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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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Eleven episode 謎の現象

セイが家族入りして二日経っていた。
だがセイのステータスのバグは未だに直らないままだった。
更に、突然キリトとアスナが結婚したと言う報告が俺の耳に入った。
キリトが初任務中にアスナの護衛だったクラディールと組むことになってダンジョンに潜っていたらクラディールに毒を盛られ、死にそうになった所をアスナに救われて相思相愛になったらしい。
結構前からキリトとアスナは両想いだったらしいが…

そして今現在、キリトとアスナは俺とユウキの家にいた。


「なぁキリト、おかしいと思わないか?」


「ああ…このバグは偶然なのか…?」


「何よりキリトとアスナの所にもステータスがバグった子がいるなんてな…」


「「おとーさん(パパ)!」」


二人の子は俺とキリトに笑顔を向けてきた。

二日経って更なる疑問が生じていた。
キリト達の方にもセイの様なステータスがバグった子が現れたと言うことだ。
因みにキリト達の方に現れた子の名前は"ユイ"と言う女の子だ。
この子もセイと同じく記憶が無いらしい。


「あ、そういやキリト結婚おめでとう」


「ありがとなユウヤ」


俺達はそう言うとセイとユイに構ってるユウキとアスナの方を見た。
見ているととても和む光景だ。
ユウキはセイを抱っこしたりしていて、アスナはユイとおままごとの様な事をしていた。


「どうだキリト、"パパ"になった気分は?」


「お前こそ"おとーさん"になった気分はどうだ?」


俺達はお互いにさりげなく馬鹿にしあっていたが、その言葉はお互いにあまり悪い気分になる様な言葉ではなかった。
むしろ嬉しくなってくる言葉だった。
意外に俺とキリトはセイやユイの様な子供が出来て浮かれていたのだ。
しかし、子供が出来てから俺の場合はユウキが、キリトの場合はアスナが色々と世話を焼く様になってきた。
まぁ世話を焼くユウキも可愛いのだが。


「俺の方はおとーさんって呼ばれるのは満更でもないって感じかな。むしろ嬉しいし、だけど最近は子供が出来てからユウキがちょっと厳しいんだよな…今まで通り甘えては来るんだけど…」


「俺の方もアスナがそんな感じだな…」


俺とキリトはお互いに嫁さんに参っていた様だ。
だがそれも幸せの一部だと思っている。

おっと、一番大事な話を忘れていたな


「話を戻すがキリト、やっぱりおかしいよな?ステータスがバグった子が二人もいるなんて…しかもそのバグが直らないなんてよ…」


「確かに一時的なバグならすぐに直るかもしれないが、二日も直らないなんてな…ステータスが無いんじゃ戦うことすら不可能だし、何よりこんな重大なバグをゲームマスターの茅場が見落とす訳無いしな」


「だよな…」


いや…待てよ…セイとユイにある共通点を探してみよう…
………そうだ、セイとユイは幼い子供だ!茅場の慈悲で幼過ぎる子供は戦闘に出さない様にステータスをあえて消したんじゃ無いか?

俺はそう思い、キリトに言った。


「キリト、セイとユイは幼過ぎる子供だよな?茅場が慈悲で幼過ぎる子供が戦闘に出れない様にステータスをあえて消したんじゃ無いか?」


「なら確認する必要があるな…1層の始まりの街に子供達を安全に保護している人がいるらしい。ユウヤの言うことが正しいなら保護されている子供達もステータスが表示されていない筈だ」


「始まりの街に行って確認しに行くしかないか…行くなら明日にしようぜ。今日はもう暗いし、お前らも家に泊まって行け。その方が明日すぐ一緒に始まりの街に迎えるだろ?」


「分かった、ありがとなユウヤ。おーいアスナ!今日はユウヤの家に泊まって行くぞー」


「え?いきなりどうしたの?」


「ユイのステータスのバグについて調べに明日、始まりの街に行く。今日泊まって一緒に準備済ませればすぐに行けるしいいだろ?」


俺もユウキに今日はキリト達が泊まっていくという事を伝える為にセイと遊んでいるユウキの方へ向かった。
ユウキはセイと遊んでいると思っていたが何やら話をしていたらしい。






ーーーーそれでね…おかーさんはユウヤが大好きなんだよ



ーーーーおかーさんはユウヤの優しい所とか……大好きなんだよ



ーーーーおかーさんはおとーさんがだいすきなんだね!



ーーーーうん……もしおかーさんがーーーしまったとしてもユウヤの事が大好きだと思う…







何を話してるんだ?まぁ今日の飯とかの事だろ
今日は激辛フルコースなのかな?

俺はそう思いながらユウキに近付き、ユウキの頭にポンっと手を乗せた。
するとユウキは俺に気付いたのかすぐに振り返った。


「今日はキリト達が俺達の家に泊まってくよ。んで、明日セイのバグについて始まりの街に皆でいくぞ」


「うん!でもセイは連れて行くの…?」


「おとーさん、おかーさんおいてくの?」


セイが不安そうに見るので俺はセイの頭を掻き乱しながら笑顔でセイを見た。

何不安そうな顔してんだか…
親が子供を置いて行くわけねーだろが…


「大丈夫だよセイ。おとーさんとおかーさんはお前を置いて行ったりなんかしないよ」


「そうだよ、ボク達は家族なんだから!」


「うん!」


俺とユウキがそう言うとセイは笑顔になって返事をした。

明日には始まりの街に行ってセイのステータスのバグについて調べよう。
それに少なからずセイについて情報がある筈だ。
もしかしたら友達とフレンド登録を忘れていただけなのかもしれない…
だけど何故だかセイについて調べようとするだけでーーーー





ーーーーセイが離れて行く様な気がした。







「ユウヤ!早く起きなよ!今日は始まりの街に行くんでしょ?」


「キリト君もいつまでも布団に包まって無いで早く起きなさい!」


「あと…少し…」


「「いい加減にしないと…」」


ユウキとアスナから殺意が溢れていた。
俺とキリトはその殺意を察してすぐに飛び起きた。
そしてユウキとアスナの方を見ると顔は笑っていても目が笑っていなかった。
俺は急いでキリトにしか見えない様にハンドサインを送った。


ーーーーヤバイぞキリト、目が笑ってない。


ーーーー俺達も今の状況に笑えてない。


ーーーー嫁さんって怒るとここまでなのか……


ーーーー取り敢えず、"アレ"をしなきゃ許して貰えなさそうだな……


ーーーーフ…俺の完璧な"アレ"を見せてやるよ……


そして俺達は体をユウキとアスナの方に向けて手を着き、俺とキリトは男の維持を見せた。

行くぜ、俺達の友情奥義を……!

キリトの方を見ると準備はいいぞと言う様に頷いてきた。
ここからが本当の勝負だ。
ここでミスをすれば綺麗な"アレ"が出来ずに終わってしまうだろう。

ーーーー見せてやるよ、俺達の本気を……!

そして俺とキリトは手を着いたまま頭を布団につけた。


ーーーー秘技


「「うおおおおおおおおおお!!!」」


ーーーー怒下惨!!(怒られているのにその下で惨めな行為)


「「すいませんっしたぁあああああ!!」」


俺達の怒下惨を見ていたセイとユイは綺麗な土下座を見て、おとーさんすごい!と言う言葉や、パパかっこいい!と言う言葉が飛んできた。

我が子達よ。とーちゃん達の美しき土下座をその目でちゃんと刻むんだぞ…

ユウキとアスナは俺達の土下座を見て戸惑っていた。


「え?ちょっとユウヤそこまでしなくてもいいよ!」


「キリト君もユイちゃんの前でそんな事したら駄目だよ!」


どうやら俺とキリトの秘技、怒下惨が役に立ったらしい。
おかげで朝一発目からこっぴどく怒られるという事はなくなったらしい。
俺が、回避出来たな。と笑顔を飛ばすとキリトも笑顔をしながらウインクをして返答してきた。
ユウキとアスナは始まりの街に行く準備が出来ていたらしく、俺とキリトもすぐに準備に取りかかった。


「よし、皆行くぞーーー!」


そして俺達は第1層の始まりの街へ向かった。
俺はセイを肩車して、キリトはユイをおんぶして親バカをしながら転移門をくぐった。








第1層 ーーーー始まりの街ーーーー





「ここに来るのは久しぶりだな…」


「そうだな…始まりの街に来るのは1年弱ってところか」


「あの時はいきなりデスゲームに変わったって言われて怖かったよ…ずっと一人で…」


「ボクは震えてた時にユウヤが手を握ってくれたっけ…あの時は凄く嬉しかった…」


ユウキは昔、震えてた時に俺が手を握ってあげた事を話した。
なんだか照れ臭くて俺は頬をポリポリとかいた。

それより、セイがこの街で何か見たことがあるか聞かないとな

俺は肩車をして喜んでいるセイに問いかけた。


「セイ、何か見たことのある人や物はあるか?」


「ユイもどうだ?」


俺とキリトが聞くとセイとユイは困った顔をして首を横に振った。


「「わかんない…」」


やっぱりわかんないか…
記憶を失ってるから見たことある風景でもすぐに思い出すって事は無いだろうな…
無理に思い出させてもセイとユイが困ってしまうしな…
ここの風景を見て何も思い出さないなら取り敢えず移動しないとな


「何も思い出せないみたいだし取り敢えず移動するか」


「まぁ始まりの街は恐ろしい位に広いからな」


「なら中央市場に行ってみない?」


「市場に行ったら子供達を保護してる人に会えるかもしれないしね!」


俺達は転移門の近くにいても意味が無いと思い、中央市場の方へ向かった。
中央市場に着いてみると本来はもっと人がいる筈なのに人が異常に少なく、殺風景な市場になっていた。

確か…このゲーム内で生き残ってるプレイヤーは約6000人。
1層を支配している軍を含めてもその三割位は始まりの街にいる筈だ


「なぁキリト、この街って結構人いるよな?」


「…?確かに軍を含めても2000人弱はいる筈だけど」


「それにしては人がいなさすぎるし、外で雑貨屋や武器屋の人とか最低の人数しかいない」


「確かに…」


人があまりいないことにユウキとアスナも気付いたのか、周りをキョロキョロと見渡し始めた。
2000人弱もいる始まりの街に、ましてや一番物を取り揃えれる中央市場に見る限り人が18人位しかいない。
アインクラッド解放軍が始まりの街の殆どの人口だとしてももっと人がいてもいい筈だ。

なんだか妙だな…

俺がそう思っていると女性の声が聞こえた。




ーーーーー子供達を返して!




「ユウヤ、あっちから声がしたよ!」


「わかってる!皆急いで行くぞ!」


俺達はユウキの指差した方向に向かって全力で走った。
路地裏の中で言い争っていたらしく、奥の方に行くと一人の女性プレイヤーがアインクラッド解放軍に叫び、アインクラッド解放軍の連中が大勢で子供プレイヤーを囲んでいた。
女性プレイヤーは軍に向かって叫び続けていた。


「子供達を返して!」


「人聞きの悪いことを言わないでくれるか?ちょっと子供達に社会常識を教えているだけさ…これも軍の大事な任務でね」


「そうそう、市民には納税の義務があるからな」


軍の集団のリーダーらしき男とその中の一人が喋り出すと周りの仲間がケラケラと笑いだした。


「リイン、ケイン、ミナ!そこにいるの!?」


女性プレイヤーが奥の子共達に声をかけた。
だが軍の連中は子供達を見えない様に隠した。
子共達を隠され、女性プレイヤーは軍の連中を睨んだ。
すると軍が囲んでいる子供達の中の一人の女の子が声を上げ、助けを求めた。


「サーシャ先生、助けて!」


「お金なんていいから!全部渡してしまいなさい!」


サーシャと呼ばれている女性プレイヤーがそう言うと子共達の中の男の子がサーシャに対して言葉を返した。


「先生…それだけじゃ駄目なんだ…!」


男の子がそう言うとサーシャは何故?という顔をして軍を見た。
軍を見るとニヤニヤしながらサーシャを見ていた。
その時の軍の顔は誰が見ても怒りを覚えるだろう。


「あんたら随分と税金を滞納しているからなぁ…」


「装備も置いて行って貰わないとなぁ…防具も全部…何から何までな!…ん?」


ユウヤ達が奥の方からやって来るのが見えたのかリーダーらしき男は奥から走ってくるユウヤ達をずっと見ていた。

俺達は言い争っている原因を見つけ、更にスピードを上げた。

軍と女性プレイヤーと…子供がいるな…
たく…腐った軍の奴らが…


「皆、先に子供達を助けるぞ。セイ、ちゃんととーちゃんに捕まってろよ?」


「うん!」


俺がそう言うとセイは子供らしい良い返事をし、皆は黙って頷いた。
そして俺達は軍の方まで全力で走って行き、そのまま大ジャンプをして軍の連中を越えた。
軍の連中は行きなり来た俺達に、しかもジャンプして飛び越えて行ったのでアホヅラをしていた。

中々滑稽だな。

俺は肩車しているセイを落とさないように着地した。
ユウキとアスナは子供達に安全だと言う事を伝えていた。
俺はセイを肩車し、キリトはユイをおんぶしながら軍の方を向き、身構えた。


「もう大丈夫よ。装備を戻して」


「ボク達が来たからにはもう安心だよ!」


「う…うん」


ユウキとアスナが子供達に装備を戻していいと言うと、その中の男の子がうん。と言いながら頷いた。
子供達はすぐに軍に恐喝され、地面に置いていたアイテムや装備を全部戻した。
その光景を見ていた軍の連中が口を開いた。


「おい…おいおいおい!なんなんだお前らは!?」


「我々軍の任務を妨害する気か!?」


軍の中の男二人が俺達に向かってそう言った。

軍の任務って子供に対しての恐喝なの!?
お兄さん驚いちゃったよ!?
今の時代の大人達って子供から小遣いを巻き上げるの!?
可哀想過ぎて俺がお前らに小遣いあげちゃうよ!

俺がそう思っていると軍の集団のリーダーらしき男が男二人を止めて前に出てきた。


「まぁ待て…」


リーダーらしき男がそう言うと俺達の顔をジロジロと見ていた。


「あんたら見ない顔だけど…解放軍に楯突く意味が分かってんだろうなあああ!?」


男がそう言うと腰に差していた剣を突然抜き、空の方へと剣を上げていた。

ん?解放軍の男の仕事には剣を突然抜いて振り上げるなんて任務があんのか?
しかも剣の質、悪く無いか?
マジで小遣いあげちゃうよ?

俺達は剣を振り上げられても動じなかったが子供達は剣を見ると怯えて顔を伏せてしまった。
すると子供達が怯えてることに母親スキルが発動したらしく、ユウキとアスナから怒りのオーラが出ていた。


「ユウヤ、子供達をお願いね?」


「キリト君も宜しくね…」


「「はいよ」」


俺とキリトが前にいくユウキとアスナを見るとユウキは愛剣《リュクスシュエル》という黒く、少し細剣寄りの片手剣を、アスナは愛剣《ランベイトライト》という透き通った緑に白色の細剣を手に握って集団のリーダーらしき男の前に立った。


「ああ?何だお前ら?」


リーダー格の男が笑いながらそう言うとユウキとアスナの剣が光りだした
光り輝いている剣はそのまま男の方へと振りかざし、突き刺した。
すると男は綺麗に吹き飛び、倒れこんだ。


「ぐああああ!!…っく…ぁ!?」


だがユウキとアスナはそれで終わらなかった。
再び倒れこんでいる男に剣を振り上げて振りかざし、突き刺した。
ユウキとアスナにとってはお仕置きがまだ序章の方だった。
周りから見たら可愛い美少女二人がごつい鎧を装備した中年のおっさんを痛めつけている様にしか見えない。

俺とキリトが愛する妻達がお送りする地獄絵図です…

俺とキリトは顔を引きつらせながら男が吹っ飛んで行くのを見ていた。
軍の連中はリーダー格の男がいきなり吹っ飛ばされて唖然としていた。
まだ妻達のお仕置き時間は終わりではなかった。


「安心しなよ…ボクとアスナがどれだけ斬りつけても死なないからさ?」


「ユウキの言う通りよ。圏内ならどんな攻撃を受けてもHPは減らない。そう…軽いノックバックが発生するくらい…その代わり…」


アスナはそこで言葉を区切り、ユウキとアスナはキッと軍の連中を睨みつけた。


「「圏内戦闘は恐怖を刻み込む」」


圏内では外のエリアと違いダメージが通らない。
そしてプレイヤーがプレイヤーに危害を加えてもオレンジプレイヤーにはならない。
だが、ダメージが通らない代わりにノックバックが発生する。
アスナは軽いノックバックと言うが軽い訳が無い。
アスナ達のレベルはトップクラスの為、レベルが低い軍の奴らがアスナとユウキの剣を受ければ激しい頭痛、打撲の様な痛みに襲われる。

ユウキとアスナは軍の奴らを睨むと愛剣を再び握りしめた。
軍の連中に恐怖を更に植え付けるかの様に。


「へっ!?嫌だ!!やめてく…」


剣を握りしめるのを見たリーダー格の男は情けない声を出して逃げ出した。
だがユウキとアスナは命乞いが言い終わる前にリーダー格の男に剣を振るった。
吹き飛ばされたリーダー格の男は部下と思われる男達に助けを求めていた。


「お前ら…何やってる!?見てないで何とかしろぉお!!」


「「「「「「グッ……」」」」」」


男達はリーダー格の男に何とかしろと言われ剣を握りしめた。
それを見ていたユウキとアスナはすぐに剣を男達に向けた。


「いいよ?皆で来ても」


ユウキは笑顔で軍の連中に言い放った。

ユウキ…可愛い…可愛いけど怖いぞ…

ユウキは笑顔で言っているのだが身に纏っているオーラがとても黒かった。
全国のお母さんを怒らせたらこうなってしまうのだろうか…


「か、勝てる訳ねぇ…!」


「うわああああああ!」


「逃げろぉおお!!」


ユウキの笑顔を見た軍の中の数名の男が叫ぶとその場から軍の連中が焦る様に逃げて行った。
大の大人が泣き叫びながら逃げて行くというのは中々謝りたくなる光景だった。
その場には俺、キリト、ユウキ、ユウヤ、セイとユイを含む子供達とサーシャが残っていた。
ユウキとアスナは持っている剣を鞘に納め、一息ついていた。
すると軍に囲まれていた子供達がユウヤとアスナに歓声を上げた。


「すげー!すっげえおねーちゃん達!」


「初めて見たよあんなの!」


「うん!すっごくかっこよかった!」


子供達がユウキとアスナに近づくとサーシャという女性プレイヤーが近づき、子供達の側に寄るとユウキとアスナにお礼を言っていた。

流石ユウキとアスナって所かな?
俺だったら完全に消し炭にしてたと思う。
そこにキリトを入れたら炭も残らないな…あ、圏内だから炭じゃなくて丸まったゴミになってたな。


「どうだー?お前のかーさん強いだろ?」


「ユイのママも無茶苦茶強いだろ?」


俺とキリトは口をポカーンと開けているセイとユイにそう言った。
ユウキとアスナは子供達に褒められて照れ臭いらしく顔を少し赤くして笑っていた。


「「あ……」」


セイとユイは突然声を出すと空の方を見た。
そして空の方に向けて手を伸ばした。
まるでそこに何かがあるかの様に。


「セイどうした?」


「ユイも手を伸ばしてどうした?何かあるのか?」


セイとユイは手を空に伸ばすと悲しい表情をした。
見ていると辛く、その原因を取り除きたいかの様に手をひたすら伸ばしていた。
そしてセイとユイは"同じ"言葉を言った。


「「みんなのこころが…」」


心…?皆の心ってなんだ…?

俺とキリトは心配になり、セイとユイに声をかけた。
異変を感じ取ったユウキとアスナも俺とキリトの方に戻ってきた。


「セイ…?何か思い出したのか?」


「セイ…?」


「ユイも記憶が戻ったのか?」


「ユイちゃん思い出したの…?」


俺達がセイとユイに声をかけるとセイとユイは手を下ろして目を閉じ、悲しい表情をして震えていた。


「ぼく…ぼく…ここにはいなかった…」


「わたしたち…ふたりで…」





ーーーーーーずっとくらいところにふたりでいた……





セイとユイはずっと暗い中で二人でいたと言った。

ずっと二人でって言うことは…
セイとユイは知り合いと言うことだったのか…
でもそれなら昨日会った時に…いや、すぐに思い出せないとしても一夜は共に過ごしたんだぞ?
それを何も無い路地裏で思い出すなんて…

俺がそう思っていると突然セイとユイの状態がおかしくなった。





ーーーーーあ……ああ…あああああ…アアアアアアァァァアアァアア…!!!




ジジジジジジ…ビリ…ジジジィ




セイとユイが突然叫び出すと頭が痛くなる様なノイズが走り出した。
まるで二人が叫ぶと周りがバグったかの様だった。
あまりに耳を貫き、頭に響くほど強いノイズだった為、ユウキとアスナは耳を塞いでいた。

クッソ…なんだこれは…頭が痛い…!
直接頭ん中に響いて来やがる…!





ーーーーああ…あああ………





セイとユイが叫び、静かになるとノイズが消え始めた。
セイは一気に力が抜け、肩車していた俺からダランと落ちて行ってしまった。
ユイの方もセイと同じ現象が起きたらしく、力が一気に抜け、キリトの背中から落ちて行った。

やべぇ!セイが落ちる!!!

俺が振り返り体制を立て直そうとしたが、セイは既にバランスを崩して俺の肩から落ちてしまった。


「セイ!!」


「ユイちゃん!」


セイとユイが落ちて行き、頭をぶつけると思った瞬間にユウキとアスナがセイとユイを抱き抱えた。
間一髪だった。もう少し遅れていたら怪我はしないが気を失ったばかりのセイとユイにノックバックが襲うところだった。


「セイ…」


「ユイちゃん…」


セイとユイは苦しんでいるらしく、汗を垂らしながらずっと何かを呟いていた。




ーーーーーこわい…くらいところにもどりたくない……




セイとユイはずっと何かを呟いていた。

一体…あのノイズは何だったんだ…?
何で突然セイとユイが苦しみだしたんだ…?






ーーーーー二人に何が起きている…?







 
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