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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈下〉
  九校戦七日目(5)×赤白龍神皇帝の正体と新人戦優勝の為に四種目出場決定

新人戦ミラージ・バットは俺が予言したように、ほのかとスバルのワンツーフィニッシュで幕を閉じた。試合が終わってすぐに、優勝の喜びと分かち合う間も無く俺はミーティング・ルームへと呼び出しをされた。まだ中には入ってないが、小型無人偵察機からの映像からだと狂騒状態となった一年女子とは対照的に、抑制を効いているかのような感情さえも改まった表情となっていた上級生達。

真由美、摩利、克人、鈴音、服部、あずさという第一高校の幹部が勢揃いだが他には五十里や桐原がいた。重症者を出したばかりだからか、立場上喜びを表に出す事は出来ないのだろうな。まだ外にいた俺であったが、中にいる先輩方は表情が硬いというより硬すぎると言っていい程だ。

特に服部に関しては、表情の選択に窮するあまり自分の顔で仮面を作って被ったようなコチコチの表情となっている。さて、なぜ俺がまだ部屋の前にいるかというとここからは予測をしていたので部屋前まで案内後に先に部屋に入って下さいと言ったからだ。そろそろ俺が呼んだ者達が集まる準備が出来たので、空間に手を突っ込んでから手を引っ張った。

「いきなり私らを呼んだので何かと思いましたよ織斑少将」

「私もだが、どうやらまだ役者は揃っていないようですな」

二人の手をこちらに招いたのは、国防陸軍少佐である風間玄信と日本の魔法師の間で敬意を以て「老師」と呼ばれる老人である九島烈だ。そしてもう一回空間から腕を突っ込んでから呼び出した者は知っている人物らだった。

「まさか私も呼ばれるとは思ってもみませんでした」

「恐らく無能な大会委員会の代わりかと思います」

あとの二人は俺らがよく知っている人物である蒼い翼本社副社長をしている青木と秘書の林。そして行こうとしたら、烈からこんな提案があったので俺は承諾してから変身をした。俺と烈はトリックスターというか、単なるいたずら好きとも言うが主に驚いてほしいので俺はあえてロストドライバーにメモリを差してから赤白龍神皇帝となった俺だった。先に部屋の中に入った会長さんは、俺と一緒ではないのかと言われていた所だった。

「一真君はどうしんだ?真由美」

「部屋の前まで案内した所で、呼びたいお客様を待つと言ってまだ部屋の外にいるわ」

「お客だと?もしや織斑は我らが言う事を推測していたのか?」

「それはあり得るかと、織斑兄は俺達が考えている一歩も二歩も先に考える奴です」

摩利、真由美、克人、桐原の順番だったが俺らが推測をしているというのは当たっていた。そして数分経った所でノック音が聞こえたので、真由美が入室許可をしたらドアが開いたと共の度胆を抜かせた。一人目は一真のはずが黒い全身鎧をした赤白龍神皇帝、二人目は日本の魔法師の間では老師とも呼ばれている九島烈、三人目は蒼い翼本社副社長と秘書で最後は一見軍服着ていたので国防軍だと思わせた。

「なぜここに赤白龍神皇帝がいるんだ!」

『それはそうだろう?せっかく烈や青木がいるんだから、主に驚いて欲しい所がありますからな』

そう言った後に変身解除をした俺だったが、この中で赤白龍神皇帝の正体を知っているのは真由美、摩利、克人と桐原だけだ。その他は驚いて開いた口が塞がなかったが、変身解除後に呼び出した人物紹介をした。

「赤白龍神皇帝の正体は俺で、次に烈の事は知っているし蒼い翼の副社長の事も知っていると思うが風間少佐殿だけは知らない様子と見たので自己紹介を」

「国防陸軍少佐、風間玄信です。独立魔装大隊の隊長をしていると言えば分かるかと」

「どうして一真君が大物トップを連れてきたのかについては、あとにするけど今日はご苦労様でした。期待以上の成果を上げてくれて感謝してます」

真由美が随分と格式張った言葉を掛けてきたが、俺の後ろにいる烈らが気になるからかは分からない。

「俺の技術の腕と選手が頑張ってくれたからですよ会長さん」

別に緊張する必要が無いので、俺はあえて緊張感がないかのように話した。

「もちろん光井さんや里美さんも他の皆もそれぞれに頑張ってくれた結果です。一真君の貢献がとても大きいのは、ここにいる全員が認めているわ。担当した三競技で事実上無敗で、現段階で新人戦の二位以上ポイントを確保出来た事と、名無しとして選手出場して三種目全て優勝してくれた一真君にはとても感謝しています」

「それはどうもありがとうございます。ま、これくらいのレベルで手抜きはしませんからね」

俺は間を待たずに即回答をしたら、後ろで座って待機していた烈や青木に風間は手抜き以上の力を持っている事を知っている。次の言葉を待っているが中々本題へと入らないでいたので、言いにくい話題を会頭が代わりに切り出そうとしていた。だが後ろにいる大物をこれ以上待たせるのは失礼に値するので、観念したかのように言った。

「今も言った通り、モノリス・コードをこのまま棄権しても新人戦の準優勝は確保出来ました。現在の二位は第三高校で、新人戦だけで見た点差は百ポイント。モノリス・コードで三高が二位以上なら新人戦は三高の優勝、三位以下なら当校が優勝です」

『きっとこう言いたいのでしょうな、新人戦でポイントを引き離されないという、総合優勝の為の戦略目標は達成した事になりますな』

『それなのに一高は何をそんなに緊張しているのでしょうか?まあ、呼び出された理由ぐらいは知ってますが』

烈と秘書の林が念話で話し合っていたが、そもそも俺が呼ばれた理由については知っている。

「新人戦が始まる前は、それで充分だと思っていたのだけどここまで来たら新人戦も優勝を目指したいと思うの」

「なるほど、だから織斑少将は私らを呼んだ訳ですな。それなら納得でしょ『風間少佐、今はその呼称やめてくれないか?知らない者にとっては、なぜ俺が少将と呼ばているのか?という詮索をするから』これは失礼しました一真さん」

風間少佐が漏らした口を押えたが遅かったようで、真由美ら三人は知っていても他の幹部らや五十里や服部はなぜそういう風な呼称で呼ばれるのか不思議で一杯だった。だが俺が訂正をしたので、ポーカーフェイスへと戻した幹部らだった。

「三高のモノリス・コードに一条将輝君と吉祥寺真紅郎君が出ているのは知っている?」

「ええもちろん知っていますよ。それも彼らが『クリムゾン・プリンス』と『カーディナル・ジョージ』と呼ばれている事を」

「一条君もだけれど、吉祥寺君の事は実際に新人戦早撃ち時の対戦相手だったから分かると思う。あの二人がチームを組んで、トーナメントを取りこぼす可能性は低いわ。モノリス・コードをこのまま棄権すると、新人戦優勝はほぼ不可能です」

そう告げてから一息してから言った言葉を待っていたかのように、烈と青木と風間が立ち上がって俺の横に立っていた。

「だから一真君・・・・森崎君達の代わりに、モノリス・コードに出てもらえませんか?」

「・・・・ふっ、やはり予想通りの用件でしたな。本来なら蒼い翼特別推薦枠を持っている一真様は既に三種目出場をしたのですから、我々が呼ばれる理由が直に分かるとはこの事のようでした」

「烈に青木はその事もそうだが、二つ程確認したい事がある」

「予選の残り二試合は、明日に延期されたという形となっております。試合スケジュールを変更する事となりましたので、大会委員会では無能な集まりなのでこちらで既に承諾済みです」

「もう一つは怪我でプレーが続行不能の場合は、選手の交代は認められていないようですが、特例で認める事となりましたよ。これは蒼い翼特別推薦枠をフルに使った事と同じでしたが」

烈と秘書の林が俺の疑問二つを答えたので、会長さんが知っている以上にこちらには大会委員会直結の者がいる事によって知る事が出来た。あとはなぜ俺なのかだった。

「なぜ三種目出場した俺に白羽の矢が立ったのでしょうか?知っていると思いますが、私は選手兼エンジニアで三種目優勝という事を果たしました。そして四種目出場する選手というのは、規定違反に成り立たないと思いますがそこら辺の考えはどうなのですか?」

「これに関しては私も十文字君もそれは承知の上でお願いしているのよ。一真君が最も代役に相応しいと思ったから・・・・」

「実技の成績はともかく、実戦の腕なら一年男子の中ではナンバー1だからな」

ここまで任された真由美だけでは物足りないのか、摩利までが説得しようとしてきた。モノリス・コードは実戦ではなく、肉体的な攻撃を禁止した魔法競技である。魔法のみの戦闘力でも、確かにズバ抜けている事については俺の事を知っている烈ら立会人だ。もし俺がエンジニアだけだったら、代役を立てるのなら一競技にしか出場していない選手が何人か残っているはず。

「ま、私がエンジニアで二科生との事であれば、一科生のプライドをズタズタにさせてしまうのもありますが、それは考慮に入れなくとも代わりの選手がいるならスタッフから代役を選ぶのは非常識と言いたいくらいです」

二科生のスタッフが代役として選ばれるなら、後々精神的なしこりを残すんだと真由美ら先輩方が思っているに違いない。新人戦は新入生の育成という性格が強いため、今年優勝出来たとしても来年・再来年の本戦に悪影響があるようでは、ある意味本末転倒な事だからだ。

メイン競技の新人戦に名無しとして出場をした俺は三種目優勝を果たしてみせた。代役にスタッフで、二科生から選ばれるとなれば他選手だけでなく、一年生一科生全体のプライドを切り裂く事になる。真由美達からの反論は無いが、後ろにいた烈達の出番となったので俺と真由美らの間に入った。

「ここまで聞いていた我々蒼い翼と烈様と話合った結果、蒼い翼特別推薦枠を持つ織斑一真様が四種目に出る事について賛成します」

「私ももちろん賛成であり、織斑少将『風間少佐』おっと申し訳ない、一真さんが四種目に出ようと大丈夫かと思われます」

「そうだな。俺は一高の二科生ではあるが、その前に蒼い翼やCBと繋がりを持つ者だ。蒼い翼特別推薦枠というのは、こういう時に使用するのが一番だと思って零社長は俺を指名してくれた。七草会長、四種目であるモノリス・コードに出場する事を願います。リーダーの決断に逆らうとか決断に問題とかは無いに等しい、それに俺の事を理解している七草会長からの頼みなら聞かない訳がありません」

二人が背中を押した事で、俺が出場するかどうかではあった。出場する事が決定したので、真由美も摩利も安堵な笑みを浮かべてから会頭は無言で頷いてから席に座った。

「それで?俺以外のメンバーは誰なんです」

上級生を前にしても砕けた口調になったとしても、会長達はいつも通りな会話をしていた。すると会頭から俺自身で決めろと言われたので、後ろにいた青木と林は大会委員会の無能共に報告するために報告書を作成しようとしていた。

「その口調からして、残りの二人を一真様に決めろと言う事ですかな?十文字家次期当主殿」

「そう受け取って結構です。九島閣下」

四月のブランシュ日本支部に突入しようとした時もだったが、下級生である俺であっても正体を知っている会頭だから決定権を委ねたという事になる。責任を押し付けようとしても、これは主催者も立会人も了承しているのであるからか。

「選ぶだけなら時間を頂いく必要もありませんし、相手が了承をするかどうかがまだ分かりません」

「説得には我々も立ち会う」

「ついでに我々も立ち会いますぞ。一真様」

俺の脳裏に浮かんだ人物は、実力も魔法も申し分ないくらい使える人材だから。拒否権は無さそうなのか、十文字家の総領は実はかなり強引な性格だという事を俺らは初めて知る事となった。

「誰でもいいんですか?チームメンバー以外から選んでも?」

「えっ?それはチョッと」

「それは構いませんよ。蒼い翼特別推薦枠の者が選んだのであれば、特例を特例として積み重ねるのと同じです。例外が一つ二つ増えたとしても、我々は指示通りに動くのが我々の仕事です」

「青木副社長・・・・」

真由美が呆れ顔で軽い非難の目を向けたが、青木副社長以下三名は気にしていない様子で見守っていた。

「それでは、1-Eの吉田幹比古と同じく西城レオンハルトを」

「おいっ、織斑!?」

慌てた声で服部が口を挟もうとしたが、鈴音に手振りで制止させる。

「良いだろう。中条」

「は、はいっ!」

過剰反応を見せたあずさにも、克人は全く気にしてない様子を見せていなかった。

「吉田幹比古と西城レオンハルトをここに呼んでくれ。確かその二人は、応援メンバーとは別口で、このホテルに泊まっていたはずだ」

「その通りですので、私がご案内させてもらいます」

豪放で大胆に見えても細部まで知っているのは、正規メンバーでも応援メンバーでもない生徒がこのホテルに宿泊している事がかなり異例だ。事情を知っている者にとっては、知っていても不思議ではない。

「一真君。その人選理由を訊いても構わないかね?」

摩利は人選理由が知りたいがためにまだ納得出来てない部分があったのか、そういう質問をぶつけてきた。

「人選理由は実に簡単な事です。最大の理由は、俺が一年男子メンバーの試合も練習も一切見ていないからですよ。俺は、彼らの得意魔法も魔法特性も何も知らない状態です。試合は明日なので、一から調べては作戦も調整も間に合いません」

「・・・・今の二人なら、良く知っていると言う事か?」

「そうです。吉田と西城の事は、同じクラスであるという事だけでなく良く知っています」

「ふむ・・・・一理ある。調整は他のエンジニアが手伝うとしても、相手の事が分からなければチームプレイは難しいだろう」

思案顔で頷いていた摩利だったが、ここで不意に悪い笑みを浮かべながら聞いてきた。

「それで、最大でない理由は何かね?」

「それは実力であり、ここに主催者である蒼い翼と烈がいますのでここで進言しときますが、俺ら三人が出場する時のルール変更を言っときます」

実力と言う事は、聞かされていたがルール変更については流石の真由美や克人でも顔を歪めた。そして俺らが決めた新たなルールは、こちらは三名で試合の前に名無しである事を明かして選手兼エンジニアだった織斑一真だという事をバラす。

突然の人数制限を最低五名だと言ったので、すぐに外にいた蒼い翼関連の者らが他校に進言しに行ってくれた。そうしないと、俺の実力を明かす事は実力を持つ蒼い翼特別推薦枠に選ばれる程な力を所有している事だからだ。 
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