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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another9 ブイモン無双

 
前書き
ブイモン無双です 

 
?[………まただ…]

デジモンは、彼方へと消える黒い歯車を見つめて呟いた。
彼は誇り高き正義のデジモン、レオモン。
彼には今のデジタルワールドの状態を、みすみす見逃すことは出来なかった。
がらり、岩を擦る足音。

?[死ねっ、レオモン!!!]

叫びとともに、岩の上から宿敵オーガモンが飛び降りてくる。
その右手には愛用のスカルグレイモンの骨棍棒を携えて。
レオモンは腰の剣、獅子王丸で攻撃を受けるが、2人の武器は弾け飛ぶ。
代わりに突き刺し合うのはお互いの鋭い視線。

オーガモン[此処はてめえみてぇな良い子ちゃんがくる場所じゃねぇぜ]

レオモン[黒い歯車のせいでデジモン達が次々と狂暴化しているのだ。見過ごす訳にはいかん!!]

2体は同時に技を繰り出した。

レオモン[獣王拳!!!]

オーガモン[覇王拳!!!]

互角の威力を持つ必殺技が、相殺しきれず空気を揺るがす。
その揺らぎとともに、低く脳髄に響く声があった。

?[それくらいにしておけ…これからお前達は協力しあわねばならんのだからな]

レオモン[この声……デビモンか!?]

薄く喜色を含んだ声音が形になる。
何処からともなく悪魔がその姿を現した。

デビモン[選ばれし子供達を倒すのに、お前達の力が必要なのだよ]

レオモン[何…選ばれし子供達だと!?]

デジタルワールドに古くから伝わる言い伝え。
この世界に残された最後の希望。

レオモン[子供達は倒させない!!私の敵は貴様だデビモン!!!]

レオモンの闘魂が牙を剥く。
だが、食らいついたと思った刹那、デビモンの姿は掻き消えていた。

デビモン[甘いな……そんなことで私が倒されるとでも思ったのか?デスクロウ!!!]

レオモン[ぐあああああああ…!!!!]

レオモンの絶叫が魔の山に木霊する。
その余韻すら消えた時、そこに立っていたのは、既にレオモンとは言えない悪の手先だった。

レオモン[子供達………倒す]

子供達に、新たな危険が迫る。
































ブイモン、ロップモン[[アルプス一万尺小槍の上でアルペン踊りをさあ踊りましょ、ランラランラ~♪]]

丈「止めてくれよ!!しかも無駄に上手いから余計に腹が立つ!!!!」

ムゲンマウンテンの頂上でブイモンとロップモンが無駄に上手いアルプス一万尺を歌い、丈がそれにツッコんだ。

アインス「ふむ、いい眺めだな。お弁当を作ればよかった」

大輔「そうだなあ、こういう絶景を眺めながらの弁当は最高だろう」

丈「頼むからもう少し深刻になってくれよおおおおお!!!!」

HAHAHAHAHA☆と笑いながらムゲンマウンテンからの絶景を楽しむ大輔とアインスに丈の悲痛な叫びが木霊した。






























アインスが持参していたカメラでムゲンマウンテンから見た風景を写真に写した。

アインス「それで大輔、どうするつもりだ?」

大輔「決まってんだろ。デビモンをぶっ潰す。はっきり言ってタケルがあんな陰湿根暗ネガティブくそったれ闇アレルギー野郎に成り下がった元凶だかんな。ブイモンがあいつを倒せれば何とかなるんじゃないかなと」

アインス「…まあ、そうだろうが……」

ロップモン[アインス~、道が塞がってるよ]

確かに今来た道が崩落してしまっていた。
そして、ぬっと姿を現わすレオモン。

ブイモン[レオモン……]

ガブモン[とても強い正義のデジモン!!]

アインス「あの殺気を感じて尚、そう言えるか?」

レオモン[獣王拳!!]

大輔「ブイモン!!」

ブイモン[ブイショット!!]

衝撃波と闘気がぶつかり合い、衝撃波の威力がレオモンの技を上回ったのか、レオモンに炸裂した。

パタモン[どうしてレオモンが僕達を…?]

ブイモン[さあな!!]

ロップモン[ここは一旦逃げよう!!足場が悪すぎ!!]

子供達は一斉にレオモンから逃げる。



































レオモンからひたすら逃げる子供達の前方から、笑い声が響いてきた。

オーガモン[いらっしゃーい!!]

岩陰からオーガモンが飛び出してきた。

オーガモン[待ってたぜ、覚悟しな!!]

ロップモン[挟み撃ちにされちゃったよ]

ブイモン[しょうがない。相手してやるか]

肩を回しながらオーガモンとレオモンと対峙するブイモン。

ブイモン[来いよ。お前らくらい相手取るくらいわけないしな]

オーガモン[何だとこの野郎!!覇王拳!!]

ブイモン[おっと、べ~]

軽く回避しながら舌をベロベロと出すブイモンに、オーガモンはプライドを刺激されたのか、拳で殴りかかる。
レオモンもブイモンに攻撃を仕掛けたが、ブイモンは成長期と言えど歴戦の戦士。
成熟期とは言えファイル島のデジモンに簡単に負けるような鍛え方はしていない。
片腕ずつでオーガモンとレオモンの攻撃を捌いていく。

ブイモン[おうおう、いいぞいいぞ。その調子で頼むぜ、いいトレーニングになる]

ロップモン[ブイモン、遊んでないでさっさとケリつけてよ!!]

ブイモン[はいはい。だあああああ!!]

オーガモン[ぐっ!!?]

オーガモンとレオモンにパンチとキックを叩き込んで仰け反らせた後、ブイモンはオーガモンに襲い掛かる。

ブイモン[だだだだだだだだだ!!!!]

成長期としては規格外の破壊力の込めたパンチの嵐をオーガモンに叩き込んで、ブイショットで崖から叩き落とし、レオモンも同様にパンチを何発も叩き込んでブイショットで崖から吹き飛ばした。

ブイモン[何だあいつら、大したことねえな]

アインス「流石だなブイモン。」

ブイモン[当たり前だろ。あんな雑魚に遅れを取るほど耄碌してない]

タケル「凄いやブイモン!!レオモンとオーガモンを1人で倒しちゃうなんて!!」

ブイモン[フッ、まあな。もっと褒めてくれていいぜ!!]

大輔「調子に乗るな」

スパンッ!!

ドヤ顔を決めるブイモンにハリセンの洗礼を喰らわせる。
全員が笑う。

パタモン[…………]

パタモンはブイモンを面白くなさそうに見つめていた。
自分は弱いし進化さえ出来ない。
しかしブイモンは進化出来るし進化しなくてもレオモンとオーガモンを倒せるくらい強い。
段々自分が惨めに思えてきたパタモンは深い溜め息を吐いた。 
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