自転車で約四十分も離れている県立の男子校に通う、普通のどこにでもいる高校生だ。

 そう。琉はどこにでもいる普通の高校生だが、その『容姿』だけは『普通』とはかけ離れていた。

 まず、人を常に威嚇しているかのように細められた瞼。本人曰く、ただ『眠いから』だが、何も知らない他人が見れば、軽く悲鳴を上げて逃げ出すくらいだろう。先程、妹の夏帆にも『怖い顔』と評されたが、だちたいこの厳つい眼のせいだ。

 そして剃ったかのように薄く細い眉毛。それが一層眼光の鋭さを強調している。

 基本的に顔全体の線は細く、意外と形も整っている。が、それがまた冷たい印象を醸し出していた。

 髪は母親譲りの癖毛で、手入れが面倒なのかボサボサのまま放置している。長さは少し目にかかるくらいで、特に長いといった印象はない。

 部活は文芸部に所属しているためか、中肉中背の筋肉。身長は百八十センチで、まぁまぁ高校生ならば高い方だろう。

 つまり総合的に、いや客観的にお世辞抜きで見て、かなり怖い。この一言に尽きる。

 しかもただ厳ついとか不良っぽいとかならまだしも、琉はゾッとするほどに冷たい印象なのだ。

 普通の『怖い』ではなく、見ているだけで背筋がゾッとする方の、『怖い』なのである。

 しかし意外なことに、琉の性格は見た目とはかなり掛け離れているものであった。

 幼いころからこんな見た目で人が寄り付かなかったせいか、あまり人前で目立ちたがらないし、何事にも消極的。

 そして無愛想無口と言われているが、それはただ琉が口下手なだけであったり、感情を大袈裟に出すのが苦手なだけであったりする。

 他にも人を怒るのが苦手だったり、案外ヘタレ思考だったりと、見た目とのギャップの激しさに大抵の人は驚愕を隠せないのだ。
 そう。本当は恥ずかしがり屋のシャイボーイ、とでも言ったところだろうか。




 琉がフレンチトーストを丁寧に切り分けながら口へ運んでいると、父親がテレビのリモコンを手に取って、リビングに置いてある薄型液晶テレビへと向ける。
 
 数秒おいてパッと明るくなったテレビの画面に、朝のNHKニュースキャスターが真剣な面持ちで昨日起こった事件などを喋っている姿が映った。

 まだ眠気が抜けきっていないのか、琉はさほど興味もなさそうにざっとニュース番組を眺める。

 特に面白そうなニュースが無かったのか、琉がテレビ画面から目を離して食事に集中していると、対面に座っている父から「む……」と低い唸り声が聞こえてきた。

 琉が不思議に思って顔を上げると、父の目はテレビに釘付けになっている。

 つられて琉ももう一度視線をテレビに向けると、先程のニュースキャスターが何やら沈痛な面持ちで次のニュースを報道しているところだった。


『―――次のニュースです。昨日の午後六時ごろ、岡山県北部にある山岳地帯にて、不審な男性が目撃されとの情報が入ってきました。目撃したのは近隣の住人達で、証言によると「突然掴みかかってきて、噛みつかれた」や「奇声を上げながら襲いかかってきた」などと複数の被害者も出ており、襲い掛かられた全員が病院へと搬送されました。襲いかかってきたという男性は、いまだに逮捕されておらず、警察局は傷害事件として捜査を進めているということです。――――次のニュースです。先月から話題となっていた、グリーンランドにて発見された最古の原人に――――』


 特に気にするほどの事件でもなかったため、琉がぼんやりとニュースを見ながらスクランブルエッグにとりかかっていると、母がキッチンから出てきて「あらぁ」と呑気な声を上げた。

「最近は物騒な話が多いわねぇ。琉は男の子だからいいとして、夏帆は女の子だから気を付けないと、ねぇあなた」

 母が父に話を振ると、父は厳つい顔を崩さずに「うむ」と頷く。

「いかに夏帆が部活で帰宅が遅れるからと言っても、午後六時以降は許容できんな。琉、お前暇だろう。迎えには行ってはやらんのか」

「…………断る」

 半眼で睨みつけるように拒否した琉を見て、母がやれやれとでも言わんばかりにため息を吐く。

「少しはお兄ちゃんらしいところを見せたらどうなの、夏帆も女の子なのよ?ねー、夏帆~」

「だよねー、お兄ちゃんはすこしくらい夏帆に優しくしてくれても良いと思う~」

「だ、そうだ琉」

「…………」

 冗談なのか本気なのか分からない三人の言葉を軽く流し、琉はコーヒーへと口をつける。

 口内に広がる独特な苦みとミルクの仄かな甘みが、まだ覚醒しきっていなかった頭を叩き起こしてくれるようだ。

 コーヒーを一気に飲み干し、チラリと腕時計を見ると時刻は午前七時三十分。

 琉が時刻を確認したことに気が付いたのか、母が壁に掛けてある時計を見やると、思い出したように声を張り上げた。

「あら、そろそろ『袴田くん』が迎えに来る時間ねぇ!ほら、さっさとしないとインターホンが鳴るわよ!」

「うん……わかってる」


『袴田 颯』。琉の中学校以来からの親友であり、同じ男子校に通う生徒でもある。

 彼は琉の見た目に怖がらず、自然体として接してくれた初めての友人だった。

 その頃、口下手と冷たい見た目のせいで一人の友人も居なかった琉に、隣の席だからと声をかけてくれたのが颯との最初の出逢い。

 相変わらず琉は素っ気なく挨拶を返したのだが、颯は全く気にする素振りもなくそれから何度も明るく話しかけてくれたのだ。

 琉は最初こそしどろもどろだったり緊張のあまり素っ気なく接したりもしたのだが、いつしか颯とは何の気兼ねもなく笑いあえるほどに仲良くなっていた。

 そして琉の性格が見た目と全然違うことを知るや、一人、また一人と心を許してくれる友人が増えていったのだった。

 そんな颯は、マイペースと言うかなんと言うか、とても温和な性格で、なにかと琉を気遣ってくれる優しい人柄の持ち主だ。学校に居る時でも、琉と一番長く一緒に居るのが颯である。

 颯は律儀なことに、毎朝七時三十五分になると後藤家にまで琉を迎えに来てくれる。今では日課となっているこのお迎えだが、最初の頃は琉が寝坊して数十分待たせてしまったりと颯に迷惑を掛けっぱなしだった。今思い出しても申し訳なさでいっぱいになる。





 琉が席を立つと同時に、家中に「ピンポーン」と間の抜けたチャイムが鳴り響いた。

 母が大声で「はーい、袴田くんちょっと待っててねー」と叫んだ後、琉に向けて「ほら、琉ちゃんも早く行ってあげなさいよー」と急かすように早口で捲し立てる。

 琉は椅子にぶら提げてあった学生鞄を引っ掴むと、「じゃあ、行ってきます」とだけ言って急いでリビングを出る。

 リビングを出て細い廊下を進んでいくと、すぐ目の前が玄関だ。

 琉はいそいそと学生靴を履き、つま先で地面を蹴りながら玄関の扉を静かに開ける。

「よっ、おはよう琉」

 玄関の外には、少しぽっちゃりとした印象の好青年が片手を上げて立っていた。

「ああ、おはよう颯ちゃん」

 琉の目の前に居る、色白で髪を短髪に切り揃えた青年こそが、『袴田 颯』本人だ。

 颯はニッと笑って白い歯を覗かせると、「じゃあ出発しますか」と言って歩道に立てかけてあった自分の自転車に跨る。

 琉も無言で頷くと、玄関横の自転車置き場からママチャリを引っ張り出し、自転車のカゴに学生鞄を放り込むと、颯と同じようにサドルに跨った。


 季節は春の宵も明けきらぬ五月の上旬。

 真っ青に晴れ渡った空に、一本の飛行機雲が遙か遠くの空まで一直線に伸びていた。




         ☆




「ウィーッス、琉、颯。おはチィーッス」

「おはよう畑くん」

「おはチッス、畑」

 教室に入って早々、扉の近くでスマートフォンをつついている、『畑』と呼ばれた青年が琉と颯に軽い感じの挨拶をする。

 それに琉、颯、の順番であたりさわりもなく返し、二人が自分の席へ着こうとすると、教室の隅っこでこそこそと何やら話している男子三人組が「おっ」と声を上げ、琉に向けて片手を上げた。

 三人の内、眼鏡をかけている長身の青年は琉の側まで歩いてくると、眼鏡のフレームをクイッと持ち上げて言った。

「おはよう後藤くん。今日も眠そうな顔をしているね。寝不足かい?」

「ああ、おはよう三桑くん。いつも同じことを聞いてくるね」

「そうだったかな?」

 三桑と呼ばれた青年は別段気に留めた様子もなく、とぼけたように言う。

 これは琉と三桑の間で毎朝行われているやりとりで、今や当たり前となってきているものだ。

 最初こそ三桑は本当に心配している様子で聞いてきたのだが、それが琉の素の表情であると知ってからは挨拶の一環のような感じで付け足してくる。

 しかし別に琉も嫌というわけではないので毎朝繰り返していたら、いつの間にか定着していたのだ。
琉が苦笑いを浮かべて「ああ」とだけ言うと、満足したのか三桑は片手を上げて教室の隅っこへと戻っていった。

 隅っこで待っていた二人も琉に気が付いたのか、片手を上げて「おう」とにこやかに挨拶をしてくる。

 琉も片手を上げて「おはよう」とだけ返し、三桑と二人がまた話し始めたのを見て、学生鞄を机の横に掛ける。そして机の引出しからカバーのかけてある文庫本を取り出すと、黙々と読み始めた。

     



 それから朝のショートホームルームを終え、三時間の退屈な授業を眠らずになんとか乗り切り、やっと昼食休憩の時間になる。

 授業中特に変わったことは無かったが、強いて挙げるならば琉がうつらうつらと夢現を彷徨っているときに、先生がビクビクしながら「あのー、後藤くん……?私の授業聞いてくれると嬉しいなー、なぁんて…………」とか細い声で注意していたことくらいだろう。

 後から颯に聞いた話だが、琉は無意識のうちに教師をもの凄い眼で睨んでいたらしい。琉にとっては睡魔と必死に闘っていたつもりだったのだが、どうやら教師には授業が退屈で睨まれていると思ったらしい。教師に怖い思いをさせてしまったらしいと知った時には、琉もさすがに申し訳なく思った。

 琉が自分の学生鞄から弁当を取り出して中身を机の上に広げていると、颯が琉の机に椅子を寄せてきて、さも当たり前のように弁当を広げ始める。

 これも日課なのだ。中学生の時分から、ずっとお昼はこの二人で食べている。

「なぁ、琉」

 黙々と弁当を食べ始めて数分後、颯が遠慮がちに口を開く。

「ん、なぁに?」

「今日の朝のニュース観たか?ほら、あの岡山県で住人が男に襲われたってやつ」

 琉はしばしの逡巡の後、今朝父親が渋い顔で観ていたニュースの内容を思い出す。

「ああ、ざっとだけど観たよ。おかげで面倒そうな役割を押し付けられそうになった」

「なんだそれ?」

「いや、気にしないで。それより、そのニュースがどうしたの?最近じゃ珍しくもないと思うけど」

「いやぁさ、ほら、インタビューで言ってたじゃん。男に噛まれたとかなんとかって」

「うん、言ってた気がするね」

 琉の返答を聞いて、颯がもったいつけたようにニヤリと笑う。

「ふふふ……。なんと、うちの親父がこっそり教えてくれたんだな、これが!」

「何を?…………って、ああ。そう言えば、颯ちゃんのお父さんは警察官だったね」

 そうだ、確か颯の父親は市の交番に勤める巡査官だった気がする。

 ちなみに颯には四つ歳の離れた兄と、十二歳離れた妹が居る。兄も父親と同じように警察官で、妹の方は市内の小学校に通っている。

「うむ。それで事件のことなんだが、凄く面白いことになってるっぽいぜ」

「面白いこと?」

「ああ。襲われて病院に搬送されえた被害者さん達がいただろ?なんと、そいつらが正気を失ったように暴れだしたんだとさ」

「へぇ……」

「病院の看護師さんが何人か怪我したらしい。んで、秘密裏に暴動鎮圧部隊が突入したんだよ」

 琉はなるほど、と言うように肩をすくめてみせる。

 これがニュースに流れていない裏の部分というやつか。しかし、こんな秘密にされているものをほいほいと他人に喋ってしまってもいいのだろうか、と琉が思っていると、その心情を察したのか「バレなきゃおけ」と颯がペロッと舌を出して親指を立ててきた。

 琉は颯のあっけらかんとした様子に苦笑しつつ、続きをどうぞとでも言うように顎をしゃくる。

「おう。んで暴動鎮圧部隊が病院に突入したんだが、事件の被害者や数人の入院していた患者たちが忽然と姿を眩ましていたらしいんだ。今も捜索は行われているらしいが、まだ一人も保護されてないって、朝親父が言ってた」

「はぁ……そんなことが起きてたんだね」

「なんだよ琉、テンションが低いじゃねぇか」

「そう?」

「ああ!こんな話を聞いたら、あれを思い出すだろうあれを!」

「あれ?」

「??」とハテナマークを浮かべる琉に、興奮した顔つきで颯がグイッと顔を近づける。

「ゾンビだよゾンビ!ほらぁ、何か噛まれたら感染するってあるだろ!この事件、もしかしたら裏でアン○レラ社とかが動いているのかもしれないぞ……」

「日本にア○ブレラ社は無いんじゃないかな」

 某有名ゾンビゲームの話を持ち出してきた颯を見て、琉は得心がいったように深く頷く。

「そういえば、颯ちゃんはそういった感じのホラー系好きだったね」

 そうなのだ。この袴田颯という青年は、小学生の頃から銃器やその他軍事兵器もろもろが三度の飯よりも好きなのだ。

 琉が言ったホラー系だけでなく、颯はサバゲーを始めとしたリアルな方面でもお手の物らしい。グアムで色々な銃を試射してきただとか、祖父に連れられて行ったベトナムでアサルトライフルをぶっ放しただとか。

「いやいやぁ、バイオ○ザードを全作プレイしてきた俺にとって、今回の事件はゾンビ臭がプンプンするんだぜぇ……」

「ゾンビ臭って初めて聞く言葉だ……」

「でもでも、本当にそうだったら面白いよな、きっと!襲い掛かってくるゾンビ共を銃で一斉掃射!くーっ、やってみてぇ」

「日本にあんまり銃は無いよ……」

「……あー。そうだよなぁ。まぁでも日本なら、警察のニューナンブとか自衛隊の八九式とか……かな!さすがに特殊急襲部隊や銃器対策本部は動かないと思うから、MP5とかは無理そうだけど……でもでも、M1500とかあったらそれはそれで撃ってみたいというか―――――」

 日本の銃器について熱く語り出した颯を横目に、琉はときどき相槌を打ちながら弁当の箸を進める。銃について熱くなってしまった颯は、もう本人が満足するまでは絶対に喋り終えない。



 しかし、颯が言っていた『もしかしたら』の話も、それはそれで面白いかもしれない。

 水筒に入っているお茶を飲みながら、琉は呑気にそう思った。

















 
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