変態姉弟が異世界から来るそうですよ?
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1話 変態姉弟だけが来るそうですよ?
前書き
原作の3人はそのうち出てきます。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの〝箱庭〟に来られたし』
「この手紙は何?姉ちゃん?」
「さあ、分かんないわ――」
姉弟きょうだいが手紙を見た瞬間、景色が変わる。
家から見渡す限りの大空へ。
「「はっ!?はあああああああ!!?」」
ザッッバァァァン!!!
「もうこんな美少女を空に放り出すなんて!」
「マジでそうだよ!オレと姉ちゃんじゃなかったら死んでるぞ!」
愚痴をこぼしながら空から落とされた2人は岸に上がる。
「で、ここはいったいどこなの?」
「落ちてるときに色々見えたけど、なんか地球じゃなさそうだったぜ、姉ちゃん」
「それは……つまり、」
「うん。たぶんここは――」
「「異世界!!」」
姉弟はハイタッチしたり、お互いの頬をつねったり、ハグしたりして感情を爆発させていた。
ひとしきり喜んだあと、
「とりあえず、あそこに隠れている人に話でも聞こうかしらね」
姉弟はその一点を睨む。
すると、
「や、やだなあ。黒ウサギは隠れていたわけではないんですヨ。出るタイミングを窺っていただけで」
物陰からウサ耳がある生き物が出てきた。
「ここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「GO!モモゾー!」
「了解!姉ちゃん!」
百蔵は一直線に黒ウサギに迫る。
「えっ?な、何を!?」
黒ウサギは木の上にジャンプして逃げる。
しかし、あっけなく捕まってしまった。
「ちょ、ちょっとお待ち――フギャー!」
百蔵と百子は遠慮無用、問答無用、天地無用に黒ウサギを弄ぶ。
「グヘヘ。ウサギちゃん。とってもエロ可愛いよ♪」
「ちょっ、どこを触っているのですか!」
「よいではないか。よいではないか」
「私達は女の子同士ですよ!?」
「あー、姉ちゃんにそんなこと言っても無駄だぜ。だって、姉ちゃんは全年齢対象両性愛者だから」
「そ、そうなのですか!?って、貴男もウサ耳弄繰り回さないでください!」
ウキャー!!と黒ウサギの絶叫が響き渡る。
「――あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうだけで小一時間も消費してしまうとは」
「いいから話を進めて」
黒ウサギは1つ咳払いをして、
「ようこそ!箱庭の世界へ!我々はギフトを与えられた者達だけが参加できる、『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこう召喚いたしました!すでに気づいてるでしょうが、あなた方は普通の人間ではございません!その特異な力、“恩恵”を……ってそうでした!こんなに悠長にお説明している場合ではありませんでした!」
黒ウサギは突然、慌てふためいた。
「誠に申し訳ないのですが、こちらの手違いがありまして……。移動しながら事情を説明致しますので、ついてきてください」
黒ウサギは足早に案内をする。
「……ジン坊ちゃん。新しい方を連れてきましたよ……」
「お帰り黒ウサ、ギ?えーっと、どういう状況なの?」
ジンは百蔵と百子がギチギチにロープで縛られていてる謎の状況に困惑する。
「もう聞いてくださいよジン坊ちゃん!この問題児きょうだい様方ときたら、ここに着くまでの間に3回も逃げ出して……」
「失礼ね黒ウサギ。私は探検をしたかっただけよ!」
「そうだそうだ!オレも冒険をしたかっただけだ!」
「黙らっしゃい!このお馬鹿様!」
スパァーン!!と、ハリセンの音が響いた。
「だいたい、百蔵さんはどういうことですか!この黒ウサギの脚から逃げ切れるなんて!?」
「それはオレの脚が速いだけじゃないのか?それより、捕まえれないからって姉ちゃんを人質に取るのは良くないと思うぞ!」
「そのことは先程から誤解だと言ってるではありませんか。捕まえて逃げれないようにするために、やむを得ず――」
「黒ウサギも御2人も落ち着いてください。ここではなんですし、とりあえず、外門の中へ入りましょう」
ジンの仲裁でカフェテラスへ。
百子と百蔵はそこでやっと解放された。
「緊縛羞恥プレイとかレベルが高すぎるんだけど、」
「どっちかって言うと攻める方が好きなんだけど、」
「「黒ウサギになら縛られてもいい!!」」
「もう!あなた方は白昼堂々と何を仰っているのですか!」
黒ウサギが説教を始めたのを尻目に、ジンは手短に注文を頼み、
「すみません。お店の方には迷惑はかけませんので」
ジンは店員に謝罪する。
黒ウサギの説教は店員が料理などを持ってきても続いており、
「まだ、黒ウサギのお話はまだ、」
「黒ウサギ、レディーが食事中にはしたないわよ」
「黒ウサギ、マナーはちゃんと守った方がいいよ」
「……もう何なんですか。この姉弟は……」
黒ウサギはやっと、この2人の問題児ぶりを理解し諦めた。
コーヒーと軽食を取っていると、
「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュ〝名無しの権兵衛〟のリーダー、ジン君じゃないですか。今日は珍しく“箱庭の貴族”も一緒なのですね?」
2mを超える巨体をピチピチのタキシードを着た変な男がいた。
「僕らのコミュニティは“ノーネーム”です。“フォレス・ガロ”のガルド=ガスパー〟」
「そうです。我々は――」
「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ!」
ジンと黒ウサギは罰が悪そうに俯く。
「誰か知らないけど、ジャマだからあっちに行ってくれる?」
「失礼ですが、御嬢様、貴方はコミュニティの本当の状況をお聞きしましたか?」
「本当の状況?」
「ええそうです、御令息。このジン=ラッセルの」
「ああ言わなくていいから。あとでジンと黒ウサギに聞くし。ね!」
ジンと黒ウサギは顔を上げる。
だが、2人は申し訳なさそうな顔をしている。
「お……お言葉ですがレディ、
「もうしつこいわね。いくら私が綺麗だからっていい加減にしてくない?」
「否定はしませんが、こちらとしては――」
「あっそうだわ!えっとガルドだっけ、私達とギフトゲーム?をしましょう!」
「「「はっ!!?」」」
ジンと黒ウサギ、さらにガルドも驚きの声を上げる。
「おお!ナイスアイディア!姉ちゃん!」
「それで、どうなの?」
「分かりました。では明日、我が領地でどうでしょう?」
「それでいいわ。じゃあ、明日ね!」
百子は約束をして、ガルドを追い出す。
あまりのことに思考が止まっていたジンと黒ウサギが、我に返りまくしたてて怒った。
「もう決まったことなんだし、いいじゃない」
「全っ然、よくありませんよ!ゲームをする理由もありませんのに。しかも、よりによって“フォレス・ガロ”が相手なんて」
「アイツのコミュニティって強いのか?」
「悔しいのですが、この辺り一帯のコミュニティは“フォレス・ガロ”の傘下になっています」
「と、とりあえず、明日のギフトゲームに備えて“サウザンドアイズ”に行きましょう。ジン坊っちゃんは先にお帰りください」
黒ウサギに言われたジンは複雑そうな表情を浮かべて、言いにくそうに話を切りだした。
「あの、帰る前に1ついいですか」
そんなジンを百子、百蔵、黒ウサギは真面目に見る。
「その、ちゃんとお互いの自己紹介をしませんか?」
後書き
百日紅 百子
女 16歳 ブラコン
美人で可愛くて、毎日ラブレターをもらう程の超美少女。
ただし、中身は残念。
百日紅 百蔵
男 15歳 シスコン
それなりに格好良く、彼女がいたこともあるが……。
ただし、中身は少々残念だが姉よりはかなりマシ。
※2人の血は繋がっています。
※異父母でもありません。
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