ガンダムビルドファイターズ ~try hope~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
準決勝、自由(フリーダム)と絶望(デスペレイション) 後編
「……っ! 」
コンテナウェポンをパージしながら後退し、ビームサーベルを降り下ろすもABCマントの左腕で防がれ、胴体に向けて森林へと蹴り飛ばされ倒れてしまった。
「おいおい………俺を止めるんじゃなかったのか?それとも威勢が良かったのは最初だけなのか? 」
デスペレイションストライクはその場に立ち止まり、呆れたように話始めた。
「もしかして単純に俺の方が強くなったのか、それともお前が弱くなったのか。それとも…………まだ本気出してないだけか? 」
「……………」
「その様子だと、まだ本気じゃないってことか。…………おい、出せよ本気を。俺を止めたいってんなら、本気を出して止めてみせろよ!!! 」
デスペレイションストライクがサテライトキャノンを撃ってきたのを上空に跳んで回避し、ビームサーベルを投げ捨てる。
「…………止めてみせるよ。僕の全身全霊をかけて!君を! 」
ヴァルキリーフリーダムが地面に着くと同時に、青色のクリアーパーツが金色へと変色し、機体各部の所から金色の光の翼が表れた。
「オーバードライブ!!発動!! 」
GNソードVもとい、エクスカリバーVをバックパックの左側から引き抜き構える。
「ようやくやる気になったか………」
デスペレイションストライクがアームドアーマーVNをパージし、左腕の布を解放してバックパックからスラッシュエッジを左手で掴み取り、頭上に構えた。
「くらえぇぇぇぇぇ!!! 」
合宿の時と同じように、その機体よりも大きなスラッシュエッジを驚異的な速さで降り下ろしてきた。
「エクス………カリバー!!!! 」
スラッシュエッジの間合いに入る前に、エクスカリバーVの刀身が緑色から金色に変色し、金色の粒子が纏われ、その状態でスラッシュエッジの攻撃に向けて振りかざした。
ーーー--
「ブレイドピット!! 」
ブレイドピット四基をストライクに向けて放ち、その間にグラディウスに粒子を纏わせて斬撃波を放つ。しかし、ブレイドピット四基の内二基がグリップで溶かされてしまい、攻撃としての役目ができなくなってしまった。だが、斬撃波だけは無関係にストライクに向かって飛んでいき、何発かかわされたが相手の左足を破壊した。
「けどこのままじゃマズイな……って、ん?雨か? 」
天候が変貌し、突如雷雲と共に豪雨が降ってきた。
「やりずらくなってきやがった…。マジでどうするか」
ブレイドピットでストライクに牽制をかけるも一向に当たらず、次々とブレイドピットにグリップを当てていき溶かしている。しかし、先程と違いブレイドピットは溶けずにそのままグリップを切断していった。
「何でだ?………そうか、雨のせいか!液体が溶かす前に、雨で洗い流されて溶けにくくなったのか! 」
となると、後はこのままやらせてもらうぜ!
グラディウスに粒子を纏わせながらストライクへと接近し、その途中でライフルを放たれたがケルサスガンダムエクシードに液体が雨により届くことがなかった。
「さんざんやってくれたな。これはお前達が散々破壊してきた奴等と、俺達の分だ!! 」
グラディウスでライフルを破壊し、そのままバックパックに向けて斬撃波を放つと、そこから大量の液体がストライクへと被せられ、斬撃波によりストライクが真っ二つに切断された。
「よし。シノとトウイの方は大丈夫なのか……。とりあえず、シノの方に行ってみるか」
ーーー--
「天候が悪くなってきたわね。けどこの豪雨なら、もしかしたらあの液体も…」
予想通り、ストライクがライフルから液体を放ってくるもすぐに雨に呑まれてこちらに届くことがなかった。
「なら一気に決めさせてもらうわ!アクロトモフィリア!発動!! 」
シールドガン・ファンネルとキャノンピットが装備されていた箇所からビームサーベルが噴出し、光の翼が展開された。
三連装バルカンモードのロングシューティングライフルを撃ちながらストライクに接近し、グリップを振りかざしてきたがロングシューティングライフルからビームサーベルを発生させて切断し、そのまま光の翼でストライクを破壊した。
「ふぅ……」
「シノ!大丈夫か!? 」
一息ついていると、ケルサスガンダムエクシード…ヒロヤがこちらに向かってきていた。
「ええ、大丈夫よ。ありがと。ヒロヤこそ大丈夫? 」
「まあいくらかやられた所はあるが、大したことはない。そういうお前だってやられてるだろう」
「まあそうね。それよりも、早くトウイの援護に行きましょう」
「ああ」
ーーー--
スラッシュエッジとエクスカリバーVがぶつかり合った衝撃で轟音と光が放たれ、回りの森林はほとんどが吹き飛んだ。
そしてデスペレイションストライクの攻撃をまともに受け止められ、スラッシュエッジとエクスカリバーVが触れ合っていた。
「はあああああああっ!! 」
すぐにスラッシュエッジを切り返して振り上げてきたが、エクスカリバーVで受けきった。それを何度か繰り返して反撃で横一線に振り払うも後ろにかわされてしまった。しかし、エクスカリバーVの剣圧でデスペレイションストライクが少しだけ体勢を崩したが、すぐに立て直された。
「それがお前の本気か……? 」
「?…そうだけど? 」
「はぁ……」
わざと大きなため息を吐いてきて、スラッシュエッジを再度頭上に構えた。
「なら、もう終わりだな。お前じゃあやっぱり止められねえよ」
エクスカリバーVを身構えた瞬間、デスペレイションストライクが金色の光に包まれ、突如目の前からデスペレイションストライクの姿が消えた。
「!どこに!?が……あああぁ!!! 」
右足のふくらはぎと右肩が斬られたと同時に痛みが走り、右側を振り向くがどこにも姿は無く、今度は左肩甲骨にも痛みが走り、バックパックの左側を破壊された。
「ぐぅぅぅっ……でやあぁぁぁっ!!! 」
破壊された直後に、デスペレイションストライクが見えた方向へとエクスカリバーVを降り下ろすも手応えは感じず、そこにあったのはデスペレイションストライクの残像だった。
「これは………M.E.P.E!?あああぁぁあぁあああっ!!!! 」
左手の甲から腕へと斬られ激痛が同じ箇所へと入ったが、幸いヴァルキリーフリーダムの左腕は傷つけられただけで破壊されていなかった。
「まだだぁぁ!!! 」
デスペレイションストライクが目の前にいきなり現れ、スラッシュエッジを地面に差すと左腕の布でヴァルキリーフリーダムを拘束して捕らえ、ビームトンファーを展開して両太ももと頭部の位置でいう右耳、そして左のアイカメラ、左足のふくらはぎにビームトンファーを突き刺して、今度は左脇腹へと突き刺し、ゆっくりと抜いていった。
「ああぁぁあぁあああああっ!!!! 」
切り刻まれた痛みによりコンソールから手を放し、特に痛みが酷かった左目と左脇腹を手で押さえてその場で膝をついてうずくまる。
「あぁぁぁ……ぐぅぅ…! 」
「オーバードライブとは別に、アシムレイトってのは色々不便だなぁ。粒子放出量が増幅するといっても、ガンプラが受けたダメージはそのまま本人にも与えるからな。どうだ?今どんな気分だよ?大好きなガンプラのせいで痛め付けられている、今の気分は?ガンプラを止めたくなってきたか?」
「はぁ……はぁ…………………も…」
「あっ?聞こえねえな。はっきり言えよ」
「……そ………も…」
押さえていた手をコンソールに置き、それを支えに無理矢理立ち上がる。アシムレイトの影響で左目は激痛により開けられず、やられた両足も今にも倒れそうになっている。
「…それ………でも…」
ヴァルキリーフリーダムの粒子放出量が更に増幅し、機体各部だけではなく、クリアーパーツ全体からも光の翼が発生しだした。
「なっ!? 」
「それでも………この気持ちを……あの時と同じこの思いなら…どんなに苦しくても…どんなに辛くとも、止められる筈が……ない! 」
光の翼がヴァルキリーフリーダムを捕らえていた布を切り刻んでいき拘束から解放された。それを見てデスペレイションストライクはM.E.P.E状態で素早く後退してかなりの距離を取ってきた。
「だから!君にも思い出させる!あの頃僕と同じ気持ちで一緒にガンプラをやっていた、君の気持ちを!!君の本当の心を!!! 」
「勝手に……」
デスペレイションストライクがスラッシュエッジを地面から引き抜き、そのまま接近してきた。
「ほざいてんじゃ…ねえぇぇぇぇぇぇ!!!! 」
目を一度閉じて両目を開き、深呼吸をしてエクスカリバーVを構える。その途中でも確かに身体中に痛みが走るが、今は痛みを感じない。
「僕の思いの全てを、乗せて!!! 」
デスペレイションストライクに向けて先程とは段違いの速度で接近し、お互いの間合いに入った。
「トウイィィィィィィィ!!!! 」
「はあああああああっ!!!! 」
スラッシュエッジとエクスカリバーVが激突すると、エクスカリバーVがスラッシュエッジを受け止めるというレベルではなく、そのままスラッシュエッジを弾いていた。
「コイツ!! 」
ヴェスパーの砲門をこちらに向けてきたがすぐにエクスカリバーVで両方切断し、デスペレイションストライクに向けて振り上げる。しかし今の一瞬で体勢を立て直しており、スラッシュエッジで防がれてしまった。
「このっ…野郎……!! 」
「もう迷わない…諦めたりしない、屈したりしない、見捨てたりなんかしない! 」
「!? 」
エクスカリバーVにより力を加えると、スラッシュエッジとエクスカリバーVに亀裂が入っていく。
「だから!君を止めて、救ってみせる! 」
「ぐっ! 」
そのままエクスカリバーVを振り上げると、スラッシュエッジとエクスカリバーVが粉々に砕け散った。
「……っ」
「君の!その絶望を!ぶち壊すっ!! 」
デスペレイションストライクはビームトンファーを展開し、こちらに突き出してきた。ヴァルキリーフリーダムは光の翼がおさまると、代わりに右手の拳に虹色の粒子が纏われた。
「ヴァルキリー……ブレイカーーーー!!!! 」
ビームトンファーに向けて右手の拳を殴り込み、勢いが止まることなくそのままデスペレイションストライクの胴体を貫いた。その衝撃で、上空にあった雷雲が吹き飛び、そこから太陽の光が射してきた。
「……………あの時は本当にごめん。だから、またやり直そう。今回みたいなバトルじゃなくて、楽しそうにやっていたあの時みたいに…もう一度……」
「………………」
『BATTLE ENDED』
ーーー--
「全日本ガンプラバトル選手権中高部、準決勝第一試合勝利チーム。天之川学園、チームトライホープ」
「あれっ……? 」
バトル終了直後、気が抜けたのか身体中の痛みのせいなのかその場で倒れてしまった。
「トウイ! 」
「大丈夫!? 」
「大丈夫大丈夫……イツツツ…」
ヒロヤ君が肩を借してくれ辛うじて立ち上がる。所々に痛みがあるが、今はそれどころではない。
「ユウキ君…」
バトルシステムの向かい側を見ると、既に撤収したのかユウキ君達の姿が見当たらなかった。
「おい、俺達も早く出るぞ。お前の治療も必要だしな」
「医務室なら、確か宿舎の所にあったはずだからそこに向かいましょう」
そのまま肩を借りた状態で会場を一時後にして医務室で治療を受けた。二人は聖鳳学園とガンプラ学園の試合を見に行くと言っていたが、行く手前にヒロヤ君が「俺主人公だよな?今回全然活躍してなかったんだが…」と言っていたが、シノさんと僕で「「大丈夫(よ)。次回もそうだから」」と返すと、ケガ人に対して容赦ない回し蹴りを放たれてしまい見事に命中した。
「てか何故僕だけ?いやまあ女の子に攻撃するのもどうかと思うけども…」
医務室のベッドで横になりながら愚痴るも、それは誰の耳にも入るわけがなく、無情にも病室で響くだけだった。……むなしい…。
「………このままいくと前回倒れた時と同じことが起こると、僕の勘がそう言っているんだけど気のせいかな? 」
「何のことだが知らないが、その勘は多分当たりのようだ」
「へっ?…えっ!? 」
病室の入り口の方を見るとミサキ…じゃなくて、ユウキ君が扉に寄りかかりながら立っていた。
「……調子はどうだ?って言っても、やったのは俺だけどな」
苦笑しながら言ってきたその姿は、昔と何の変わりない、いつも見ていた懐かしい顔だった。
「お前の思い、確かに感じた。そのせいか身体の内側にあった色々な思いが吹き飛んでスッキリしたわ。たくっ…何言ってんだがな俺は」
「ユウキ君…。あの時は本当に……」
「言うな」
「えっ? 」
「もう気にしてねえよ。またお前と、全力でバトル出来たんだ。あの時のバトルの決着が、今日やっとついた。今はそれでいいだろ? 」
「………ありがとう…」
「それはこっちのセリフだ」
しばらくそのまま話をしていると、恥ずかしいことにお腹から盛大な音が鳴ってしまい、ユウキ君が呆れながら「何か買ってきてやるよ」と言って部屋から出ていった。
少したった後にユウキ君が戻ってきて、コンビニの袋を渡されて中身を確認する。
「ん?ちょっとユウキ君!僕梅干し入りのおにぎりと明太子は食べれないんだけど!これじゃあ食べれるのが鮭おにぎりと塩おにぎりとメロンパンとエクレアだけじゃないか!っあれ?思いの外食べれるのある」
「やっぱりお前バカだな。ちなみに知ってて買ってきた」
「ひどい! 」
「まあそう言うな。ちなみに梅干しと明太子は俺の分だよ」
すると袋から梅干しと明太子のおにぎりを取り出して食べ始めたので、つられて鮭おにぎりを口に運んだ。
「ところで今さらだけど、急にいい奴キャラになってきてぶっちゃけ少し引いたんだけど。急にキャラの変化が表れても僕ついていけなくて困るんだけどなぁ」
「やっぱりそれ返せ。今すぐ返せ。そして死ね」
「アハハハハ」
ーーー――
「……仲直りできてよかった……」
こっそりユウ達のところを抜け出し、医務室の様子を見に来ると、二人はニールセンラボとは大違いに仲良くなっていた。
それを見て元気そうで安心し、大会の会場へと戻っていった。
ページ上へ戻る