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ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー

作者:Bloo-D
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SAO
朝露の少女
  第32話

 
前書き
“朝露の少女”のユイの正体が明らかになる辺りまで書きます。 

 
教会に戻ったキリト達の元に、<軍>のユニフォームを身に纏った女性プレイヤーが訪ねて来た。

『初めまして、私はユリエール。<軍>に所属しております。』
ユリエールは、丁寧に自己紹介した。
サチ『私はサチ、こちらがキリトで、この子がユイちゃんです。』
キリト『キリトです。』
ユイ『≪ペコリッ≫』
サチも自己紹介、キリトは簡単に挨拶し、ユイはお辞儀をした。この時キリトとサチは普段着に着替えていた。
因みにサーシャは、子供達の面倒を見ている。
ユリエール『サチとキリト?〈青の槍壁〉と〈黒の剣士〉で知られるあの⁉︎』
キリト『そうですが……。』
ユリエールはキリトとサチの名前を聞いて、2人の正体を悟った。

サチ『ところで、何の用です?もしかしますと、先程の徴税隊の件ですか?』
サチが言っているのは、前回作後半の件の事。
<軍>のメンバーなら、その件でキリト達を訪ねるのも無理もないだろう。だが、ユリエールが訪ねて来た理由は他にあった。
ユリエール『違います。今回は、お願いがあって伺いました。』
キリト『お願い?』
ユリエールの言葉に、キリトとサチは首を傾げた。
ユリエール『では説明します。<軍>というのは、ギルド<MTD>とキバオウ率いる<“アインクラッド解放隊”ALS>が合併して出来たギルドです。』
キリト『キバオウか……。』
ユリエールの簡単な説明の後、キリトはキバオウの名を呟いた。

キバオウとは、キリトをビーター呼ばわりされるきっかけを作った張本人。(詳しい所は、後に公開する予定のExtra Editionに相当する辺りで明かします。)
因みにサチは、以前キリトからキバオウの話を聞いて以来、個人的にキバオウの事が嫌いになっている。

キリト『そういえば<MTD>は、SAOのサービス開始時には、日本で最大規模を持つネットゲーム総合情報サイト《MMOトゥデイ》の略称だったな。<MTD>を結成したのは、そこの管理者で名は確か……』
ユリエール『シンカーです。同時に今の<軍>のリーダーでもあります。』
キリトはネットゲーマーであるので、<MTD>と《MMOトゥデイ》の事は聴き覚えがあった。
ユリエール『シンカーは、決して今の様なギルドを作る気はありませんでした。
ですが、突如キバオウがギルドのトップに台頭して来たのです。彼は、シンカーが放任主義である事を利用して、自らに同調する幹部とギルドの体制を強化したのです。
しかし、彼等の行いにより、外部のみならず、内部からも反発の声が上がったのです。この反発の声を抑えるべく、キバオウは<軍>の最精鋭部隊を、最前線へ派遣しました。』
キリト『コーバッツ達の事ですね。』
ユリエール『はい。』
コーバッツの件に関しては、本作第22~24話辺りを参照。
ユリエール『ですが、隊長含めた3人が死亡するという結果となり、キバオウ派は窮地に立たされました。ですが3日程前、キバオウは最後の悪足掻きとして、シンカーを罠に嵌めて、街の隠しダンジョンに置き去りにしたのです。』
サチ『3日前に?シンカーさんは無事なんですか?』
ユリエール『無事というメールは着ましたが、何でも非武装だったそうですから…オマケに強力なモンスターが沢山いるので、突破は無理との事です。更に最悪な事に、転移結晶も持っていないと……。』
キリト『それで、俺達に協力して欲しいと?』
ユリエール『そうです。私のレベルではとても無理ですし、オマケにアテが居ないんです。』
ユリエールの話を聞いたキリトとサチは顔を見合わせると、直ぐに答えを出した。
キリト『解りました、協力しましょう。』
サチ『困った人は、助けるのが、私とキリトの流儀ですから。』
ユリエール『ありがとうございます。』
キリトとサチの言葉を聞いたユリエールは、2人にお辞儀した。

ーーーーーーーーー

その後武装したキリト達は、ユリエールの案内で街の隠しダンジョンに向った。
因みにユイは、キリトに抱っこされている。そして一行は、隠しダンジョンの入り口に到着した。
だが、その場所を見たキリトとサチは驚愕した。
サチ『ここって……。』
キリト『黒鉄宮の…中じゃないか……?』
その入り口は、<軍>の本拠地の地下であった。元ベータテスターのキリトとサチでさえ、この存在は知らなかった。
っという訳で、一行は隠しダンジョンの中に入った。道中で、モンスターの群と度々遭遇したが、キリトとサチのレベルは90超え、しかももう少しで100に到達する辺りまで上げているので、2人の敵ではなかった。
モンスターを全て返り討ちにしながら、奥へと歩いて行った。

隠しダンジョンに入って1時間程経過した頃には、既にダンジョン最新部に到達していた。最新部の奥には安全地帯があり、そこでシンカーは助けが来るのを待っていた。
ユリエール『シンカー‼︎』
叫んだユリエールは、シンカーの元に急いだ。
シンカー『ユリエール、来ちゃ駄目だー‼︎そこには強力なモンスターがいるんだーー‼︎』
シンカーは叫んだが、ユリエールには聞こえない。
その時、十字路となっている通路の死角から、高さ5~6mあるかないかくらいの大きさのモンスターが姿を現した。モンスター名は〔フェイトル・サイス〕、直訳すると“運命の鎌”。
サチ『ユリエールさん、戻って〜〜‼︎』
サチは叫んだが、その時には、モンスターがユリエールに鎌を振り下ろした直後だった。
〔フェイトル・サイス〕の鎌が、ユリエールの身体を切り裂こうとしたその時…、
≪ガキンッ‼︎≫
キリト『……。』
キリトが2本の剣で、攻撃を止めた。すると〔フェイトル・サイス〕は、一行から離れて距離を置いた。
〔フェイトル・サイス〕は、ここから先は行かせまいと言わんばかりに、キリト達を睨み付ける。

サチ『ユリエールさん、あなたはユイちゃんと一緒に、安全地帯に退避して下さい‼︎。ここは私とキリトでなんとかします‼︎。』
ユリエール『解りました。』
サチにそう言われたユリエールは、ユイを抱えて安全地帯になんとか逃げ込んだ。

ーーーーーーーーーー

キリト『サチ、頼む‼︎』
サチ『任せて‼︎』
ユリエールとユイが安全地帯に逃げ込んだのを確認したキリトは叫んだ。キリトの一声に答えるかの様に、サチは"シャイニング・エコー","危険回避の指示","防御無視"を続けて発動。〔フェイトル・サイス〕に攻撃したが、HPが中々減らない。それどころか、鎌で攻撃を躱されて攻撃が中々通らない。
キリト『クソッ、こいつ、90層並みの強さだぞ‼︎』
サチ『そんな⁉︎』
キリトの言葉を聞いたサチは絶望した。
74層フロアボスでも、紙一重の差で勝ったが、それを上回るとなっては、幾らキリトとサチの連携でも敵う筈がない。

サチ『ユリエールさん、ユイちゃんをお願いします‼︎。あなた達で脱出して下さい‼︎。ここは私達でなんとかします‼︎。』
ユリエール『そんな危険です、私も……‼︎』
キリト『駄目だ、ユリエールさん達は早く脱出して下さい、早く‼︎』
ユリエール『…、解りました。第1層の転移門前で待っています‼︎』
サチの言葉に、ユリエールは助太刀しようとしたが、キリトの言葉を聞いて引き下がった。
その直後、〔フェイトル・サイス〕は、鎌をキリトとサチ目掛けて振り下ろした。キリトとサチは、手にする剣と槍で応戦。だが、〔フェイトル・サイス〕は、力押しでキリトとサチを弾き飛ばし、キリトとサチは倒れ込んだ。これにより、2人のHPが半分以上削られた。
しかも余波の影響か、2人は動けなかった。
そこに〔フェイトル・サイス〕がトドメを刺そうと2人目掛けて鎌を振り下ろした。
この時、2人は死を覚悟した。
だが…、
≪ガキンッ‼︎≫
『『⁉︎』』
金属音が轟いた。キリトとサチが正面を向くと、そこには身の丈以上の剣で、〔フェイトル・サイス〕の攻撃を止めるユイの姿があった。
これを見た2人は、驚きを隠せなくなった。
サチ『ユイ…ちゃん……?』
キリト『どう…して……?』
キリトとサチは訳が解らなかった。
しかも、ユイの掌の前に[Immortal Object]というシステムタグが表示されていた。

所謂、システム的不死という事だ。
家具といったオブジェクトにはこのタグは表示されるが、プレイヤーではまずありえない。

ユイ『大丈夫だよ…パパ、ママ。』
そう言ったユイは剣を振るうと、〔フェイトル・サイス〕に一撃を浴びせた。
この一撃で、〔フェイトル・サイス〕は消滅した。 
 

 
後書き
今回はここまで。次回作は、早ければ週の半ばに公開の予定で行きます。 
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