ハイスクールD×D大和の不死鳥
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
66シトリー戦(赤き龍VS黒き龍final)
◇いのり
匙と殴り合いの対決をして、数分が経過していた。
驚くべきことに、未だに私と匙君は殴り合いを続けている。どう考えても、『赤龍帝の双銃』正規の禁手
『赤龍帝の鎧』を展開している私の方が有利なのだがーー匙はボロボロになりながらも、起きあがってくる。
ラインを何重にも束ねて盾のように防御しても、全然相殺しきれてなかった。何度も後ろの店舗にまで殴り飛ばしたのに立ち向かってくる。何度も何度も地に伏しても、立ち上がってきた。
匙の拳や脚は、鎧を攻撃しているからバックリと傷口が開いて血で染まっている。下手をしたら、骨が砕けているかもしれない。
ーー正に、今の匙は「魂を燃やしている」状態なんだと思う。
文字通りの意味じゃなく、死ぬ気で私と戦っている。私に勝つという執念で、この場に立っている。
「もう、終わり?アナタの覚悟はそれぽっちなの?それぽっちなら、アナタの夢はここまで」
「……けんな!……ふざけんじゃ、ねぇっ。俺は……勝つんだ。今日、俺はお前を倒して……夢の第一歩を踏む……ッ!」
匙の………シトリー眷属の夢はとても素晴らしいと思う…けど、今の腐った〝旧家の思想〟とか頑固な〝悪魔上層部〟ではその夢を達成させるのは難しい……心苦しいけど……私は匙の壁役になる……
「そろそろ仕留めた方が良いぞ。この気迫は……恐らく、神器
に眠る「黒邪の龍王」ヴリトラの力が匙の想いに応えているのだろう』
ドライグが言うなら、そろそろ風穴を開ける勢いで殴らないといけない。
ドラゴン系神器は、何が起こるか分からないから怖い
「楪ォォォォォォッ!」
匙は立ち上がり、私に向かって走り出して打撃戦を再開した
「ひとつ聞かせろォッ!ーー俺は、本当に会長の一番になれるのか!?」
「……はぁっ!?」
匙は嫉妬に燃えた瞳で殴りかかってくる、だけど私はその発言に目を見開く。いきなり何言ってんの?けど……
「なれると思う……こんなに頑張っている……その気持ちに答えてもらえると思うよ?」
私は容赦なく殴り飛ばす!けれど、匙はすぐに立ち上がった
「でもな!一番は会長に可愛がられることじゃない!先生だ!先生なんだよ!俺はレーティングゲームの先生になるんだ!ていうか、俺たちは先生になっちゃいけないのか!?なんで俺たちは笑われなきゃいけないんだよ!?」
匙は立ちあがった次の瞬間、吠えた。まるで、私だけじゃなくて、これを見ている多くの人に向かって、思いの丈を伝えるかのようにーー。
「俺たちの夢は!笑われるために、掲げたわけじゃないんだ……ッ!」
「ーー笑わない。私やグレモリー眷属、ヤマトとヤマト眷属は!、匙たちの夢を笑わない!下僕がこんなに必死になっている!君たちの主であるソーナ・シトリーはもっと必死!?誰が笑うか!この戦いを見て尚、指を指す輩がいるのだとしたら、私が……二天龍や神が許さない!だから……まずは乗り越えて!私を!赤龍帝を!!この赤い鎧に、アナタの覚悟を刻みつけてみろ!!」
なんか、通信機から『いのりのキャラじゃない』とか聞こえてきた……
向かってくる匙を私はーー魔力が込められた拳で殴りつける!はたから見たら、この込められた魔力は過剰のものだと判断されるだろう。だけど私は、その拳で匙を殴りつける
匙の体はみるみる青アザだらけになり、口から血がボタボタと垂れ流していた。
それでも、匙は立ち上がる。何度も立ち向かってくる。愚直なまでに、まっすぐにーー。
「当たり、前だろ……ッ!俺は!お前を超えていくんだッッ!」
匙の叫びとともに放たれた拳は、鎧の中ーー体を突き抜けて、心にまでズドンッと重く響いた。
けれど。
「よく頑張った………あなたの覚悟しっかりと二天龍の赤がもらった」
私の言葉を聞いた匙は笑っていた。そして、匙の体は光に包まれーーこの場から消えた。
『ソーナ・シトリー様の「兵士」一名、リタイヤ』
リタイヤのアナウンスを聞いて、ようやく私は安堵の息を吐いた。
続く
ページ上へ戻る