FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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怒濤の対決、ナツvs.ラクサス
とある森にて・・・
「さっきのあれ、なんだったのかな?」
「見たことない文字だったね」
俺とウェンディはギルドの近くにある森の中を現在散歩している。その理由はというと・・・
「本当にこの近くにフリードくんがいるの~?」
「さぁ?でも、マスターが言ってたし、いるんじゃないかしら」
セシリーとシャルルがそう言う。俺たちは実は、この森にいるはずの雷神衆、その中で術式の魔法を使うフリードさんを探してこの森に入ったのである。
フリードさんは文字の魔法を使っているから、もしかしたらルーシィさんとミッシェルさんの役に立てるかもしれない。だからできるだけ早くフリードさんを見つけたいんだけど、どこにいるのかさっぱりわかんないなぁ・・・
俺たちがフリードさんを探していると、
ゴゴゴゴッ
「「「「!?」」」」
突然、稲光のようなものが森の中から姿を見せる。
「何かしら?あれ」
「雷?」
シャルルとセシリーが雷の柱を見てそう言う。雷だったらもしかして・・・
「あそこにいるのかも!!」
「なんで!?」
だって、雷といえばラクサスさん、ラクサスさんといえば雷神衆、雷神衆といえばフリードさん。と言うわけで・・・
「とにかくあそこにいくぞ!!」
「うん!!」
「しょうがないわね」
「待ってよシリル~」
俺たちは雷の柱ができていたところを目指して走り出した。
そこにいくと、予想通り・・・
「ラクサスさんだ!!」
「あれ?ナツさんとガジルさんも」
「フリードたちもいるわね」
「珍しくシリルの読みが当たった!!」
俺たちは雷の柱ができた場所を目指していたら、その少し手前でラクサスさんたちを発見した。ついでにナツさんやガジルさんもいるけど・・・なんだろう?
「戻るとか戻らねぇとかどうでもいい。せっかくだ、どっちが強ぇかケリをつけようじゃねぇか!!」
「俺もだ」
ナツさんとガジルさんはラクサスさんに二人揃ってケンカを吹っ掛けていた。
「ふん、てめぇらの魂胆はわかってるぜ。俺を怒らせてバトルしようってんだろ?その手には乗らねぇよ」
しかし、ラクサスさんは冷静にそう言い、その場を立ち去ろうとする。だが、
「逃げんのか?」
「ああ?」
ナツさんにそう言われ、ラクサスさんは足を止める。
「ケンカ売られて引っ込むような玉じゃねぇだろ!!ラクサス!!」
ナツさんはあくまでも勝負がしたいらしく、ラクサスさんを挑発する。
「どういうつもりだ、ナツ」
「ギヒヒ」
フリードさんの問いに二人は答えず、ただ真剣にラクサスさんを見据えている。
「いいだろ」
「「よっしゃー!!」」
なんとラクサスさんはナツさんたちの挑戦を受けてしまった。やれやれ・・・この人たちは・・・
「まさかあの人たち、ここでケンカするつもり~!?」
「本当騒がしい連中ね」
その様子を見てセシリーは慌て、シャルルは呆れる。
「シリル!!止めないと!!」
ウェンディも慌てた様子でナツさんたちを止めようと言う。確かに、3人の力がぶつかり合ったら、森が大変なことになるかもなぁ。
「んじゃナツ、お前からだ」
ナツさんは拳に炎を纏い、ラクサスさんは体に雷を覆わせる。いよいよまずくなってきたぞ!!
「止めるぞ!!」
「うん!!」
俺とウェンディは急いでナツさんたちのところへと走り、大きな声を出す。
「「そこまでです!!」」
「ん?ウェンディ、シリル」
ナツさんは俺たちに気づき、こちらを向く。
「皆さん、ケンカはやめてください」
「こういうことは、ちゃんと段取りを踏んだ方がいいと思います!!」
俺とウェンディはそれぞれケンカを止めようと・・・ん?
「段取り?」
「なんだそりゃ・・・」
「う・・・ウェンディ?」
俺はウェンディの言葉を聞いてウェンディが何をしたいのか分からなくなる。
「勝負は、明日です!!」
ウェンディはナツさんたちを指さしそう言う。あれ?俺の予想してた止め方と違うぞ?
「意味わかんねぇけどわかったよ。んじゃ勝負は明日だ。場所は、南口公園空の木の下だ!」
「じゃあ俺はその後だ」
「・・・勝手にしろ」
ラクサスさんはその場から去っていく。ウェンディはそれを見てひと安心したようで、ほっと胸を撫で下ろす。
「よかったね~、ウェンディ」
「うん!!これでひと安心だね!!」
セシリーとウェンディは二人でこの場を納めたことを喜んでいる。
「これ、どうするつもりかしら・・・」
「だよなぁ」
一方、俺とシャルルは浮かない顔を浮かべている。だって、これってこの場を納めただけで実際ケンカの問題を回避したわけじゃないし・・・決闘が明日に変わったってことは、その分広まる可能性が増えたということ・・・
「なんだか、嫌な予感がするわ・・・」
「俺もだ・・・」
シャルルと俺はこの後に起きると思われる事態を想像し、頭を抱えたのであった。
夜、南口公園空の木付近にて・・・
「何これ・・・」
「すごいことになってるなぁ・・・」
俺とウェンディは今、明日のナツさんたちの決闘場所である南口公園に来ている。そこは、たくさんの出店があり、まるでお祭りのように賑わっていた。
「このチョコバナナおいし~」
「あんまり食べ過ぎるんじゃないわよ」
セシリーはチョコバナナを頬張り、シャルルはその横で綿飴を食べている。お前らまで・・・いや、いいんだけどさぁ。
「なんでこんなお祭りみたいになってるのかなぁ?」
「う~ん・・・」
俺の考えだと、大方ナツさんたちの決闘を聞き付けて、マカオさんとかが盛り上げようとした結果だろう。それにしても、たかが決闘でここまでするか?
『COOL!!COOL!!COOL!!』
俺たちがあまりのことに呆れていると、ステージでは見覚えのある人がマイクを持って大騒ぎしていた。
『皆さん!!お久しぶりです!!週間ソーサラの記者、ジェイソンです!!』
その人は俺たちが7年前に24時間耐久ロードレースで司会を務めていたジェイソンさんでした。ジェイソンさんもあんまり変わってないですね。お元気そうで何よりです。
『7年ぶりの再開!!そして、決闘祭り!!僕は、この日を絶対忘れませ~ん!!』
ジェイソンさんはステージ上で大泣きしながらも俺たちの帰還を喜んでくれているようだ。青い天馬や蛇姫の鱗の方以外にも、俺たちのことをみんな心配してくれてたんですね。
『えーではでは、皆さんおまちかねのゲストをお呼びしましょう!!我らの歌姫、ミラジェーン!!』
「イエー!!」
ジェイソンさんの紹介で登場したのはミラさん。ミラさんの登場で公園にいる人はみんな歓声をあげる。
「すごい人気だね~!!」
「さすがはミラさん」
セシリーと俺はその歓声を聞き、改めてミラさんの人気がすごいものなんだと思った。
「今日はロックでいくわよ」
ミラさんはウインクして会場の人たちにそう言う。ミラさんがロックとかいまいち想像できないけど・・・どうなるんだ?
「いいぞ姉ちゃん!!」
「景気よくよろしく!!」
ステージ上のミラさんにエルフマンさんとリサーナさんが叫ぶ。しかし、
「と・・・思ってたんだけど、ちょっと喉の調子が悪いのよね」
「「「「「「「「「「ええええっ!!!」」」」」」」」」」
ミラさんが喉を押さえながらそう言うと、会場からは残念そうなため息混じりの声が聞こえる。
「ミラさんの歌、聞いてみたかったのに~」
「さすがに喉の調子が悪いんじゃ、しょうがないんじゃないの?」
俺も少し残念だけど、ミラさんの歌はまたの機会にお預けですね。
「そんなわけで、私の代わりにここに立つ、魂のシンガーをご紹介します。どうぞ!!」
ミラさんはそういって後方に手を伸ばし、代わりに歌う人を紹介する。そこにいたのは、白いスーツを着て、手にはギターを持っているサングラスをしたガジルさんがいた。
「ガジルくん!?」
「あの人何やってるですか!?」
ガジルさんって明日ラクサスさんと決闘のはずでしたよね?それなのにこんなところで歌なんか歌ってていいわけ?
ビロロ~ン
「今日は、俺のために集まってくれてありがとう」
ガジルさんはそう言うけど、すでに会場のボルテージはさっきのミラさんの登場時よりも明らかに下がっていた。気づいてガジルさん!!
「じゃあ、リクエストに答えて、俺の作った曲を。『ベストフレンド』聞いてくれ」
ガジルさんはそういってギターを弾きながら歌を歌い始めました・・・でも・・・
「ひ・・・ひどい・・・」
「聞くに耐えない雑音ね・・・」
「俺とあんまり変わんないじゃん・・・」
俺たちはガジルさんの歌を聞き、あまりの下手さに呆れていた。しかし、このお祭り騒ぎ・・・どうするべきかなぁ・・・
「シリル!!手伝って!!」
すると、ウェンディが俺の手を掴んで走り出す。
「どうしたの?」
「マスターを探すの!!」
ウェンディの言うマスターはマカロフさんかな?なんだかマカオさんとマカロフさんでどっちをマスターって呼べばいいか迷うなぁ・・・その結果俺は二人とも名前で今のところは呼んでるんだけど・・・
「なんでマスターを?」
「だってマスターはラクサスさんのおじいちゃんでしょ?だったらラクサスさんを止めてくれるかもしれないし!!」
なるほど!!確かにマカロフさんならラクサスさんを止めてこのケンカ騒ぎを何とかしてくれるかも!!そうと決まれば・・・
「よし!!急いでマカロフさんを探そう!!」
「うん!!」
俺たちはこのケンカ騒ぎを止めるため、マカロフさんを探すことにした。
翌日の朝・・・
「やばい・・・全然見つからなかった・・・」
「うぅ・・・」
俺たちはマカロフさんの匂いを頼りに森の中に入ったのだが、マカロフさんの姿が見当たらない・・・もうすぐ決闘が始まっちゃうかもしれないのに・・・
「どうしよう・・・あの場を納めるために、「勝負は明日!!」なんて言っちゃったけど・・・」
「ここまで大事になるなんてね」
「でもあのチョコバナナ美味しかったよ~」
「そういう問題じゃないんだよ」
ウェンディは責任を感じているのか、顔を俯かせる。
「こんなつもりじゃなかったのに・・・」
「気にしなくていいよ、ウェンディ」
俺はウェンディの肩にそっと手を回し、慰める。
「こうなっているのは、全部ナツさんたちが悪い!!」
「「こいつ言い切った!!」」
俺の言葉にシャルルとセシリーは驚いている。いや、だって悪いのはケンカを吹っ掛けたナツさんとガジルさんだし、それに乗っちゃったラクサスさんも悪い。つまり俺たちに非はない!!・・・とここは信じよう。
「どうかしたのかね?」
「「「「!!」」」」
俺たちがそんな話をしていると、前方から探していたマカロフさんが姿を現す。やっと見つけた!!
「マスター!!」
「やっと見つけました!!」
「もう!!私たち昨日から散々探したのに!!」
「どこにいたんですか~?」
俺たちはマカロフさんにそう言う。でもひとまず見つけることができてひと安心ですね。
「なんかあったのか?」
「実はですね・・・」
「ナツさんとガジルさんが、ラクサスさんと決闘するんです!!」
俺たちはマカロフさんに伝えなければいけないことを伝えると、
「なんじゃとぉーー!!!?」
マカロフさんは目が飛び出るんじゃないかってぐらい驚いていた。驚きすぎです。
「ナツくんたちの決闘を聞き付けたギルドのみんなが盛り上がっちゃって~」
「決闘場所の南口公園はお祭り騒ぎよ」
セシリーとシャルルがそういうとマカロフさんは・・・
「そんな金・・・どこから出したんじゃ・・・」
「そういえば・・・」
まさかの決闘よりもお金の心配をしていました。今うちのギルドは財政難なのに、どうやってあの屋台とかステージとか作ったんだ?意味がわからん。
「って、そんなことより!!」
俺は変わりかけた話題を強引に修正する。
「とにかく来てください!!」
「この決闘を止めないと!!」
「うむ。わかったわい」
俺たちは急いで決闘場所の南口公園空の木へと向かった。
「シリル、見える?」
「うん。今始まるところみたい」
俺たちは南口公園に走っているのだが、どうやらラクサスさんvs.ナツさんが始まってしまうようだ。俺はそれを目を使って覗いている。
「うぅ・・・間に合わなかった・・・」
ウェンディは決闘を止めることが叶わず、落ち込んでいるように見える。
「大丈夫だって。最悪決闘中にでも止めれれば」
「・・・そうだね」
俺はウェンディを励まし、ウェンディはそれで笑顔を見せる。
さてさて・・・あの二人の対決はどうなることやら・・・
俺は再び目を使い、勝負を見ながら公園へと走る。
すると、二人は互いににらみ合い、魔力を高めていく。
そして、炎を纏ったナツさんがラクサスさんに殴りかかったが、
「なっ!?」
「な・・・何?」
「どうしたのシリル~?」
「いきなり変な声出さないでよ」
俺がラクサスさんvs.ナツさんの結果を見て思わず変な声を出してしまい、ウェンディたちは驚いている。
「何が起きたのじゃ?」
マカロフさんは一人冷静に俺に質問する。
「一撃でナツさんが落ちました」
「「「「・・・・・」」」」
炎を纏って殴りかかったナツさん、だけど、その拳が届くよりも早くラクサスさんがナツさんを叩き落とし、一瞬で勝負がついてしまった・・・そんなのありかよ・・・
「次の勝負が始まっちゃうよ~!!」
「大丈夫!もうすぐ着くわよ!!」
シャルルの言う通り、俺たちは公園の入り口まですでに来ている。よし!!ナツさんは気の毒だけど、ガジルさんとラクサスさんの決闘は止めないと!!
俺たちは公園の中に走り込むと、なぜかマカオさんたちがどこかに向かって走っていく。
「ふざけんな!!絶対逃がすな!!」
「うおおおおお!!山狩りこそ漢!!」
「見損なったぞ!!ガジル!!」
どうやらガジルさんがナツさんの瞬殺を見て怖じ気づき、逃げ出してしまったらしい。でもよかった~、とりあえず間に合って。
「ナツー、大丈夫?」
ハッピーがナツさんを揺するが、ナツさんはあまりのダメージに起き上がれない。すると、そんなナツさんを見つめていたラクサスさんが俺たちの視線に気づき、向き直る。
「「・・・・・」」
ただ静かに見つめ合う二人。俺たちはそれをただじっと見つめている。
しばらくすると、ラクサスさんがどこかに向かって歩き出す。
「待てよラクサス!!」
ビッグスローさんの声など聞こえないかのように、ラクサスさんはこちらに一瞥もなく去ろうとしている。
「このまま妖精の尻尾に戻ってきてよ!!」
「マスター!!いい加減ラクサスの破門を解いてくれ!!マスター!!」
フリードさんがマカロフさんに懇願するが、マカロフさんはただ静かにラクサスさんの背中を見ている。
そのまま、ラクサスさんはどこかに行ってしまった・・・
こうして、ラクサスさんとナツさんとの決闘は終了し、決闘祭りも完結した。
その後、俺とウェンディは、決闘を放り出してどこかに逃げてしまったガジルさんを探しに行き、セシリーとシャルルはハッピーと一緒にギルドでガジルさんを待つということになった。
その日の夕方、妖精の尻尾にて・・・セシリーside
「ガジルくんどこ行ったんだろうね」
「まったく・・・自分からケンカ吹っ掛けておいて逃げるなんて・・・」
「ガジルの奴、ふざけたことをしおって」
僕たちはギルドでガジルくんの帰りを待っています。でも、たぶん帰ってこないと思うんだよな~。だって逃げたなんてカッコ悪いとガジルくんなら気にしそうだし。
カッカッカッ
「ん?」
僕たちがガジルくんの話をしていると、ギルドの外から階段を上がってくる足音が聞こえる。
「ガジルの奴が、戻ってきたか!!」
リリーはその足音をガジルくんの物だと思い、ギルドの外へかけていく。僕たちもそれに続くようにギルドの外へと出てみることにした。
「おい!!ガジル!!」
リリーはそう叫んだけど、夕日に照らされたその人影はガジルくんの物ではなかった。
「!!」
「あ・・・」
「お前たちは・・・」
「ウソ・・・」
僕たちの目の前にいた人たちは、何やら見覚えのある3人組の男女だった。
後書き
いかがだったでしょうか。
次回もよろしくお願いします。
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