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原作に介入=生 不介入=死 何だ!この世界は!

作者:zinn
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39話

覇王との対戦の次の日、ユウはスバル、ノーヴェ、ティアナ、アインハルト・ストラス(自称覇王)と湾岸第六警防署に来ていた。

「それじゃユウさ……ユウ」
「わかってる。ケンカ両成敗で申請してくる。後、さんはつけないでくれ。今は俺の方が年下だ」

スバルもティアナもまだユウに対する言葉を使いに慣れないようだ

「あはは、まだ慣れなくて」

中学生相手にやり過ぎたユウはティアナたちと話し合った結果、喧嘩両成敗にすることになった。喧嘩両成敗とはいえユウは喧嘩を売られた側なので簡単な注意を受けてすぐに解放される。今はティアナ、スバルと椅子に座ってノーヴェとアインハルトを待っていた。次いでにアインハルトのことをティアナより聞いていた。

「記憶継承者か…」
「ベルカ時代の王、クラウス・G・S・イングヴァルトの記憶があるそうで…らしいわ」
「記憶や経験…ベルカの王様とその周りは面倒なものばかり残して逝きやがる。さてどうするかなぁ」

自分も王の記憶を持ちであることに加えてジークの様に王の残したもので苦労している人間を知っているので放置するのも目覚めが悪い。

「アインハルトもいろいろ抱えて込んでるようだったし、このまま放置もできないよ」
「まあ、その辺りはあんたの妹が親身に対応してくれてるし大丈夫でしょう」

ティアナはスバルを見ながら言う。

「それで解決してくれることを願うな」

ユウにしてみても自分が出ないで解決してくれるにこしたことはなかった。
それから少ししてノーヴェとアインハルトが戻ってくる。

「待たせな」
「用件は済んだし、俺は学校に行く「あっあの」なんだ?」

それまで黙っていたアインハルトが初めて声を上げる。やり過ぎたせいか少しユウに怯えている様に見える。

「また、何時か手合わせしてもらえませんか?」
「予定が空いてるときならな。んじゃな」

ユウは急いで学校に向かった。



放課後、高等科の門の前にヴィヴィオ、コロナ、リオが待ち構えていた。

「それで何かようか?俺は色々あって疲れてんだけど」
「ノーヴェが私と会わせたい子がいるんだって」
「それで?」
「その子、格闘技が強いらしいだよ。だがら今後ユウとも関わることがあると思うんだ。だから一緒に行こう!」
「「お願いします」」

思うどころかもう関わってるな。

「さすがに今日は「ママにお願いして、次にユウが家にくるときのご飯をユウの大好物づくしにしてもらうからお願い!」…………はぁ、わかった」

報酬に納得してついて行くことにしたユウであった。




ユウ達はノーヴェと合流場所のカフェに来ていた。そこにはノーヴェ以外にチンク、ディエチ、ウェンディの姿があった。

チンク・ナカジマ、ディエチ・ナカジマ、ウェンディ・ナカジマ。彼女らもJS事件の犯人側の人間であったがノーヴェ同様罪を認め、捜査に協力的であったため海上隔離施設で更生プログラムを受けることになった。現在はナカジマ家に引き取られている。

「久しぶりっすユウ!」
「ウェンディ。相変わらずテンション高いな。だが今回はあんまり騒ぐなよ」
「分かってるっす!」
「安心してくれユウ。姉がしっかり抑える」
「頼むよチンク」
「覇王と聖王の対面だもんね。私たちが邪魔しちゃいけないからね。歴史的瞬間だよ」
「いや、ディエチさん。そこまで仰々しいものじゃないだろう。あくまでも子孫だからな」

三人と話しているとノーヴェが近づいてくる。

「よお、今日は来ないと思ってた」
「取引の結果な。それに俺は見ているだけだ。何かするわけじゃないから楽なもんだ」
「それだけか?」

なんだかんだ言ってもユウはヴィヴィオに甘いところがあるからそのことを言っているのだろう。
「さあな」

10分も待たずにアインハルトが来て区民センターのスポーツコートに移動する。アインハルトとヴィヴィオでスパーリングを行うようだ。

「スパーリング4分1ラウンド。射砲撃なしの格闘オンリーな」

両者が構える。

「レディ…ゴー!」

スパーリングが始まる。 初めはヴィヴィオが攻める形で展開している。ユウは攻めるヴィヴィオの動きを見て疑問を覚える。

「なぁノーヴェ。ヴィヴィオにアインハルトが覇王の継承者であることをちゃんと話したか?」
「いや話してないけど」
「……どあほ」
「あぁ!喧嘩売ってんのか!?」

行きなり貶されたことに怒るノーヴェ。

「あのなぁ、ヴィヴィオは新しい友達と楽しくスパーリングしていると考えているはずだ。だがアインハルトはそうじゃない。漸く見つけた覇王と自ら思いをぶつける相手として見ているだぞ。勝負になるわけないだろう」

両者が拳に込める思いが違い過ぎる。思いは動きに現れる。アインハルトにして見ればヴィヴィオの動きは遊んでいるように見えることだろう。彼女の事情を話さないにしてもせめてヴィヴィオに全身全霊で戦うように予め伝えていれば少しは違ったかもしれない。

「アインハルトは今のヴィヴィオを思いをぶつける相手とは見ないだろうな」
「…………あたしとしたことがミスったな」

ノーヴェにも試合の最悪の終わり方が予想できた。

「ミスったのなら弟子に名誉挽回のチャンスを与えてやりな」

その間にも試合は続きヴィヴィオはアインハルトによって吹き飛ばされる。直ぐにヴィヴィオは起き上がったがそんなヴィヴィオにアインハルトは背を向ける。

「お手合わせありがとうございました」
「あの……すみません。わたし何か失礼を?」
「いいえ」
「じゃっじゃあ、あの私……弱すぎましたか」
「いえ、趣味と遊びの範囲でしたら「待て、アインハルト」何ですか?」

ユウが最後の言葉を途中で遮った。

「今のスパーリングでヴィヴィオの実力がわかった気になってるならそれは間違いだ」
「…………」
更にノーヴェが動く。

「悪いアインハルト今回はあたしのミスだ。そうだな…来週辺りにもう一度、今度はちゃんとした練習試合をしてくれないか?ヴィヴィオの実力を決めるのもそれからでも遅くないだろ?」
「…………」
「頼む!」
「わかりました。時間と場所はお任せします」
「ヴィヴィオもいいか?」
「うん!」

こうしてヴィヴィオとアインハルトの初めての手合わせは幕を閉じる。




帰り道、暗くなってきたのでユウはヴィヴィオを送って帰ることした。

「ねぇユウ。あの人にとって私のストライクアーツは遊びなのかなぁ?」
「アインハルトが遊びと思っているかはしらんが、本当に遊びかどうかはお前が決めることだ」
「わたしが…決めること…」
「アインハルトの評価が気に入らないなら練習試合のときにお前の全身全霊でぶつかって認めさせてやれ。お前のストライクアーツは遊びなんかじゃないってな」
「…うん!そうする!」

ヴィヴィオは無事に元気を取り戻したようだ。

「やっぱり友達になるためには全力全開で戦うのが一番だよね!なのはママもフェイトママと友達になるために全力全開で戦ったって言ってたし、「なぁヴィヴィオ」わたしにだってできるはずだよ。なのはママの娘だもん「お~いヴィヴィオさ~ん」そのためには今のままじゃだめ「聞こえてますか~」特訓しよう!一週間もあるんだから絶対できる」
「聞こえてないな。ほっとこう」

一人でどんどん熱くなっていくヴィヴィオは気にしないことに決めたユウ。幸いヴィヴィオの足は止まってないので横を並走して歩けば置いていくことにはならない。

「よし、帰ったら特訓しよう。だからユウも手伝って!」

家に向かって走り出すヴィヴィオ。

「いや、疲れてるって言って…聞いてないよ。待てヴィヴィオ!」

ユウも呆れながらヴィヴィオを追っていった。





ヴィヴィオの特訓に(嫌々)つきあわされて数日、練習試合の日の前日となった。
本日、ユウはヴィクターに誘われてジークとともに彼女の家を訪れていた。

「お誘い感謝するよヴィクター。最近の家にいても全然休まらない」

悲しいことに人の家にいるほうが体が休まるユウであった。

「ふふ、いいのよ。私もジークも貴方の話を聞いていると楽しいのだから」
「それで今度はどうな厄介ごとなん?」

疲れているのは厄介ごとに巻き込まれたからだと言うことを二人は確信している。ユウ、ヴィクター、ジークの三人が集まるとユウの苦労話を二人が聞くのが恒例化している。

ユウは今回の覇王の事件について二人に話した。全てを話すか少し迷ったがアインハルトが王の打倒を目指すならこの二人(特に雷帝の子孫であるヴィクターは)も何時か関わることになると考えたからだ。

「……それでヴィヴィオの奴に連日の特訓につきあわされて精神的に疲れてるってわけだ」

肉体の疲れはスーパージェル状デロドロンドリンクを飲めば回復するが精神的疲労まで回復しない。

「なるほど、噂の自称覇王は貴方が倒したのね」
「ああ、やり過ぎて知り合いに説教を食らったけどな」

その時のことを思い出して少し渋い顔をするユウ。

「災難やったな。それで明日のその子とヴィヴィちゃんの練習試合は見に行くん?」
「ああ、見に行くつもりだ。ここまで巻き込まれたんだ。最後まで見てくるさ」
「勝敗はどうあれ、ヴィヴィの気持ちがその子に届くといいわね」
「そうやね。覇王の気持ちを本当の意味で受け止めてあげられるのはやっぱり聖王やからね」

獅子王や雷帝は確かにベルカ時代の王ではあるが覇王との直接的な接点はほとんどない。戦ったり話を聞いたりすることはできてもアインハルトの気持ち理解してやることはできない。覇王イングバルトの無念の原点はやはり聖王オリヴィエにあるのだから。

「まぁ、ヴィヴィオなら大丈夫だろ。母親に似てわかり合うために全力全開でぶつかっていける奴だ」


そしてヴィヴィオとアインハルトの練習試合の日がやってきた。場所は廃棄倉庫の区画。救助隊訓練でも使われる場所なのですこし壊しても問題はない場所である。そこでヴィヴィオとアインハルトは向かいあっていた。今回は前回のメンバーに加えオットーとディードがきている。
 
「セイクリッド・ハート セットアップ!」
「武装形態」

両者も変身魔法で15、16歳の体になる。どちらも準備万端である。

「今回も魔法なしの格闘オンリー。5分間一本勝負だ。いいな?」

ノーヴェは二人が頷いたの確認して距離をとる。

「試合…開始!」

合図なされ両者が激突する。スパーリングのときと同様にヴィヴィオが攻める形となっているが前とは明らかに違う。アインハルトに自分の気持ちをわかってもらうためヴィヴィオは一撃一撃に全力の想いを込めて拳を突き出している。スパーリングのときのような楽しむ気持ちではない。わかり合うための真剣な気持ち。それは動きに大きな違い生み出す。

アインハルトもそんなヴィヴィオの気持ちを受けたためか表情も動きも真剣そのものになっている。実力で言えばアインハルトのほうが上だが、その程度の差なら勝敗は容易にひっくり返るだろう。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

両者死力を尽くした戦いが続くが遂に決着がするときがくる。ヴィヴィオの渾身の一撃をアインハルトが防ぎ、できた隙に断空拳が叩きこまれた。ヴィヴィオは吹き飛び廃工場の壁に叩きつけられそうになるがその前にユウが間に入り受け止める。

「陛下!」「ヴィヴィオ!」

ディードやオットー、リオやコロナが近づいてくる。ユウは受け止めたヴィヴィオの容体を見る。

「見事に気絶してんな。ディート介抱してやってくれ」

目をぐるぐるにして気絶している以外は大丈夫そうだったのでディードに渡してアインハルトに近づいて行く。

「どうだったヴィヴィオの全身全霊は?」
「お強かったです。先日のことを謝罪しないといけませんね」
「謝罪より話をしてやってくれ。あんたとわかり合うために頑張ったようだからな」
「はい」

アインハルトは気絶して介抱されているヴィヴィオのほうに向かって歩いて行く。これで覇王の騒動は一先ず決着する。

 
 

 
後書き
シスターディード、オットー。二人もJS事件の犯人側の人間で六課襲撃にも参加していた。二人も罪を認め、捜査に協力的であったため海上隔離施設で更生プログラムを受けていた。現在は聖王教会に引き取られてディードはシスターとして、オットーは騎士カリムの秘書として働いている。
 
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