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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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新生六魔将軍

俺たちの前に現れたのは、一人は大きな赤い顔をした熊。
一人は長髪で天使を彷彿とさせる格好をし、アホ毛が天使の輪みたいになっている女性。
一人は大きな鎌を手に持ち、黒いローブに身を包んだ男。
一人は全身をフィットシャツのような服でおおわれているアイウェアをしている男。
その隣にいるのは右目が隻眼の褐色色の肌をしたつり目の男。
そして、その5人の中央にいるのは、長い黒髪と口紅が特徴の男。

「な!?こいつら・・・」
六魔将軍(オラシオンセイス)!!」
「だよね?」

そう、そいつらは俺とウェンディがまだ化猫の宿(ケットシェルター)にいた7年前に、連合軍を組んで討伐し、見事に勝利を納めたはずの六魔将軍(オラシオンセイス)だった。

「でも、ブレインとホットアイがいないよ?」
「あのバスローブの男と、赤い熊みたいな奴は見たことないわ」
「他の四人はどことなく面影があるけどね~」

ウェンディ、シャルル、セシリーが6人を見てそう言う。確かに、四人は見たことあるけど、あとの二人・・・あれ?あのバスローブの奴はなんか匂いが記憶にあるような・・・誰だっけ?

「にょほほほほほほ!!」

俺たちが動揺していると、赤い熊が体に取り付けられているレバーを押す。すると、体の真ん中にあるスロットが回転を始め、ここに『六マ』というギルドマークが揃う。

「これぞ正しく六魔将軍(オラシオンセイス)!!いえいえ・・・新生六魔将軍(オラシオンセイス)とお見知りおきください!!まっせ」
「「「「「「「「「「新生六魔将軍(オラシオンセイス)!?」」」」」」」」」」

俺たちは赤熊の言葉に驚いて大声を出す。

「そう、いかにも。我らは新生六魔将軍(オラシオンセイス)
「お前、ミッドナイトか!?」

黒髪と口紅をつけた男にナツさんが言う。今回は目覚めてるんだな。7年前は眠ってた記憶しかないけど。

「その名は遠い過去のもの。ブレイン二世と記憶してもらおうか」

ブレイン二世は自らの名前を名乗る。

「何が二世だ!!のこのこ出てきやがって・・・どういうつもりだ!!」
「我が祈りはただ1つ。父の意志を果たすこと。形あるものは全て破壊されるべし」
「まだそんな寝言を言っているのか」

ブレイン二世は頬緩める。

「レギオン隊よ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)よ、お前たちの役目は今終わった」

ブレイン二世がそう言うと、無限時計が緑に光、その部品1つ1つに『六マ』という刻印が刻まれる。

「なんじゃあれは!?」
「ダン!!渡してはならん!!」
「合点承知ぜよ!!」

ダンとバイロはブレインに時計を渡さないためにそれぞれ武器を構える。

「冗談じゃねぇ!!それはこっちのセリフだぁ!!」
「邪魔すんなぁ!!」

ナツさんとダン、それにバイロの3人は新生六魔将軍(オラシオンセイス)へと向かって走り出す。

「ふん。うじどもが、群がりおって」

ブレイン二世は手を上げると、そこに紫の魔法陣が現れ、黒緑色の魔法をナツさんたちに放つ。

「そんなもの、跳ね返してやるぜよ!!」

ダンはリコシェでその魔法を跳ね返そうとする。

「!?」

しかし、ダンのリコシェに当たった魔法は、跳ね返ることなくダンを弾き飛ばす。

「ぐあっ!!」
「あの(シールド )で跳ね返せないなんて!!」

飛ばされるダンを見てココさんが驚く。

「どわぁ~!!ルーシィ!!信じられんじゃあ!!」
「どさくさに紛れてしがみつくな!!」

ダンはリコシェを破られたショックでルーシィさんに泣きついていた。

「君は下がれ」
「何!?」

ダンのリコシェを破られたのを見てバイロはナツさんに下がるように言う。

「いかなる魔法も私の前では・・・」

バイロはブレイン二世の魔法を無効化しようとしたが、なぜか魔法は無効化されず、ナツさんとバイロは攻撃を受ける。

「魔法の無効化はどうしたんだ!?」
「今のは・・・」
「にょほぉ!!バイロさんの魔法が及ぶ範囲を屈折させて同時にアターック!!さすがブレイン様!!」

俺たちがなぜ無効化されたかわからずにいると、それを赤熊が解説する。

「シリル、感じる?」
「ああ・・・なんつう魔力だ・・・」
「それも、途方もなく禍々しい魔力・・・」

ウェンディ、俺、シャルルは奴等から発せられる禍々しすぎる魔力を感じている。

「無限時計は魔導士が己の刻印を刻むことにより所有者を確定する」

ブレイン二世はそう言うと、一瞬の内に無限時計の上に移動する。

「よって今この瞬間、かの時計は我らの所有物となった」

ブレイン二世がそう言うと、無限時計は鐘の音を鳴らす。

「よい音色だこと」

そう言ったのは、もしかしてエンジェルか?「だゾ!」って言わないぞ!?

「ちょっと!!いきなり出てきて横取りなんて、卑怯じゃない!!」
「聞こえる・・・てめぇらの憤り・・・混乱しているなぁ」
「フフフフ。笑える」

怒鳴るルーシィさんの声を聞き、コブラとレーサーがそう言う。

「我ら闇の者には触れることすら許されぬこの時計。ゆえにお前たちに集めさせた」
「てな筋書きでございましたぁ!!」

俺たちに集めさせたって・・・そんなバカな!!

「っ!!おのれ・・・」
「利用されてた?そんな・・・」

エンジェルと赤熊の言葉を聞いたルーシィさんはミッシェルさんを見つめる。

「それじゃあ・・・お父さんは一体・・・何のために!?」

ルーシィさんの言う通り、ルーシィさんのお父さんはなんであの針を渡すように伝えたんだ?

「なんだか背中がゾクゾクする・・・怖いよ、あいつら・・・」
「何なの・・・一体・・・」

ハッピーとセシリーも奴等の禍々しい魔力に恐怖している。

「奴等から感じる魔力・・・」
「以前とはケタが違うな」

確かに、7年も経ったからか、奴等の魔力は以前のそれを遥かに凌駕している。

「知ったことか!!」

ナツさんは奴等の魔力が上がっていようが関係ないとやる気満々だ。

「俺らの手の中で踊れたこと、光栄に思え」
「やかましい!!」

ナツさんはコブラの挑発に乗せられてしまい、奴等にブレスを放つ。しかし、その攻撃は、ローブを着た男に防がれてしまった。

「ナツの炎が散らされた!!」
「あれは―――」
「風の魔法!?」

ウェンディたちはナツさんの炎を阻んだ魔法を見てそう言う。あいつ、俺も会ったことがあるみたいだな・・・

「風?そんな穏やかなものではない。嵐だ、嵐が来る」

あの声と匂い・・・間違いないみたいだ。

「あいつ、鉄の森(アイゼンヴァルト)のエリゴールだ!!」
「「「「「何!?」」」」」
「ご明察ぅ!!よくわかりましたねぇ!!」

俺がローブを着た男の名を言うと、皆さん驚き、赤熊は胸のスロットを回転させて7年前のエリゴールの姿を写す。

「俺の名はグリムリーパーだ」
「エリゴール!?」
「こいつが・・・」
「お前、その姿・・・」
「人って変わるものだね・・・(汗)」
「あれは変わりすぎだよ~」

エリゴールは髪の毛がなくなっており、7年前よりも老けてしまっていた。いくらなんでも変わりすぎだろ。

「何でもいい!!ぶん殴ってやるから降りてきやがれ!!」

ナツさんが叫ぶが、六魔将軍(オラシオンセイス)はその場から動かず、俺たちを見下ろしている。

「ブレイン、いつまでここで暇潰しをする気だ?」
「我らには大きな目標があるはず」

コブラとエンジェルがそう言う。大きな目標?

「分かっている。だが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・・7年前の屈辱は忘れん。少し遊んでやれ、コブラ、レーサー」
「ああ・・・」

ブレイン二世の指示により、コブラとレーサーが俺たちに向かってくる。

「来るぞ!!迎え撃て!!」
「「しゃあ!!」

エルザさんの言葉でグレイさんとナツさんが突っ込む。俺も突進するか?

「「「ぐああっ!!」」」
「!?」

俺も対抗しようと思ったのだが、いつの間にかナツさんたちがレーサーによって一瞬の内に叩きのめされる。

「なんだ今の!?何にも見えなかった!!」
「クソッ!!なんだありゃ!?」
「まるで別人だな、スピードもパワーも」

レーサーはさらに、近くにいたジュビアさんとリオンさんも倒してしまう。

「スローの魔法は?」
「使われた感じはしねぇな」
「まるで獣だな。獲物を狙う野獣そのものだ」

7年前のレーサーは相手の体感速度を下げる魔法を使っていたらしいが、今は自らの速度を上げる魔法を使ってるってことか。

「よぉ」
「「「「!?」」」」

レーサーと交戦しているナツさんたちを見ている俺たちの後ろから、コブラが話しかけてくる。

「久しいな、天空の巫女。それと水竜」
「俺はついでかよ!!」

俺の扱いひどすぎだろ!!7年前はけっこう頑張ったのに!!

「ちょいと、聞きてぇことがあるんだが」

コブラの魔法は聞く魔法・・・俺たちの考えを読み取る気か?てか何聞こうとしてるか分からねぇのに何聞くつもりだよ。

「なんだ知らねぇか。それなら消えろ!!」

コブラは俺たちを威圧してくる。

「動けない・・・」
「なんて威圧感・・・」
「これが金縛りってやつ~!?」

ウェンディたちはコブラに睨まれて動けなくなってしまう。俺も動けな・・・

「あれ?普通に動けるわ」
「何!?」

俺も威圧されてるはずなのに、なぜか普通に動ける。

「よしっ!!これでも食らいやがれぇ!!」

俺は叫びながらコブラに飛び込む。

「なるほど、カミューニの目を手に入れたからか。だったら」

コブラは指を鳴らす。

『食らいやがれぇ!!』

すると、俺がさっき叫んだ声が増幅して襲いかかってくる。
それと同時に、辺りが大爆発を起こす。

「何・・・今の・・・」
「今のは・・・一体・・・」
「音が・・・すごい圧力の壁になって・・・」
「俺たちに襲いかかってきたのか・・・」

コブラの近くにいた俺たちだけでなく、この墓所にいた全員が今の攻撃を受けてしまったようだ。

「くっそ・・・コブラ・・・てめぇ・・・」
「聞こえる・・・てめぇらの絶望が。己の声に滅べ」

相手の声をぶつける魔法なのか?こんな魔法まで身に付けていたのか。

「ココ、バイロ様と脱出ルートへ急ぐぜよ」
「でも私は・・・」

ダンの言葉にココさんは躊躇っている。さっきのバイロが攻撃しようとしたのと関係があるのか?

「今はつべこべいっちょる場合じゃないきに!!見いや、奴等の強さ。結果はビネガーがパピルスを溶かすぐらい明らかぜよ」

ダンは躊躇うココさんに強い口調で言う。でも、なんてわかりづらい例えをするんだ。

「「はぁぁぁぁ!!」」
「前方からの強風。のち、竜巻」

ダンたちが話している最中にも、六魔将軍(オラシオンセイス)の怒濤の攻撃は続いている。

「お前はどうする?ダン」
「俺にはまだやることがあるぜよ!!」

ダンはバイロにそう言うと、六魔将軍(オラシオンセイス)に向き直る。

「男に生まれた以上、命を懸けてでもやることが!!」

ダンはルーシィさんたちの前に立つ。

「お前らは、正当な所有権のない物を持っている!!例えここに力の差があろうと、俺は一歩も退かんぜよ!!」

ダンはこの絶対的な力の差を見せられても、あくまで六魔将軍(オラシオンセイス)と真っ向勝負するみたいだ。

「ダン・・・」
「まともなことも言えるのね」
「そうかなぁ?」

ダンの後ろにいるルーシィさんたちはそんなことを話している。信じてあげてくださいよそこは。

「無駄なこと。知性なきこと」

エンジェルはそんなダンを見て口元を押さえている。あいつ、7年前より性格悪くなったかも。

「ちょっと!!俺の言うこと・・・俺の・・・俺の・・・」

シカトされたと思ったダンは何か言おうとするが、何やら様子がおかしい。

「おまんは俺のローズラインぜよぉぉ!!」
「「「何ソレ!?」」」

ダンは槍も盾も放り投げると、エンジェルの手を掴む。

「お名前は?」
「エンジェル・・・馴れ馴れしい男は嫌い」

どうやら、あの人を信じた俺がいけなかったみたいだ。あの人ルーシィさんのことが好きじゃなかったのか?乗り換え早すぎ・・・とか思ってたら後ろの赤熊に電撃攻撃をされてダンは黒こげになって地面に伏せた。
ほらぁ、バイロもココさんも呆れて物も言えないじゃないですか・・・

「力の差は歴然」
「くだらねぇなぁ」
妖精の尻尾(フェアリーテイル)、弱い」

気がつくと、六魔将軍(オラシオンセイス)は全員が無限時計の前に集結し、俺たちは全員、倒されてしまっていた。

「そろそろ行こう。エンジェル、片付けろ」
「承知」

ブレイン二世がエンジェルに指示を出す。だけど、あいつの星霊のスコーピオンやジェミニはルーシィさんが今は持っている。あいつに強力な星霊はいないはずだが。

「コスト30」

エンジェルは胸の前で手を合わせると、その手の中で何かが光る。それは、三枚のコインだった。

「星霊と共に歩む乙女よ、あの頃の私は子供。今の私は文字通り天使、星霊が天使に抗えると思って?」

エンジェルはその三枚のコインを空高く投げる。

「見せてあげる、美しき天使魔法!その前に人々はひれ伏し、絶望し、そして自らその命を差し出す」

高く投げられたコインは辺りをまばゆい光で照らす。

「光より来たれ!!我が名の元にその威力を見よ!!勝利を呼ぶ天使バラキエル、召喚」

現れたのは、まるで石像のような姿の天使だった。

「刻印を守り、墓所を閉ざせ!」

俺たちはエンジェルの召喚した天使の放つ光に飲み込まれ、そのまま意識を失った。






















「う・・・く・・・」

俺は目を開けると、そこには見覚えのない天井が見えていた。

「あ、起きました?」

俺は声のした方を向くと、そこにはかなり背の高く、整った顔立ちの茶髪の男の人がいた。

「うわ・・・背高・・・」

俺はその人を見て思わず呟く。もしかしたら、エルフマンさんやラクラスさんよりも高いんじゃ・・・

「一夜さん、妖精の子、一人起きましたよ」
「むっ、そうか」

一夜さん?俺は男の人が見た方を向くと、そこには青い天馬(ブルーペガサス)の一夜さんがカウンターに座っていた。その前に人は・・・確か青い天馬(ブルーペガサス)のマスターのボブさんでしたっけ?

「大丈夫かね?シリルくん」
「はい!もしかして、一夜さんが助けてくれたんですか?」

エンジェルあんな破壊力抜群の魔法を受けたのに、俺はキズらしいものが全くない。

「メェーン。君たちの噂を聞いて、あの墓所へ向かったのだ。そうしたら、いきなり爆発したので慌てて駆けつけたら、君たちが倒れていて、ここまで運んだのさ」

そうだったのか・・・天狼島の捜索の時もお世話になったらしいし、一夜さんたちには助けられてばかりですね。

「他の皆さんは?」
「まだ眠ってるよ。でも、キズも深くないし、もうすぐ起きるんじゃないかな?」

俺の質問に背の高い男の人が答える。でも、皆さん無事でよかったぁ。

「タクト、もう下がって大丈夫だぞ。あとは私に任せたまえ」
「そうですか?じゃあ、失礼します」

タクトと喚ばれた人は一礼すると、ギルドの出入り口から出ていこうとする。

ガンッ

「あいた!」

出ていこうとした時、ドアの上段に頭を思いっきりぶつけていたが、大丈夫かな?てかなぜわざわざちょっと低くなってるドアから出ていこうとしたのかな?それでも普通の人ならぶつからない高さだけど。

「今の人は?」
「あいつは我がギルドの一員だ。あいつも君たちの救出に一役買ってくれたのだ」

そうだったのか。それにしても、カッコいい人だったなぁ・・・俺も将来ああなれるのだろうか?

「あれ?リオンさんは?」

俺は眠っている皆さんを見てみたが、リオンさんの姿が見えない。あとレギオン隊の人たちも。

「リオンくんなら、私がラミアに運んだよ。弟くんがしっかり引き取ってくれたから大丈夫だろう」
「弟?」

リオンさんに弟なんていたのか?ちょっと意外。

「弟じゃなくていとこでしょ?一夜ちゃんたら」
「メェーン。私としたことが」

マスターボブさんに言われて一夜さんはそう言う。てかなんでマスターボブはグレイさんの隣で添い寝してるんですか!!ジュビアさんにバレたらヤバいですよ!!

「ヒビキさんたちは?」
「別件で他国に行っているのだよ。だから今このギルドには私たちしかいない」

だったらなんでタクトさんを返したんだ?疑問が残る・・・

「君ももう少し休んでいた方がいい。他の皆は私達に任せなさい」
「いえ、俺も皆さんの介抱しますよ。一夜さんたちに任せてばかりでは申し訳ないです」

俺はそうして、一夜さんとマスターボブと一緒に皆さんの介抱を始めた。
























しばらくすると、全員が目を覚ましたので、俺はウェンディたちと雑談をして休ませてもらうことにしました。

「それにしても、なんで六魔将軍(オラシオンセイス)が・・・」
「あいつら全員捕まってたはずだよね~?」

シャルルとセシリーの言う通り、あいつらは全員ニルヴァーナの一件で捕まったはずだったのに・・・脱獄したってことか。

「でも、私たちが時計の部品を集めてくるのを待ってたなんて・・・」
「完全に利用されたみたいだね」

闇の者は触れない・・・か、でも俺たちが部品を集め始めたのはルーシィさんのお父さんからの遺言なわけで、あいつらは関係ないような気がするんだが・・・

「気にしても仕方ないか・・・」

問題は、あいつらにあの時計が渡ってしまったこと。あんな奴等に渡ったら、本当に世界に混沌が訪れちまうぞ。

ガチャッ

突然ギルドのドアが開く。そこから入ってきたのはルーシィさんたちだった。
ルーシィさんはテーブルに座ると、星空の鍵を読み始める。

「どうしたんですか?」
「姉さんが、もう一度星空の鍵を読み返すって」

もう一度読み返して意味があるのかな?部品も全部集まっちゃったんだし、いまさら何を探すつもりなんだ?

「っ!!」

しばらくすると、ルーシィさんは本を読み終える。

「そうか・・・ダメなんだ・・・」

ルーシィさんは本を閉じながらそう言う。ダメ?

「今、なんと言った?」
「わかった、わかったのよ!!」

ルーシィさんはその場に立ち上がり、こう叫ぶ。

「集めちゃダメってことだったのよ!!」
「何?」
「どういうこった」

ルーシィさんの言葉の意味がわからず、エルザさんとグレイさんが問いかける。

「だから、それを集めてはならないってことだったの。この本に込められたメッセージは、そう言うことだったの」

それって・・・部品のことだよな?つまり、

「時計の部品を集めてはいけなかったってことですか?」
「うん・・・そういうこと」

俺たちは新たに知らされた真実に驚くしかできない。

「それじゃあ・・・まさか私たち・・・」
「逆のことをしていたってことですか?」

ミッシェルさんとウェンディがそう言う。

「エンジェルが言ってたのはそういうこと?オイラたちが集めるのを待ってたって」
「そのようね。あのイメージは、警告だったのね」
「そんな~・・・」

ハッピーたちもまさかの事態に動揺している。

「私、読み解いたつもりで調子に乗って・・・ごめんなさい・・・みんな・・・お父さん・・・ごめんなさい・・・」

ルーシィさんは顔を覆い涙を流す。その姿を見て、俺たちは何も言えなくなる。

「実に苦い結果になったようだね」

俺たちはそう言った一夜さんの方を向く。

「苦すぎるわよ・・・きっと、良くないことが起こる・・・だって・・・」
「あ~あ、ルーシィの父ちゃん、やることが回りくどいんだよなぁ」

自分を責めようとするルーシィさんの言葉をナツさんが遮る。

「だよね。アナグラムとかなんとか遠回りなんだよ」
「少なくとも、誰かさんには難しすぎよね」
「絵本から読み解くとかめんどくさいよね~」

ナツさんにハッピーたちも賛成の意見を述べる。

「集めるなってんなら、 そう言ってくれりゃあいいわけだ」
「考えすぎて知恵熱が出る者もいるな」
「その熱で俺の魔力、パワーアップするかもよ?」
「だったら、クイズ合宿しようよ!!」
「おーし燃えてきた!!」
「たぶんナツさんなら一問ですごい熱出るんじゃないですか?」

俺たちは全員、全く気にすることなくそんな話をしている。ルーシィさんはそれを見て思わず吹き出す。

「あれ?ルーシィさん笑ってます?」
「だって、変なんだもん、みんなして」
「くよくよしてもしょうがねぇし」
「笑う門には福来る」
「だよね!!」

俺たちは笑いながらそう言う。

「ひょっとして、気を使ってくれてる?」
「んなわけあるか」
「ナツくんにそんな心遣いは無理~!!」

そっぽを見ながら言うナツさんをからかうようにセシリーが言う。たぶん一番気を使ってないのはお前だな。

「なんだとセシリー!!」
「わぁ!!ナツくんに食われる~!!」

セシリーはナツさんから追いかけ回される。中々珍しい光景だな。

「ははっ!いつもの妖精の尻尾(フェアリーテイル)ね」

ルーシィさんはそれを見て楽しそうに微笑む。よかった、気にしてなさそう。

「失敗は誰にでもある。そしてそれは取り戻せる。君には、君を慕う仲間がこんなにいるじゃないか。それは何物にも変えがたい。それを思えば、何度だって立ち上がれるんじゃないかな?」
「はい」

一夜さんの言葉に返事をするルーシィさん。だけど、その隣に座っているミッシェルさんの顔が、妙に暗かったのが、俺には印象的だった。

それからしばらくして、クリスティーナ改で、俺たちはギルドに戻る最中・・・

ゴォーン、ゴォーン

どこからともなく、無限時計の鐘の音が聞こえる。

「無限時計!?」
「どこかで鳴ってやがる・・・」

俺たちはその音に耳を傾ける。しかし、どこから鳴っているのかは、全く把握することができなかった。








 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
天馬で一人オリキャラを出しました。
もちろん、大魔闘演舞に参加するキャラです。
次回もよろしくお願いします。 
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