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第二章
「俺は余計な金は残さない主義だ」
「じゃあ何に使ってるんだ?」
「御前酒は程々だしな」
飲むにしてもだ。
「ギャンブルはしない」
「女遊びもしないしな」
「じゃあ何に金使ってるんだ?」
「車でもバイクでもないな」
「持っていることは持っているがな、車は」
アメリカは車社会で車がないと生活が出来ないからだ、それで彼も車は持っている。だが趣味として金をかけて凝ってはいないというのだ。
「それでもな、金はかけていない」
「そうだよな」
「だから不思議なんだよ」
「何に金使ってるんだ?」
「それじゃあ」
「株か?」
「株も先物もしていない」
こちらもだ、グラッドは否定した。
「失敗したら怖い」
「破産一直線だしな」
「それこそ借金が爆弾みたいになるからな」
「だからそれもしない」
「そうなんだな」
「じゃあ何の金使ってるんだ」
皆このことが不思議だった、しかし。
グラッドはあることに金を使っていた、だが彼はある日のこと。
休暇なのでだ、ある場所に行った。そこはある宗教団体が運営している孤児院だった。そこに行くとだった。
院長の牧師がだ、彼を満面の笑顔で応対して言った。
「また来てくれたんですね」
「はい」
海兵隊の中では見せない明るい笑顔でだ、グラッドも応えた。
「時間が出来たので」
「だからですか」
「何かお困りですか」
「いえ、何も」
牧師は微笑んでだ、グラッドに答えた。
「少佐の寄付もありますし他の方々からも」
「それは何よりです」
「本当にいつも感謝しています」
牧師は笑顔のままだ。グラッドに言葉得を返した。
「お陰で子供達も困ることなく生活しています」
「それは何よりです」
「では今日は」
「はい、寄付にです」
まずは小切手を出してだ、それから。
牧師を自分の車のところに案内した、この車がある駐車場でだ。彼は多くのおもちゃを出して牧師に対して言った。
「これを」
「おもちゃですか」
「お金だけではと思いまして」
「子供達の為に」
「どうぞ」
笑顔での言葉だった、今も。
「お受け取り下さい」
「お言葉に甘えていいのですね」
「是非共」
これがグラッドの返事だった。
「お願いします」
「それでは」
「それで子供達は元気ですか?」
「はい、皆元気です」
牧師は優しい笑顔で答えた。
「不自由なく暮らせています」
「それは何よりです、では今日は時間があるので」
「子供達とですね」
「遊んで宜しいでしょうか」
「はい、少佐が来られれば」
「子供達もですか」
「喜んでくれます」
だからだと言ってだ、牧師はグラッドをまた孤児院の中に入れてだった。そのうえでだった。
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