チュッタイ
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第一章
チュッタイ
タイの服もすっかり洋風となった。僧侶は別だが大抵の者はそうした服装になっている。それは古都アユタヤアに住む高校生タニヤ=ターウァン、ニックネームはシータも同じだ。
アルバイト先を調べる時にだ、タニヤはその大きな目で家でアルバイト情報を見ながら姉のゴーラ、ニックネームはカーラに問うた。二人共髪は長く伸ばし目は大きくはっきりとしていて眉は細い。そして肌は褐色で首は長めだ。ただゴーラの方が背は高。二人共スタイルはすらっとしているが胸はある。
その胸が目立っている白いブラウスの襟のところを触りながらだ、タニヤはテレビを観ている姉に尋ねたのだ。
「今度クレープ屋さんにね」
「アルバイトしようって思ってるの?」
「どうかしら」
「いいんじゃない?」
テレビを観つつだ、姉は妹に素っ気なく返した。
「あんたがそうしたいなら」
「何か適当な返事ね」
「だってね」
「お姉ちゃんのことじゃないからよね」
「あんたのことでしょ」
そのアルバイトは、というのだ。
「だったらね」
「返事もなのね」
「適当になるわよ」
自然にというのだ。
「というかあんたどうしてそこにしたいっていうの?」
「制服が可愛いからよ」
雑誌に出ている紹介の写真でだ、女の子が着ているそれがだ。
「だからね」
「そうなのね」
「ええ、いい制服だから」
「じゃあそこにすればいいじゃない」
やはり適当に言うゴーラだった。
「それでね」
「アルバイト料と勤務時間は大体同じなのよ」
目星をつけたバイト先のだ。
「だったらね」
「後は制服ね」
「それで決まりだから」
「お店奇麗なの?」
「それは面接の時にチェックするわ」
採用される方もだ、それは忘れないというのだ。
「ちゃんとね」
「そうなのね」
「だから。とりあえずはね」
「制服ね」
「それが可愛いかどうかよ」
「じゃあそれにしたらいいじゃない」
またこう返したゴーラだった。
「あんたはね」
「それじゃあ面接行ってみるわね」
「そういうことでね」
「それでお姉ちゃん彼氏とどうなったの?」
「あの人と?」
「そう、この前お家に連れて来てお父さんとお母さんに紹介しようと思ってたけれど」
「結婚するかも」
ズボンの足をここで組み替えてだ、ゴーラは言った。二人共ラフな白ブラウスとズボンだ。どちらも洋服である。
「冗談抜きでね」
「結婚なのね」
「その話が出て来てるのよ」
二人の間でというのだ。
「お互い働いてて収入もあるし」
「そうなの。結婚なの」
「結婚ってなったら」
「色々忙しくなるわね」
「式もあげたいしね」
「式は教会?」
何気なくだ、タニヤは姉に問うた。
「ウェディングで」
「タイの結婚式もそれ多くなったわね」
「それでいくの?」
「どうかしらね」
姉は首を傾げさせつつ妹に返した。
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