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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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Twenty episode 現実

「何やってんだよ、お前………まさか、俺が寝てからずっと此処にいたのか!?」


「…………コク」


「馬鹿!風邪引くだろうが!」


「………大丈夫」


「……………何でずっと此処にいたんだよ」


俺が琴葉に聞くと、琴葉は目をウルウルさせながら俺に上目遣いで話して来た。


「わた………私の………せいで……ゆぅ…君………怒っちゃったから………」


琴葉は俺が眠る前の出来事を気にしているのだろう。
さっきはイラっとし、その場を後にしてしまったが今はそんなに気にはしてない。
多分、一眠りしたからだろう。


「大丈夫だよ。もう気にしてないし、風邪引くから早く寝なよ」


「ごめん………ね」


「分かったから。もう謝らなくていいよ」


俺はそう言い、"ユウキ"の頭をクシャクシャっと撫でた。


「おやすみな」


「………おやすみ」


琴葉は返事をし、俺の隣の部屋へ入っていった。
俺は琴葉が部屋に入って行くのを見届け、水分補給の為に台所へと足を運んだ。

向かっている途中、イライラが収まらなかった。


「クソッ!!!!!」


俺は壁をドンッと殴りつけた。


「クソックソックソックソックソックソックソックソッ!!!!! 琴葉はユウキなんかじゃないッ!!」


俺はまるで亡霊に取り憑かれたかの様にずっと、自分に言い聞かせた。

言い聞かせ、気持ちが落ち着くと、冷静になり、目的であった水分を補給しにいった。


「あー…………気分が悪ぃ………」


俺は台所に着くと蛇口を捻り、水をコップに注いだ。
それを一気飲みにし、一息ついた。


「そういや、ログインするの忘れてたな。初期設定だけしとくかな」


今日、今は夜中だから昨日と言うべきか、俺は須郷の手伝いをすると行ったが、集中出来ないと言い、家でログインすることにしたのだが、ログインしないでいたのだ。


「初期設定をして寝ますかな」


初期設定を行う為に自室へと向かった。







「さーて、ナーヴギア被って………あるゔへいむ入れて…………良し、おっけ!」


俺はナーヴギアを被り、ベッドへと横たわった。

もう少しだけ………お前……茅場晶彦の作った世界に…………俺自身の為に………

そして俺は仮想世界に入る為のお決まりのコードを言葉にした。





「リンク・スタート!」




仮想世界にリンクすると、初期設定をする為のナビゲーターが話しかけて来た。
ナビゲーターは一語一句間違える事はないロボットの様に、機械が作り出した声で喋り出した。


ーーープロフィールデータ確認中…………


ーーーレクト本社のデータ一致、アルヴヘイムオンラインの関係者ID確認中…………


ーーー 一致を確認しました。関係者ID 桐崎優也。初期設定がされていません。セーブデータ作成中………


ーーー作成完了。



ーーーーようこそ、アルヴヘイムオンラインへーーー



「そういや、俺の使っているナーヴギアは茅場晶彦のナーヴギアなんだよな。関係者IDは須郷さんが登録してたのか」


俺は画面を操作し、堅苦しい説明を聞き流し、先へと進んだ。


ーーーアルヴヘイムオンラインでの名前を入力してください。


「…………ユウヤでいいか」


ーーープレイヤー名、ユウヤ。登録完了。


ーーー種族を選んでください。


「えーっと、サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ケット・シー、インプ、ノームにレプラコーン……結構多いな」


どれにしようか悩んでいると突然、種族選択画面が強制終了されてしまった。


「え!?何だ何だ!?」


画面が進まらない中、一人でテンパっていると目の前に一つの種族が表示された。
表示された種族はさっきの種族と異なり、見た目に違う所があった。


「こいつ………羽ないけど……飛べんのか?」


それに、初期装備が格好良すぎる。
と言うか、普通に強そう。
純白に輝く鎧を身に纏っている外見は俺の心を釘付けにした。


「良し、これでいいか」


ーーー種族登録。





ーーーーーマクスウェルーーーーー





ーーー登録完了。


ーーーそれではアルヴヘイムオンラインをお楽しみ下さい。


「良し、設定は終わったからゲームが始まったらすぐにログアウトしよう。」


数年前にソードアート・オンラインを始めた時の様な光が俺を包み、物語の舞台へと俺を誘った。







ゲームが始まり、俺がリスポーンしたのはモンスターが大量にいる建物の様な所の中だった。

…………あるぇ?これって普通、街からスタートなんじゃないの?街の中の建物なのかも知れないけど、大量のモンスターが華麗にスタートを決めた俺を早速睨みつけてるよー

俺は額に汗をかくくらい焦っていた。
何故なら、目の前にいるモンスターはどっからどう見ても最初の雑魚キャラには見えない。

俺は更に焦った。


「うっそー………」


なんと、モンスターは一体ではなく数体、いや、十数体いたのだ。
羽を立派に生やし、片手には剣を持ち、立派な鎧を着ている。
まるでガーディアンの様だった。
俺が顔を引きつらせていると、モンスターの中の一体が突撃して来た。
一体が突撃すると、更に一体とどんどん俺に向かって来ていた。


「待てって。こっちは初期装備だっつーの!待て待て待て待て待て待てぇぇぇぇぇぇぇl!!!!」


俺の願いとは裏腹に、モンスターは止まらず向かって来ていた。


「武器……武器装備しねぇと!」


俺はソードアート・オンラインをやっていた時の様にスムーズに武器を装備しようとした。
だが右手で振ってもウィンドウも何も出なかった。


「どうなってんの!!」


俺が右手をいくら振ってもウィンドウが出ない為、駄々をこねる子供の様に両手を振り回した。


「お!?開いた!!これって左手なのか!」


そして俺は武器ウィンドウを開いた。



所持武器一覧

dhdjしr
bshdjfんd

hsbづdhdkd
hdbsjdhぢえんd
グングニール
bdhbっdj
hdbsjdb
hdbdjbdj



ハァァアァァ!?バグってるんですけど!!


「待て………これって………グングニール………!」


俺は見覚えのある武器を装備した。
《グングニール》と呼ばれる武器を装備すると手元に大きい槍が出現した。
槍を握ると体の周りに光の渦が出現した。


「この感覚………いけるかも………」


俺は槍を握りしめ、このゲーム特有の飛行をしようとした。


「羽が生えねぇし………飛び方わかんな………お?」


飛ばなければ羽を生やした敵モンスターと戦えないと絶望していたが、敵が俺の方へ突撃していた為、自動的に地上戦に持ち込むことが可能になった。


「ラッキー………そんじゃ、行かせてもらうぜ!!」


先ずは最初に突っ込んで来たモンスターから始末することにした。


「おらぁぁあああ!!!」


俺は槍を敵に向かって横薙ぎにすると、相手は回避しようとしたのだが、既に手遅れでリーチの長い槍が直撃し、一撃で相手を葬った。
俺が敵モンスターを一体倒すと、後に続いた敵モンスターの集団が地面に足を着き、羽をしまい、剣を構えた。


「流石に分が悪いなぁ………」


俺はどうにかこの場を打開出来ないかと考えていると一つの記憶が頭の中に浮かんだ。


ーーーソードスキル無し、"魔法"と飛行が可能になった………


魔法…………魔法だ!
魔法ってんだから範囲魔法位あるだろ………


俺は焦りながらウィンドウを開くとスキルという所にスペルと書かれたウィンドウがあった。
そこには魔法名らしき物があったが目を丸くした。
魔法をセットしようとすると魔法の詳細が表示されたのだが…………


「なんだよこれ…………全体攻撃……これを唱えればいいのか………長すぎるだろ!」


しかも英語。
あまり英語は得意ではない俺にとっては至難の技だった。


「おいおいおい、これは無理だろ!」


俺がそう叫んでいると前方から足音が聞こえて来た。


「やべっ!」


前方から来ていたのはモンスターだ。
ウィンドウを開きっぱなしのままの状態だったので目の前が見えなかったのだ。
殺られる。
そう思ったとき、片手剣サイズの剣がモンスターを貫いた。
そして、俺のいる建物の中に人が入ってきた。


「ゆぅ君……大丈夫………!」


「琴葉!?なんでお前が!」


「前……!」


「くっ!おらあああああ!!!」


琴葉が危険を知らせてくれたおかげで向かって来ていたモンスターの攻撃を槍で受け止めることが出来た。
そのまま槍で押し返し、貫いた。


「琴葉!少しだけ、ほんの少しだけ時間を稼いでくれ!!」


「わかった………!」


俺はスペルウィンドウを開き、魔法を発動する為の呪文を覚えようとした。



落ち着け………
確かに長いけど覚えられない事はない………!
英語の意味を覚えろ………
それを並べて言葉にすればいい!!



「ゆぅ………君!」


「もう少し待ってくれ!」


神………与えられる………槍………
全て………屠る…………返す…………

これを言葉に変換させれば…………!

俺は魔法を発動する為のワードを口に出し始めた。
すると、体の周りに光の文字が出現し、一つのワードを言葉にする度に光の文字が現れ、繋がっていった。




「A spear slaughtering all given by God, turn all over in nothing」
《神に与えられし、全てを屠る槍よ、無に返したまえ》






「 デストラクト 」






魔法詠唱ワードを口にし、魔法を唱えると目で認識しているモンスターの足元に魔法陣の様な物が出現し、槍を持っている右手がソードスキルを発動した時の様に勝手に動き出した。


「勝手に!?」


「ゆぅ君………!?」


勝手に動いた右手は槍を地面へと突き刺した。


パリィィイイイイイン……………


槍を突き刺すと同時にモンスターの集団が結晶体となって消滅していた。
俺と琴葉は唖然としていた。


「どうなってんだ……?」


「魔法……だよね?」


「ああ、でもさ………これ、おかしくないか?」


「うん………?」


「助かったのはいいけど、こんな強力な魔法を初期の段階で使える筈がないよ」


今、唱えた魔法は明らかに次元を超えていた。
目で認識していたモンスターの足元に突然、魔法陣の様な物が出現し、右手が勝手に槍を地面に刺したと思ったら敵モンスターは全滅していた。
初期の魔法なんてたかがしれている。
今までやって来たゲームでは回復魔法であるファーストエイドやヒール、攻撃魔法にしたってファイヤーボールとかだ。
ファイヤーボールと比べて今の魔法はどうだろうか、ファイヤーボールでも数発は当てないと倒せそうにない敵を、今発動した魔法は一撃で、しかも全体攻撃で全ての敵を消滅させた。

俺はもう一度、魔法の内容を確認する為にウィンドウを開いた。


「…………須郷さんのプレゼントかなんかか?」




魔法名 《デストラクト》

使用可能種族 マクスウェル

魔法タイプ 攻撃魔法

魔法属性 無属性

魔法範囲 全体

魔法詠唱文字 A spear slaughtering all given by God, turn all over in nothing

魔法効果
目で認識したモンスターの足元に魔法陣を出現させ、認識した全てのモンスターを無かった事にする。
⚠︎グングニール装備時のみ
⚠︎熟練度exp 0
⚠︎発動後のクールタイム20分




「………琴葉は魔法って覚えてるか?」


「………ヒールとリバイブくらい…」


「回復魔法か………攻撃魔法は?」


「覚えてない……」


「一体なんの種族なんだ?」


「……わかんない」


「見た感じだと………」


琴葉は白く輝く盾と剣を持ち、髪の色は銀色だった。


「なんなんだろうな」


「私とゆぅ君……髪の色……おんなじ………」


「俺も銀色なのか?鎧とかに見惚れて髪とか見てなかったな」


「………………」


「と言うことは、琴葉も同族なんだな」


「……でも…こんな種族パッケージに載ってない」


「いや、俺は強制的にこれになったんだけど」


「多分…須郷さんが設定したんだと……思う」


「あ、それだ。でも同族なら何で琴葉はさっきみたいな魔法覚えてないんだ?」


魔法の詳細ではマクスウェルと言う種族はこの魔法を使えるみたいな感じに詳細されていたのだけど……
使えないあたり、似ているだけで別種族なのだろう。


「つーか、なんで琴葉が此処にいるんだ?ってか此処、どこですか」


「森の中の教会……敵も出る………私はゆぅ君の部屋からゆぅ君が…この世界に行くって声が聞こえたから……いる」


「そうか、うーん……近くに街とかあるのかな?」


「央都アルン…」


「そこまでの道、分かる?」


「………コク」


「んー、じゃ、行こうか………あ、ちょっと待ってくれ」


俺は進もうとした足を止め、その場でウィンドウを開いた。
俺は一つ、不審に思っている事があった。
装備している武器、《グングニール》はソードアート・オンラインでの武器だ。
本来、この世界であるなんて事はあり得ない。

俺のナーヴギアはバグが酷くてメモリーにあるプロフィールデータしか戻せなかったんじゃないのか?
それとも須郷さんはナーヴギアにあるメモリーごと修復して移動させたのか?

俺は自分の持っている武器やアイテムをひたすら漁り続けた。

ソードスキルは………やっぱりないか。
熟練度は………そのまんまだな。
神聖槍は……ない………
なのに《グングニール》はあると言う事は普通に槍扱いか?

自分の所持品を殆ど把握して完全に確信した。


「これは俺の、ソードアート・オンラインでのキャラデータそのものだ」


「……バグ?」


「須郷さんが設定したのか………それともアルヴヘイム・オンラインはソードアート・オンラインと何か関わりがあるのかも知れない」


俺は何らかの関係がゲーム同士にあるんじゃないかと考えていると、ハッっと気付いた事があった。


「これが前の俺と同じデータなら………!」


俺はアイテム欄を開いた。
そこにはかなりの文字化けを生じているアイテムが殆どだった。
俺はその中にあるアイテムを探し続けた。
ソードアート・オンライン時、俺は………結婚していた。
現実ではないがゲームの中でだ。
そのゲーム世界での結婚は婚約者の、お互いのアイテムストレージを共有するということが出来た。


「やっぱり………あった………」


「探し物……?」


「ああ……皮肉だな、出逢わなければ良かった。なんて言ったけど……その相手のアイテム……それが俺にとっての希望の光みたいになるなんてな……」


文字化けしている沢山のアイテムに紛れているアイテムの中で一つだけ文字化けしてないアイテムを指で、トンっとタッチした。
《MHCP PT0001》、そう表示されたアイテムをタッチすると目の前に綺麗な光が発生した。


「合わせる顔もない筈なのにな………」


ボソッと呟くと俺の目の前に目を閉じた小さな男の子が現れた。
とても可愛らしい男の子が目を開けると俺を見て目を丸くした。


「おとーさん……?」


「外見が全然違うのに………すぐ分かるんだな……」


「この子は………?」


「この子は名前はセイ。俺の子供だよ……」


「子供……?」


セイ。
俺の可愛い子供だ。


「ソードアート・オンラインで俺ともう一人の女の子が見つけて保護したんだ。でも、現実世界には存在しない子だよ」


「こんにちはおねえさん。僕の名前はセイって言います。おとーさんとはソードアート・オンラインでの世界で会い、僕の親になってくれました」


「そういう事だよ。セイはソードアート・オンラインではメンタルヘルスカウンセリング……プログラム?っていうプログラムなんだ」


「……不思議だね」


「セイはちょっと特別なんだよ」


琴葉にセイの事について説明していた。
説明しているとセイが難しい顔をして何かを考えていた。


「どうした?」


「おとーさんの外見に僕の知らない要素があったからこの世界の情報源にリンクしたんだけど……この世界の名前はアルヴヘイム・オンライン。この世界は、ソードアート・オンラインのデータをそのまま引き継いでるよ」


「俺のデータがそのまま引き継いでるのはそのせいか?」


「ちょっと手を借りるね」


セイは俺の手を取り、目を閉じた


「うん、おとーさんの今のデータはソードアート・オンラインでのデータと完全一致したよ」


「やっぱりか、でも神聖槍は無いみたいなんだ」


「この世界ではユニークスキルと言える物が無いみたい。でも、おとーさんの使っている槍は槍熟練度として使われるよ」


「そうか……………」


俺はそれだけ聞いて何も言わなくなり、沈黙だけが続いた。
そしてセイが俺に質問をして来た。


「ねぇ、おとーさん」


とうとう来てしまった。
俺の一番恐れている事態が起こってしまった。
きっと、セイが俺に言うことは俺が思っている事だ。
そして、セイは俺に純粋な眼差しで、興味がある子供の様な目で言った。








「おかーさんはどこにいるの?」







 
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