オリ主達の有川な日常
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図書館戦争 part.1
郁や柴崎、手塚がまだ図書士長だった頃、武蔵野第一図書館ではある事件が起きていた。
「痴漢?」
「そう、痴漢」
正午の昼休み、柴崎と来た隊員食堂はいつも通りコミケ会場の様に人口密度が高かった。
その時、郁と柴崎の会話の話題となったのは、最近女子の間で話題となっている事件、「痴漢」についてだった。
「一昨日、業務部の花田が40歳くらいのおじさんにお尻をさすられたんだって。部隊に相談きてない?」
部隊とは、郁の所属する図書特殊部隊(タスクフォース)のことである。
「いや、来てないと思う…多分」
記憶力には自信が無いので曖昧な返事しかできない。図書隊司令の事を「おじさん」と言ってしまう程に。
柴崎はにやっと笑い、
「あれぇ、堂上教官は知ってたけど。小牧教官も手塚も。まさかあなただけ仲間はずれ?皆で話したらしかったけどぉ?」
とあからさまにからかう口調で言葉を吐いて来た。
付き合っていると時間がいくらあっても足りないので、早々に話を変える。
「業務部での対策案は?」
「警備の強化かな。でも特殊部隊にはあんた一人しか女子がいないから、東大和から女性の特殊部隊員を呼び寄せるって」
東大和とは、東京都の東大和市にある東大和図書館に所属する図書特殊部隊、「デルタフォース」の事だ。名前の由来は東大和図書館の館の形かららしい。
「そうかぁ…女性の特殊部隊員かぁ…」
女性特殊部隊員にはまだ会ったことが一度も無い。どんな人なんだろうなぁ、と想像するだけで頭が一杯になる。
そんな郁の顔を見たのか、柴崎は苦笑しながら、
「まだ期待しないでね。決定事項じゃないから」
と告げた。
「あぁ〜早く会いたいなぁ〜」
と、郁が呟いた時、柴崎の肩に手が掛けられた。
後ろを振り向くと、図書隊の制服に身を包んだ女性が二人居た。
手を掛けた方は背が高いと言われている郁の身長を軽々と越す身長に、郁は「いいなぁ!」と思っているに違いない巨乳が存在感を示している。
後ろに立っている方は郁より少し低い身長、胸はちょっと大きめといった身体。耳には薄いグリーンの眼鏡を掛けている。
両方とも腰にはホルスターを装着しており、中には拳銃が入っている。一目で分かる。戦闘職種の人間だ。しかし、このような人物は武蔵野にはいない。
「あの、どなたで?」
柴崎が困ったように話しかけた。
郁も誰だろうと期待の表情を顔に浮かべて面を上げる。
両方とも敬礼をし、笑顔で答えた。
「本日より武蔵野第一図書館に着任する、青葉楓図書士長です‼」
「及び、真希野涼風士長です」
「え…」
郁の面が凍りつく。まさか会いたいと思っていた相手がここに居るとは思ってもいなかったからだ。
「笠原士長と柴崎士長ですね?始めまして」
「はぁ…?」
柴崎はこちらこそ、と返していたが、混乱した郁の頭には何が何なのか理解できなかった。
………………………………………
「痴漢かぁ…」
<タスクフォース>隊長である玄田三等図書監に着任の挨拶を済ませ、入居する寮に向かう途中。
「デリケートな問題だからねぇ」
男性は不介入じゃないと、と真希野。
「<デルタ>に戻るまで1年半。頑張るかぁ…」
「今頃皆、何やってるんだろうな」
真希野が遠くを見るように目を細める。
「大丈夫。あの人達ならやれる」
安心したように真希野に微笑みかけた。<デルタ>は皆信用できる上官ばかりだ。
真希野も笑みを浮かべ、こくりとうなづいた。
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