ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
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ついで
前書き
昨日に反して、今日はかなーり短い!
ニシュラもっとやる気出せやコラァ!!と言われてしまうかもだ!
あれから二日。
あの日、俺達は『リヴィラの街』を経由して地上に出た。
【ロキ・ファミリア】並びに、【ヘルメス・ファミリア】にも死者はなし。フィルヴィスさんと俺も無事。
別れ際には、アンドロメダ自らお礼を言いに来た。
「別に俺だけのおかげじゃねえだろうに」
「ええ。確かにそうですが、あそこでモンスターを抑えてくれていなかったら、少なくとも死者は出ていたはずです。ありがとうございました」
では、といって自派閥の元へと戻るアンドロメダから視線を外し、俺は待ってくれていたバルドル様とハーチェスさんと共に帰路についた。
無論、その日の夜には説教をされることになったが。
で、だ。
今日はハーチェスさん、エイモンドさんとの三人でお留守番だったりする。
何でも、うちLv3以下のメンバーが、他の懇意派閥とともに遠征に行くらしい。
そのため、俺達は数日間の留守番を任されたのだ。
「そういえば、何処のファミリアと遠征に行くんですか?」
リビングに丁度三人が集まったのでハーチェスさんに聞いてみる。ちなみに、バルドル様は見送りでバベルまで行っている。
「確か、【テュール・ファミリア】のノエルさんと、その専属鍛冶師。後は【アスクレピオス・ファミリア】のフィーネさんだったはずだよ」
「九人ですか……じゃあサポーターはパディさんとスウィードですね」
「まぁそれが普通だろうね」
そう言うとハーチェスさんは手元の紅茶に口をつけた。
パディさんには遠く及ばないもののこれくらいは出来る。まだこの三人しか居なかったときは俺が料理担当だったくらいだからな。
「式。確か二日前の事件で君は戦車を壊されたそうだが……大丈夫なのかい?」
同じように紅茶を飲んでいたエイモンドさんの質問に、俺は大丈夫ですと答えた。
「あと数日もすればまた使用可能になりますから」
「フッ、ならいいんだ。人員の少ない【バルドル・ファミリア】にとって、あれは深層へいくための要だからね。……それにしても……」
ふと、エイモンドさんがホームの中を見渡した。
「彼らが居ないと、これほどまでに静かになるとはね」
「あー、まぁ皆がみんなムードメイカーみたいなものですからね」
俺達の会話以外では時計の針がカチコチと動く音のみ。
いつもなら、ヒルさんとリリアさんの口論だったり、アルドアさんの元気な声だったり、スウィードの悲鳴だったりが聞こえるのだが、今日は遠征で皆居ないのだ。
「……なんか、こうしてると五年前を思い出すよ」
ポツリとハーチェスさんの溢した声に、俺とエイモンドさんも確かにと頷いた。
五年前。まだ俺とこの二人だけしか居なかった時の話だ。
「ここまで来るとは思ってなかったからね……」
「フッ、これもこの僕の美貌があったからこそ」
「はいはい。そうですそうです。あ、ハーチェスさん。紅茶どうぞ」
こんな感じでまったりとした時間が続く。
余談ではあるが、昨日の時点で俺の【ランクアップ】を報告してきた。
ルナファさんは僅か半年で【ランクアップ】を果たした俺に目を白黒させていたが、まあ報告は義続けられているため諦めてもらうしかない。
……もっとも、アンドロメダのところのように【ランクアップ】を報告しないファミリアもあるみたいだが。
で、だ。我が【バルドル・ファミリア】のランクがCからBへと引き上げられたのだ。
Lv6は数えるほどしかこのオラリオに存在しないため、当然と言えば当然……なのか?
だが、ランクに対して人数が少なすぎるため、やっかみも増えそうだ。【カーマ・ファミリア】とかうるさそうだ。
あそこの女神様、なんでかうちのバルドル様をきらってるんだよなぁ……
代表的なのがそこで、他にもうちをよく思っていない派閥はあるだろう。上位派閥というのはそれだけでいろいろと気にしなくてはならないのだ。
「ただいま~」
と、そこでバルドル様が帰ってきた。
玄関まで出迎えると、【アスクレピオス・ファミリア】の団員が送ってくれたようで、バルドル様がありがと~と手を振っているところだった。
「今度、回復薬とかいっぱい買わないとね」
「元からそのつもりですよ。あそことはいい付き合いをしたいので」
【アスクレピオス・ファミリア】は回復薬などを販売するファミリアで、零細時代から今までずっとお世話になっている。
主神のアスクレピオス様は好好爺なのだが、少し、というかかなりのエロ爺様であるため、団長であるフィーネさんも大変らしい。
曰く、最近は攻撃を避けるようになっているから困る、と。
閑話休題
「ところで、少し遅かったですね。何かありましたか?」
時計の針は既に九時を回っている。朝出掛けるときに伝えられていた時間を三十分ほど過ぎていた。
「ああ、それね。遠征にいくメンバーが二人増えたんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。その二人分の食料とか色々買いに行ってたんだ」
さぁ、朝御飯朝御飯! と元気よく食堂へと向かうバルドル様。
今日の分の朝食だけはパディさんが用意してくれている。
ヒルさん達は先に食べて出ていったが、俺達は今から四人で食べるのだ。
「こうしてると、五年前みたいだよね」
席につくと早速バルドル様が切り出した。
「ええ。さっきもその話を少ししていたんですよ」
「あ、そうなんだ。意外と五年前って早いね」
「そりゃ超越存在のバルドル様にとったらそうでしょうに」
パディさんが用意してくれたのはサンドウィッチだった。ありがたく頂いていく。
「皆は今日はどうする? というより、ヒル達が遠征の間はどうするの?」
食事が終わったところで、今後の予定を話し合う。
「そうですね……。ダンジョンに潜ってみようかと。気晴らしにはいいですし、中層の冒険者依頼を受けてみるつもりです」
「いいじゃないか。僕も同行してもいいかい?」
どうやらエイモンドさんもついていくらしい。ハーチェスさんはその申し出に許可を出した。
「式はどうするんだい? やっぱりダンジョン?」
「あ、いや。戦車が使えるようになるまでは潜るつもりはありません。外に出ようと思ってます」
「フフ、どうせまた『豊饒の女主人』だろ?」
「何言ってるんですか。当たり前でしょ」
「……当たり前なんだね」
ぶれないねー、とバルドル様が呟いた。
いや、ダンジョン行かないならリューさんに愛に行く……ゴホン、会いに行くのは当然でありましょうに。
それに、この前はマジで大変だったからリューさんに元気をもらいにいくのだ。リューさん成分補充である。
その後、朝食を終えた俺達は各々の準備に取りかかる。
ハーチェスさんとエイモンドさんは装備を整えてまずはギルドへ行くらしい。冒険者依頼の確認だとか。
夜には戻るらしいので、俺はホームでバルドル様と留守番だ。
バルドル様を一人には出来ないからな。
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「大変だっんですね……」
「まぁそうですね。大変でしたよ……」
豊饒の女主人ナウ。
多数の冒険者の男たちの姿が伺えるなか、俺はリューさんに酒を運んでもらった。
今日もチョーカーが似合ってますぜ
リューさんの首もとで翡翠色のチョーカーが映えていた。
我ながら、なかなか良い買い物をしたものだと自画自賛する。
「でも式が無事で何よりです。よく帰ってきてくれました」
「リューさん……!!」
マジで嬉しいです。嬉しくてとびつきたいけど、きっとそんなことをしたらごみを見るような目でみられるので自重したいけどやっぱりこの気持ちの高まりは抑えられないので軽くだけど手を握ってみたりする。
「あ、あの式……ここでそれは困る……」
「ああ……もう、なんでこんなに可愛いかな……っ!」
「か、可愛っ!?」
カァッ、と頬を赤く染めるリューさんを見れて今日はかなりいい日だと思っていたが、突如、頭上からトレイによる攻撃を受けた。地味に痛い
「式さん、ちょっと酔ってますよ」
振り向くと、そこにいたのはトレイを振りきったシルさんの姿。
「今は営業中なんですから、そういうのはあとにしてください」
「後ならいいんだね!」
「しませんよ。シル、貴女も」
少し落ち着きを取り戻したリューさんだが、その頬はまだうっすらと赤い。
良かった。さっきのが俺の幻覚だったらどうしようかと思った。……まぁ、幻覚でも喜んでいるだろうけど
「にしても、式さんが無事で私も嬉しいですよ」
「シルさん……!」
「折角の金づ……お客様が居なくなるのは悲しいですから」
「シルさん……」
上げて落とすとはこういうことを言うのだろう。
あと、今金蔓っていいかけたよね? 何それ怖い
その後、働けバカ共! というミアさんの怒声によって二人がこの場を去っていった。
俺は今日はパディさんが居ないため、夕食を作らなければならない。そのため、そこまで長居はできないのだ。
リューさん達が抜けたのを境に、出されていた酒を一気に飲み干した。
前世なら、イッキ飲みはどうとか色々と言われていたが、強化されたこの体では全く問題にならない。
数分もせずに金を払って店を出た俺は寄り道せずにホームに戻った。
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後書き
深井波乃上の『ダンジョンに復讐を求めるのは間違っているだろか』にて、バルドル様が出ましたよ!
ほら、あのシーン。神の宴の。
まぁバルドル様とテュール様が話したくらいなんだけども
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