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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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雷鳴響く

「やべぇ・・・動けねぇ・・・」

水天竜モードはやっぱりきつかったかな?魔力がほとんど残ってねぇぞ・・・

「おめぇよぉ・・・後先考えんのも大切だぜ?」

そんな俺にカミューニが仰向けのまま話しかけてくる。

「後のことなんて考えてたらお前には勝てなかったよ・・・」
「確かにな・・・」

俺たちは苦笑いを浮かべる。くっそ・・・これどうやって簡易ベースまで戻ればいいんだ?

「一つ聞いていいか?」
「・・・何?」
「ハデスを倒す策はあるのか?」
「ないな」

俺はカミューニの問いに即答する。ハデスはマスターをも倒すほどの魔導士だ。そう簡単に勝てるはずはないだろう。

「でも・・・俺たちには家族(仲間)がいる。みんなで力を合わせれば、勝てないはずはない」

俺がそういうとカミューニはフッと笑う。

「いいな・・・仲間・・・俺にも仲間がいれば、ハデスに勝てたかもしれねぇ・・・」
「お前には仲間以上の者がいるだろ?」
「何?」

カミューニはこちらに頭だけ傾かせる。俺も同様にカミューニに頭を向ける。

「メルディって子のために、ここまでやってきたんだろ?」
「・・・ああ」

カミューニは笑みを浮かべる。自分のことをわかってくれた存在に会えたかのような笑みを。

「くっ・・・」

俺は体を起こす。さっきまでの戦いで身体中ボロボロだし、水天竜モードを使ったから、魔力がほとんど残ってない。

「水竜。こっちに来れるか?」
「?」

俺はカミューニに呼ばれ、そちらに這いつくばるように向かう。すると、カミューニは手に何かを出す。それは・・・

「水?」
「俺の残りの魔力だ。あんま残ってねぇが、ないよりはマシじゃナァイ?」

俺はカミューニの顔を見る。その顔はゆっくりとうなずいてみせる。

「食ってくれ。ハデスを倒すために・・・」
「いいの?」
「俺の意思も持っていってくれ・・・」
「ありがとう」

俺はカミューニの手にある魔力の水を吸い込む。すると、体に力が少しではあるが戻ってきた。

「ありがとうカミューニ・・・さん」
「呼び捨てでいいよぉ。おれたちぁさっきまで敵だったんだぜ?」
「そういうわけには・・・」

俺たちはそんな話をしていると、不意におかしくなってきて吹き出してしまう。

「じゃあ、俺はこれで」
「ハデスを倒せよ」
「えぇ」

俺は簡易ベースに一度戻ろうとすると、

「あ、それと――――」

カミューニさんに呼び止められた。


























簡易ベースにて・・・第三者side

「あ・・・」
「ど・・・どうなってんだこりゃあ・・・」
「みんなぁ・・・」

ようやく簡易ベースに到着したナツがテントの中に入ると、そこではガジル、ミラ、エバーグリーン、エルフマンの4人がキズだらけで寝込んでいた。
外では先ほど、フリードたちによって倒された七眷属の一人、ラスティローズが伸びていた。

「ガジルやミラさんまで・・・」
「私、すぐに治癒魔法で!」

ケガをしているガジルたちを見て、ウェンディは治癒魔法をかけようとする。

「ありがたいけど、この人数よ。無理しないで、ウェンディ」
「それにあんた、今日は魔法使いっぱなしよ。少し休まないと」
「オイラもそう思うよ」
「これ以上はウェンディがあぶなくなっちゃうよ~」

そんなウェンディをリサーナ、シャルル、ハッピー、セシリーが止める。

「さらにマスターとカナまで負傷か」
「どうなってんだ一体」

フリードとビッグスローがナツたちの運んできたマカロフとカナを見る。

「おまけにシリルは・・・」
「ちょっとレビィ!!」
「あ!」

レビィとリサーナはリリーからシリルが死んだと聞かされていた。そのため、何かを言おうとしたがウェンディがいることに気づき、言葉を飲む。

「ごめんウェンディ」
「いえ。実はですね・・・」
『お!あったあった!』

ウェンディがシリルのことをレビィたちに説明しようとしたら、遠くからこちらに走ってくる人影を発見する。

「お待たせしました!」

その人影はシリルだった。それを見たレビィとリサーナとリリーは・・・

「「きゃああああああ!!」」
「どわああああああ!!」

お化けを見たかのような反応を見せた。

「・・・シリル。これが普通の反応だ」
「わかったか、ベイビー」
「そ・・・そうみたいですね・・・」

あまりの反応にうなだれるシリルを慰めるフリードとビッグスロー。

「何があったかわからんが、とにかく無事でよかった」
「そうだぜ。仲間が無事なら、それが一番だ!!」

リリーとナツがそう言い、シリルの無事を歓迎する。

「それで、これからどうするんですか?」

シリルが今後のことについて質問する。

「グリモアの戦艦がこの東の沖にある。ここを守備と考えて、チームを2つに分けてみたらどうだ?」
「“攻め”のチームと“守り”のチーム」

リリーとレビィがそう言った。

「あの・・・」

そんな中、シリルが一人手をあげる。

「どうした?シリル」
「今は少しでも休みませんか?いきなり攻めに行ってもこんなに疲れてたらまずいと思うんですよ」

シリルは少しでも魔力を回復させるため、休憩を提案した。

「そうだな」
「ああ。休んでいる間に、攻めと守り、それぞれどうするか決めよう」

ビッグスローとフリードもその提案に賛成する。こうして、簡易ベースに集まったメンバーたちは、少しの間休憩することになった。



























「これでいい?」
「うん!ありがとう、ウェンディ」

シリルはウェンディに頭の包帯を新しいものへと変えてもらい、お礼を言う。

「それにしても、本当に貫通していたな」
「よくあれで無事だったもんだぜ!!」

フリードとビッグスローがシリルのキズを見てそう言う。

「本当に大丈夫なの?」
「はい!全然平気ですよ!」
「シリルって意外にタフなのね!」

レビィの質問にシリルが答え、そんなシリルにリサーナが言う。

「ねぇシリル・・・」
「何?ウェンディ」

ウェンディがシリルに何か聞こうとしたが・・・

「ううん。なんでもない」
「? 変なウェンディ」

ウェンディは首を横に振り、聞くのをやめる。

(なんだろう・・・今のシリル・・・いつもと違う気がする・・・)

ウェンディはシリルに何か違和感を覚えていた。だが、それが何なのかわからなかった。

「空・・・荒れてきたわね」
「雷・・・やだね」

ルーシィとレビィが空を見上げて言う。そんな中、一人・・・いや、一匹だけ耳をふさぎ、震えている者がいた。

「どうしたの?リリー」
「震えてるよ?大丈夫~?」

ハッピーとセシリーが耳を押さえているリリーにそう言う。

「まさかアンタ、雷が苦手なの?」
「ドキッ!」

シャルルに図星をつかれ、リリーは表情が固まる。

「かわいいとこあるんだね」
「意外だね~」
「プッ!」
「う・・・うるさい!!」

ハッピーたちがそんな会話をしていると、ナツが立ち上がる。

「さてと。 ハデスを倒しにいくぞ!ルーシィ!ハッピー!」
「あいさー!!」
「あ・・・あたし?」

ルーシィは自分が指名されたことに驚いていた。

「同じチームでしょ?」
「わかってるけど・・・フリードとかの方が・・・」
「俺はここで術式を書かねばならん」
「守りは俺たちに任せとけ」

フリードとビッグスローは簡易ベースを守る役割をするようだ。

「俺も攻めにいきます!」

シリルが手を上げる。

「私も、シリルたちといきます!」
「ちょっとウェンディ!!」
「ウェンディには危ないと思うよ~?」

ウェンディも攻撃に参加しようとするが、シャルルとセシリーが難色を示す。

「シリルたちのサポートくらいできると思うし」

気合い十分なウェンディにそう言われ、シャルルとセシリーはしぶしぶ納得する。

「お・・・俺も行く。ガジルの仇をとってやらねばな」

リリーは震えながらも参加するようだ。

「私は、フリードの術式を手伝うために残る」
「私も、ミラ姉とエルフ兄ちゃんのそばにいるね」

レビィとリサーナはフリードたちと共に残るようだ。

「これで決まりだな」
「みんなのことは必ず守る」
「ルーちゃん、気を付けてね」
「大分魔力が回復してきた」
「残る敵はたぶん、ハデスのみ」
「最後の戦いになりそうですね」
「きっちり勝って終わらせます」
「オイラたちだって頑張るぞ!!」
「わかってるわよ」
「僕たちだってやるんだ~!!」
「エクシード隊、出撃だ」
「いくぞ!!」
「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」

ナツたちは悪魔の心臓(グリモアハート)の戦艦に向かって走り出す。

「ルーシィ。ちょっと待って」

ナツを追いかけるように走り出したルーシィをリサーナが引き止める。

「ずっとナツのそばにいてあげて」
「え?」
「信頼している仲間が近くにいる時、ナツはもっと強くなる」
「・・・うん!」

ルーシィはリサーナに返事をすると、前のナツたちの後を追いかけた。
















「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

シリルたちが戦艦に向かっている頃、ウルティアとの死闘を終えたグレイも、同様に戦艦へと向かっていた。

(クソッ・・・目が霞む・・・)

グレイは先の戦いのせいで脇腹から出血していた。それにより、フラフラしていた。
そのグレイは、木に手を当てて立ち止まる。

(もう・・・ダメか・・・)

グレイが崩れ落ちそうになった時、それを通りかかったエルザが支える。

「エルザ・・・」
「大丈夫か?」
「俺は、いつも誰かに助けられてばかりだな」

自嘲ぎみに言うグレイ。そんなグレイにエルザは顔をクイッとしてみせる。

「私も同じだ」

二人の視線の先には、先ほど簡易ベースを出発したナツたちがいた。

「みんな・・・」
「グレイ!!」
「エルザさん!!」
「二人とも無事だったんですね」

そんな二人を見たナツは笑顔でこう言った。

「俺も同じだ」

それを見てグレイも微笑む。こうしてナツ、ルーシィ、ウェンディ、シリル、グレイ、エルザ、ハッピー、シャルル、リリーのメンバーたちは悪魔の心臓(グリモアハート)の戦艦へと向かった。
























シリルside

「まさか七眷属にブルーノート・・・ましてやカミューニまでやられるとは。ここは素直に、マカロフの兵を誉めておこうか」

俺たちがグリモアの戦艦に着くと、ハデスは船の上段から俺たちを見下ろしている。


「やれやれ、この私が兵隊の相手をすることになろうとはな。悪魔と妖精の戯れもこれにて終劇。
どれどれ、少し遊んでやろうか

三代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)

あれがハデスか・・・ずいぶんと余裕そうな顔してやがる。

「来るがよい。マカロフの子らよ」

ハデスはそう言うとマントを翻し戦艦の中へと戻っていく。

「だーー!!てめぇが降りてこい!!」

ナツさんがハデスを見てそう言う。

「偉そうに」
「奴がマスターを・・・」
「あの人をこらしめてやれば、この島から、みんな出てってくれますよね」
「もちろん!!全員追い出してやるんだから」
「そうだぜウェンディ!あれが最後の敵だ」

あいつがこの戦いの全ての原因だ。絶対倒してやるぜ。

「ハッピーたちに頼みがある」
「なーに?」

ナツさんがハッピーたちに話しかける。頼みって・・・おおよそ見当がつくぞ・・・

「この船を探って、動力源みてーのを壊してくれ」

やっぱり、言うと思いました。

「万が一飛んだら大変だもんね、ナツが」

ハッピーにそう言われるとナツさんは恥ずかしそうに顔を赤らめる。この戦艦が動き出したらナツさん戦えませんもんね。

「わかったわ」
「了解~!」
「そういうことなら任せておけ」

シャルルたちもナツさんのお願いを快く快諾する。

「一応、トロイアをかけておきますよ」
「なら俺も」

ウェンディと俺がナツさんにトロイアをかける。これで準備万端だな。

「そろそろ始めようか。いくぞ!!」

グレイさんは造形魔法で氷の階段を作る。

「おう!!」

俺たちはその階段から戦艦の中へと向かう。
ハッピーたちは船底から中に入るみたいだな。

「あいつは、マスターを凌駕するほどの魔導士、開戦と同時に全力を出すんだ!!」
「はい!!」
「持てる力の全てをぶつけてやる!!」
「後先のことなんて考えてられない!!」
「とにかくあいつを倒してやる!!」
「やっとあいつを殴れんだ!!燃えてきたぞ!!」

俺たちがそれぞれ気合いをいれる。最初にハデスに仕掛けたのはもちろんこの人!!

「ハデスー!!」

ナツさんは手に炎を纏い、ハデスに飛びかかる。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力を、食らいやがれー!!」

ナツさんは腕に纏った炎をハデスに放つ。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の・・・力?」

ハデスはそれを左手で防いでみせる。だが、

「水竜の鉄拳!!」

その炎の中から俺が現れ、ハデスに鉄拳を放つ。それにより、ハデスの体勢が崩される。
その後ろから、今度はエルザさんとグレイさんがハデスに迫る。

「黒羽・月閃!!」
氷聖剣(コールドエクスカリバー)!!」

二人の攻撃がハデスに命中する。

「開け!金牛宮の扉!!タウロス!!」
「んMOーー!!!

続いてルーシィさんがタウロスを召喚し、ハデスに斬りかかる。

「全員の魔法に、攻撃力、防御力、スピードを付加(エンチャント)!!アームズ×アーマー×バーニア!!」

ウェンディの付加魔法により、全員の能力が上昇し、俺たちは一気にハデスに襲いかかる。
エルザさん、グレイさんが斬りかかるがハデスはそれをことごとく交わす。

「ちょこまかと」

ハデスは腕から鎖を出すと、それをエルザさんの首に付ける。
ハデスはその鎖を振り回し、エルザさんとグレイさんはぶつかり合う。だが、

「ん!」

ハデスは上を見上げる。そこには俺とナツさんがいた。

「火竜の・・・」
「水竜の・・・」
「翼撃!!」

俺たちの攻撃でハデスは飛ばされる。しかし、ハデスはすぐに腕から鎖を放ち、ナツさんに取り付ける。

「がっ!!」

ハデスはナツさんを振り回すと、俺とナツさんが衝突する。

「ぐあっ!!」
「うわっ!!」

ナツさんがぶつかったことにより俺は飛ばされるが、それをグレイさんがキャッチしてくれる。
いまだに捕らえられたままのナツさん。その鎖をエルザさんが断ち切る。

「ナツ!!」
「ナツさん!!」
「おう!!」

俺が腕から水を出し、グレイさんがそれを凍らせて巨大なハンマーを作る。ナツさんはその平面部分に着地する。

「「行っけぇ!!」」

俺とグレイさんはハンマーを押し出しナツさんを発射させる。

「天竜の咆哮!!」
「スコーピオン!!」

ウェンディの咆哮とルーシィさんの召喚したスコーピオンのサンドバスターが合わさる。

合体魔法(ユニゾンレイド)!?」

その合わさった砂と風の中にさっき俺とグレイさんから打ち出されたナツさんが飛び込む。

「火竜の劍角!!」
「ぶほぉっ!!」

ウェンディとスコーピオンの魔法により、ナツさんは体を回転させながら全身に炎を纏い、ハデスの腹に体当たりした。
それにより、ハデスは後方へ弾き出され、壁を突き破り隣の部屋へと飛び込む。
俺たちはハデスが飛ばされた方へ視線を向ける。やったか?

「人は己の過ちを“経験”などと語る」
「「「「「「!?」」」」」」

立ち込める煙の奥から、ハデスの声が聞こえてくる。

「しかし本当の過ちには経験など残らぬ。私と相対するという過ちを犯したうぬらに、未来などないのだからのう」

その声の主はもちろんハデスなのだが・・・さっきまで羽織っていたマントを脱いだだけで、大してキズを負っているような様子はないぞ!?

「そんな・・・」
「ウソだろ!?」
「全く効いてないの!?」
「っ!!」
「おい!こっちは全力出してんだぞ!!」

俺たちはそんなハデスを見て動揺する。

「魔力の質が・・・変わった?」

ナツさんの言う通り、さっきと少し魔力の感じが違う・・・

「さて。準備運動はこのくらいで良いかな?」

ハデスがそう言うと、ハデスの魔力により大気が震え出す。

「来るぞ!!」

エルザさんの言葉で俺たちはハデスの次の一手に反応できるように構える。そのハデスの瞳には、一人の少女が捉えられていた。

「喝ッ!!」

ハデスのけたたましい怒号を放つ。すると、ウェンディが服だけを残して消滅した・・・

「ウェンディィィ!!」

ナツさんが叫び、エルザさんたちも消えたウェンディに驚いている。

「跡形もなく消滅しおったか。他愛もない、このままうぬらを一人ずつ消し去ってやるとするかな?」

ハデスの周りには、黒色のオーラが見えている。だが、勘違いにも甚だしいな。

「ウェンディ・・・?」
「何をしやがった!?」
「ウソだろ・・・」

みんな目の前から消えたウェンディに動揺している。ただ、俺は消えた瞬間が“見えた”ため、あまり焦ってはいない。ただ、あいつどこいった?

「「皆さん、落ち着いてください」」

すると、俺たちの頭から声が聞こえる。そっちか!?

「「私は無事です」と、申しております」

そこには天井に張り付いているホロロギウムさんがいた。なぜ天井に張り付いてられる!?重力どうした重力!!

「ホロロギウム!!」
「よかった・・・」
「ふぅ・・・」

ルーシィさんたちが口々に言う。

「自動危険察知モードが発動されました」
「あの・・・あたしも結構危険がいっぱいあった気がするんですけど・・・」

ルーシィさんはホロロギウムさんにそう言う。もしかして助けてもらえてなかったのかな?ホロロギウムさん、ウェンディ助けてくれてありがとうございます!!

「今回は危険のレベルが違いました。申し訳ありません。「ありがとうございます、ホロロギウムさん」と申しております」
「相変わらずややこしいな・・・」
「ですよね・・・」

ホロロギウムさんがしゃべってるのかウェンディがしゃべってるのかよくわからねぇ。というか・・・

「なんで服だけ置いてったんですか?」

俺は助ける瞬間見てたけど、なぜかウェンディだけを自分の中に入れていたような・・・

「緊急自体でしたので、ご本人のみをお守りしました」
「て・・・ことは・・・おい!その中でウェンディは」
「「キャー!!」と申しております」
「見ちゃダメですグレイさん!!」
「ぐあっ!!」

俺はグレイさんの目を塞ぐ。俺も目を瞑ってるから見てません!!

「ホロロギウムがいるんだから見えるわけねぇだろ!!」
「あ・・・そうでした・・・」

言われてみれば・・・

「さ、早くお召し物を」

どうやらウェンディはホロロギウムさんの中で着替えているみたいだ。

「とにかく助かった。礼を言う」
「私が守れるのはこの一回限りです。皆さん、くれぐれも気を付けてください」

ホロロギウムさんはそういって姿を消す。その中からさっきとは違う衣装に身を包んだウェンディが降りてくる。

「ありがとう、ホロロギウム」
「助かりました」

ルーシィさんと俺がそう言う。そしてウェンディは俺たちの前に着地する。さっきの服もよかったけど、こっちもなんかかわいいよ。

「これがマカロフの子らか。ふむ、やはりおもしろい」

ハデスは腕を組み、俺たちを見据えながらそう言う。

「お前、じっちゃんと知り合いなのか?」
「なんだ、知らされてないのか?今のギルドの書庫にすら、私の記録は存在せんのかね?」

書庫に記録?どういうことだ?

「私はかつて、二代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマスター、プレヒトと名乗っていた」
「「「「「!!」」」」」
「ウソつけぇ!!」

ハデスの告白に俺たちは驚き、ナツさんは否定した。

「私がマカロフを、三代目ギルドマスターに指名したのだ」
「んなことありえるか!!ふざけたこといってんじゃねぇぞ!!」

ナツさんはハデスに突進する。ハデスは指先から黒い球体を出す。すると、そこから魔方陣が現れ爆発する。

「ぐあっ!!」
「ナツ!!」

ハデスは続けざまに俺たちにも同じ魔法で攻撃してくる。

「「きゃあああああ!!」」
「「ぐああああああ!!」」
「くっ!!」

ハデスは腕から鎖を出し、ルーシィさんとエルザさんの二人を鎖で縛る。

「ああん!!」
「くぅっ!!」

すると、二人を縛っていた鎖が爆発した。

「きゃああああ!!」
「うあああああ!!」

そんな中、ナツさんがハデスに向かって走る。

「パァンッ」
「ぐあっ!!」

ハデスが指から魔力の弾丸が放たれ、ナツさんの足に直撃する。

「パンパンパン」
「がはっ!!」
「なっ!!」
「うあああああ!!」

ハデスはグレイさん、俺、ウェンディにも魔法の弾丸を放ってきた。

「フハハハハハ!!私は魔法と踊る!!」

次々に弾丸を連射するハデス。その弾丸が俺たち全員に襲いかかった。



























一方、ハッピーたちは・・・第三者side

「おい!!この船の防音設備はどうなってるんだ!!全然雷の音、聞こえるぞ!!」

リリーは外から聞こえる雷の音にビビっており、耳を塞いでそう言う。

「はいはい」
「大丈夫だよ、落ちたりしないから」
「次は向こうにいってみよ~!!」
「だね」
「置いてくわよ、リリー」

ハッピーたちはそんなリリーを気にすることなくずいずい先に進んでいく。

「ぬうっ・・・」

リリーはハッピーたちの後を耳を塞いだまま追いかけた。


























シリルside

俺たちはハデスの圧倒的な力の前に全員突っ伏していた。

「妖精に尻尾はあるのかないのか、永遠の謎。ゆえに永遠の冒険。ギルドの名の由来はそんな感じであったかな?」

ハデスは倒れているナツさんに近づき、

「しかし、うぬらの旅はもうすぐ終わる」

ナツさんの顔を踏みつける。

「メイビスの意志が私に託され、私の意志がマカロフに託された。
しかし、それこそが間違いであった。マカロフはギルドを変えた」
「変えて何が悪い!」
「魔法に陽の光を当てすぎた」
「それが、俺たちの妖精の尻尾(フェアリーテイル)だ!!てめぇみたいに死んだまま生きてんじゃねぇんだ!命かけて生きてんだコノヤロウ!!変わる勇気がねぇなら、そこで止まってやがれぇ!!」

ナツさんは自分を踏みつけるハデスにそう怒鳴る。

「やかましい、小鬼よ」

ハデスはナツさんの足にさっきの魔法を何発も打ち込む。

「ナツ・・・」
「ナツさん・・・」

このままだとナツさんが・・・

「恨むならマカロフを恨め」

ハデスはさらにナツさんに攻撃を加える。

「やめて・・・」
「マカロフのせいで、うぬは苦しみながら死ぬのだ」
「よせ!!」

ルーシィさんが呟き、エルザさんが叫び、ウェンディがさめざめと泣いている。
今はなんとか・・・ナツさんを助ける!

「水竜の咆哮!!」

俺はなんとか立ち上がり、ハデスにブレスをするが、ハデスはそれを防いでしまう。

「カミューニとの戦いで魔力を使いすぎたようだな」

ハデスは俺に指先を向け、

「パァンッ」
「がはっ!!」

俺に攻撃を始めた。

「まずはうぬから消してやる」
「やらせるか!!」

俺に対し魔方陣を書き始めていたハデスにナツさんが飛びかかる。が、

「ふん」
「ぐおっ!!」

そのナツさんを地面にたたきつけた。しかし、ナツさんはその体勢から、ハデスを睨む。

「お前は・・・じっちゃんの仇・・・だ・・・」
「もうよい。うぬから消えろ」
「やめてー!!」

ルーシィさんが叫ぶ。その時、戦艦に雷が落ちた。






















「落ちたぞ!!」
「あいやー!!」
「誰か~!!」
「落ち着きなさいよ」

エクシード隊は落ちないと思っていた雷が落ちたことに大慌てだった。























ハデスの右手に雷が落ち、ナツさんに放とうとした攻撃の邪魔をする。
そして、二人の間に入るように、一人の男が雷の中から現れる。

「こいつがじじいの仇か、ナツ」
「・・・ラクサス」

その人は、俺が以前迷子になっていた時に助けてくれたラクサスさんだった。

「小僧?」

ハデスが誰かとラクサスさんを勘違いしていると、

ゴッ

「ぬおっ!!」

ラクサスさんはハデスに向かって頭突きを入れた。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルがウェンディのことを心配してなかった理由は、次の話で明らかになります。
といっても、ほとんどの方が気づいてると思いますが・・・
次回もよろしくお願いします。 
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